ゲオゲガンハートが最終日に逆転優勝…ジロ・デ・イタリア

第103回ジロ・デ・イタリアは10月25日に23日間に及ぶ戦いのフィナーレへ。チェルニュスコスルナビーリオ〜ミラノ間で第21ステージとして距離15.7kmの個人タイムトライアルを行い、前日に首位と同タイムの2位に浮上したイネオス・グレナディアスのタオ・ゲオゲガンハート(英国)が逆転優勝した。

ミラノ大聖堂前でマリアローザを着用したタオ・ゲオゲガンハート ©Fabio Ferrari/LaPresse

ゲオゲガンハートは第20ステージでサンウェブのジェイ・ヒンドレー(オーストラリア)との一騎打ちを制して今大会2勝目を挙げるとともに、首位に躍り出たヒンドレーとタイム差なしの総合2位に。最終ステージで総合成績の1位と2位がタイム差なしで雌雄を決するのはツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャを合わせたグランツール史上初の接戦となったが、ヒンドレーに39秒差をつけるタイムで逆転優勝した。

英国選手の総合優勝は2人目。2018年のクリストファー・フルーム以来となる。最終日までマリアローザを着用せずに総合優勝した選手としては大会史上初となる。

第21ステージの個人タイムトライアルは世界チャンピオンのフィリッポ・ガンナがトップタイム ©LaPresse

第21ステージの個人タイムトライアルを制したのはイネオス・グレナディアスのチームメートで、この種目の世界チャンピオンであるフィリッポ・ガンナ(イタリア)。3回の個人タイムトライアルに加えて第5ステージも制し、今大会4勝を挙げた。1選手が個人タイムトライアルで3勝したのは1995年のトニー・ロミンゲル(スイス)以来。

ジロ・デ・イタリア総合優勝のゲオゲガンハートを中央に、左が2位ヒンドレー、右が3位ケルデルマン ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

最終日までジロ・デ・イタリアに勝つとは思えなかった

「ジロ・デ・イタリアの勝者としてこのポジションにいるのは驚きしかない」とゲオゲガンハート。

当初のエースは2018ツール・ド・フランス総合優勝の実績があるゲラント・トーマス(英国)だったが、第3ステージで落車負傷し、翌日にはレースから去った。この思わぬアクシデントがなければ、アシスト役であるゲオゲガンハートが自らの成績のために走ることはなかっただろう。

「表彰台に一緒に登壇したジェイとウィルコ・ケルデルマンにおめでとうと言いたい。本当に素晴らしい戦いだった。最終日のミラノに着くまで、ジロ・デ・イタリアに勝つとは思わなかった。もうクレイジーとしか言いようがない」

「最後のフィニッシュラインを越える瞬間まで、いつものステージやサンデーライドと同じように走るだけだった。ボクの家族や友人がフィニッシュ地点で声援を送ってくれたので、会えると思う。世界中の誰にとっても奇妙な年だった。去年から家に帰っていないので、きょうだいに会えるのを楽しみにしている。チームというバブルを離れるのは奇妙な感じもする」

ポイント賞のマリアチクラミーノはグルパマFDJのアルノー・デマールに ©Massimo Paolone/LaPresse

残酷だけど美しいこのレースに戻ってきたい。総合2位ヒンドレー

「コースのレイアウトを頭の中にたたき込むなど、できる限りのことをした。その結果なんだからボクはそれを受け入れ、なにも後悔していない」と首位を陥落し、39秒遅れの総合2位となったヒンドレー。

「タイムチェックを受けられるように頼んだし、なにが起こっているのか知っていた。でもボクにできることはなにもなく、できる限り一生懸命走るだけだった。もちろん、今日の出来事の後はがっかりしているが、チームとしての走りをして、3週間の長丁場を戦ったこと誇りに思う。これはほんの始まりに過ぎない。確かにいまの最高のパフォーマンスの結果だが、うまくいけばさらなる成績をつかむための一歩となった。ここに戻って来たい。ボクはこのレースが大好きだ。それは残忍だけど、それはまた美しい。間違いなく戻ってくる」

山岳王はEFのルーベン・ゲレイロ ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)タオ・ゲオゲガンハート(英国、イネオス・グレナディアス)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞) ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EF)
□マリアビアンカ(新人賞) タオ・ゲオゲガンハート(英国、イネオス・グレナディアス)

2020ジロ・デ・イタリアの栄冠はアシスト役として起用されたゲオゲガンハートの手に渡った ©Fabio Ferrari/LaPresse

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グランツール初! 1位と2位が同タイムで最終ステージへ

第103回ジロ・デ・イタリアは10月24日、アルバ〜セストリエーレ間の190kmで第20ステージが行われ、2日前と同様にイネオス・グレナディアスのタオ・ゲオゲガンハート(英国)とサンウェブのジェイ・ヒンドレー(オーストラリア)の2人がゴール勝負。15秒遅れの総合3位ゲオゲガンハートが12秒遅れの総合2位ヒンドレーを制して雪辱。第15ステージに続く今大会2勝目を飾った。

ローハン・デニスが役目を終え、ヒンドレーとゲオゲガンハートの一騎打ちに ©Fabio Ferrari/LaPresse

総合成績ではマリアローザを着用していたサンウェブのウィルコ・ケルデルマン(オランダ)が遅れ、ヒンドレーとゲオゲガンハートが同タイム。これまで2回行われた個人タイムトライアルのコンマ以下の所要時間の差でヒンドレーが首位となった。

2020ジロ・デ・イタリア第20ステージはフランス国境に近いアルプスで行われた ©Fabio Ferrari/LaPresse

最終ステージはミラノで距離15.7kmの個人タイムトライアルが行われるが、総合成績の1位と2位がタイム差なしで雌雄を決するのはツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャを合わせたグランツール史上初。

ゲオゲガンハートに続いて新人賞のヒンドレー、マリアローザのケルデルマンが走る ©Fabio Ferrari/LaPresse
ローハン・デニスに続いてゲオゲガンハートとヒンドレー、マリアローザのケルデルマンがここで脱落した ©Fabio Ferrari/LaPresse
ゲオゲガンハートがヒンドレーを制して 2日前の雪辱を果たす ©Massimo Paolone/LaPresse
初めてマリアローザを獲得したヒンドレー ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞) ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EF)
□マリアビアンカ(新人賞) ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)

ゲオゲガンハート(左)とヒンドレーがタイム差なしで最終日へ ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

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チェルニーV、ケルデルマンが首位堅持…ジロ・デ・イタリア第19S

第103回ジロ・デ・イタリアは10月23日、モルベーニョ〜アスティ間の251kmで第19ステージが行われ、CCCのヨセフ・チェルニー(チェコ)が優勝。総合成績ではサンウェブのウィルコ・ケルデルマン(オランダ)が首位を守った。

ヨセフ・チェルニー(チェコ)が第19ステージ優勝 ©Marco Alpozzi/LaPresse
トヨタのハイブリッド車が大会で大活躍 ©Fabio Ferrari/LaPresse
2020ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2020ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
ヒンドレーにけん引されてマリアローザを守ったケルデルマン ©Marco Alpozzi/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞) ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EF)
□マリアビアンカ(新人賞) ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)

第19ステージのチーム賞はバーレーン・マクラーレンで、新城幸也(右端)も登壇 ©Marco Alpozzi/LaPresse

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ケルデルマンが首位浮上…アシスト役のヒンドレーV…ジロ・デ・イタリア第18S

第103回ジロ・デ・イタリアは10月22日、今大会最高峰のステルビオ峠が待ち構えたピンツォロ〜ラーギディカンカーノ間の207kmで第18ステージが行われ、サンウェブのジェイ・ヒンドレー(オーストラリア)がイネオス・グレナディアスのタオ・ゲオゲガンハート(英国)との一騎打ちを制して初優勝。

第18ステージ優勝で新人賞でもトップに立ったヒンドレー(左)とマリアローザのケルデルマン ©Jennifer Lorenzini/LaPresse

総合成績ではサンウェブのウィルコ・ケルデルマン(オランダ)が首位に立った。

ジロ・デ・イタリアの最難関、ステルビオ峠 ©Marco Alpozzi/LaPresse
先頭を走るヒンドレー(左)とゲオゲガンハート ©Fabio Ferrari/LaPresse
チマコッピと呼ばれる今大会最高峰のステルビオ峠 © Fabio Ferrari/LaPresse
2020ジロ・デ・イタリア第18ステージのステルビオ峠 ©Fabio Ferrari/LaPresse
サンウェブのケルデルマンがステルビオ峠を目指す ©Fabio Ferrari/LaPresse
勝負はヒンドレー対ゲオゲガンハート ©Fabio Ferrari/LaPresse
ヒンドレーが第18ステージを制した ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞) ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EF)
□マリアビアンカ(新人賞) ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)

最難関で優勝したヒンドレーは総合2位、敗れたゲオゲガンハートも総合3位に ©Massimo Paolone/LaPresse

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オコーナー初V、アルメイダ15日間首位堅持…ジロ・デ・イタリア第17S

第103回ジロ・デ・イタリアは10月21日、バッサーノデルグラッパ〜マドンナディカンピーリオ間の203kmで第17ステージが行われ、NTTのベン・オコーナー(オーストラリア)が初優勝。

ベン・オコーナー(オーストラリア)が敢然と前を向く ©Fabio Ferrari/LaPresse

総合成績ではドゥークニンク・クイックステップのホアン・アルメイダ(ポルトガル)が首位を堅持。マリアローザを守って15日となった。

2020ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

オーストラリア勢は開催国イタリアに次ぐ18選手が今大会に出場しているが、ようやく第17ステージで1勝目を挙げた。オコーナーは第1グループの中から残り8.5km地点で抜け出すことに成功した。オーストラリア選手が山岳ステージで勝ったのは、2014年に現在のコーチであるマイケル・ロジャースがゾンコランを制して以来。

オコーナー自身はグランツール初優勝。ジロ・デ・イタリアでオーストラリア選手が勝ったのは17人目、34勝目となる。

2020ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
アシストにけん引されるマリアローザのアルメイダ ©Fabio Ferrari/LaPresse
ベン・オコーナー(オーストラリア)がグランツール初制覇 ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
超級山岳でもアルメイダが首位を守った ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥークニンク・クイックステップ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞) ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EF)
□マリアビアンカ(新人賞) ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥークニンク・クイックステップ)

大会3日目からマリアローザを守り続けるアルメイダ ©Marco Alpozzi/LaPresse

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ジロ・デ・イタリアがコロナ猛威のフランスを回避

ジロ・デ・イタリアの主催者RCSスポルトは10月21日、最終日前日の最後の山岳区間として設定された第20ステージのコースを修正した。フランスのオートアルプ県で新型コロナウイルス感染拡大の防止法令が施行されたことで同県をレースが通行できなくなり、コース変更を余儀なくされた。

2020ジロ・デ・イタリア第20ステージの修正コース

10月24日に開催される第20ステージはアルバをスタートしてから国境となるアルプスを越えてフランス入りし、再びアルプスを越えてイタリアのセストリエーレにゴールする198kmが予定されていた。

しかしフランス入りができなくなったため、スタート後に平たん路を走ってピネロロへ。ゴールとなるスキーリゾートのセストリエーレに向かうが、ステージの難易度を維持するためにセストリエーレを3回上ることになった。

当初予定ではフランスのイゾアール峠や国境にあるモンジュネーブル峠など、山岳ポイントは1級が3つ、2級が1つだったが、新コースは1級が2つ、2級が1つとなりわずかに難易度が低くなった。総合成績の行方を左右する変更点になるかは定かではない。

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