佐藤水菜が悲願のケイリン世界チャンピオン…名実ともに世界のサトミナに

世界選手権の女子ケイリンで過去2回2位に甘んじていた佐藤水菜(楽天Kドリームス)がついに世界チャンピオンになった。デンマーク・バレラップで開催されていたUCIトラック世界選手権は大会最終日(5日目)の10月20日、女子ケイリンでサトミナの愛称で知られる佐藤水菜が優勝した。同じ決勝に出場した梅川風子は5位。

ケイリン世界チャンピオンの佐藤水菜 ©日本自転車競技連盟

佐藤はこれまでの世界選手権女子ケイリンで2021年と2022年に2位の実績があった。今回の世界選手権では大会3日目の女子スプリントで同種目初の3位に食い込んだ。

佐藤水菜が世界選手権女子ケイリンでトップフィニッシュ ©日本自転車競技連盟

佐藤と梅川の日本代表は、各組上位2選手が勝ち上がる1回戦をそれぞれ2位で突破して準々決勝に進出。各組上位4選手が勝ち上がる準々決勝では佐藤が3位、梅川が4位で準決勝へ。各組上位3選手が1-6位決定戦に進出する準決勝では佐藤、梅川はそれぞれ別組で3位を確保して揃って1-6位決定戦に進出。

ケイリン世界チャンピオンとなり声援に応える佐藤水菜 ©日本自転車競技連盟

1-6位決定戦で佐藤はフィニッシュライン手前で完全に身体一つ抜け出す完勝で、悲願の世界チャンピオンになった。

ケイリン世界チャンピオンの佐藤水菜(中央)。左は2位ファンデオーウ(オランダ)、右は3位マーチャント(英国) ©日本自転車競技連盟
世界チャンピオンの称号であるアルカンシエルを着用した佐藤水菜 ©日本自転車競技連盟

太田海也は男子スプリントで3位を確保

男子スプリントでは前日に準決勝進出を決めていた太田海也が出場。準決勝では強豪ラブレイセン(オランダ)と対決し、2本を先取されて3位決定戦へ。3位決定戦ではトリニダードトバゴのポールに2本先取して3位になった。

太田海也(右)が世界選手権男子スプリント3位 ©日本自転車競技連盟

20歳の池田瑞紀は世界の強豪を相手にポイントレース10位

24人で争われた女子ポイントレースで日本の池田瑞紀は上位勢と同一周回でレースを進めるものの、ポイント周回でのポイント獲得に苦戦して、全体の10位でレースを終えた。

世界の強豪を相手に女子ポイントレースで10位になった池田瑞紀 ©日本自転車競技連盟

世界のサトミナがトラック世界選手権女子スプリントで3位

デンマーク・バレラップで開催されているUCIトラック世界選手権は大会3日目となる10月18日、女子スプリントが行われ、サトミナの愛称で知られる佐藤水菜が3位になった。梅川風子は前日の1回戦で敗退。

佐藤水菜が世界選手権女子スプリント3位 ©日本自転車競技連盟

女子スプリントでの3位は日本初の快挙

佐藤は1回戦、2回戦、準々決勝と勝ち上がり、この日は準決勝で英国のフィヌケーヌに2本を取られて3位決定戦に回った。同じ英国のケープウェルに対して佐藤は力の差を見せつけて2本選手。3位の表彰台に上った。

世界選手権女子スプリントに挑む佐藤水菜 ©日本自転車競技連盟

佐藤はこれまで世界選手権の女子ケイリンで2位を2回獲得した実績があるが、女子スプリントでの3位は日本初。

世界選手権女子スプリントに挑む佐藤水菜 ©日本自転車競技連盟
世界選手権女子スプリント3位で声援に応える佐藤水菜 ©日本自転車競技連盟

大谷翔平の陰で日本自転車界37年ぶりの快挙…山崎賢人ケイリン優勝

2024年UCIトラック世界選手権(デンマーク・バレラップ)で10月17日に2人の日本人世界チャンピオンが誕生した。男子ケイリンで山崎賢人(日本競輪選手会)が優勝。1987年に同種目を制した本田晴美以来37年ぶり2人目の覇者となった。男子スクラッチでは2022、2023年と2位に甘んじた窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)が優勝。男子中距離陣では初の世界タイトルとなった。

世界チャンピオンのアルカンシエルを着用する窪木一茂と山崎賢人 ©日本自転車競技連盟

男子スクラッチの窪木一茂も同日世界チャンピオンに

2024パリ五輪では期待されていたメダル獲得を逃した日本トラック陣。男子ケイリンには山崎、太田海也、中野慎詞が出場し、そろって1回戦を突破して準々決勝に進出。中野、山崎は準決勝へ進出したが、太田はここで敗退し13位でレースを終えた。

山崎賢人が世界選手権ケイリンで1着フィニッシュ ©日本自転車競技連盟

準決勝では山崎とが中野が同じ組に。山崎は2位を確保して1-6位決定戦に進出。中野は5位で7-12位決定戦に回る。中野は7-12位決定戦で意地を見せて1位となり、7位となった。

そして決勝で山崎はイスラエルのヤコブレフ、コロンビアのキンテロを抑えて悲願の世界チャンピオンとなった。

世界選手権ケイリンを制した山崎賢人がウイニングライド ©日本自転車競技連盟

日本の短距離自転車界では、男子プロスプリントで中野浩一が1977年から前人未到の10連覇。それを受け継いだ俵信之が1987年に同種目優勝。同じ年にケイリンで本田晴美が優勝しているが、当時はプロとアマが別レースで行われていた。1993年にオープン化された以降で初めての世界タイトルとなる。

山崎賢人(中央)が日本勢として37年ぶりに世界選手権競輪優勝 ©日本自転車競技連盟

2年連続2位の窪木が悲願の世界チャンピオンに

24人で争われた男子スクラッチでは2年連続で2位に甘んじていた日本の窪木が悲願の優勝。世界チャンピオンの称号である5色の虹模様ジャージ、アルカンシエルを獲得した。

窪木一茂が世界選手権スクラッチで独走勝利 ©日本自転車競技連盟

短距離種目よりも距離が長いスクラッチなどではロードレースで活躍する選手も登場する。日本では2020年に梶原悠未が女子オムニアムで世界チャンピオンになっているが、男子では初めての世界タイトルとなった。折しもメジャーリーグや日本のプロ野球のプレーオフの最中で、自転車競技界の快挙の報道は少なかったが、現在の日本短距離・中距離陣の強さが証明された1日になった。

世界選手権で日本勢男子初の中距離種目優勝をつかんだ窪木一茂 ©日本自転車競技連盟
世界覇者の称号であるアルカンシエルを着用した窪木一茂 ©日本自転車競技連盟

19歳の垣田真穂が世界選手権ロード女子エリート代表に大抜擢

世界選手権ロードが2024年9月21日から29日までスイスのチューリッヒで開催され、早稲田大/EFオートリー・キャノンデールの垣田真穂がエリート女子の個人タイムトライアルとロードレースで日本代表になった。

垣田真穂

2022年9月の世界選手権ロードにジュニア代表として派遣され、5位に入って日本の関係者を驚かせた垣田。その後は早稲田大での学生活動と並行してトラックナショナルチームに起用され、2024パリ五輪に出場。9月にはトラック全日本選手権で5冠。さらに女子ロードチームのEFオートリー・キャノンデールの選手として欧州ロードレースにも参戦を始めた。

エリート女子ロードは与那嶺恵理(LABORAL KUTXA –FUNDACION EUSKADIと木下友梨菜(ベルマーレ)も出場。新城幸也(バーレーンビクトリアス)が男子ロードに出場する。

2024世界選手権ロード日程

9月21日(土)
パラサイクリング・チームリレー

9月22日(日)
パラサイクリング女子・個人タイムトライアル
エリート女子・個人タイムトライアル
エリート男子・個人タイムトライアル

9月23日(月)
ジュニア男子・個人タイムトライアル
パラサイクリング男子・個人タイムトライアル
U23男子・個人タイムトライアル

9月24日(火)
ジュニア女子・個人タイムトライアル
パラサイクリング男女・個人タイムトライアル

9月25日(水)
パラサイクリング男女・ロードレース
男女混成リレー・チームタイムトライアル

9月26日(木)
パラサイクリング男女・ロードレース
ジュニア女子・ロードレース
ジュニア男子・ロードレース

9月27日(金)
パラサイクリング男女・ロードレース
U23男子・ロードレース

9月28日(土)
パラサイクリング男女・ロードレース
エリート女子・ロードレース

9月29日(日)
パラサイクリング男子・ロードレース
エリート男子・ロードレース

世界選手権を制覇したピドコックとフェランプレボのMTB発売へ

一挙13種目が開催された史上初のスーパー世界選手権だが、MTBクロスカントリー種目で英国のトム・ピドコック(男子)とフランスのポーリーン・フェランプレボ(女子)が使用したピナレロの最新MTBが明らかになった。

2023世界選手権を制したトム・ピドコック ©Bartek Wolinski / Red Bull Content Pool

ピドコックとフェランプレボのために開発されたモデルが市販化へ

ノベ・メストで行われたUCIマウンテンバイクワールドカップでのDOGMA XCの初勝利の後、ピナレロはスーパー世界選手権で画期的なクロスカントリーバイクの新しいハードテールバージョンを発表した。

ポーリーン・フェランプレボが世界選手権MTBクロスカントリー優勝 ©Bartek Wolinski / Red Bull Content Pool

DOGMA XCは現在、イネオスグレナディアーズに所属するピドコックとフェランプレボのみに供給されている。2選手は英国スコットランドで開催されたUCI世界選手権のXCC(クロスカントリーショートトラック)とXCO(クロスカントリーオリンピック)に、それぞれ英国とフランスの代表として出場。ピドコックはフルサスペンションバージョンに乗ってXCOで優勝、フェランプレボはハードテールバージョンを選択しXCCとXCOの両方で優勝した。

カスタムデザインされた完全一体型のコックピットは、2ピース構造に比べて軽量化され、走行精度が向上

ピドコックとフェランプレボはDOGMA XCの開発に積極的に関与していて、ピナレロはあらゆるXC地形で優れたパフォーマンスを発揮できるこの最新モデルを製作した。この最新のフルカーボンハードテールバージョンは、リアトライアングルからの最大限の軽さ、剛性、反応性を提供し、最速のレースサーキットに適していというる。

完全に統合されたケーブルルーティングは、ハンドルバーが回転しすぎるのを防ぐために60°で止まる内部ストッパーを特徴とする特殊なヘッドセットベアリングと同様に組み込まれる

パリ五輪に向けて開発されたMTBは上り坂で有利に

「私はこのバイクで特に上り坂が得意です。2024年のパリオリンピックに向けてハードテールバージョンをリクエストしましたが、このフレームを開発し、迅速に提供してくれたピナレロに感謝しています」とフェランプレボ。

左右非対称デザインを採用したリアトライアングル。左側が強化され、ドライブトレインの反対側にかかる大きな力を相殺

供給側のファウスト・ピナレロは次のように述べている。「フェランプレボがイネオスグレナディアーズと契約した瞬間から、彼女は私たちにハードテールのクロスカントリーフレームを開発するよう促してくれた。当初の計画にはなかったが、記録的な速さでこの挑戦に取り組み、非常に誇りに思うフレームを設計した。これとDOGMA XCのフルサスペンションバージョンにより、彼女とトム・ピドコックはどんな地形でも最高水準のパフォーマンスを発揮できるフレームを手に入れることができた」

DOGMA XCは、ピドコックがこれのフルサスペンションバージョンに乗って、ノべ・メストで開催されたワールドカップ男子エリート・XCCとXCOの両方で優勝し、すぐに成功を修めている。同様に、フェランプレボもフランスカップをフルサスペンションバージョンで優勝している。

日本での価格や入荷時期などは現時点で未定

サイクルサッカー世界選手権で男子がAリーグ昇格、女子は2位

8月3日に英国のグラスゴーで開幕したUCI自転車世界選手権は、最終日となる13日、サイクルサッカーの女子決勝と男子リーグ入れ替え戦が行われ、日本代表は女子の⽊澤佐椰茄・村林果奈がドイツに0対3で敗れて2位、Bリーグで優勝した男子の村上裕亮・⾼橋祐⾺はベルギーとの入れ替え戦に7対1で勝利して、2024年のAリーグ昇格を決めた。

世界選手権サイクルサッカーで2位になった女子日本代表の⽊澤佐椰茄と村林果奈 ©日本自転車競技連盟

今大会、初めて実施された女子サイクルサッカー。⽊澤と村林のコンビで臨んだ日本代表は、ドイツに敗れて準優勝となった。参加国は日本とドイツの2カ国のみで、この決勝1試合が実施された。

「今回、初の女子世界選手権に出場することができ、とてもうれしく思っています。日本国内での女子の公式戦実施に引き続き、今回世界選手権が実施されるのは、たくさんの方々の働きかけがあったおかげです。このことを心に留め、記念すべき第1回女子世界選手権で名を残せるよう全力で頑張ります」と試合に臨んだ村林。

世界選手権サイクルサッカーで日本代表の村上裕亮と⾼橋祐⾺がAリーグ昇格 ©日本自転車競技連盟

「初の大舞台でとても緊張しました。それをひっくり返せるくらいの自信と練習が必要だと感じました。悔いの残る試合でしたが、サイクルサッカー女子初の世界選手権に出場できてとても光栄に思います」と試合後の⽊澤。

「女子サイクルサッカーで世界選手権の実施がまだ見通せない時からずっと練習を頑張れたのは、支えて下さり、指導して下さって先輩方のおかげだと思っています。とても感謝しています。今回の大会で、改善すべき点がとても明確になりました。よりよい選手になれるよう精進していきたいと思います。応援していただきありがとうございました」

【日本代表選手リスト】佐藤水菜、梶原悠未など67選手