ブエルタ・ア・エスパーニャはポルトガルに入国できず…コース変更へ

2020ブエルタ・ア・エスパーニャが、新型コロナウイルス感染懸念を示すポルトガルの領内に入ることができなくなり、コース変更を余儀なくされている。

当初の発表では2020年の第75回ブエルタ・ア・エスパーニャのコースはこんな感じだったが…

ブエルタ・ア・エスパーニャは当初予定されていた開幕からのオランダ3ステージをカット。8月14日〜9月6日の24日間の日程から、10月20日〜11月8日の18日間に変更することを発表していた。今回はさらにポルトガルを走る予定だった第15、16ステージのコース変更が必要となった。

新型コロナウイルスによって引き起こしている状況は、ポルトガルにおける円滑なレース運営は不可能であると、ポルト、マトシニョス、ビセウの自治体がブエルタ・ア・エスパーニャ主催者のユニパブリックに通告。レースはポルトガルを通過しないことを決定した。

ポルトとマトシニョス間で行われる第15ステージと、ビセウをスタートする第16ステージのルートがスペイン国内に変更される。ポルト、マトシニョス、ビセウに代わる都市はすでに決まっているが、コースの最終的なプロファイルが決定するのは数週間かかるという。

ブエルタ・ア・エスパーニャのハビエル・ギレン代表は、「我々が経験している事態と同じくらい異例の状況なのだから、柔軟でオープンな心を持ち、このような決定と変更を理解する必要がある」とコメントした。

「我々は2020年にポルトガルを訪問することができないことを残念に思うが、この炎が消えることを望んでいない。両国の関係を将来まで維持し、歴史に深く関わった隣国を再び訪れたい」と付け加えた。

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大会延期のブエルタ・ア・エスパーニャが出場22チーム発表

2020ブエルタ・ア・エスパーニャが出場22チームを発表した。新型コロナウイルス感染拡大により、大会は当初予定のオランダ開幕、8月14日〜9月6日の24日間の日程から、10月20日〜11月8日の20日間・18区間に変更した。

UCIワールドチーム19、2019UCIプロチーム1、ワイルドカード2、全22チーム。

ジロ・デ・イタリア同様に延期を余儀なくされたが、新日程は10月3〜25日。ブエルタ・ア・エスパーニャと日程重複することから両大会に出場するチームは選手をやりくりする必要に迫られた。

●UCIワールドチーム
AG2Rラモンディアール(フランス)
アスタナ(カザフスタン)
バーレーン・マクラーレン(バーレーン)
ボーラ・ハンズグローエ(ドイツ)
CCC(ポーランド)
コフィディス(フランス)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFプロサイクリング(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)
ロット・スーダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター(スペイン)
NTTプロ(南アフリカ)
イネオス・グレナディアス(英国)
ユンボ・ビスマ(オランダ)
サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)
●2019UCIプロチーム1位
トタルディレクトエネルジー(フランス)
●ワイルドカード
ブルゴスBH(スペイン)
カハルラル・セグロスRGA(スペイン)

2019ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ ©Photogómez Sport

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2020ブエルタ・ア・エスパーニャがオランダ開幕を断念

オランダで開幕するはずだった2020ブエルタ・ア・エスパーニャは同地でのレースを断念した。4月29日に主催者ユニパブリックとラ・ブエルタ・オランダ組織委員会が発表した。当初は8月14日にユトレヒトで開幕し、ゼルトゲンボス、ブレーダなどで3日間にわたってレースを行い、9月6日にスペインの首都マドリードにゴールする予定だった。

当初計画された2020年の第75回ブエルタ・ア・エスパーニャ

新型コロナウイルス感染拡大により、4月15日に国際自転車競技連合が2020年のサイクリングカレンダーの再編成を通告。またオランダ政府がすべての主要なスポーツイベントを9月1日まで禁止すると決定。これを受けて地元組織委員会とユニパブリックが各所と調整する事態となった。ブエルタ・ア・エスパーニャは、当初予定されていた日程ではなく、世界選手権ロードの後に行われるべきだとした。

最終的に、ユトレヒトのグランデパールを実現したいという当事者の意欲にもかかわらず、これらの厳しい条件にあてはまる新しい日付は見つからなかった。

大会が延期開催してもオランダの3日間は非開催

「オランダからラ・ブエルタ2020がスタートすることは、素晴らしい夏祭りとして考案されたプロジェクトだった。これらの特別なイベントのために必要なすべての条件を満たし、レースの公式スタートを円滑に実行することは不可能であることを考えると、オランダ開幕は断念せざるを得なかった」と現地関係者。

ユトレヒトのヤン・ファンザネン市長は、プロジェクトに関与するすべての関係機関を代表して、「私たちの意図は、大きなスペインの祭りをオランダの町々で組織することだったが、これは技術的に不可能となってしまった。新型コロナウイルスの収束は不確実で、私たちにこの決定を余儀なくされた。大きな失望だが、健康が第一」とコメントした。

ただし、すでにオランダ開幕構想は時期をずらしての実現に向けた話も。2022年を新たな設定として関係機関に働きかけていきたいという。

2019ブエルタ・ア・エスパーニャ。バルベルデをマークするマイヨロホのログリッチェ ©Photogómez Sport

4月29日第2報で全18ステージ、バスクの山岳区間から開幕

ブエルタ・ア・エスパーニャは4月29日、オランダでの3日間を断念した発表後に、当初の第4ステージを初日にすると第2報を発表した。

その結果、第1ステージはイルンをスタートしてアラーテまでの山岳ステージとなる。当初の2020ブエルタ・ア・エスパーニャは金曜日開幕で、大会4日目に移動日を設定していたので、初日は火曜日になる可能性がある。日程はまだ発表されていない。

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ブエルタ・ア・エスパーニャ史上最多の4カ国歴訪…第75回記念大会

2020年に開催される第75回ブエルタ・ア・エスパーニャのコースプレゼンテーションが12月17日にスペインの首都マドリードで行われ、24日間の全容が明らかになった。8月14日金曜日にオランダのユトレヒトで開幕し、スペイン北部へ。フランス、ポルトガルまで脚を伸ばし、9月6日にマドリードにゴールする。

2020年の第75回ブエルタ・ア・エスパーニャのコース

1935年に始まったブエルタ・ア・エスパーニャはその後の内乱などもあって、85年後の2020年に第75回大会が開催される。これを記念大会と位置づけ、ユニークなコース設定にした。開幕は異例の金曜日となり、4日目をスペインまでの移動日としたことで全日程は1日増の24日間。21ステージで争われる。

開幕地は自転車王国オランダ。ユトレヒトのチームタイムトライアルで戦いの幕が落とされ、ゼルトゲンボス、ブレーダと3ステージを行う。その後にスペインに移動するが同国北部に集中するのが特徴。まずはピレネー山脈に近いバスク地方での戦い。第9ステージでは国境を越えてフランスのツールマレー峠にゴールする。

第15ステージがアングリル峠での攻防。3回目の休息・移動日を過ごした翌日の第16ステージが個人タイムトライアル。終盤にポルトガルを訪問し、マドリードにゴールする。

2020ブエルタ・ア・エスパーニャ日程

8月14日(金) 第1ステージ ユトレヒト〜ユトレヒト(オランダ) 23.3km(チームタイムトライアル)
8月15日(土) 第2ステージ ゼルトゲンボス(オランダ)〜ユトレヒト 181.6km
8月16日(日) 第3ステージ ブレーダ(オランダ)〜ブレーダ 193.2km
8月17日(月) 休息日
8月18日(火) 第4ステージ イルン〜アラーテ 169.5km★★
8月19日(水) 第5ステージ パンプローナ〜レクンベリ 151km★★★
8月20日(木) 第6ステージ ロドサ〜ラグナレグナ・デ・ビヌエサ 163.8km★★★
8月21日(金) 第7ステージ ガライ〜エヘアデロスカバレロス 190km
8月22日(土) 第8ステージ ウエスカ〜サビニャニーゴ 185.5km★
8月23日(日) 第9ステージ ビエスカス〜ツールマレー峠(フランス) 135.6km★★★
8月24日(月) 休養日
8月25日(火) 第10ステージ ビクトリアガステイズ〜ビジャヌエバ・デ・バルデゴビア 160.4km★
8月26日(水) 第11ステージ ログロニョ〜アルトデモンカルビリョ 164.5km★★★
8月27日(木) 第12ステージ カンペアドール〜アグイラルデカンポ 163.6km
8月28日(金) 第13ステージ カストロウルディアレス〜スアンセス 187.4km
8月29日(土) 第14ステージ ビジャビシオサ〜アルトデラファラポナ 170.2km★★★
8月30日(日) 第15ステージ ラポララビアナ〜アングリル 109.2km★★★
8月31日(月) 休養日
9月1日(火)  第16ステージ ミュロス〜ミラドルデエザロ 33.5km (個人タイムトライアル)
9月2日(水) 第17ステージ ルーゴ〜オウレンセ 205.8km★
9月3日(木) 第18ステージ モス〜ポルト(ポルトガル)178km
9月4日(金) 第19ステージ ビセウ(ポルトガル)〜シウダーロドリゴ 177.7km
9月5日(土) 第20ステージ セクエロス〜アルトデラコバチラ 175.8km★★★
9月6日(日) 第21ステージ ザルツエラ〜マドリード 125.4km
★は難易度

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2020年のブエルタ・ア・エスパーニャは12月17日に発表

2020年の第75回ブエルタ・ア・エスパーニャのコース全容は12月17日にスペインのマドリードで発表される。

2020年の大会は東京五輪開催の影響で、ツール・ド・フランスとともに例年より1週間早い開催。8月14日にオランダのユトレヒトで開幕することがすでに発表されていて、今回の全容発表はそれ以降のコースが明らかになる。レースは9月6日にマドリードにゴールする。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージ ©Photogómez Sport

2020ブエルタ・ア・エスパーニャはオランダのユトレヒトで開幕

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ログリッチェ、ポガチャル…2019年はスロベニア勢台頭

グランツールと呼ばれる三大ステージレースの最後を飾る第74回ブエルタ・ア・エスパーニャが8月24日から9月15日までスペイン全土で開催され、ユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチェが総合優勝。スロベニア勢としてのグランツールも初制覇だったが、総合3位と新人王も同国のタデイ・ポガチャル(UAEエミレーツ)が獲得した。

先行するポガチャル、それに追従するマイヨロホのログリッチェ ©Photogómez Sport

南米勢のグランツール全制覇を阻止

5月のジロ・デ・イタリアはエクアドル選手、7月のツール・ド・フランスはコロンビア選手。どちらも大会史上初の優勝者国籍だった。迎えたブエルタ・ア・エスパーニャも開幕前はコロンビア選手の総合優勝が濃厚という大方の予測。2018年は英国勢がグランツールを完全制覇したが、今季は南米勢が席捲するのでは言われていた。

その予測通り、初日はコロンビアのミゲルアンヘル・ロペス(アスタナ)が首位に。2日目はコロンビアのナイロ・キンタナ(モビスター)が区間勝利。ロペスは7日目までに3度も首位に躍進し、そして大会9日目の山岳でついにキンタナが首位となった。

総合優勝のログリッチェを中央に左が2位バルベルデ、右が3位と新人賞を獲得したポガチャル ©Photogómez Sport

最初の休息日を過ごした翌日、第10ステージの個人タイムトライアルで圧勝したのがログリッチェだ。5月のジロ・デ・イタリアでは開幕にピークを合わせ、初日の個人タイムトライアルに勝って首位に。ところが23日間の長丁場という戦いで、終盤に調子を落として優勝争いから脱落した。ジロ・デ・イタリアで疲れ果てたログリッチェは、ツール・ド・フランスを回避。ブエルタ・ア・エスパーニャをパスすることも選択肢のひとつだったが、将来に向けて経験値を積むことを選んだ。

現在29歳のログリッチェはもともとスキーのジャンプ選手。ジュニア時代の世界選手権では団体種目で金メダルを獲得している。21歳の時に自転車競技に転向した。ジャンプ選手時代から瞬発力と持久力のバランスに優れていて、集団走行に慣れるとすぐに好成績をマークしていく。2017、2018年とツール・ド・フランスの終盤ステージで各1勝。2018年は総合4位に。ジロ・デ・イタリアでは個人タイムトライアルで2016年に1勝、2019年に2勝した。

タデイ・ポガチャルが第20ステージで2019ブエルタ・ア・エスパーニャ3勝目 ©Photogómez Sport

「今年のジロ・デ・イタリアでは総合優勝を争っていた終盤に失速してしまったが、それ以外は最終週に好成績を挙げている。今回のブエルタ・ア・エスパーニャも最後に調子を上げるつもりで調整した」とログリッチェ。第10ステージの個人タイムトライアルで首位に立つと、鉄壁のアシスト陣の援護もあって最終日までコロンビアやスペイン勢の攻撃をしのいだ。

さらにスロベニア勢はポガチャルが区間3勝と大活躍し、いきなりの総合3位に。第9ステージで初勝利したときは、「最終日の表彰台でログリッチェの隣に立てたらうれしい」と夢を語ったが、それを実現してしまった。

総合1位のログリッチェ(右)と新人賞のポガチャル ©Photogómez Sport

スロベニアの格下チームに所属していた2018年にアマチュア版ツール・ド・フランスと言われるツール・ド・ラブニールで総合優勝したのがポガチャルだ。今季になって現在のトップチームに移籍し、グランツールは初参戦だった。

スロベニアは自転車競技が盛んなイタリア北部に隣接することから、強豪国となる下地はあった。ジロ・デ・イタリアが国境を越えてスロベニアを訪問することもある。最新の世界ランキングは、個人でログリッチェが1位、国別でスロベニアが3つ順位を上げて8位に浮上している。

ブエルタ・ア・エスパーニャを終えて世界ランキング1位になったログリッチェ ©Photogómez Sport

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