空路を使うような遠隔地でサイクリングするときは自転車を宅配してしまうのがいい。専用箱が市販され、自宅への集荷から宿泊先までの配送、さらに返送までネットで簡単に手配できる。フロアポンプやヘルメットなどの機材も同梱できるので、まさに手ぶらでサイクリング。また、海外遠征時も規定サイズに収まる専用箱を使って受託手荷物として預けるのが賢い。
ラクチン宅配も重労働輪行もコストはほぼ同じ
宿泊先など自転車を受け取ってくれる場所があるときは送ってしまおう。自転車を入れた輪行袋を担ぐという重労働からまず解放される。四国に空路で渡った四万十川サイクリングのときは、専用の配送システムを使って自転車を宿泊先まで送った。関東と四国の往復料金は1万1000円(税別)だった。
例えばこれを輪行で行くとしたらその価格差はどのくらいかを試算してみた。輪行袋はバスには乗せられないからタクシー利用を余儀なくされる。タクシーは割高だと、国内線の空港まで自分のクルマに自転車を積んで乗りつけてもガソリン代や駐車料がかかる。概算で1万円。初期投資費を除けばコストはそれほど変わらないのだ。
国内配送の際に使用する専用箱は3辺合計が規格最大となる240cmのもの。段ボール製造会社のコーワがさまざまなタイプのBTB輪行箱を発売している。一般的な段ボールタイプで3200円(以下価格は税別)。何回も使える樹脂製のものは3万3000円で、どちらもコンパクトに折りたためるのが特徴。
箱には両輪を外して収納する。フレームサイズの大きなものはサドル部を、ライトなどの付属物も外し、緩衝材にくるんで箱の中に入れる。総重量は配送ドライバーが持ち運べる程度の常識の範囲なら可。なにを入れたのかメモを取っておくのが秘けつ。現地で開梱したときに忘れ物があっては困るからだ。
240cmサイズは佐川急便などが取り扱ってくれる。ヤマト運輸は宅急便ではなくヤマト便扱い。合計200cm以下という制限があり、配送時に使う収納パレットが底辺約1m四方なので縦積みになる。ヤマト便用に製造された専用輪行箱(3200円)を駆使し、縦にされてもいいような収納作業が必要。
宿泊施設に送る場合はあらかじめ自転車の受け取りを依頼するなどの連絡をしておくといい。近年はスポーツバイクが高価なことも一般に浸透し、自転車をホテル内に持ち込んで保管できることも多くなった。また「サイクリスト歓迎」を打ち出すホテルも増えつつあるが、周囲の環境に十分配慮することがマナー。
地方開催のサイクリング大会などでは宅配便会社と提携した自転車配送サービスが設定されることもある。コーワでも佐渡・北海道・しまなみ・沖縄などの大きなイベントに協賛し、箱+輸送パックセットを用意しているという。
飛行機に預けるのも箱型がイチバン
空港に自転車を運び込み、機内に手荷物として預ける移動スタイルもある。自転車はその大きさから「機内持ち込み」はできないので、「手荷物」として預ける。自分の手から離れるので、電車に持ち込むときに使用する薄手の輪行袋ではなく衝撃を和らげることができるパッド入りバッグ推奨。輪行箱の場合は3辺合計203cm以下のものを利用すると国際線では無償になることが多い。ただし両輪だけでなくハンドル、サドル、ペダル、後ろ変速機を外す必要がある。
預けられるサイズや無料の条件、超過料金に関しては航空会社、路線、飛行機の大きさ、座席クラスにより異なるので航空券を手配する際に確認する必要がある。格安航空は超過料金が高め。エールフランスなど大手キャリアの場合は欧州路線で片道1万円ほど払えば自転車を預けられる。
●BTB輪行箱のホームページ
スポーツバイクを保管してくれる宿泊施設も多くなってうれしい
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