山本大喜がJプロツアー初優勝。西日本ロードクラシック1独走

国内レースの最高峰である「Jプロツアー」の広島2連戦が8月29日開幕。広島県中央森林公園サイクリングコースを舞台に行われる「西日本ロードクラシック」のDay-1は、KINAN Cycling Teamが終始優勢にレースを展開。最後は山本大喜(まさき)が独走に持ち込み、Jプロツアーでのシリーズ初勝利を挙げた。

山本大喜がJプロツアー初優勝。西日本ロードクラシックDay-1で独走 ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

幾多の名勝負が生まれた広島のコースで行われる伝統の一戦。この日は、今節に照準を合わせた山本大のほか、山本元喜、トマ・ルバに加えて、前日のバンクリーグを走った新城雄大も出走。4人での出場と他の有力チームと比較し少数で挑むこととなるが、勝負どころとなる終盤に攻撃を仕掛けていく戦術で勝機を見出していくことに。

その見立て通り、残り2周で発生したアタックからKINAN勢が確実に反応していく。ライバルのチェックに動いた山本大を含む3人が先行すると、その後ろでは山本元を含む追走グループも形成される。最終周回に入るタイミングで山本元らが先頭に合流し、山本兄弟を含む5人がレースをリード。さらには、後ろで余力を残していたトマも前方へと上がり、先頭グループにはKINAN勢3人が入る数的有利な状況を作り出す。そこからは、3人が断続的にアタックを仕掛け、先頭グループを崩していく。

ライバルの消耗を誘いながら抜け出すポイントを探っていた山本大がアタックを決めたのは残り3km。下りを利用しての加速で、10秒、20秒と後続との差を広げていく。そのまま単独で最後のストレートへと到達。最後は体全体で勝利の喜びを表してのウイニングライドとなった。

山本大をトップに送り出した山本元、トマは最終盤での追撃の芽をしっかりと摘み取るアシスト。最後は山本元がスプリントで3位を決め、KINAN Cycling Teamはワン・スリーフィニッシュを達成。トマも4位で続いている。

優勝した山本大は、チーム加入1年目だった2018年の全日本選手権U23個人タイムトライアル以来の公式戦勝利。もちろん、Jプロツアーでは初勝利。好調なチームは、これでシーズン3勝目となった。

広島での戦いは、翌30日のDay-2へ。この日は欠場となった椿大志と中島康晴が合流し、6選手で出走する。(Text: 清水翠、Edit: 福光俊介)

西日本ロードクラシック広島大会(61.5km)結果
1 山本大喜(KINAN Cycling Team) 1時間30分47秒
2 西村大輝(宇都宮ブリッツェン) +27秒
3 山本元喜(KINAN Cycling Team)) 
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
5 阿曽圭佑(eNShare Racing Team) +28秒
6 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 
13 新城雄大(KINAN Cycling Team) +1分44秒


山本大喜のコメント

山本大喜

「めちゃくちゃうれしい。いまはそれに尽きる。今季KINAN Cycling Teamとしては3勝目。例年はUCIレースに挑戦しているが、今季は新型コロナウイルスの影響もあり、国内をメインに走っている。レース数が少ない中で、Jプロツアー3勝目はうれしい。
レースが後半に動くだろうと想定し、脚を抑えて、勝負どころで戦おうとチームとしてまとまっていた。前方に3人入ることができて、最終局面でそれぞれの選手が仕掛けるという共通認識を持って戦えたことが勝利につながったと思う」

山本元喜のコメント

山本元喜

「(山本)大喜が飛び出した場面は、もし(大喜が)捕まったとしても自分がスプリント勝負できるように脚を残して走っていた。その場合は自分ががんばらなくてはと。トマが合流してくれたことで、チームとして有利な展開になり、これは勝たなければならないと思っていた。予想される展開を絞り、個人ではなくチームで勝てることを一番に考えた作戦がきれいにはまったと思う」

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キナンのトマ・ルバが宇都宮ロードで独走勝利

日本国内最高峰のロードレースシリーズ戦「Jプロツアー」の宇都宮2連戦として、8月9日に宇都宮ロードレースが行われ、キナントマ・ルバが残り2kmからのアタックを成功させ独走勝利した。

宇都宮ロードを制したトマ・ルバ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日の8日から宇都宮市内で行われてきたレース開催。先に行われた「宇都宮クリテリウム」では、山本大喜が逃げで魅せ、あわや逃げ切りかという快走。優勝は逃したが、スプリント賞を獲得し、大きな成果を残した。

続いて迎えた宇都宮ロードレースは、世界的にも有名なジャパンカップサイクルロードレースの主会場である宇都宮市森林公園を基点に、6.7kmのコースを11周回。計73.7kmで争われる。コースは周回前半と後半に長い上りがあり、その後は下りと平坦基調となるが、変化の多いコースとあって総合力が試される。登坂力はもとより、要所でのアタックや終盤にかけてのスピードなど、勝つために必要な要素は数多い。また、このところの暑さも選手たちにとっては大敵に。サバイバル化が予想され、生き残った中から勝負強さを発揮した選手に勝機がめぐってくる。

そんなタフなレースへKINAN Cycling Teamは、クリテリウム同様6選手を送り込む。トマに加え、Jプロツアー個人ランキング6位と好調の山本元喜を軸としながら、山本大、椿大志、中島康晴、新城雄大とあらゆる展開に対応できるメンバーをそろえた。

レース距離が短いこともあり、スタート直後からハイスピードで進むプロトン。周回を経るたびに力のある選手たちだけが集団に残るような状況が作り出されていく。この間、2周目完了時に設けられた1回目のスプリントポイントを山本大が1位通過。連日のスプリント賞に手をかけた。

速い展開によって変化が起きたのは4周目。約15人が先行する形になり、ここにKINAN勢は山本元、椿、トマが入る。しかし、ここは集団からもすかさずチェックがあり、完全に抜け出すまでには至らない。その後もプロトン全体が活発で、KINAN勢もたびたび前方をうかがう姿勢を見せる。

レース半ばになりメイン集団は35人程度にまで絞られる。そこから、この日2回目となる大きな動きがあったのは7周目。山本元、山本大、トマを含んだ16人の先頭グループが形成されると、有力チームの多くが選手を送り込んだこともあり勢いを増していく。後続との差はみるみる間に開いていった。

この先頭グループの中でも駆け引きがあり、たびたび数人単位のパックに割れる場面が見られたが、8周目の終盤に仕掛けたトマのアタックによって状況は一変。ここに石原悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)、小石祐馬(チームUKYO)が加わり、3人がそのまま逃げの態勢を固める。KINAN勢は山本元と山本大が第2グループに待機し、追撃態勢に備える。

ただ、終盤になるにつれてトマら3人の勢いが明白に。しばらくは30秒前後のタイム差だったのが、最終周回を迎える段階で約1分20秒に拡大。この日の勝者は3人の中から出ることが濃厚になった。

快調に先頭交代のローテーションを繰り返したトマら3人だったが、決定打は残り2kmでやってきた。上りを利用してトマがアタック。一緒に逃げ続けた2人を完全に置き去りにし、独走に持ち込む。こうなると、あとはフィニッシュへと急ぐだけ。最後は後ろに25秒差をつけて優勝を決めた。

トマの勝利から1分29秒。第2グループで待機となった山本大と山本元も上位争いのスプリントに加わってそれぞれ7位と8位。この結果、トマの優勝、山本大のポイント賞に加えて、今節限定で設けられたチームポイント賞も獲得。トップ10に3人を送り込み、個人・チームそれぞれでタイトルを獲得した。

宇都宮で連日チーム力を発揮し、最高の結果につなげたKINAN Cycling Team。7月からのレースシーズン再開以降、好調な戦いぶりを続けており、今後も勢いのまま進んでいく。次の公式戦は、8月22・23日の群馬ロードレース8月大会。下部カテゴリーのE1クラス(Jプロツアー直下のエリート最上位クラス)との交流戦も兼ねており、アマチュア実力者たちの挑戦を受けつつ、プロチームとしての意地を見せる絶好の機会となる。

宇都宮ロードレース(73.7km)結果
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 1時間49分9秒
2 石原悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +25秒
3 小石祐馬(チームUKYO) +26秒
4 西村大輝(宇都宮ブリッツェン) +1分26秒
5 横塚浩平(チームUKYO) +1分29秒
6 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) 
7 山本大喜(KINAN Cycling Team) 
8 山本元喜(KINAN Cycling Team) 
20 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3分13秒
30 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分17秒
32 椿大志(KINAN Cycling Team) +3分20秒

中間スプリント賞(第2周回)
山本大喜(KINAN Cycling Team)

チームポイント賞
KINAN Cycling Team

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
「残り2kmでのアタックは正直“イチかバチか”だった。残っていた力をすべて注ぎ込むつもりで、独走になってからも全力で踏み続けた。このレースで勝つための実質唯一のチャンスだったと思う。
レースがない日々が続いて、もちろん勝つことに飢えていたよ(笑)。国際UCIレースが開催できない状況で、いまはJプロツアーに集中しないといけない。開幕以降たびたび上位争いに加わることができたが、今日は優勝する絶好のチャンスだった。それを生かすことができて本当にうれしい」

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キナンの山本大喜がKINAN AACA CUP第7戦いなべで優勝

KINAN Cycling Teamがホストを務める東海地区のロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」は、今季の第7戦を8月1日に三重県いなべ市・いなべ市梅林公園を舞台に開催。72kmで争われたメインの1-1カテゴリーは、マッチスプリントを制した山本大喜が優勝。ホストライダーとしての役割を果たしている。

山本大喜がKINAN AACA CUP第7戦いなべで優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

新型コロナウイルス感染拡大にともなうレースシーズンの中断で、このシリーズもしばし休止を余儀なくされたが、7月下旬から活動を再開。今節からは最上位クラスの1-1カテゴリーも戻り、よりハイレベルのレースが展開されることとなった。レースイベントの実施にあたっては、選手・関係者すべてに検温と健康状態の提出を義務付けたほか、会場内ではソーシャルディスタンスを確保するなど、感染リスクの抑制に努めた。

そんな中で行われた1-1カテゴリーのレースには、ホストであるKINAN Cycling Teamからも山本大のほか、山本元喜、椿大志、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大の6人が参戦。このレースの前に行われたキッズレースでもアテンド役を務め、イベントの盛り上がりにも一役買っている。

いなべ市梅林公園に設定された1周1.8kmのコースは、ツアー・オブ・ジャパンいなべステージのコースを一部採用。アップダウンとコーナーが連続し平坦区間が少ない中で、どれだけ変化に耐えられるかが勝負のポイントに。この日は気温が35度を超える暑さだったこともあり、サバイバル化することも予想された。

その見立ての通り、スタートから速い流れで進む。5周目までに数人がメイン集団から抜け出すと、そこから阿曽圭佑(Asia cycling academy / enshere / team aso)と香山飛龍(Yamanakako Cycling Team)の2人がリードを開始。メイン集団が落ち着いたことも関係し、最大で45秒差まで広げる。

ただ、この構図は長くは続かず、中盤に入ったところでメイン集団もペースアップ。山本大やトマらの引き上げによって、ちょうど中間地点を迎えるタイミングで先頭の2人に合流。この動きで集団の人数が絞られ、10人による争いとなる。

この状態から阿曽が再度アタックしたことでレースが活性化。香山と山本大が続き、少し置いてトマと津田悠義(EQADS)が合流。一時は5人で進んだ先頭グループだったが、香山が遅れ、残った4選手がそのまま終盤へ。この中から優勝者が出ることが濃厚になった。

決定打が生まれたのは残り3周。攻撃を繰り返す阿曽と山本大がアタックを成功させ、2人で逃げ切る態勢へと変化。その後ろでは津田とトマが追うが、先頭の2人が十分なリードを得たまま最終周回へ。阿曽、山本大ともチャンスとあらばアタックを試み、激しい駆け引きが繰り返されたままフィニッシュへと近づいていく。

両者一歩も譲らない戦いは、最終コーナーを前にしたアップダウンで山本大が加速。その勢いのまま最後の直線へと突入すると残り数十メートル。阿曽の追い上げをかわして、優勝のフィニッシュを飾った。

再三のアタックで強さを示した阿曽の2位に続き、速い流れを呼び込んだ津田が3位でレースを終えている。

今節は1-1カテゴリーを含む4クラスのレースが行われたほか、チームサプライヤーでもあるYONEX、ATHLETUNE(株式会社隼)、光設備などによるブース出展もあり、華やかなレース会場の趣きが少しずつ戻ってきていることを感じさせる1日となった。

KINAN AACA CUP 2020 第7戦 1-1カテゴリー結果
1 山本大喜(KINAN Cycling Team)
2 阿曽圭佑(Asia cycling academy / enshere / team aso)
3 津田悠義(EQADS)
4 トマ・ルバ(KINAN Cycling Team)
5 小島渓円(MiNERVA-asahi) 

KINAN AACA CUP 2020 ポイントランキング(第7戦終了時)
1 山本大喜(KINAN Cycling Team) 768pts
1 椿大志(KINAN Cycling Team) 768pts
3 津田悠義(EQADS) 640pts
4 小山智也(Hincapie LEOMO P/b BMC) 576pts
5 山本哲央(Yamanakako Cyclisme Formation) 512pts

山本大喜

山本大喜のコメント

「目標である“目立って勝つ”ことができてうれしい。序盤から逃げていた阿曽さんたちが強いことは分かっていて、差を広げられすぎると不利になると思ったので、5周くらいは自分ひとりで引き続けた。それが脚のあるメンバーだけに絞り込むことにつながったので、いい展開に持ち込めたと思う。
フィニッシュに向けては、最終コーナーを先頭で入ったもの勝ちだと分かっていた。直前の上りで阿曽さんが先に仕掛けたので、それに合わせて自分がカウンターでスプリントを始めてそのままトップを譲らず走ることができた。
次週はJプロツアーの宇都宮2連戦。とにかく“目立って勝つ”ことがテーマなので、それを結果に結び付けたい」

山本元喜が増田成幸を制して東日本ロード初日で優勝

新型コロナウイルスの感染拡大によって開幕が大幅に遅れていた国内のロードレース。7月23日からのJプロツアー・東日本ロードクラシック群馬大会でついに2020年の戦いの舞台がセッティングされた。3連戦の初日、KINAN Cycling Teamはレース期間が空いたブランクをものともせず強さを発揮。序盤から先頭グループでレースを進めた山本元喜が最後は3人の争いを制して優勝。2020年の国内レース最初の勝者となった。

山本元喜(左)が増田成幸を制して優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

コロナ禍で軒並み中止・延期となっていたロードレースイベントだが、自粛ムードの緩和とともにレース開催に向けた準備が各所で行われてきた。そしてこの日、ようやく熱き戦いが戻ってくることになった。国内初戦となった今大会は、群馬サイクルスポーツセンター内6kmの周回コースで実施される。3日間各日レース距離が異なり、初日は20周回・120kmで争われる。

KINAN Cycling Teamにとっても、2月のヘラルド・サン・ツアー(オーストラリア)以来の公式戦。山本元喜、椿大志、山本大喜、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大の主力6選手を招集し、万全の態勢でタイトル獲りに挑む。

国内レースの中でも最古参に数えられるこの大会。変化の多いコースレイアウトは、周回前半にテクニカルなダウンヒル、そして後半には勝負どころともなる心臓破りの坂や長い下りが控える。例年、サバイバルを生き抜いた選手たちによる優勝争いが見どころともなる。

そんな注目度の高いレースは、まず4周目に大きな動きが発生する。細かな出入りが続いていた中から、有力チームのエース格の選手が次々と前方をうかがうと、やがて15人ほどの先頭グループへと変化。ここにKINAN勢は山本元、トマ、新城の3人が加わり、そのままレースを先行する。力のあるメンバーがそろった先頭だが、3選手を送り込んだチームはKINANだけとあって、徐々に優位に展開していくことになる。

メイン集団では、先頭グループにメンバーを送り込めなかったチームを中心にペースメイクが本格化するが、ここでもKINAN勢がしっかりと対処。集団待機となった椿、山本大、中島がライバルたちの動きを都度チェックしながら、先頭とのタイム差縮小を許さない。各選手のアクションが奏功したこともあり、レース中盤を過ぎるまで約3分30秒差で推移していった。

後半に入っても先頭グループの優勢は変わらない。トマや新城の牽引で少しずつ人数が絞られていくが、勢いは変わらない。メイン集団もUCIコンチネンタルチーム勢が活性化を図るが、前方との差を一気に縮めるまでには至らない。結局、残り5周を切った段階でも3分以上の差は変わらず、先頭グループから勝者が出ることは濃厚な状勢になった。

優勝をかけた争いは、残り2周での増田成幸(宇都宮ブリッツェン)のアタックをきっかけに激化。最終周回を目前に山本元がブリッジを試み、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)とともに増田に合流。勝負は最後の1周回にゆだねられる。残り距離が少なくなったところで山本元がアタックするが、これは決定打とまではいかず、3人によるスプリント決戦となった。

フィニッシュへ最後の直線は、まず織田が前へと出るが、これを見ながらタイミングを図った山本元が加速。トップに立つと、2人の追随を許さず優勝を決めた。

レース序盤の飛び出しのまま、勝利まで持ち込んだ山本元の走り。ともに先頭グループに入ったトマや新城の働きが効果的となり、勝負どころまで余力を持って戦うことに成功。価値ある国内初戦を制して、改めて個の能力とチーム力とを示してみせた。これにより、Jプロツアーの個人ランキングでも首位に立つこととなり、トップの証である特別ジャージ「プロリーダージャージ」で次戦を走ることも決まった。

久々のレースにも臆することなく走り切った選手たち。よいムードのまま次のレースへと向かう。大会2日目となる24日は、この日の半分となる60kmのショートレース。よりスピード感のある展開となることが予想される。スプリント勝負も視野に入れながら、2連勝を目指して臨む。

東日本ロードクラシック群馬大会 Day-1(120km)結果
1 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2時間59分1秒
2 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) +1秒
4 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +39秒
5 小森亮平(マトリックスパワータグ) 
6 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム) 
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
16 山本大喜(KINAN Cycling Team) +2分30秒
41 椿大志(KINAN Cycling Team) +4分0秒
47 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4分38秒
DNF 新城雄大(KINAN Cycling Team)

Jプロツアー個人ランキング
1 山本元喜(KINAN Cycling Team) 600pts ※プロリーダージャージ着用
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 210pts

山本元喜

山本元喜のコメント
「勝因はチームワーク、これに尽きる。トマの動きに合わせて前方へと上がったが、それが結果的によい流れにつながった。
久々のレースでコンディションは完ぺきではなかったが、ここまでトレーニングをしっかり継続できていたという自負はあった。先頭で走っている間もトマや(新城)雄大とは自分が勝負にいくと伝えていて、あとは仕掛けどころまで脚を残していればベストな結果になるという自信もあった。
最終周回でのアタックは、そのまま独走に持ち込めれば理想的だったが、2人(増田選手、織田選手)がついてきているのは分かっていたので、脚を使い切らないようにだけは注意していた。ただ何より、上りで発揮すべき力が足りなかった。これは反省点。
プロリーダージャージは初着用。日本チャンピオンジャージを一度着たことで特別賞ジャージの価値は理解している。日の丸をあしらったときは散々失敗を繰り返したので、今度は落ち着いて走ることを心掛けながら、今日のような勝てるレースを続けていきたい」

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自転車チームが自転車を使わない散歩イベント初開催

自転車チームのキナンサイクリングが梅雨の合間の天気となった7月5日の午前、三重県いなべ市の「いなべサイクルターミナル」を発着としたウォーキングイベントを開催。石田哲也監督がコース監修を務め、日頃応援してくれるファンとチームがゆっくりと交流できる機会をプロデュース。レースシーズン再開が近づく中で、“歩き”から“自転車”への熱を高める好機となった。

©︎KINAN Cycling Team / Tomohiro TANAKA

新型コロナウイルス感染拡大によるシーズン中断は、レースのみならず、ファンとの交流機会も長く奪う事態だった。その間のロスを取り戻すべく、KINAN Cycling Teamでは情勢に合わせながら少しずつイベント活動のペースをアップ。7月に入って最初のイベントとして、このウォーキングを実施。「いなべさんぽ」と題して、約11kmの道のりをセッティングした。

チームからは石田監督に加えて、加藤康則ゼネラルマネージャーも参加。「美しい日本の歩きたくなるみち 500選」にも選ばれた9kmほどのウォーキングコースをベースに、石田監督がこの日のルートを設定。監督自ら「旅のしおり」を作成し、参加者に配られた。

同ターミナルが駅前に設けられているメリットを生かし、日本に3路線しか現存していない「ナローゲージ(線路幅が762㎜と通常より狭い)」での電車移動や、大泉駅併設の農産物直売所「うりぼう」の目玉であるジェラートに舌鼓を打ったりと、自転車だけではない“いなべの魅力”を歩きの中に凝縮。また、美しい直線の参拝道と狛鹿のある「大谷神社」、紫陽花が手水舎に浮かべられる様が撮影スポットとして人気の「金井神社」、日本の近代土木遺産Aランク評価の「ねじり橋」など、史跡や観光資源をめぐる旅でもあった。

自転車を一切必要としない催しは、チームにとっても新たな試みだったが、参加者からはイベントを楽しみながらチーム関係者と落ち着いてトークできる機会と大好評。実際に、日頃はなかなかオープンにならない遠征時の裏話が出たり、今後のチーム動向についてちょっとした予告があるなど、この機会だからこその話題で盛り上がり。同時に、石田監督、加藤GMから改めてシーズン再開後の応援を参加者に求め、ともに戦っていくことを約束する場ともなった。

この日は、チームのタイヤサプライヤーであるIRC TIREよりTシャツが提供され、参加賞として贈られたほか、星野貴大メカニックによる洗車会を併催。徐々にではあるものの、チームのイベント活動が活発さを取り戻している。Text: 田中国大、Edit: 福光俊介

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田中克尚がキナンに…トラックのバンクリーグをメインに

田中克尚(たなかかつひさ)がKINAN Cycling Teamに6月1日付で加入した。トラック・短距離種目を専門とし、早稲田大自転車部時代はスプリント、チームスプリントで国内大会の上位入賞を数多く経験。2020年3月に同大学を卒業し、この春から三重県を拠点にエリートライダーとしての歩みを進めた。

田中克尚

KINAN Cycling Teamではトラックパートに属し、ベロドローム(自転車競技場・競輪場)のバンクを主戦場としてレース活動を行っていく。また、国内ロードレースチームによるトラックレース対抗戦「バンクリーグ」のメンバーとして登録し、そのスピードを生かして戦う見込みになっている。

「まだまだ実力不足ではありますが、KINAN Cycling Teamの短距離選手(スプリンター)として、バンクリーグではチームを勝利に導き、貢献できるよう努めてまいります。応援よろしくお願いします!」と田中。

田中克尚
田中克尚(たなかかつひさ)
1998年2月18日生まれ 岡山県出身 身長167cm・体重65kg
岡山県立岡山工高→早稲田大スポーツ科学部スポーツ科学科卒業
●主な戦績
・2017年
全日本学生個人選手権自転車競技大会 スプリント3位
JICF INTERNATIONAL TRACK CUP チームスプリント4位
国民体育大会 スプリント7位
・2018年
都道府県対抗自転車競技大会 スプリント2位
全日本大学対抗選手権自転車競技大会 スプリント5位、チームスプリント3位

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