ツール・ド・フランス厳戒開催へ…選手・関係者をバブル内隔離

新型コロナウイルス感染拡大により当初予定から2カ月遅れとなる8月29日〜9月20日の開催となった第107回ツール・ド・フランス。異例ずくめの大会運営体制の一部が明らかになったが、過去に例がないほどの特殊なレースになりそうだ。

2019ツール・ド・フランス第17ステージ ©ASO Thomas MAHEUX

7月23日、大会主催者のASOから報道関係者に取材受け付けの案内がメール送信されてきた。

通常なら開幕の3カ月前に送信されるものだが、2020年は開幕まで1カ月余でようやく送られてきた。それだけ主催者が健康面での安全対策に苦心し、試行錯誤していたことが推測できる。

案内文は、現在の健康危機において必要とされる取材方法を説明している。これらの規定は7月に定められたとしていて、今後の数週間におけるフランスでの感染状況によっては、大きく修正される可能性があると警告している。

従来の「ファミリー」から「バブル」という枠組みに変更

ツール・ド・フランスはこれまで、主役である選手を中心に、チーム関係者、主催スタッフ、取材陣、スポンサーを「ファミリー」という言葉でひとくくりにし、円滑な運営を続けてきた。例えば交通規制に関してなら、一般の人たちが制限されるところにも「ファミリー」は入ることを許され、大会特別規定の道路通行ルールが適用された。

今回、「ファミリー」に替わって明記された言葉が「レースバブル」。英語ではRace bubble、フランス語ではBulle Course。

2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET

レースに関わる主要な人々の周りに「バブル」を実装する。その範囲となるのは選手、チームスタッフ、オフィシャル、レース運営者。取材陣とスポンサーは外されている。大会期間中はバブル内にいる人に対して厳格な健康管理と衛生対策が行われれ、バルブ内にウイルスを持ち込まない態勢づくりを構築した。さらにバブル外の人たちとの接触を可能な限り制限する。

ツール・ド・フランスに帯同する取材者、メディア、各地域の大会協力者はバブルの外となるが、大会に数日間関わる場合は、レース前の健康テストから期間中の健康観察、レースバブルとの接触制限、会場でのソーシャルディスタンス順守が厳命される。

無観客レースにはならない…大事なことは遠回しに表記

ファンの動きにも言及されている。常にソーシャルディスタンスを確保すること、レースコース沿道ではスマホアプリをインストールして、感染者が出たときに接触があったかを確認できるようにすること。これらの感染予防策を取り入れれば主催者は「一般の人たちも招待する」という表現をしているので、無観客レースとはならないようだ。

まとめると…
ツール・ド・フランス関係者の健康を守るためにバブルが設定される
レースバブル=選手・チーム関係者・大会運営スタッフ
第2バブル=それ以外のツール・ド・フランスファミリー
第3バブル=一般の人たち

2019ツール・ド・フランス第11ステージ ©ASO Pauline BALLET

ツール・ド・フランスに帯同するすべての人は現地到着の5日前以降にPCR検査を受けて陰性となった各国保険機関の証明書が必要。Stop Covid”アプリケーションをダウンロードする必要がある。マスク着用。

主催者側はさらに連日にわたって消毒を徹底的に行い、12〜19人ほどの専任医療関係者と看護士を帯同させる。また開幕時とパリのゴールでは選手の家族が訪問するのが恒例だが、2020年はこれも禁止された。

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🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ツール・ド・フランス選手は東京五輪を走れない…日程変更できない事情

新型コロナウイルスの影響で2021年夏に延期された東京五輪の新たな競技日程が7月17日に同組織委員会から発表され、ツール・ド・フランスと自転車競技男子ロードの日程が重なることが改めて確認された。2020年の当初予定ではツール・ド・フランスが東京五輪を尊重して、大会日程を1週間前倒しして重複を避けたが、2021年は簡単にはそれができない理由がある。

コペンハーゲンで開幕する2021ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションをするクリスティアン・プリュドム ©ASO_G.Demouveaux

新型コロナウイルス感染拡大を受けて2020年の国際スポーツイベントがこれまでにないほどの影響を受けている。この年の三大スポーツイベントのうち、五輪とサッカー欧州選手権(ユーロ)は1年延期。ツール・ド・フランスは毎年開催されることもあって、2カ月遅れの日程になった。

混乱は2021年にも続く。すでにツール・ド・フランスは7月2日に大会史上初めてデンマークのコペンハーゲンで開幕すると2019年2月に早々と発表している。伝統的にツール・ド・フランスは7月最初の土曜日に開幕するので、このこと自体は例年通り。ただし遠隔地開幕となるので、移動日を加えて1日増の24日間での開催とした。そのため7月2日は異例の金曜日。パリにゴールするのは7月25日だ。

話が戻るが、2020年のツール・ド・フランスは東京五輪に配慮して開催日程を通常より1週間早めていて、最終日を7月19日(日)とした。当初の2020東京五輪での男子ロードは開会式翌日の25日(土)に計画されていたので、ツール・ド・フランスで完走を果たした選手も中5日の余裕があった。

2021年に開催される東京五輪の日程が発表された

自転車男子ロードは五輪で常に最初の決勝種目

五輪では開会式翌日の競技初日に最初の決勝種目として自転車競技男子ロードが開催される。その理由は、町々をつないで走るロードレースは開催都市の全容を世界中に知らせるのにうってつけの種目であるからだ。とりわけ男子ロードは選手数が多く、空撮や併走による映像でその都市の魅力をあますことなく配信するというねらいがある。

これは1年延びて開催される2021年実施の東京五輪にも適用された。つまり五輪がスライドしたことによって五輪男子ロードが開催される日にツール・ド・フランス出場選手は最終日前日を走っているのだ。

●新型コロナウイルス感染拡大以前の大会日程
2020年6月12日〜7月12日 サッカー欧州選手権
2020年6月27日〜7月19日 第107回ツール・ド・フランス
2020年7月25日 東京五輪男子ロード

2021年7月2日〜25日 第108回ツール・ド・フランス

●新型コロナウイルス感染拡大後の大会日程
2020年8月29日〜9月20日 第107回ツール・ド・フランス

2021年6月11日〜7月11日 サッカー欧州選手権
2021年7月2日〜25日 第108回ツール・ド・フランス
2021年7月24日 東京五輪男子ロード

東京五輪の新たな競技日程は、基本的に延期前の日程の曜日を合わせてそのまま引き継いだものだ。自転車競技にはロードレース以外にも、トラック・MTB・BMXとあるが、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は「今回発表した各種目日程の変更することは不可能だ」と断言している。

大会プログラムを変更できるかと尋ねられたバッハ会長は「ノー」と述べた。「それはあまりにも複雑な意味を持つことになる。我々はすでにすべての利害関係者、つまりツール・ド・フランス主催者とデンマークの開幕ホストシティに伝えている」

2021ツール・ド・フランスは1週間前倒しできない

2021ツール・ド・フランスのグランデパール(開幕地)は、世界のサイクリングシティと言われるコペンハーゲン。デンマークの首都だ。7月2日(金)の開幕を目指して数年前から計画を立てている。新型コロナウイルス感染拡大という特殊事情を理由に、2020年のように1週間前倒しにできないか。これもノーだ。

こともあろうに、1年延期されたサッカー欧州選手権の試合がコペンハーゲンであるのである。

2019ツール・ド・フランス第4ステージはランス大聖堂をスタート ©ASO Pauline-BALLET

サッカー欧州選手権はいわゆる欧州におけるワールドカップで、4年に一度の開催。2021年に延期された第21回大会は欧州13カ国での分散開催となる。これは当初予定通り。じつはコペンハーゲンでは6月18日にグループBのデンマーク対ベルギー、22日にグループBのデンマーク対ロシア、そして29日には決勝リーグ「ラウンドオブ16」のグルーブD・2位対グルーブE・2位の試合が開催される。

東京五輪を避けてツール・ド・フランスを1週間前倒ししたら、今度はサッカーとぶつかってしまう。コペンハーゲンの警察当局は、2つのスポーツビッグイベントに多くの観客が殺到することを懸念。ツール・ド・フランスを1週間前倒しする案を受け入れることができないという。

「ツール・ド・フランスの経営陣から、2021年にデンマーク開幕予定日について討議する要請を受けたことは認める」と、グランデパール組織委員会のトップでもあるコペンハーゲンのフランク・ジェンセン市長が6月末に国営放送のDRでコメントしている。

以上、これは2021年の話。ツール・ド・フランス主催者はまず2020年大会をどうやって運営しようかに懸命。新型コロナウイルス余波はあまりにも大きい。

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2020ツール・ド・フランスが通常開催できない3つの理由

新型コロナウイルス感染拡大により、2020年の第107回ツール・ド・フランスは大会日程を当初の「6月27日〜7月19日」から、「8月29日〜9月20日」に延期。この異例の措置によって、真夏のバカンス時期に開催されるお祭りという希有な価値が保てるのか? 6月29日時点での状況を分析してみた。

7月14日はフランス革命記念日 ©ASO

フランスは国内および欧州での衛生状況が改善していることから、欧州委員会の提言に従って6月15日より欧州域内の国境制限(陸路、空路、海路)をすべて解除した(スペインとの国境制限は6月22日より解除)。

欧州域内の国からの渡航者は、新型コロナウイルス対策に関連して設けられた国境での移動制限を一切課されず、フランス本土へ入境できる。ただし英国からの渡航者だけは相互主義(レシプロシティ)により、フランス到着後に14日間の隔離措置が続けられる。

●欧州外からフランスへ入境する場合に求められる2週間の自主隔離措置

現時点で日本人は、配偶者がフランス人であることや新型コロナウイルスにかかる医療関係者などの特例をのぞいて、フランスへの渡航ができない状況。日本外務省のホームページに2国間の渡航についての制限(出国・入国)について毎日情報のアップデートがある

7月1日から日本人はフランス入りができるという情報も

フランスは慎重ながらも前進する意志を見せている。7月1日以降、シェンゲン協定域外の第三国との国境を、各国との衛生状況を鑑みながら、段階的に個別に再開していく予定だ。シェンゲン協定の加盟国内にいったん入ると、域内は原則パスポートの検査なしで行き来できる。

2国間の相互主義(レシプロシティ)というのは「互恵性、返報性」の意味。言い方は悪いが、一方が入国禁止措置を執るなら他方も同じやりかたをぶつけるというもの。日本がフランス人の受け入れを拒んでいたら、フランスも同様のやりかたをする。14日間の隔離措置を求めるなら、これも同様だ。

ただし世界有数の観光大国であるフランスは、自国経済の立て直しのためにできることなら外国人旅行者を呼び戻したい。そのために新型コロナウイルス感染を抑え込んでいる国は例外的に入国緩和と隔離措置廃止を検討している。例外となる国のリストとその内容は7月1日に発表されるようで、日本もリスト入りしていると一部で報じられている。

2019ツール・ド・フランス第14ステージ ©ASO Alex BROADWAY

これに先立つ6月22日、フランス政府は新型コロナウイルス感染がいまだ予断を許さない海外領土のマイヨットとギアナを除いて、フランス全土に施行される「夏季に向けた新たな制限解除の内容」について発表した。

理由その1 観光大国が普段の姿を取り戻すには時間がかかる

フランス全土で映画館、カジノ、ゲームセンターの営業再開が可能になること。再開には衛生上の配慮をとることが求められること。また、コロニードバカンス(長期休暇期間に児童が過ごす林間・海浜学校)では児童の受け入れが可能になることなどが発表された。フランス本土では確実にいつもの夏休みに戻りつつあるのだ。

7月11日以降(フランス本土における衛生上の緊急事態宣言の終了後)には、河川クルーズの運行が再び認められる。欧州の複数国の港に寄港する海洋クルーズは、省令で定められた定員以内の船舶であれば、関係国との調整において今後の運行再開が決められるという。

スポーツに関してはどうか。スタジアムおよび競馬場は5000人以内の規模であれば観客を入れられるようになる。劇場など1500人を超える集まりは届け出の対象となり、必要な配慮がとられることを保証しなければならない。

大規模イベント、スタジアム、劇場における集客の人数制限を5000人とすることは原則として9月1日まで続けられる。8月29日に開幕するツール・ド・フランスは当然のようにこの「大規模イベント」となるので、5000人の人数制限が適用される。それがフランスの象徴的スポーツイベントであるとしても、だ。

理由その2 5000人超のイベントは現時点では開催不可

順調に推移しても、いまの状況ではツール・ド・フランスは5000人以下での開催。つまり想定されるのは無観客レースだ。これではどうしても盛り上がりに欠けてしまう。わずかな望みは、フランス国内での新たな疫学調査が7月中旬に実施され、8月下旬に制限緩和が可能となるかが決定されるということ。

9月1日以降、新たに出される疫学状況の評価次第で、たとえば秋の新年度スタート時に以下のような緩和が行われる。

フェア、展示会、見本市会場の再開
5000人を超える規模のイベントの認可
疫学状況の評価次第で、ディスコ、国際海洋クルーズの再開

日本選手やファンはツール・ド・フランスに行けるのかという問題

6月29日時点でのフランスの累計患者数は16万2936人、死者は2万9778人。入院患者数は8886人で、前日より255人減少。新規感染者は87人で前日比マイナス37人。4月7日に流行のピークを迎えてからは減少傾向が続き、第2波到来の予兆は今のところない。

2020ツール・ド・フランスに出場できる可能性がある日本選手は、バーレーン・マクラーレンの新城幸也とNTTプロの入部正太朗。入部は落車による鎖骨骨折で現在復帰に向けてのリハビリ中。新城は感染拡大直前に合宿地のタイに入国し、いよいよ欧州復帰を準備中。一般の渡航条件とは別にプロ選手としてのビザ取得という課題があるが、フランスに自宅があるためフランス入りそのものは問題ない。

©A.S.O. / Thomas-MAHEUX

理由その3 出場選手がフランス入りできるか、さだかではない

問題なのは感染拡大が続く南米・北米からのフランス入りが許可されるか。コロンビアには2019年の総合優勝者エガン・ベルナル(イネオス)がいる。欧州の中では感染者の多い英国もさだかではなく、ツール・ド・フランス最多タイの5勝目を目指すクリストファー・フルーム(イネオス)がいる。

日本のファンが2カ月延期されたツール・ド・フランスの現地に行けるかは、まずは7月1日にフランス政府が発表される決定事項による。ただ、日本でも東京都などの新規感染者は高止まりし、ウイルスそのものは常に存在しているので、あらゆるリスクを考慮して慎重に判断したい。

2020ツール・ド・フランス開幕まであと2カ月。取材申請は「2019年」のままで、各国メディアも戸惑うばかりだろう。主催者ASOは1年近くにわたる準備態勢を1から再構築することに相当の労力を支払っている渦中であることが想像でき、実行力のある彼らのことだから結果的には2020ツール・ド・フランス開催を実現することを切に期待したい。ただしそのレースは異例の雰囲気となりそうだ。


フランス観光開発機構カロリーヌ・ルブーシェ総裁のメッセージ

「6月15日以降、フランスは再び欧州からの旅行者を受け入れます。これはすべての旅行業従事者にとってこのうえない喜びです。さらに7月1日以降は欧州以遠のいくつかの国からも、フランス国内のホテル、キャンピング場、レストラン、美術館や博物館、観光地でお客様をお迎えできるようになります(国境再開はその国の衛生状況によって決まるのですが)。必要な対策が講じられたことでフランスの衛生状況は好ましい形で改善しており、旅行業関係者は政府が認可した衛生マニュアルを遵守しながらお客様の安全に必要なあらゆる措置をとっております。とはいえバカンスの雰囲気とフランス流ライフスタイルを忘れぬこともしっかり心がけておりますのでご安心ください」

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イネオスはツール・ド・フランス欠場も…感染リスクと経済的価値観の再考

英国のイネオスを率いるデイブ・ブレイルズフォード監督は、衛生状態が保証されない場合、8月29日から9月20日までの日程で延期開催されるツール・ド・フランスに出場しない可能性があると語った。英国の日刊紙ザ・ガーディアンのインタビューに答えた。

マイヨジョーヌのベルナルをイネオス勢がガードする ©ASO Pauline BALLET

チームのゼネラルマネージャーであるブレイルズフォードは、新型コロナウイルス感染を阻止するあらゆる健康対策が主催者によって提供されなければ、チームはツール・ド・フランスに出場しないとした。

「ツール・ド・フランスに参加することはうれしいが、不参加が望ましいと判断した場合、我々はレースを欠場する権利を行使する」という。新型コロナウイルス流行当初に開催されたパリ〜ニースでは出場を見送っていて、「状況を注意深く監視したい」としている。

「世界は今スポーツを必要とせず、医師や看護師こそが必要。サイクリング不足で死んだ人はいない」

タイムズのインタビューでブレイルズフォード監督は、「このパンデミックは必然的にプロの自転車チームが運営する現在の経済モデルに影響を与え、その考え方を変えなければならない」と説明している。

「プロスポーツが進化したことは幸運だったが、この不確実な時代に謙虚さを持つことは悪いことではない」とブレイルズフォード監督。

「世界は今スポーツを必要としない、それは医師や看護師を必要とします。サイクリング不足で死んだ人はいない」

●ザ・ガーディアンの記事
🇫🇷ツール・ド・フランス2020の特集サイト

「今年最大のスポーツイベントに」ツール・ド・フランス延期開催に期待

自転車レースのツール・ド・フランスが2カ月遅れの8月29日から9月20日までという日程で延期開催されたことが4月15日に発表され、出場チームの選手や監督らはSNSなどで一様に肯定的な反応を示した。暗くて長いトンネルの先にわずかな光が見えたからだ。

2018ツール・ド・フランス新人賞のピエール・ラトゥール(フランス、AG2Rラモンディアル) © ASO

ロード練習よりもステキじゃないけど、準備はしている

「ツール・ド・フランスは社会やスポーツのある生活の中で極めて重要な存在だ。チームはこれまで以上の集中力をもって、ロマン・バルデとピエール・ラトゥールのデュオでスタートに立ちたい」と、AG2Rラモンディアールのバンサン・ラブニュ監督。

「選手は自宅でトレーニングをしていて、チームのコーチや監督と絶えず連絡を取り合っているので、ゼロから始めるわけではない。ツール・ド・フランスが7月に行われなくても、レースが村を通過するとき、選手たちの走る姿を見る機会があることを願っている。ツール・ド・フランスの開催はみんなが確実に前進する勢いを与えてくれる」

サッカーの欧州選手権と東京オリンピックが延期された2020年、ツール・ド・フランスは確実にこの年開催される最大のスポーツイベントになったともいう。

現時点では、チーム所属選手のほとんどは自宅でローラー台に乗り、ソフトウェアプラットフォームを使用して、お互いを見つけて一緒にトレーニングを続けている。

「ロード練習よりもステキじゃないけど、ツール・ド・フランスの準備についてはなんの心配もない」と監督。

「延期されたイベントの中で、クリテリウム・デュ・ドーフィネがツール・ド・フランスの前にスプリングボードとして開催されることを願っている。大会カレンダーは、今年の最後の3カ月間に集約されるので、選手ごとにレーススケジュールを編成していく。おそらくハードなスケジュールになるが、適応できる。みんなが前を向く意志を持っているからね」

2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET

病院の現状と比べたら室内練習なんてなんのことはない

エースを託されるラトゥールもツール・ド・フランス延期開催の報に笑顔を見せた。

「ツール・ド・フランスが8月末に始まるなら、これはフランスが現状を打破し、世界の状況が改善されることを意味する。ボクたちは4週間もロード練習できていないが、それは現在病院で起こっていることに比べてあまり重要ではない。サイクリングシーズンが再び始まるのをうれしく思っている」

フランスでは感染者13万人超、死者は米国、スペイン、イタリアに次ぐ1万5000人超。マクロン大統領は13日夕方に声明を出し、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるための外出制限を5月11日まで延長するとした。

大規模なイベントについては少なくとも7月中旬までは開催できないとして、これを受けたツール・ド・フランス主催者が2カ月遅れの延期開催を判断した。

これまでの経緯は🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイトで。

🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

2020ツール・ド・フランスが大会延期、8月29日開幕

ツール・ド・フランスの主催社ASOは4月15日13時(欧州中央時間)、2020ツール・ド・フランスの開催を延期すると正式に発表した。2020年8月29日(土)から9月20日(日)までに大会日程を変更した。

当初は6月27日から7月19日の開催日程だったが、新型コロナウイルス感染拡大により断念した。およそ2カ月遅い開幕となるが、開幕地ニースからゴールのパリまでのコースに変更はない。

●2020ツール・ド・フランスの大会日程
8月29日 第1ステージ ニース〜ニース 156km
8月30日 第2ステージ ニース〜ニース 187km★★
8月31日 第3ステージ ニース〜システロン 198km★
9月1日 第4ステージ システロン〜オルシエール・メルレット 157km★★
9月2日 第5ステージ ガップ〜プリバ 183km★
9月3日 第6ステージ ルテイユ〜モンエグアル 191km★★★
9月4日 第7ステージ ミヨー〜ラボール 168km
9月5日 第8ステージ カゼール・シュル・ガロンヌ〜ルダンビエル 140km★★★
9月6日 第9ステージ ポー〜ラランス 154km★★★
9月7日 休日
9月8日 第10ステージ オレロン島〜レ島 170km
9月9日 第11ステージ シャトライヨン・プラージュ〜ポワティエ 167km
9月10日 第12ステージ ショビニー〜サランコレズ 218km★
9月11日 第13ステージ シャテルギヨン〜ピュイマリーカンタル 191km★★
9月12日 第14ステージ クレルモンフェラン〜リヨン 197km★
9月13日 第15ステージ リヨン〜グランコロンビエール 175km★★★
9月14日 休日
9月15日 第16ステージ ラツールデュパン〜ビラールドランス 164km★★
9月16日 第17ステージ グルノーブル〜メリベル・ラロズ峠 168km★★★
9月17日 第18ステージ メリベル〜ラロシュ・シュル・フォロン 168km★★★
9月18日 第19ステージ ブールアンブレス〜シャンパニョール 160km★
9月19日 第20ステージ リュール〜ラプランシュ・デ・ベルフィーユ 36km(個人タイムトライアル)★★
9月20日 第21ステージ マントラジョリ〜パリ・シャンゼリゼ 122km
★は難易度

これまでの経緯は🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイトで。

🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ツール・ド・フランスは8月29日〜9月20日開催案が浮上か

2020ツール・ド・フランスは当初予定されていた日程から2カ月遅く、8月29日に開幕したいという新たなスケジュールで調整に入ったことが欧州の複数メディアで報じられた。UCI・国際自転車競技連合とチームなどの代表者が4月15日に会合を開いて議論する予定だ。

2019ツール・ド・フランス第11ステージ ©ASO Pauline BALLET

4月13日夕方にフランスのエマニュエル・マクロン大統領が、「大勢の観客を集めるような主要なフェスティバルやイベントは、少なくとも7月中旬まで開催できない」と発表した。

この言葉を考慮して、ツール・ド・フランス主催者は新しい日程を見つけることを余儀なくされた。新型コロナウイルス感染の状況が刻一刻と変わる中で、ツール・ド・フランスは新しいプログラムの構築に努めている。

UCIとチームなどの代表者は、ツール・ド・フランスの新しい日付を正式にするために15日に会合する予定。当初のツール・ド・フランスは6月27日に南フランスのニースで開幕する予定だったが、8月29日に延期される可能性があるという。コースは原則として変更しない考えを主催者は示している。

主催者の最高権威、クリスティアン・プリュドムは無観客開催を拒否している。そのためには日程を変更するしか手段がないという。8月29日に開幕した場合、ツール・ド・フランスは9月20日にパリにフィニッシュすることになる。

🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ツール・ド・フランスは1カ月遅れのプランB開催が有力に

2020年のツール・ド・フランスが1カ月遅れの日程で開催される方向で調整に入ったことが複数のメディアで伝えられ始めた。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、当初の予定であった6月27日から7月19日という日程を返上し、7月25日から8月16日までとなる可能性がある。

2019ツール・ド・フランス第14ステージ ©ASO Alex BROADWAY

フランスの日刊紙「ル・パリジャン」は、主催者ASOが各ステージをホストする自治体の首長に7月25日開幕のスケジュールで打診を始めたと伝えている。同紙はASOのメディアグループに属しているだけに、その信憑性は極めて高い。パリにゴールするのは8月16日だと報じている。

本来なら1カ月遅れの開催となると、スポーツのビッグイベントである2020東京五輪と日程重複するが、すでに東京五輪が1年後の開催となることが決まっていて、国際的にも無難な解決策となる。ニースで開幕し、その後のコースも変更はないとされる。

フランスでの新型コロナウイルス死者数は1万人を超えていて、3月のパリ〜ニース最終日前日以来、レースは開催されていないという状況が続く。ツール・ド・フランスの前哨戦といわれるクリテリウム・デュ・ドーフィネも延期。同じく前哨戦と位置づけられる隣国スイスのツール・ド・スイスは室内トレーナーを使ったVRレースで開催すると決定した。

2019ツール・ド・フランス第21ステージ ©ASO Alex BROADWAY

5月15日までに結論を出す方向に

フランスの威信にかけてツール・ド・フランス開催は譲れないものがあったのだ。議論の中では日程の短縮、無観客レース、さらにはジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャとの合併開催という案もあったようだ。

しかしレースディレクターのクリスティアン・プリュドムは、「観光と経済的利益は替えがたいものがあるとして無観客レースでの実施を真っ向から否定した。

コース上の地方自治体も1カ月遅れの開催案を支持し、「それまでにフランス全土が健全な状態に戻れば問題はない」とした。観客なしで開催するよりも掛け値なしにいいとする意見が占めた。

現在は参加チームへの打診が行われていると推測されている。また、ASOが運営するブエルタ・ア・エスパーニャとの日程調整も課題となる。ただし1カ月遅れで本当に開催するのか、それとも別の決断を迫られるのか。レース主催者ASOからの最終決定は、5月15日までに行われるようだ。

●ル・パリジャンのホームページ
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