2023ラグビーW杯でボルドーを訪れたらとりあえずワイン

フランスは2023年のラグビーワールドカップ開催国。2020年12月14日には世界中が注目するプール組み分け抽選会がパリのブロンニャール宮で行われる。試合が行われる都市は9つで、現地に足を運んだら訪れてみたい場所を順次紹介。1903年の第1回ツール・ド・フランスのステージ順に紹介していて、第4回はボルドー。

ブルス広場にある水鏡 ©Teddy Verneuil – @lezbroz

パリから飛行機で1時間、高速鉄道(TGV)で2時間のところにあるボルドーは、歴史遺産、ワイン、美食文化で名高いヨーロッパ屈指の観光地。訪れた人たちからしばしば「プチ・パリ(小さなパリ)」と称せられ、皆を夢中にさせるこの街は、2017年、〈ロンリー・プラネット〉の「訪れるべき世界の都市」の堂々第1位に選ばれました。多彩な魅力を備えた、カップル、家族、友人同士で楽しめる理想の旅先です!

エレガントな街並み

フランス南西部の中心都市ボルドーは、その比類のない建築遺産でユネスコの世界遺産に登録されています。18世紀に造られた建物や歴史建造物が数多く残るその街並みは、まるで絵葉書のような美しさ。その一方で、世界最大の水鏡Miroir d’eau、斬新さが際立つジャック・シャバン=デルマス橋pont Jacques Chaban-Delmas、スタジアム「スタッド・マトミュット・アトランティックStade Matmut Atlantique」など、現代性あふれる建築物もそろっています。

ボルドーの街並み

世界に名だたるワインの都

ボルドー近郊は、高級ワインの世界最古にして最大の産地。その面積は112,000ヘクタールに及び、アペラシオンは65を数えます。「シャトー」と呼ばれる当地のワイナリーのうち、一般の見学を受け付けている施設は数百にのぼり、ワイン造りのノウハウを紹介しています。またワインはボルドーの街中でも存在感を発揮しており、ワイン博物館「シテ・デュ・ヴァンCité du Vin」はその格好の例と言えるでしょう。

ブルス広場の夜景 ©Christophe Correy

フランス南西部が誇るアール・ド・ヴィーヴル

ボルドーはフランス南西部のアール・ド・ヴィーヴル(暮らしの美学)を体現する街。その質の高い暮らしを象徴するのが、豊かな緑、美しく改修された建築物、中心部に整備された歩行者専用地区です。美食文化も自慢で、カヌレ、牡蠣、アントルコート・ア・ラ・ボルドレーズ(ボルドー風牛肉のリブロース)など、数々の名産品や郷土料理を擁しています。また飲食施設も充実しており、気軽に楽しめる庶民的な店、星付きの高級レストラン、さっとその場で食べられる市場など、好みに合わせてよりどりみどりで楽しめます。

ブルス広場 ©Nicolas Duffaure

必見の場所

旧市街
Le Vieux-Bordeaux
ボルドーを訪れたら、ぜひ足を運びたい場所。小さな広場が点在し、歩行者専用の小道が走るこの地区には、美味しいレストランやテラス席を備えたカフェやビストロが集まっています。ブルス広場Place de la Bourseと背後にそびえる18世紀の壮大なファサードは、ボルドーの旅の思い出づくりに欠かせない格好のフォトスポット。広場の正面には世界最大の水鏡が広がり、霧のショーで人々を魅了しています。

シテ・デュ・ヴァン
Cité du Vin
2016年にオープンしたこの新世代の文化施設は世界でもユニークなワイン博物館で、文化、文明、遺産、普遍性という切り口からワインを紹介しています。常設鑑賞コース、特別展、テイスティングのワークショップを通じて世界中のワインの産地に光をあてており、あらゆる文化、あらゆる時代を網羅したすばらしい世界一周の旅が楽しめます! laciteduvin.com/

シテ・デュ・ヴァン(ワイン総合博物館) ©Nicolas Duffaure

ガロンヌ川の岸辺
ボルドーを流れるガロンヌ川の岸辺はそぞろ歩きに理想的。ナポレオンが建造させたピエール橋Pont de Pierreを渡ることもお忘れなく。1日または半日の各種クルージングツアーも開催されており、川からボルドーの美しい街並みを観光できます。

ぜひ試したい食

なんといってもワイン! 
ボルドーの産地は6つの地区に分かれており、 赤、白、ロゼ、クレマンを生産しています。

アルカッション名産の牡蛎盛り合わせ ©Vincent Bengold

カヌレ
数世紀にわたって食通をうならせてきたこの美味なるお菓子を食べずして、ボルドーの旅を終わらせるわけにはいきません。外側はカリッ、内側はふわりとした食感を持つこの小さなスイーツは、小麦粉、牛乳、卵、砂糖、バターから成る生地をラムとバニラで香りづけして作られます。

ボルドー銘菓カヌレ ©Sophie DUBOSCQ ©Sophie Duboscq

ボルドー新情報  

レ・バッサン・ド・リュミエール
Les Bassins de Lumières
2020年6月にオープンした世界最大のデジタルアートセンター。第2次世界大戦中に建造された潜水艦用の掩蔽壕(バンカー)を舞台に、音響効果とプロジェクションマッピングによる没入型の鑑賞体験を提案しています。2021年は「モネ、ルノワール・・・シャガール、地中海の旅Monet, Renoir…Chagall, voyage en Méditerranée」展とイブ・クラインの特別展が予定されています。. www.bassins-lumieres.com/

レ・バッサン・ド・リュミエール ©Charles DUPRAT

ボルドーワイン祭り
Bordeaux Fête le Vin
ヨーロッパ最大のワインフェスティバルで、2021年6月17~20日開催。ブドウ栽培者との交流、ワインのテイスティング、グルメスタンドのほか、数々のイベントが予定されています。www.bordeaux-fete-le-vin.com

ボルドー河祭り(2018年の様子) ©Vincent Bengold

周辺の見どころ

ボルドー近郊のワイナリーめぐり
ボルドー発のコースが数多く設定されているので、シャトーの見学とテイスティングが付いたワインツーリズムを満喫できます。ブドウ畑でランチを楽しむツアーもあり。 www.visiter-bordeaux.com/fr

サン・テミリオン ©Vincent Bengold

アルカション湾
Bassin d’Arcachon(ボルドーから1時間)
内海を形づくっているこの湾の見どころは、ベル・エポック期の海水浴場と歴史遺産に指定されている美しい別荘群、そしてヨーロッパ一の標高を誇るピラ砂丘Dune du Pilatです。さらにフェレ岬Cap-Ferretには牡蠣を養殖している小さな港が点在し、牡蠣小屋が独特の風情を醸し出しています。

地元の有名クラブ

ユニオン・ボルドー・ベグル
UBB Union Bordeaux Begles

2006年6月、スタッド・ボルドレ(Pro D2)と CABBG(フェデラル1)の経営陣がジロンド県に本拠地を置くこの由緒ある2つのクラブの合併を決定、これによりユニオン・ボルドー・ベグル(UBB)が誕生しました。UBBは2014-15シーズン末に、1試合につき平均27,000人のサポーターを集めて観客数ヨーロッパ第1位に輝いています。また2011年のトップ14への昇格以来、シーズンを重ねるごとに進化を続け、いまやトップも狙えるほどの実力を備えるようになりました。また2015-16年シーズンにはヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ初出場を果たしました。 https://www.ubbrugby.com/

ラグビー好きにおススメ

RWC2023スタジアム
Stade Matmut Atlantique スタッド・マットミュット・アトランティック
4万2000 席

ガロンヌ川右岸にあるレストラン「ラ・ベル・セゾンLa Belle Saison」。オーナーはかつてフランス代表チームでプレーしたジェローム・フィヨルです。 https://www.la-bellesaison.fr/

試合のある夜、ラグビーファンが集まるバーやパブ(ル・コンヌマラle Connemara、ビストロ・デ・フレロBistrot des Frérots、ザ・ハウス・オブ・パーラメントThe House of Parliamentなど)に通じる通りはいつも大変な熱気に包まれます。

パリからのアクセス
電車 : モンパルナス駅から2時間:パリ=シャルル・ド・ゴールの電車駅から3時間45分
飛行機で :パリ=シャルル・ド・ゴール空港から1時間
●ボルドー市観光局のホームページ

2023ラグビーワールドカップの開催都市
クリックすると各都市のおすすめポイント紹介ページに飛びます。
●Bordeaux ボルドー
●Lille リール
●Lyon リヨン
●Marseille マルセイユ
●Nantes ナント
●Nice ニース
●Paris パリ
●Saint-Etienne サンテティエンヌ
●Toulouse トゥールーズ

【特集ページ】ラグビーワールドカップ2023

2023ラグビーW杯でトゥールーズを訪れたらここは外せない

フランスは2023年のラグビーワールドカップ開催国。2020年12月14日には世界中が注目するプール組み分け抽選会がパリのブロンニャール宮で行われる。試合が行われる都市は9つで、現地に足を運んだら訪れてみたい場所を順次紹介。第3回はトゥールーズ。

トゥールーズの中心部キャピトール広場 ©Arnaud Späni

フランス南西部の中心に位置するトゥールーズは、アドベンチャーの街。航空産業、宇宙、科学分野のアドベンチャーはもちろんのこと、旅のアドベンチャーも目白押しです!

悠久の歴史が宿る街

古代ローマのレンガ造りの建造物が残る「バラ色の街」ことトゥールーズ。つねにその美しさで人々を魅了するこの街は、2000年にわたる歴史を誇り、3つのユネスコ世界遺産のほか、ルネサンス期の壮麗な邸宅を100ほど抱えています。そうした名所の数々は徒歩で、自転車で、あるいはミディ運河Canal du Midiやガロンヌ川のクルージングなどで気軽に観光することができます。また活気あふれるガロンヌ川岸は、トゥールーズ市民の憩いの場となっています。

「バラ色の街」の異名をとるトゥールーズ ©Arnaud Späni

豊かなライフスタイル

街の雰囲気は、南仏の人々の飾らないフレンドリーな気質を反映しています。活気に満ちた通りをそぞろ歩いてショッピングを楽しむもよし、カフェのテラスでのんびり地元のラグビークラブ、スタッド・トゥールーザンの試合を観戦するもよし。暮らすのに心地よいこの街は、おもてなしの街でもあり、それはしばしばボリューム満点の食事に象徴されています。味自慢は、鴨、カスレ(白インゲン豆と肉類の煮込み料理)、ワイン、チーズ、スミレを使ったお菓子など。

ジャコバン修道院 ©Arnaud Späni

科学分野のアドベンチャー

蒸気エンジンを使ったエオール号、コンコルド、エアバス380…飛行機造りにおいてつねに進取の気性を発揮してきたトゥールーズは、まさに「航空機産業の世界的中心地」の称号にふさわしい街。テーマパーク「シテ・ド・レスパスCité de l’espace」が宇宙を紹介し、エアバス社の組み立てライン、アエロスコピア航空博物館Musée Aeroscopia、新施設「ラ・ピスト・デ・ジェアンLa Piste des géants」が伝説となった各種飛行機の偉業を今に伝えています。さらにトゥールーズ自然史博物館Muséum de Toulouseと科学文化普及センター「ケ・デ・サヴォワールQuai des Savoirs」も、科学と楽しく触れ合う機会を数多く提案しています。

必見の場所

ジャコバン修道院
Couvent des Jacobins
中世芸術の精華とされる壮大な建造物で、峻厳な外観と光に満ちた内部のコントラストが印象的。ヤシの木の形をした石造りの天井や、静けさとくつろぎに満ちた心地よい回廊などが見どころで、トゥールーズ観光の目玉のひとつになっています!

ジャコバン修道院 ©Arnaud Späni

サン・セルナン大聖堂
Basilique Saint-Sernin
キャピトール広場Place du Capitoleの近く、トール通りrue du Taurの端に建つフランス最大のロマネスク様式の教会。ユネスコの世界遺産に登録されており、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路を旅する人たちを幾世紀にもわたって受け入れてきました。

サン・セルナン大聖堂 ©Arnaud Späni

ヴィクトル・ユーゴ市場
Marché Victor Hugo
トゥールーズに来たからには屋根付きのこの市場を訪れないわけにはいきません!ここは市内屈指の人気を誇る市場で、80を超える店が新鮮な地元の食品、食材を豊富に取りそろえています。市場で扱う品々をその場で味わいたい方はぜひ2階へ。5軒のレストランが美味しいランチでもてなします。

ヴィクトール・ユーゴ市場 ©HapTag


ぜひ試したい食

カスレ
トゥールーズ名物カスレを味わうことは、このバラ色の街のはずせない観光アクティビティ!料理人ごとにレシピは違えど、風味豊かな白インゲン豆、鴨のコンフィ、トゥールーズ産ソーセージを入れるのが定番です。

スミレ
バラ色の街を象徴する花、スミレを使った特産品もお忘れなく。花びらの糖衣がけ、酸味のあるキャンデー、スミレ風味のマスタード、チョコレート、紅茶のほか、ロウソク、化粧品などバラエティ豊かなアイテムがそろっています。

スミレグッズを扱う専門店「メゾン・ド・ラ・ヴィオレット」 ©Emilie Eychenne


トゥールーズ新情報  

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリと『星の王子さま』
2021年8月29日まで博物館「ロンヴォル・デ・ピオニエl’Envol des pionniers」にてアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリと『星の王子さま』をテーマにした特別展が開催されます。この場所で当展覧会が開催されるのは偶然ではありません。なにしろ作家であり飛行士でもあったサン=テグジュペリは、この博物館の真ん前にあるモントードランMontaudran飛行場からラテコエール社のパイロットとして大空に飛び立っていたのですから。展覧会では、勇気と人間愛にあふれ、自身の限界を越えて伝説となったサン=テグジュペリの軌跡を追います。https://www.lenvol-des-pionniers.com/

「ランヴォル・デ・ピオニエ」で開催の星の王子様とサン・テグジュペリ展 ©Chloé Sabatier – Agence d’attractivité Toulouse

ジャコバン国際ピアノ音楽祭
2021年9月、偉大なピアニストたちと若きピアニストが集う恒例のジャコバン国際ピアノ音楽祭が開催されます。フェスティバルでは1カ月にわたって、ジャコバン修道院の回廊や総会室という荘厳で幻想的な空間を舞台にクラシックやジャズのコンサートが繰り広げられます。http://www.pianojacobins.com/

ジャコバン・ピアノフェスティバル ©Piano aux Jacobins


周辺の見どころ

カルカソンヌ
Carcassonne
トゥールーズから1時間のところにある中世の城塞都市カルカソンヌは、オクシタニー地方の1日エクスカーションに理想的。ユネスコの世界遺産に登録されているコンタル城(歴代伯爵の居城)や城壁は必見です。

カルカッソンヌの城塞 ©CRT Occitanie

アルビ
Albi
鮮やかな色彩、美味しい食べ物、ショッピングが魅力のアルビは、イタリアの情緒が感じられる暮らしやすい街。鉄道またはバスでアクセスでき、司教都市としての歴史を誇るこの街の名声を高めているのは、元司教館のべルビー宮Palais de la Berbie、タルン川を見下ろすようにそそり立つサント・セシル大聖堂Cathédrale Sainte-Cécile(レンガ造りの建造物としては世界最大)、トゥールーズ・ロートレック美術館Musée Toulouse Lautrecです。ロートレックはベル・エポック期を代表する画家で、1864年、この街で生まれました。

アルビのサント・セシル大聖堂 ©Dominique Viet


地元の有名クラブ

スタッド・トゥールーザン
Stade Toulousain

トゥールーズはラグビーの街。スタッド・トゥールーザンは1907年に創設された15人制のラグビークラブで、現在、スタッド・アーネスト=ワロンをホームスタジアムにしてプレーしています。フランス最多のタイトルを獲得している名門クラブで、フランス選手権では20回、ハイネケンカップ(現ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ)では4回の優勝を誇ります。選手たちはシンボルカラーの「赤と黒」のユニフォームに身を包み、TOP14でその実力をいかんなく発揮しています。 www.stadetoulousain.fr  

Le Club :トゥールーズ・オランピック・トレーズ
Toulouse Olympique XIII  

1937年創設のトゥールーズ・オランピック・トレーズToulouse Olympique XIIIはトゥールーズを本拠地とする13人制のラグビークラブで、フランスカップ1回、フランス選手権6回の優勝を誇ります。フランスのクラブとしては唯一、イギリスの「チャンピオンシップ」に参加しており、現在、上位リーグとなるヨーロッパの「スーパーリーグ」への昇格を目指して戦っています。www.to13.com

ラグビー好きにおススメ

RWC2023スタジアム
スタジアム・ド・トゥールーズ  Stadium de Toulouse
33 000席

ル・ルージュ・エ・ノワール
Le Rouge et Noir – 3 Rue du Pont Saint Pierre
サン・シプリアン地区quartier Saint-Cyprienにあるラグビーファン御用達のバー。店名の「ルージュ(赤)」と「ノワール(黒)」は地元のクラブ、スタッド・トゥールーザンのシンボルカラーにちなんで付けられました。店内の壁には世界中のクラブのユニフォーム、エンブレム、旗、マフラータオルが飾られています。www.le-meilleur-quartier.fr/le-rouge-et-noir

スタッド・トゥールーザン・リュグビー
Stade Toulousain Rugby – 73 rue d’Alsace Lorraine
1997年にオープンしたこの店は街の中心部にあり、スタッド・トゥールーザンの関連グッズを販売しています。https://boutique.stadetoulousain.fr/

ツール・ド・フランス取材者日記
トゥールーズ…これほどまで魅力的な町だとは

キャピトル広場に面したレストランのテラス席。向こうに見えるのは荘厳な市庁舎


パリからのアクセス
パリ・シャルル・ド・ゴール空港から飛行機で1時間15分
パリ・モンパルナス駅1、2より高速鉄道「TGV Inoui」で4時間25分(直通)

2023ラグビーワールドカップの開催都市
●Bordeaux ボルドー
●Lille リール
●Lyon リヨン
●Marseille マルセイユ
●Nantes ナント
●Nice ニース
●Paris パリ
●Saint-Etienne サンテティエンヌ
●Toulouse トゥールーズ

【特集ページ】ラグビーワールドカップ2023

2023ラグビーW杯でマルセイユを訪れたらここに行きたい

フランスは2023年のラグビーワールドカップ開催国。2020年12月14日には世界中が注目するプール組み分け抽選会がパリのブロンニャール宮で行われる。試合が行われる都市は9つで、現地に足を運んだら訪れてみたい場所を順次紹介。第2回はマルセイユ。

旧港とノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院 ©OMTCM

地中海沿岸の大都会マルセイユ。コスモポリタンな色彩をまとったこの街では、鮮やかなコントラストが育まれています。ダイナミックに賑わう中心部と、ノスタルジックな風情あふれる旧市街。熱狂と大歓声に包まれるスタジアム「スダッド・オランジュ・ヴェロドロームStade Orange vélodrome」と、年に300日は顔を出す太陽に温められた美しい砂浜。国際的名声を誇る偉大な建築家が手がけた流行の新施設やスポットと、都市周辺にある国立公園としてはヨーロッパ最大で、隣町カシにまで広がるカランク国立公園。そんな数々のコントラストに彩られたマルセイユに、旅心を刺激されない人はいないはず!

旧港、MuCEM、ノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院 ©Yoan Navarro

市内を歩けば、建築物を通じてその歴史に触れることになるでしょう。古代ギリシャ・ローマ時代に開かれた港、中世に遡るサン・ヴィクトール修道院Abbaye de Saint-Victor、市庁舎Hôtel de Ville、オスマン様式のエレガンスが光るレピュブリック通りRue de la République、建設当時は「頭のおかしな人の家」と酷評されていたル・コルビュジエの建築群、建築家リュディ・リチオッティが手がけた欧州・地中海文明博物館Mucem、隈研吾が設計したマルセイユ現代美術センターFond régional d’art contemporain/FRACなど、見どころがいっぱい。

加えてマルセイユでは年々、スポーツや文化の国際大会や国際イベントを開催したり、EUの事業を担ったりする機会が増えています。例えば2013年には欧州文化首都を、2016年に開催されたサッカーのユーロ2016ではホストタウンを、2017年には欧州スポーツ首都を務めたほか、2020年にはヨーロッパ現代芸術ビエンナーレ「マニフェスタ13」が開催されました。2023年にはラグビー・ワールドカップの、2024年にはパリ五輪のセーリングとサッカーの会場となる予定です。となれば、これはもう、マルセイユに足を運ぶしかありません!

必見の場所

ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院
Notre Dame de la Garde
19世紀に建立されたこの宗教建造物は「優しき聖母さま」とも呼ばれ、船乗りや漁師にとってはまさに、丘の上にたたずむ守り人。マルセイユのシンボルとなるこの寺院には、毎年200万人以上が訪れています。

旧港からノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院を望む

イフ島
Château d’If
アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』で知られる、かつて監獄のあった島。歴史的記念物に指定されている城は必見です。旧港から船で20分。

イフ城 ©OMTCM

ル・コルビュジエのシテ・ラディユーズ(輝ける都市)
Cité radieuse
1947~51年に建設されたこの建築物は、337戸のアパルトマン、ホテル、レストラン、学校、複数の店舗、眺望のよいルーフテラスに設けられたアート・デザインセンターから構成され、ユネスコの世界遺産に登録されています。ガイド付き見学あり。www.marseille-tourisme.com

ユニテ・ダビタシオンの屋上 ©OTCM/FLC

ぜひ試したい食

ブイヤベーズ
La Bouillabaisse
魚のスープ、ルイユ(ニンニクとサフランで味付けしたマヨネーズの一種)を塗ったクルトン、ジャガイモ、魚の切り身を楽しむ伝統の郷土料理。かつては漁師めしとして食べられていましたが、今や美食の一品となっています!

老舗「ミラマール」のブイヤベーズ ©OMTCM

パスティス
le pastis
太陽、歓び、親睦、のんびりとした別荘暮らしを連想させる、マルセイユのご当地アペリティフ! アニス酒の一種で、19世紀より食前に供されてきました。食欲を高め、消化を助け、胃の不調をケアする働きあり! 世界一有名なのが、リカールRicard社のパスティスです。

アペリティフに欠かせないパスティス

マルセイユ新情報  

海底美術館
Musée Subaquatique
カタラン・ビーチの沖、水深5メートルの場所に、10点の大作を集めたインスタレーション「マルチ・アーティスト」がお目見えします。シュノーケリングができれば誰でも鑑賞できるこのユニークな美術館は、芸術、科学、教育、環境のどの観点から見ても華々しい壮挙と言えるでしょう。

海底美術館 @Wallis

チューバ
TUBA
新しいホテル&レストランがマルセイユで評判を呼んでいます。バーとプライベートビーチがついたこのホテルは、岩に囲まれた入り江地帯「カランク」にあり、目の前には海が広がっています。部屋数はわずか5室。隠れ家的な雰囲気のもと、映画「グラン・ブルー」の世界を味わえます。

ホテルレストラン「チューバ」 ©Tuba

周辺の見どころ

カランク
Les Calanques
海岸松や香り高い草木が生い茂る山とターコイズブルーの海が織りなすカランク国立公園Parc National des Calanquesは、ハイキング、ダイビング、クライミング、自然を愛する人にぴったりの遊び場です。

マルセイユ近くのカランク ©Lamy

ラ・トレイユ
La Treille
市内東部に位置するのどかで美しい地区。中心部からすぐのところに静かな港があります。ガルラバン丘陵Collines du Garlabanにはいくつかハイキングコースが設けられており、当地区をこよなく愛したプロヴァンス生まれの作家にして映画人、マルセル・パニョルの足跡をたどるコースもあります。

ラ・トレイユ地区 ©Lamy

地元の有名クラブ

プロヴァンス・リュグビー
Provence Rugby

©Provence rugby

都市広域連合体「メトロポール・エックス・マルセイユ・プロヴァンス」内に活動拠点を置くこのクラブが設立されたのは1970年。現在、プロ2部リーグ「プロD2」所属で、フランスのベスト30のクラブに仲間入りしています。シンボルカラーは黒。2007年にフランスでワールドカップが開催された際には、ニュージーランド代表「オールブラックス」を相手に戦いました。www.provencerugby.com

ラグビー好きにおススメ

RWC2023開催スタジアム
Stade Vélodrome スタッド・ヴェロドローム
6万7000席

アイリッシュパブ「オ・ブラディズ
O’Bradys
スタッド・オランジュ・ヴェロドロームの近くでビールを楽しめる店。もちろん試合中継あり。最高の雰囲気が味わえます! www.obradys.com

ル・コック・スポルティフ
le Coq Sportifのブティック
ル・コック・スポルティフはラグビーフランス代表チームのユニフォームを手がけるブランド。その店がパラディ通り17番地にあります。同じ通りには、同じくラガーマン愛用のエデンパークEden ParkとセルジュブランコSerge Blancoも店を構えています。


パリからのアクセス
鉄道 : パリから高速鉄道TGVで3時間、リヨンのパールデュー駅から1時間40分
飛行機 : 国際空港である「マルセイユ・プロヴァンス空港」も擁し、特にパリ・オルリー空港とマルセイユを結ぶエールフランスのシャトル便「ラ・ナベット」は30分間隔で運航。シャルル・ド・ゴール空港からも1日3~4便が飛んでいます。
車 : フランスの南東部と南西部をつなぐ幹線高速道路上にも位置し、ニースからは車またはバスで2時間。
●マルセイユ市のホームページ

2023ラグビーワールドカップの開催都市
クリックすると各都市のおすすめポイント紹介ページに飛びます。
●Bordeaux ボルドー
●Lille リール
●Lyon リヨン
●Marseille マルセイユ
●Nantes ナント
●Nice ニース
●Paris パリ
●Saint-Etienne サンテティエンヌ
●Toulouse トゥールーズ

【特集ページ】ラグビーワールドカップ2023

2023ラグビーW杯でリヨンを訪れたらこれを食べたい!

フランスは2023年のラグビーワールドカップ開催国。2020年12月14日には世界中が注目するプール組み分け抽選会がパリのブロンニャール宮で行われる。試合が行われる都市は9つで、現地に足を運んだら訪れてみたい場所を順次紹介。1903年の第1回ツール・ド・フランスのステージ順に紹介するので、第1回はリヨン。

リヨン旧市街 ©S.Delyons

フランス第2の都市リヨンは、フランス流アール・ド・ヴィーヴル(暮らしの美学)を体現する街。2000年の歴史をたどる秀逸な観光コースを備え、美しさと魅力にあふれるヨーロッパ屈指の観光都市となっています。「美食の都」、「巨匠ポール・ボキューズの街」としても名高く、さまざまな生産地から質の高い産物が集まるそのロケーションと、さらには才能と創造性に長けたシェフたちの卓越した腕により、驚くほど豊かで多彩な食を提案しています。

そんな数々の魅力を抱えながらも、リヨンは人のぬくもりを感じさせる街で、責任ある開発に心を砕きつつ、訪れた人に特別な体験を用意しています。加えて、ボジョレー地区に点在する「黄金の石の村」からコート・ロティの険しい斜面に広がるブドウ畑まで、リヨン近郊は1日エクスカーションにうってつけ。歴史、美しい風景、ワインを愛する人たちを喜ばせること請け合いです。

必見の場所

旧市街 Vieux-Lyonとトラブール(抜け道)
リヨンの旧市街にはルネサンス期の建造物が集まっており、その面積はヨーロッパ最大級。1964年にこの地区の24ヘクタールがマルロー法によって保全されることになり、以来、この歩行者専用の観光地区に残る15~16世紀の建造物が行政当局によって修復されてきました。旧市街には石畳の小道が走り、店やレストランのほか、さまざまなアクティビティで賑わっています。またリヨン名物のトラブールを歩けば、通りから通りへ、建物の中庭や回廊を突っ切って移動できます。

フルヴィエールの丘と古代ローマ劇場跡 ©S.Delyons

フルヴィエールFourvièreの丘と大聖堂および古代ローマ劇場
この「祈りの丘」に紀元前43年、古代ローマの植民都市「ルグドゥヌム」が建設されました。丘には現在、大規模な古代遺跡が残っています。丘の頂上にそびえ立つフルヴィエール大聖堂Basilique de Fourvièreはリヨンのランドマークのひとつで、街を見晴らす格好の展望スポットになっています。

リヨン市場 ©Jack Leone

ポール・ボキューズ市場
Les Halles Paul Bocuse
リヨンっ子や星を持つ偉大なシェフが、地元の質の高い食材を求めて訪れる有名な屋根付き市場。色とりどりの食材が並び、あちこちから美味しそうな匂いが漂ってくる場内は、フレンドリーで活気に満ちた独特の雰囲気に包まれています。ハムやソーセージを扱うシビリアSibilia、クネル専門店ジローデGiraudet、チーズ「サン・マルスラン」のラ・メール・リシャールla Mère Richard、タルト・ア・ラ・プラリーヌで有名なセーヴSèveなど50店が入っています。

リヨン旧市街の屋根を見下ろす ©Jean-Charles Garrivet


ぜひ試したい食

カワカマスのクネル、ナンチュアソースがけ
La quenelle de brochet sauce Nantua
クネルとは、魚のすり身に牛乳、卵、小麦粉、バターを加えて焼いたスフレの一種。ナンチュアソース(ザリガニ風味のベシャメルソース)とともにいただきます。

カマスのクネル、ナンチュアソース ©Julien Bouvier

タルト・ア・ラ・プラリーヌ
La tarte à la praline
砂糖をコーティングしたアーモンドを使ったリヨンの名物菓子。パティシエの数だけレシピがありますが、特にセーヴSèveとジョクトゥールJocteurのタルトが有名です。

プラリネのタルト ©Stéphanie Iguna

リヨン新情報 

フード・トラブール
Food Traboule
全面的に改修された元4つ星ホテル内に設けられた新ジャンルのフードコート。660m2のこのユニークなスペースは、フレンドリーな雰囲気のもとでグルメを楽しんでもらうことを目指しています。フードコートは3フロアーに分かれ、12人のシェフがカウンターの向こうですばやく調理。新鮮な地元の食材を使った料理やスイーツを振る舞います。

フード・トラブールは老舗ホテル「トゥール・ローズ」跡にできたフードコート ©Alexandra Battut

ミーホテル・トゥール・ローズ
MiHotel Tour Rose
長いあいだ眠りについていたトゥール・ローズが、ミーホテルグループのおかげで目覚めました。シックでコンテンポラリーなデザインでまとめられた14室のスイートとイベントラウンジ、テラス、プライベートガーデンで宿泊客をもてなしています。

スイートルーム「パラッツォ」 ©Sabine Serrad
スイートルーム「ビアンカ」 ©Sabine Serrad


周辺の見どころ

ボジョレー Beaujolais地区の「黄金の石の村」
テルナンTernand、シャティヨン・ダゼルグChâtillon d’Azergues、シャルネCharnayといった個性的な村々では、「黄金の石の村」の呼び名が示すように、金色味を帯びた石材が景観に独特の色合いを授けています。「フランスの最も美しい村」に認定されているワンOingtもおすすめ。

ボジョレーワインの生産地ワン村 ©JB Laissard

ペルージュ
Pérouges
秀逸な建築遺産を抱える中世の城塞都市で、「フランスの最も美しい村」に認定されています。

ペルージュの老舗ホテル「オステルリー・デュ・ヴュ―・ペルージュ」。建物は歴史建造物に指定 ©Ketty Tranchina


地元の有名クラブ

ル・ルー・ラグビー
le LOU Rugby (Lyon Olympique Universitaire rugby)
男子チームの創設は1896年。1932年と33年の2回、フランス選手権で優勝しました。2010年代初頭までトップ14とプロD2のあいだを何度か行き来したあと、2016-17シーズンよりトップ14でプレーしています。2008年には女子のチームも発足し、2019年以降、一部リーグのエリート1でプレーしています。

ラグビー好きにおススメ

RWC2023スタジアム
Groupama Stadium グルパマ・スタジアム
5万9186席

ブラッスリー・デュ・ルー Brasserie du LOU
マットミュット・スタジタム・ド・ジェルラン Matmut Stadium de Gerland
スタジアムの複合施設内にあるフレンドリーで居心地のよいブラッスリー。ランチスペース、バースペース、リラックススペースに分かれ、それぞれ異なる雰囲気を味わえます。選手、サポーター、パートナー、一般客が混じり合い、日常的に交流できるのも魅力。

ベルクール広場 Place Bellecour
リヨンの中心部にある広場で、巨大スクリーンを設置したファンゾーンはサポーターの集結場所。このファンゾーンによって、広場は試合前、試合後の控室と化しています。最高潮の熱気を体験できること間違いなし!


パリからのアクセス
鉄道:パリからリヨン・パールデュー駅またはペラーシュ駅まで2時間、リヨン・サン=テグジュペリ駅まで1時間52分 
車:高速A6号線を利用して4時間50分
飛行機:リヨン・サン=テグジュペリ国際空港まで1時間10分
●リヨン市のホームページ

2023ラグビーワールドカップの開催都市
クリックすると各都市のおすすめポイント紹介ページに飛びます。
●Bordeaux ボルドー
●Lille リール
●Lyon リヨン
●Marseille マルセイユ
●Nantes ナント
●Nice ニース
●Paris パリ
●Saint-Etienne サンテティエンヌ
●Toulouse トゥールーズ

【特集ページ】ラグビーワールドカップ2023