ラポルトが独走で欧州チャンピオン…ファンアールトは届かず

オランダのドレンテ州で開催されている欧州選手権ロードは大会5日目(最終日)の9月24日、エリート男子レースが行われ、フランスのクリストフ・ラポルトが残り10kmから独走して優勝。欧州選手権のエリートカテゴリーとしてフランスに初めての栄冠をもたらした。

ラポルトが逃げ切り優勝。後続集団のトップはファンアールト ©Massimo Fulgenzi/SprintCyclingAgency©2023

2位はユンボ・ビスマで一緒に走るベルギーのワウト・ファンアールト。3位もユンボ・ビスマのオラフ・コーイ(オランダ)。

2023欧州選手権エリート男子ロード ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023
2023欧州選手権エリート男子ロード ©Massimo Fulgenzi/SprintCyclingAgency©2023
2023欧州選手権エリート男子ロード ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023
残り10kmからアタックしたラポルト ©Massimo Fulgenzi/SprintCyclingAgency©2023
欧州選手権エリート男子ロード優勝のラポルト。左が2位ファンアールト、右が3位オルファ・コーイ ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

ジュニア女子はベルギーのフルール・モールスがイタリアのフェデリカ・ベンチュレッリを破って優勝した。

2023欧州選手権ジュニア女子ロード ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023
2023欧州選手権ジュニア女子ロードのフルール・モールス ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023
フルール・モールス ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023
フランスのレアヌ・タビュが3位 ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

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ファンデルプール北の地獄を制す…宿敵ファンアールトは痛恨のパンク

「北の地獄」と呼ばれる石畳の悪路が待ち構える伝統レース、第120回パリ〜ルーベが4月9日、フランスのコンピエーニュからルーベまでの257kmで行われ、アルペシン・ドゥクーニンクのマチュー・ファンデルプール(28)=オランダ=が独走で初優勝した。ライバルのワウト・ファンアールト=ベルギー、ユンボ・ビスマ=は先頭に立ちながら痛恨のパンクで3位に終わった。

勝負どころ、アランベールの石畳を走るファンデルプール(左)とファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

優勝候補ばかり7選手が北の地獄の終盤に結集

ファンデルプールがモニュメントと呼ばれる伝統あるワンデーレースでの強さを証明した。3月18日にイタリアで開催されたミラノ〜サンレモに続く優勝。2020年と2022年にはベルギーのツール・デ・フランドルを制していて、3つ目のタイトルを獲得した。

路面が荒れているほど観客が集まる ©A.S.O. Pauline Ballet

この日はファンデルプールの波状攻撃によってファンアールトや他の有力選手で構成された7人に第一集団が絞り込まれた。この中にチームメートのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がいたこともファンデルプールにとってはラッキーだった。優勝候補のジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSM)は勝負を仕掛けた終盤の石畳区間でファンデルプールと接触して落車。

ファンアールト(先頭から2人目)はこの日好調だったが… ©A.S.O. Pauline Ballet

ファンデルプールが後方を気遣っていたすきを突いてファンアールトがアタックした。ところがここで不運のパンクで失速。ファンデルプールがライバルを追い抜いてゴールまで独走した。

「最初はファンアールトがパンクしたとは知らなかった。でも、追い越した時はペースが遅くて、彼に問題があるのが分かった」というファンデルプール。

ファンデルプール(右)とファンアールト(中央)の両雄がバトル ©A.S.O. Pauline Ballet

「悪夢のようなパンクだったが、これも人生だ。自転車を交換してあきらめずに前を追ったが、ファンデルプールのような強い選手までの20秒を詰めるのは困難だった。今日は彼のアタックに反応できていたので、2人のゴール勝負になれば自信はあった」とファンアールト。最後はマークに付いたフィリプセンにもゴール勝負でかわされて3位になった。

ゴールのルーベ競技場で絶叫して喜びを表すファンデルプール ©A.S.O. Pauline Ballet

「これまでで最高の1日を過ごしたと思う。私は本当に強いと感じていて、数回の攻撃を試みたが、有力選手らを落とすのは困難だった。勝負どころの石畳区間は、デゲンコルプのクラッシュとファンアールトのパンクがあって、私は先頭に立っていることに気づき、フィニッシュラインまで全力で走った」とファンデルプール。

落車で勝利を逃したデゲンコルプがゴール後に倒れ込んだ ©A.S.O. Pauline Ballet

「フィニッシュラインまでファンアールトと一緒に行くことになれば、レースは違ったものになっていたかもしれない。彼の身にふりかかった不幸は残念だけど、それもレースの一部だ。パリ~ルーベで優勝するにはいい脚と幸運が必要なんだ」

優勝のファンデルプールを中央に、左が2位フィリプセン、右が3位ファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

新兵器エア調整システムが実戦使用された

DSMとユンボ・ビスマがパリ〜ルーベでタイヤ空気圧管理システムを使用した。ハンドルのリモートボタンを使用して、バイクに乗りながらタイヤの空気圧を増減できる。石畳と舗装路が交互に連続する同レースでは有利になる。

タイヤ空気圧を走行中に変えることができるスコープアトモス

ボタンを押すとワイヤレス信号により車輪ハブ部のバルブが開閉する。タイヤ内側にエアコンプレッサーがあって、走行中でも空気を抜いたり膨らませたりできる。路面状況に応じて最適なグリップ力と転がり抵抗にすることにより、選手は自信を持ってバイクを操作できるようになり、パフォーマンスと安全性が向上する。石畳ばかりでなく突然の雨でもメリットを発揮する。

すでに一般販売されていて、価格はこのシステムだけで約58万円。

ファンデルプールが北の地獄パリ〜ルーベで伝説的勝利

マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が4月9日にフランスで開催された第120回パリ〜ルーベで独走勝利した。2位はチームメートのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)、3位はユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)。

アランベールの石畳を走るファンデルプール(左)とファンアールト(右) ©A.S.O. Pauline Ballet

フランドル2勝とミラノ〜サンレモに続くクラシック3勝目

ファンデルプールは3月18日にイタリアで開催されたミラノ〜サンレモに続くモニュメント優勝。北のクラシックレースでは2020年と2022年にツール・デ・フランドルで優勝していて、3勝目となる。

2023パリ〜ルーベ ©A.S.O. Pauline Ballet

この日はファンデルプールの波状攻撃によってファンアールトやフィリプセンを含む7人の先頭集団が形成された。優勝候補のジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSM)は石畳区間でファンデルプールと接触して落車。

すかさずファンアールトが勝負を仕掛けたが、ファンデルプールがこれに反応。ファンアールトは運悪くパンクして、ゴールまでファンデルプールが独走した。

パリ〜ルーベ2023で先頭集団に加わって機をうかがうファンアールト(2番目) ©A.S.O. Pauline Ballet

ファンアールトと一緒にゴールまで行きたかった

「これまでで最高の1日を過ごしたと思う。私は本当に強いと感じていて、数回の攻撃を試みまが、ライバルを落とすのは困難だった。勝負どころの石畳区間カルフールダルブルでは、デゲンコルプのクラッシュとファンアールトのパンクがあって、私は先頭に立っていることに気づき、フィニッシュラインまで全力で走った」とファンデルプール。

「最初はファンアールトがパンクしたとは知らなかった。でも、追い越した時はペースが遅くて、彼に問題があるのが分かった。フィニッシュラインまで一緒に行くことができれば、レースは違ったものになっていたかもしれないので、残念。とにかく、不幸はレースの一部だ。パリ~ルーベで優勝するにはいい脚と幸運が必要なんだ」

先頭からファンデルプール、ファンアールト、シュテファン・キュング ©A.S.O. Pauline Ballet
ファンデルプールがパリ〜ルーベを制した直後に絶叫 ©A.S.O. Pauline Ballet
落車で最後は優勝争いから脱落したジョン・デゲンコルプ ©A.S.O. Pauline Ballet
パリ〜ルーベ優勝のファンデルプールを中央に、左が2位フィリプセン、右が3位ファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

ファンデルプールとファンアールトはどっちが強い? どちらも強い!

2023シクロクロス世界選手権がオランダのホーヘルハイデで2月3〜5日に開催され、マチュー・ファンデルプール(オランダ)とワウト・ファンアールト(ベルギー)が一騎打ちの展開に。抜きつ抜かれつの激闘はファンデルプールが最後にライバルを制して5回目の世界チャンピオンになった。2人のデュエルはこの後、ロードレースに舞台を移して引き続き行われる。

シクロクロス世界選手権はファンアールト(左)とファンデルプールのマッチレース ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

彼との戦いは10年続く。でも終わりじゃない。必ずまた勝負することになる

2人は幼少期からのライバルで、常に世界タイトルを争ってきた。今回のレースでもスタートしてすぐに2人が後続選手に差をつけて先頭を走る展開に。立て板を飛び越えるセクションでファンデルプールがわずかに優位に立つものの、走破力があるファンアールトが先行を許さない。勝負は最終周回へ。ファンアールトはライバルが板越えで主導権を握る前に勝負に出た。ファンアールトがわずかにリードを取り、ゴールを目指したが、ファンデルプールが必死に食らいつき、最後のコーナー手前で追い越して勝利した。

祖父レイモン・プリドールがなし得なかったマイヨジョーヌを獲得したファンデルプール ©A.S.O. Charly Lopez

5度目の世界チャンピオンになったファンデルプールがレース直後にコメントした。

「多くの人は以前にも同じような勝負を見たことがあるよね。もう10年も彼との戦いは続いている。でもこれで終わりではない。まだロードシーズンがあり、必ずまたファンアールトと勝負することになるだろう」

シクロクロス世界選手権の優勝者

●ジュニア
2012ファンデルプール2位ファンアールト
2013ファンデルプール②U23でファンアールト3位
●U23
2014ファンアールト3位ファンデルプール
●エリート
2015ファンデルプール3位ファンアールト
2016ファンアールト
2017ファンアールト②2位ファンデルプール
2018ファンアールト③3位ファンデルプール
2019ファンデルプール②2位ファンアールト
2020ファンデルプール③
2021ファンデルプール④2位ファンアールト
2022ピドコック
2023ファンデルプール⑤2位ファンアールト
丸数字は複数優勝回数
2022ツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを着用するファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

宿命のライバル。ともに28歳。どちらも身長185cm前後と自転車選手としては大きい。2022年のシクロクロス世界選手権、ファンデルプールは東京五輪マウンテンバイクでの落車で痛めたケガにより欠場。ファンアールトもロードシーズンでのタイトル獲得のために出場を見送った。両雄不在のレースで英国のトム・ピドコックがチャンピオンになったが、今回は2人の圧倒的実力を目にしてピドコックが早々に連覇を断念。ロードシーズンに照準を当てるため出場しなかった。こうして2年ぶりに、2人のデュエルが実現した。

ファンデルプールの父はロードやシクロクロス界の有名選手。母はツール・ド・フランスで万年2位と呼ばれなからも人気があったレイモン・プリドールの娘だ。地元オランダで開催された今回のシクロクロス世界選手権のコース設計は父がした。それだけにライバルに負けるわけにはいかなかった。

2021ツール・ド・フランスのファンデルプール ©A.S.O. Charly Lopez

ロード選手としてもスーパースターだ。2021ツール・ド・フランスでは第2ステージで優勝して首位に。祖父も着用できなかった黄色いリーダージャージー、マイヨジョーヌを6日間にわたって獲得した。

ツール・ド・フランスであらゆる勝ち方を見せたファンアールト

一方のファンアールトもツール・ド・フランスで通算9勝を挙げている。特に21年は山岳、個人タイムトライアル、そして平坦ステージの最終日パリと変幻自在に勝利を量産。昨年は大会2日目にマイヨジョーヌを獲得すると、第4ステージで独走勝利。その後はエースのビンゲゴーのアシスト役に徹し、初優勝の立役者となった。

冬場の自転車種目であるシクロクロスはこの世界選手権を最後にシーズン終幕。このあとはロードレースが週末ごとに欧州各地で開催されていく。春はミラノ〜サンレモ(イタリア)、ツール・デ・フランドル(ベルギー)、パリ〜ルーベといったワンデーレースが注目される。

ツール・ド・フランスで大活躍のファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

「ライバルとの戦いはこれからだ」。オランダとベルギーの威信をかけて戦う両者の言葉が一致した。

ファンアールトがゴール勝負でファンデルプールに敗北…シクロクロス世界選手権

ベルギーのワウト・ファンアールトは、オランダのホーヘルハイデで開催された2023 UCIシクロクロス世界選手権で地元オランダのマチュー・ファンデルプールとのゴール勝負に負けて2位になった。

シクロクロス世界選手権はファンアールト(左)とファンデルプールのマッチレース ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは、2014年のホーヘルハイデ、2016年のフースデンゾルデル、2017年のベルボー、2018年のファルケンブルグに続く4つ目の世界タイトル獲得ができなかった。

ライバルのファンデルプールは2015年、2019年、2020年、2021年に4つのエリート世界タイトルを獲得し、2012年と2013年に2つのジュニア世界タイトルを獲得している。今回もオランダのライバルであるファンデルプールとの一騎打ちとなった。

シクロクロス世界選手権は2022年のワールドチャンピオンである英国のトム・ピドコックがロードシーズンに照準を当てたため出場回避。レースはラルス・ファンデルハールがオランダ勢の前線に立ち、ファンデルプールを牽引。ファンアールトはそれに追従した。

ファンアールトがシクロクロス世界選手権を走る ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンデルプールとファンアールトは1周目には16秒飛び出し、ベルギーのゲルベン・カイパーズとマイケル・ファントーレンハウトがこれを追走するという展開に持ち込んだ。

3周目と4周目では完全に2選手の一騎打ちとなり。5周目にファンデルプールが板越えのセクションでわずかに優位に立つものの、両者は譲らず、さらに4周にわたって後続選手らに18 秒の差をつけて先頭を走り続けた。

ベルギーのワウト・ファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは最終ラップの林間部を抜け、ファンデルプールが板越えで主導権を握る前に勝負に出た。ファンアールトがわずかにリードを取り、下り坂を下って最後のストレートに入ったが、ここでファンデルプールが力強くライバルを追い越して勝利した。3位にはベルギーのエリ・イーゼルビットが入った。

シクロクロス世界選手権で2位になったファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

28歳のファンアールトについて、5度目の世界チャンピオンになったファンデルプールは次のようにコメント。

「多くの人はシクロクロスレースで以前にも同じような勝負を見たことがあるよね。もう10年以上も彼との戦いは続いている。それはボクたちが書いている非常にクールな進行形の物語だ。でもここで終わりではない。まだロードシーズンがあり、必ずまたファンアールトと勝負することになるだろう」

シクロクロス世界選手権エリート男子の優勝者

2015マチュー・ファンデルプール
2016ワウト・ファンアールト
2017ワウト・ファンアールト
2018ワウト・ファンアールト
2019マチュー・ファンデルプール
2020マチュー・ファンデルプール
2021マチュー・ファンデルプール
2022トム・ピドコック
2023マチュー・ファンデルプール

ファンアールトがW杯2勝目…ピドコックは世界選手権欠場

ベルギーのワウト・ファンアールト(ユンボ・ビスマ)が、1月8日にベルギーのゾンホーフェンで行われたシクロクロスワールドカップでライバルのマチュー・ファンデルプール(オランダ)に差をつけて優勝。2022-2023シリーズで2勝目。

ファンアールトが1月8日にベルギーのゾンホーフェンで行われたシクロクロスワールドカップで優勝した ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

砂区間でファンデルプールを突き放す

ゾンホーフェンの砂区間はワールドカップシリーズで最もテクニカルなコースの1つと言われるが、ファンアールトはほぼ完璧な走りを見せつけ、レース序盤から先行すると、後ろを確認することはほとんどなかった。

ライバルであるファンデルプールは、先行したファンアールトを早めにキャッチし、中盤戦でプレッシャーをかけようとした。しかし、ファンデルプールは深い砂のセクションでコースアウトするなどで、すぐにファンアールトに30秒以上遅れを取る。

ファンアールトは最後まで気を抜かず、2位ファンデルプールを80秒引き離して、地元のファンに手を振ってゴールした。ベルギーのローレンス・スウィークが3位。

ファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

28歳のファンアールトは、「ファンデルプールは突然ボクの前で転倒し、そのアクシデントで大きなギャップを作ることができた」。

「明日はチームキャンプに出発する。走りに磨きをさらにかけるためには、太陽の下で何マイルも走る必要がある」

ファンアールトがワールドカップで優勝 ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ピドコックがシクロクロス世界連覇に固執せずロード練習に集中

英国のディフェンディングワールドチャンピオン、トム・ピドコックは今回のワールドカップレースに出場しなかった。シクロクロス世界選手権は2月5日にオランダのホーヘルハイデで開催されるが、ピドコックが欠場することが確認された。