JBCF西日本ロードクラシック広島で中西健児5位…終盤にレースを動かす

国内リーグ「J PROTOUR」の2018年第11戦、JBCF西日本ロードクラシック広島大会が6月30日に広島県中央森林公園で行われ、6選手が出場したキナンサイクリングは中西健児がチーム最上位の5位。山本元喜も6位に続き、終盤にかけてレースを動かした2選手が上位進出を果たした。

©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

今回で52回目の開催で、伝統と格式は西日本有数のこの大会。広島県中央森林公園に設けられる1周12.3kmのコースはアップダウンに富み、急坂はもとより、「ジェットコースター」とも称されるテクニカルなダウンヒルも選手たちを待ち受ける。なかでも、通称“三段坂”と呼ばれる見通しのよい直登が周回を追うごとに選手たちの脚にダメージを与える。例年、暑さも相まってサバイバルな展開となることが多いが、2018年は朝からの強い雨によって天候・コースともにコンディションは悪い状況。アマチュアカテゴリーでは複数の落車が発生して、このレースでもいつになく緊張感が高まる中でのレースとなった。なお、ポイント付与に関係するレースレイティングは、Jプロツアー最高の「AAAA」に指定される。

キナンは山本元、中西、山本大喜、雨乞竜己、中島康晴、新城雄大の6人が出場。ワンデーレース2連戦として行われた2017年は、Day-1で山本元が2位、Day-2で中西が6位となっている。また、前週まで行われていた全日本自転車競技大会では、山本元(エリートロード)と山本大(アンダー23個人タイムトライアル)が日本チャンピオンジャージを獲得。チャンピオンチームとなった勢いのまま、広島へと乗り込んでいる。

9周回・110.7kmに設定されたレースは、まず4選手のアタックをきっかけに、次々と選手たちが反応。1周回目を終えた時点で約40人が先頭集団を形成し、キナン勢では中西と中島が加わる。2周目では別の4選手が飛び出し、雨脚が強まる中でメイン集団でも出入りが激しさを増す。この時点でキナン勢は中西と中島に加え、山本元と雨乞が合流。3周目で逃げが3人となり、ようやくレース全体の形勢が固まることとなる。

逃げとメイン集団との差は、しばし1分20秒前後で推移。中盤に入っても逃げと集団の構図に大きな変化がないまま進む。集団が前をめがけてスピードを上げ始めたのが6周目。キナン勢では雨乞が集団前方へと上がって、ペースコントロールを担う。こうした動きもあって、逃げとのタイム差は約1分に縮まる。その後の7周目、8周目とタイム差は1分前後を行ったり来たり。逃げを射程圏内にとらえたメイン集団は、雨乞に代わって中島が牽引を引き受け、最終周回の鐘を聞くこととなった。

最後の周回に入ったところでのタイム差は32秒。残り距離が減るにつれて、その差はみるみる縮まり、フィニッシュまであと6kmになろうかというタイミングでついに吸収。優勝争いは土壇場でふりだしに戻った。

勝負への思惑が集団内に交錯する中、レースを大きく動かしたのは中西。残り4kmでアタックし、一時は後続との差を15秒とする。これに追随した選手をチェックする形で山本元も加わるが、協調には至らず集団へ戻ることに。さらにカウンターアタックが発生すると、再び山本元がチェックに入り、そのまま2選手がリード。先頭のまま残り500mを過ぎ、急坂を含んだ最後の直線へと入っていく。

急坂をクリアした残り300mでトップに立ったのは山本元。最後のチャンスにかけてスパートを試みるが、メイン集団から残った5選手が猛追。ここに中西が入り、山本元ともに上位進出をかける。最終局面は中西が山本元に代わって少人数スプリントに挑み、結果はトップと同タイムの5位。山本元は少し遅れて6位でフィニッシュした。

序盤から中盤にかけて雨脚が強まり、レース展開が変化していく中で堅実に上位を固めたキナン勢。勝利をねらえる状況であと一歩及ばなかったものの、前週の全日本選手権を経て、さらなるチームの底上げを図っていく段階へと突入し、その足掛かりとなるレースであったことは確か。フィニッシュ後の選手たちからは、盛んに意見が出され、この先の戦いへつなげるためのポジティブな姿勢が見られた。それを試す場となるのが、翌7月1日のJBCF 広島クリテリウムとなる。

なお、トップカテゴリーのレースでも各所で落車が発生。キナン勢では新城と雨乞が落車し、その影響で途中リタイアとなったが大事には至らず、レース出場を続けていく。

JBCF広島クリテリウムは記念すべき初開催。同時に広島市内で初めての実施される市街地クリテリウム。1周1.7kmのコースは、3カ所のヘアピンカーブと長い直線が特徴的なレイアウト。これを30周回・51kmで争うことになる。キナンは当初の予定通り、山本元、山本大、雨乞、中島、新城のオーダー編成。スプリントのほか、逃げの動きなども想定し、勝利のチャンスをうかがっていくことになる。

第52回JBCF西日本ロードクラシック広島大会(110.7km)結果
1 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 2時間46分39秒
2 横山航太(シマノレーシング) +0秒
3 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
4 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
5 中西健児(KINAN Cycling Team)
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4秒
20 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分58秒
DNF 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
DNF 山本大喜(KINAN Cycling Team)
DNF 新城雄大(KINAN Cycling Team)

中西健児

中西健児のコメント
中盤は雨乞さん、終盤は中島さんに仕事をしてもらっただけに、勝ちたかったし、勝たなくてはいけないレースだった。最終周回でアタックしたのは“三段坂”の上り。(山本)元喜さんの指示もあったので、思い切っていった。今大会には自分の結果を求めて臨んでいた。前週、全日本選手権で約6時間のレースをこなしたが、その疲れを抜いて、ここに合わせてきた。気持ちの面でも集中できていた。(翌日のJBCF 広島クリテリウムは走らないが)チームはよい感じで連携できているので、スプリントで勝つことを望んでいる。

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中西健児が100km逃げで存在をアピール…ツール・ド・コリア第4ステージ

キナンサイクリングが出場しているツール・ド・コリアは6月2日、第4ステージが旌善から忠州までの137.0kmで争われ、中西健児が100kmにわたって逃げ続け存在感をアピール。ジャイ・クロフォードはメイン集団でフィニッシュして総合順位を20位とした。キナンは翌日にソウルで開かれる最終第5ステージで、ステージ・総合でのUCIポイント獲得を目指す。

ツール・ド・コリア第4ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Naoi HIRASAWA

韓国の東部に位置する高原地帯、旌善から南西に進路を取り、内陸部の都市・忠州へ向かうステージ。周回コースを使用する最終ステージ(65.0km)を除けば、今大会で最も短いラインレースとなった。山間部を進むコースだが、長短のアップダウンが絶え間なく続いた第2、3ステージに比べると平坦区間の多いプロフィールだ。

レース開始直後はなかなか逃げが決まらない展開だったが、28.6km地点のスプリントポイントを通過した直後にアタックがあり、中西がこれに反応。前日のチームミーティングで、チャンスがあれば逃げにトライしたいと話していた中西が、ねらい通りの動きを見せた。

このアタックで抜け出した6人が徐々にリードを広げ、さらにブリッジをかけた選手が合流。総合リーダーのセルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア)を擁するユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチームがメイン集団のコントロールを始め、7人の逃げ集団が容認された。中西は終盤に向けて脚を貯め、クロフォードと雨乞竜己はメイン集団内でレースを展開。前日はグルぺットで上りを越えた雨乞も、この日はメイン集団内の前方をキープし上りをこなしていった。

順調に逃げ続けた中西らの集団は、残り37km地点から始まるこのステージ唯一のカテゴリー山岳に、約3分半のリードをもって突入。上りに入ると同時に遅れる選手もいたが、中西は登坂力を活かし先頭集団内で頂上を目指した。先頭をキープしたい中西だったが、KOMを前に引き離され4位で頂上を通過。下りで前後の選手と合流し、追走を試みた。単独先頭に立ったのはジョセフ・コッパー(ニュージーランド、ベネロング スイスウェルネス サイクリングチーム)。4人で追走する中西らを寄せ付けず、メイン集団との差を3分以上キープしながら独走を続けた。

コッパーは追走集団もメイン集団も寄せ付けず、逃げ切りをほぼ確定的に。逆に追走にはメイン集団が迫っていた。表彰台をねらっていた中西だったが、残り約1.5kmで集団に吸収され逃げ切りならず。コッパーは独走勝利、メイン集団は2位争いとなった。

クロフォードはトップから2分30秒差、2位争いのメイン集団内でフィニッシュ。総合順位を順位を1つ上げて20位とした。中西は集団に捕まってからはゆっくりとフィニッシュ地点に戻り、4分38秒遅れの82位に。沿道の観客にボトルをプレゼントするファンサービスで歓声を浴びながら、逃げ切り目前に迫った価値あるレースを終えた。雨乞は残り15kmほどの最後の上りで遅れてしまったが、8分55秒遅れの83位でフィニッシュ。上りに耐え、スプリンター向けの最終ステージへ駒を進めた。

翌日はオリンピックパークをスタート・フィニッシュ地点にソウル市内を駆ける最終ステージ。ほぼ平坦のレイアウトで、最後はオリンピックパーク外周約5kmの周回コースを4周してフィニッシュする。キナンはUCIポイント圏内のジャイの総合成績、スプリンターの雨乞の上位進出を目指してコリアでの最終日に挑む。(Text:平澤尚威)

ツール・ド・コリア第4ステージ結果(137.0km)
1 ジョセフ・クーパー(ニュージーランド、ベネロング スイスウェルネス サイクリングチーム) 3時間12分36秒
2 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア) +2分30秒
3 パク・ソンベク(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング) +2分30秒
4 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +2分30秒
5 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +2分30秒
6 キム・ジョソク(韓国、ガーピョン サイクリングチーム) +2分30秒
31 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +2分30秒
82 中西健児(KINAN Cycling Team) +4分38秒
83 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +8分55秒

個人総合時間
1 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) 17時間38分32秒
2 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +28秒
3 マッテオ・ブザート(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア) +37秒
4 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌ サイクリングチーム) +43秒
5 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分42秒
6 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分50秒
20 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +2分0秒
47 中西健児(KINAN Cycling Team) +19分54秒
88 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +1時間2分52秒

ポイント賞
1 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) 46pts
28 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 3pts

山岳賞
1 クォン・スンヨン(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング) 20pts
20 中西健児(KINAN Cycling Team) 1pts

チーム総合
1 ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム 52時間59分50秒
14 KINAN Cycling Team +1時間20分32秒

中西健児

中西健児のコメント
逃げが決まった時は、スプリントポイントを越えたあたりでペースが緩んで、何人か逃げているのが見えたのでブリッジをかけた。タイム差が開いてからは、終盤に勝負がかかるところで遅れないように脚を貯めることを考えていた。終盤、勝った選手とは1分差開いたけれど、4人でゴールまで行って上位3人に入れればと粘りながら走っていた。ラスト1.5kmくらいで集団につかまってしまった。UCI1クラスで逃げに入れたことはこれまでなかったので、それはよかったのかなと思う。けっこう大きなチャンスだったと思うが、どうやったら逃げられるかが今日わかったので、次のチャンスを掴めるようにやっていきたい。

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
最終ステージに3人残ったし狙うしかない。また中西選手の逃げが見られると思います(笑)。昨年の最終ステージを走った印象は“クレイジー”。みんなが狙っていると思うが、去年走った経験やそこからの1年で培ったものをぶつけたい。

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キナンサイクリングがツール・デュ・ロワールエシェールに参戦へ

キナンサイクリングチームが発足以来4年連続となる春のフランス遠征に挑む。遠征メンバーは椿大志、塚本一樹、中西健児、雨乞竜己、新城雄大。平均年齢23歳の5人で構成される。4月6日に日本を出国してフランス入り。北中部の都市ブロアを拠点にトレーニングを行なっていく。遠征の終盤では4月11〜15日に4年連続の出場となるツール・デュ・ロワールエシェールに臨む。

ツール・デュ・ロワールエシェールに出場するキナンチームメンバー ©︎KINAN Cycling Team

2017年以降、この遠征におけるメンバー選出は若手から中堅年代の日本人選手に限定し、サイクルロードレースの本場である欧州フランスでのトレーニング、さらにはその成果を試す場としてUCIヨーロッパツアーへの出場によって強化を図ることを目的としている。

同大会は過去に活躍した選手がトッププロチーム入りするなど、将来を有望視される選手たちの登竜門的な位置付けとも言われている。2017年の第2ステージを制したアレックス・フレーム(ニュージーランド)は2018シーズンからUCIワールドチームのトレック・セガフレードへ。同じく個人総合優勝を果たしたアレクサンダー・カンプ(デンマーク)は2017年の世界選手権アンダー23ロードレースで銅メダルと大きな飛躍を果たしている。

2018年は、開幕からの2ステージが平坦基調。大会中盤の第3、第4ステージがアップダウンに富み、総合成績を狙っての激しいレースとなることが予想される。最終の第5ステージはこの大会恒例ともいえるロワールエシェール県の県庁所在地であるブロアの市街地に設けられた周回コースでのクライマックスとなる。

平坦ステージではエーススプリンターの雨乞を軸に、大会中盤からは逃げや勝負どころのアタックでレースを動かすべく果敢にトライしていきたいという。今回のメンバーでは椿、雨乞、新城はヨーロッパでの競技活動経験があり、これまでに培ってきた走りを発揮する絶好の機会ともなる。2018年は完走者2名だったが、今回はこれまで以上に戦力を整えてレースへと臨む。

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ツール・ド・ランカウイでキナンのトマ・ルバが個人総合8位

マレーシアで3月18日に開幕したツール・ド・ランカウイは、25日の第8ステージをもって閉幕。この大会に初出場を果たしたキナンサイクリングは、トマ・ルバの総合8位がチーム最上位。また、ルバのほかサルバドール・グアルディオラ、中西健児の3人が完走。総距離1341.2kmに及ぶ戦いに幕を閉じた。

ツール・ド・ランカウイの最終ステージ ©︎ KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

2018年で23回目を迎え、ステージ数やレースオーガナイズなど大会の規模から「アジア最高峰のステージレース」とも称されるこの大会。16日にランカウイ島でチームプレゼンテーションが行われ、18日からは全8ステージにわたる戦いが続いてきた。

キナンは、第1ステージで椿大志、第7ステージでマルコス・ガルシアがそれぞれリタイアし、残る4選手で最終日を迎えた。前日の第7ステージでは山本元喜と中西の動きに始まり、グアルディオラが大人数の逃げに合流。さらに中盤にルバがメイン集団を飛び出し、グアルディオラが入るグループへ。一時はルバがバーチャル総合リーダーとなる場面もあり、キナン勢の動きがレースをよりサバイバルにした。

第7ステージまでを終えてルバが個人総合9位につけているが、チームは引き続き攻撃的な走りに努めることを確認。順位を守るのではなく、1つでも上げられるよう残る3選手がサポートする。

今大会の最後を飾るのは首都クアラルンプールにフィニッシュする141.1km。途中、スプリントポイントと4級山岳がそれぞれ3カ所ずつ控える。クアラルンプール市内に入ってからは、一度フィニッシュラインエリアを通過したのち、市街地を5周回してフィナーレ。ステージ、総合とも行方はフィニッシュするまで分からない、あらゆる展開が考えられるルートが設けられた。

レースはスタートしてすぐに4人が逃げグループを形成。キナン勢は山本らが前を狙ったが、逃げに入ることはなくメイン集団でレースを進める。逃げる4人は最大で約3分のリードを築くが、メイン集団が射程圏内に収めながら進む。しかし、集団から飛び出した数人が逃げグループに合流。この中に個人総合上位の選手が入ったこともあり、キナン勢は中西を集団前方へと送り込んで追走態勢を整える。

その構図は変わらないまま、クライマックスとなるクアラルンプールの市街地へ。人数を減らしながらも粘る逃げに対し、強力スプリンターを擁するチームが率いるメイン集団。徐々にタイム差を縮めていったメイン集団が最終周回で逃げていた選手たちをキャッチ。キナン勢はグアルディオラがルバをケアしながら最終局面へと向かった。

スプリントでのステージ優勝争いの後ろで、ルバとグアルディオラもしっかりとフィニッシュ。ルバは個人総合での上位を確定させた。個人総合上位陣の一部に集団から遅れてフィニッシュした選手が出た関係から、ルバはスタート時から1つ順位を上げて個人総合8位。UCIポイントは50点をゲット。また、グアルディオラも個人総合23位とし、同様に5点を獲得。今大会で合計55点を得た。この2人に続き、中西も完走。クアラルンプール市街地の周回コース途中までアシストの役割を果たしてフィニッシュしている。

今大会は平坦ステージが多くを占めた中、総合成績に視野を定めて臨んだキナン。初出場ではありながらも、世界の名だたる強豪とならんで戦えるだけの存在感をこの8日間で示したといえる。選手間の連携も上々で、適材適所の役割配分ができていたこともこの先のレースにつながるはずだ。チームが重視する、UCIポイント獲得を常に狙いながら、引き続き全体の底上げを図っていくこととなる。

チームのUCI国際レース次戦は、4月1~6日のツアー・オブ・タイランド(タイ)。主戦場であるアジアでのレースでキナンの活動はさらに加速度を増すことになる。

ツール・ド・ランカウイ第7ステージ結果(141.1km)
1 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 3時間10分25秒
2 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク) +0秒
3 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)
4 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
5 マルコ・クンプ(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ)
6 ヨルダンアルレイ・パッラ(コロンビア、マンザナポストボンチーム)
15 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
34 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
60 中西健児(KINAN Cycling Team) +8分14秒
DNF 山本元喜(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 32時間6分45秒
2 ルカシュ・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ) +27秒
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +32秒
4 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +54秒
5 ジュゼッペ・フォンツィ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +57秒
6 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) +1分2秒
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分8秒
23 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分30秒
88 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間12分48秒

ベストアジアンライダー
1 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) 32時間7分47秒
36 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間11分46秒

スプリント賞
1 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 61pts
20 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 11pts

山岳賞
1 アルバロラウル・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカアムスキンズレーシング) 43pts
11 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 10pts

チーム総合
1 ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア 96時間23分38秒
9 KINAN Cycling Team +23分23秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
結果についてはまずまずといったところ。予想のできない戦いだったなかで、コンディションを日ごとに上げていきながらフィニッシュができたことについては満足している。キャメロンハイランドの頂上フィニッシュ(第5ステージ)の5位も悪くはなかった。ただ、表彰台には立ちたかったし、一度はバーチャルリーダーとなった第7ステージでリーダージャージを逃したことも悔しかった。それでもなにより、どんな結果が待っているか分からないハイレベルの戦いを走り切れたことはよかったと思う。
UCIワールドチームなどのビッグチームがそろっていた中で、チームはよく戦ったと思うし、中西健児にとっては素晴らしい経験になっただろう。とはいえ、この大会も(チームが並行出場した)ツール・ド・とちぎもレースには変わりない。コンチネンタルチームが勝つことだってもちろんあるし、レースバリューですべてが決まるわけではない。
いまから次のレースが楽しみ。チームスピリットをしっかりと持って、みんなで喜び合える結果を残したい。

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トマ・ルバが総合8位に浮上して最難関へ…ツール・ド・ランカウイ

マレーシアで開催中のツール・ド・ランカウイは3月21日に第4ステージが行われ、日本から参戦しているキナンサイクリングは終始メイン集団でレースを展開。トマ・ルバを筆頭にマルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラと集団でフィニッシュしている。個人総合ではルバが前日までの10位から2つ上げて8位に浮上。好位置につけて翌日のクイーンステージ(最難関)を迎える。

ツール・ド・ランカウイ第4ステージ ©︎ KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

全8ステージで争われる大会は中盤戦へ。前日に引き続き、マレーシア東岸の南シナ海を見ながら南下する177.6km。前半に唯一のカテゴリー山岳となる1級の上りが控えるが、その後は平坦。海沿いのルートはときおり強い風が吹き、これがレース展開を左右することも考えられた。

キナンは前日の第3ステージでルバが序盤に形成された逃げグループに入り、2カ所の中間スプリントポイントを上位通過。合計3秒のボーナスタイムを獲得し、個人総合で10位に浮上。ガルシア、グアルディオラも安定して走っているほか、山本元喜と中西健児の日本人ライダーもアシストとして貢献している。

レースは序盤、逃げ狙いのアタック合戦にキナン勢も参加。チャンスをうかがうが、大人数の逃げは容認されず、やがて先行した6人が集団に容認される。キナン勢はこれに加わらず、メイン集団でレースを展開することとなった。

その後のメイン集団は、スプリンターを擁するチームを中心にペースをコントロール。逃げグループとのタイム差を見ながら、淡々と進行。キナン勢は海から吹く風に対応すべく、中西が風よけに立ち、隊列を組んで走っていく。

タイム差が約5分となったのを機に、メイン集団は徐々にペースアップ。ポジション争いが激しさを増していく。フィニッシュまで残り20kmとなったあたりからは横風を利用しての集団分断を狙うチームが現れ、プロトンと呼ばれるメイン集団は人数が絞られていく。キナン勢はルバ、ガルシア、グアルディオラが集団でのポジションを確保し、役目を終えた中西と山本は後方へと下がった。

集団は終盤に入り逃げていた選手を全員吸収。そのままスプリント勝負によるステージ優勝争いとなった。集団では残り5km付近で落車が発生したが、キナン勢3人は巻き込まれることなく、そのままフィニッシュへ。グアルディオラがチーム内最高位の19位となった。また、山本と中西もグルペット内でレースを終え、出走5人全員が次のステージへと進んでいる。

個人総合争いで上位につけていた一部選手がリタイアした関係から、ルバが2つ順位をジャンプアップ。個人総合8位とした。ガルシア、グアルディオラもここまで好位置につけている。

翌22日はいよいよこの大会のクイーンステージ。アジアの名峰キャメロンハイランドの頂上にフィニッシュする169.4kmの第5ステージは、今大会のハイライトとなること必至。レース後半に入って上りが始まり、158km地点に1級山岳、そしてフィニッシュは超級山岳と難所が立て続けに待ち受ける。10%近い勾配の区間も次々と登場する完全クライマー向きのコースだ。このステージの結果が、個人総合争いに直結する可能性が高い。

ツール・ド・ランカウイ第4ステージ結果(177.6km)
1 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) 4時間10分14秒
2 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +0秒
3 モハドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
4 ルカ・パシオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)
5 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク)
6 アラン・バナチェク(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ)
19 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
40 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
41 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
113 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4分42秒
114 中西健児(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) 16時間55分45秒
2 ニクモハドアズワン・ズルキフリー(マレーシア、フォルカアムスキンズレーシング) +14秒
3 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +22秒
4 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) +1分19秒
5 パオロ・シミョン(イタリア、バルディアーニ・CSF) +1分26秒
6 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分27秒
27 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +1分30秒
32 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
117 山本元喜(KINAN Cycling Team) +21分47秒
121 中西健児(KINAN Cycling Team) +31分21秒

ベストアジアンライダー
1 ニクモハドアズワン・ズルキフリー(マレーシア、フォルカアムスキンズレーシング) 16時間55分59秒
51 山本元喜(KINAN Cycling Team) +21分33秒
54 中西健児(KINAN Cycling Team) +31分7秒

スプリント賞
1 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) 38pts
25 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 5pts

山岳賞
1 ベルナルドアルベイロ・スアザ(コロンビア、マンザナポストボンチーム) 19pts

チーム総合
1 ラリーサイクリング 50時間50分36秒
14 KINAN Cycling Team +1分9秒

中西健児

中西健児のコメント
スタートから体が動いていたので、何度か逃げにトライをしたが、望んでいた大人数の逃げが容認されず、前方でレースを進めることができなかった。それからはチームメートの風よけになりながら、集団の前方にポジショニングしていた。集団内でのポジション争いが激しくなっていく中で、ポジションを下げてしまい、分断したときにそのまま後ろになってしまった。本来は我慢をして集団に残ってアシストをしないといけなかった。UCIワールドチームやプロコンチネンタルチームがそろうレースにあって、レベルの高さは感じているが、暑さも含めて対応していかないといけない。明日(第5ステージ)は得意の上りなので、そこでしっかりと仕事をしたい。

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