国内のモータースポーツの聖地である鈴鹿サーキットが舞台となるシマノ鈴鹿ロードレースクラシックは8月19日にレースが行われ、8選手が出場したキナンサイクリングは雨乞竜己が5位に入賞。トマ・ルバ、中島康晴とともにレース中盤に形成された先頭グループに入り、優勝争いを展開。最終局面を前にライバルの先行を許す結果となったものの、入賞圏内でレースを終えている。
例年8月半ばに行われるロードバイクの祭典シマノ鈴鹿ロード。2日間のイベント会期においてバラエティに富んだ約70種目のレースが行われた。その最後を飾るのがシマノ鈴鹿ロードレースクラシック。2018年から翌年に開催される全日本自転車競技選手権大会ロードレースの申込資格獲得大会として位置付けられ、国内UCIコンチネンタルチームのほかエリートアマチュアライダーなども参戦。いつもは強い日差しと、気温をはるかに超える路面温度がレースをより厳しくさせるが、2018年は気温が下がり、秋の装いを感じさせる中でのスタートとなった。
キナンは9勝を挙げたシーズン前半戦を終え、おおよそ1カ月間レース活動を休止。選手たちは休養やシーズン後半戦に向けた体調の立て直しに時間を費やした。この日は実質シーズン第2ピリオドの幕開け。トレーニングの成果や体調の確認をする機会として鈴鹿へと乗り込んだ。メンバーは雨乞、ルバ、中島のほか、今回が日本チャンピオン仕様のバイクがお披露目となった山本元喜、さらには椿大志、塚本一樹、中西健児、新城雄大をそろった。
58kmで争われるレースは、距離が短いこともあってスタート直後から激しいアタックの応酬。キナン勢もライバルチームの動きを見ながら対応し、3周目には中西が5人による逃げグループに加わり、一時は約10秒のリードを得る。しかし、これは次の周回には集団へと引き戻されてしまう。テクニカルなコーナーとアップダウンの繰り返しによって、集団の前方は出入りが続いたまま、中盤戦へと移っていく
消耗戦の様相を呈するかと見られたところ、5周目にレースは大きな局面を迎える。数人が先行を試みると、力のある選手たちが次々に反応。キナン勢も雨乞、ルバ、中島と続くと、他チームもエースクラスが合流。14人の先頭グループはそのままレースを決めても不思議ではないメンバーで構成された。
6周目にはメイン集団に対し30秒差とした先頭グループ。キナン勢3人も先頭交代のローテーションに参加し、ペースコントロールに努める。メイン集団では残る5人が待機し、次なる展開へと備えるべく好ポジションを確保。その差に変化は起きないまま、終盤へと突入した。
一時はメイン集団が20秒差にまで迫ったが、実力者をそろえた先頭グループは動じない。最終周回の鐘を聞くころには再び30秒差とし、逃げ切りは濃厚な情勢に。やがて優勝争いを意識した走りへと移っていった先頭グループでは、上りを利用してルバがアタック。しかし、頂上までの距離が短かったこともあり、他選手のチェックを許してしまう。その後も細かなペースの上げ下げが起こり、コーナーをクリアするたびに14人が中切れと合流を繰り返す。
キナン勢としてはエーススプリンターの雨乞で勝負をかけるべく、ルバと中島が引き上げ役を担ったが、残り2kmで宇都宮ブリッツェンの岡篤志のアタックを許すこととなり、最後まで追い上げは届かず。フィニッシュ前400mの直線は独走態勢を維持した岡に対し、後続は2位争いのスプリント。ここに雨乞が加わり、入賞圏内となる5位でフィニッシュラインを通過した。
雨乞のフィニッシュ後、ルバ、中島と続き、メイン集団に待機した選手たちもトラブルなくレースを完了。結果的に雨乞の5位が最上位で、チームとしてタイトル獲得には至らなかったものの、まずは無難に第2ピリオドのスタートを切った格好に。選手それぞれに状態のよさやレーススピードでの走りの感覚を取り戻すなど、収穫を得た様子。また、連携面でもレース後に選手間で意見を交換し、動きの確認を行った。今回得た収穫と課題を把握し、ビッグレースが控えるこの先へとつなげていく。
この日はレース以外にも、午前と午後にはウィーラースクール(自転車交通安全教室)の講師を選手たちが務めたほか、バイクサプライヤーのYONEXブースでのサイン会を行うなど、イベント参加者との交流を楽しんだ。キナンのサプライヤー企業はYONEXのほか、Champion System Japan、カワシマサイクルサプライ(fi’zi:k、FULCRUM)、カンパニョーロジャパン、ウィンクレル(NORTHWAVE)がブース出展。選手・スタッフが訪問し、日ごろの感謝を伝えるとともに、今後の活躍を誓った。
シマノ鈴鹿ロードレースクラシック(58.07km)結果
1 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 1時間14分26秒
2 岡本隼(愛三工業レーシングチーム) +2秒
3 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
4 畑中勇介(チームUKYO)
5 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
6 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
11 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +13秒
19 中島康晴(KINAN Cycling Team) +30秒
31 塚本一樹(KINAN Cycling Team)
60 中西健児(KINAN Cycling Team) +38秒
61 新城雄大(KINAN Cycling Team)
71 山本元喜(KINAN Cycling Team) +1分2秒
91 椿大志(KINAN Cycling Team) +3分57秒
雨乞竜己のコメント
自分が狙うべきレースだと思っていたし、実際にそのつもりで走っていた。去年は逃げを行かせてしまって失敗していたので、今年は集団前方に位置して走ることを心がけていた。先頭グループにはよいタイミングで入ることができたと思う。6月のレース(JBCF 西日本ロードクラシック広島大会)で落車して以降、状態を立て直すことができずにきてしまったが、今回は想定以上に走ることができた。とはいえ、今回はきっちりチームで連携して勝たなくてはいけなかった。展開的にはよかったが、正直なところ走りに余裕がなかった点が敗因。順位としては最低限のものとなったが、レース内容は悪くなかったし、トレーニングを積んで調子をさらに上げていきたい。
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