ログリッチが最終日前日に逆転してマリアローザ…ジロ・デ・イタリア

第106回ジロ・デ・イタリアは5月27日、タルビジオ〜モンテルッサーリ間の18.6kmで第20ステージとして個人タイムトライアルが行われ、26秒遅れの総合2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がトップタイムで優勝。大会通算4勝目。

スロベニア国旗がログリッチを後押しする ©Marco Alpozzi/LaPresse

首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)は40秒遅れの2位。3位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は42秒遅れの3位。その結果、ログリッチが総合成績でトーマスを逆転。14秒差をつけてマリアローザを初めて獲得した。

前半の平坦路から上りに入る際に自転車を交換するログリッチ ©/LaPresse

ジャンプ選手時代にジュニア世界一になった思い出深い街で

タルヴィーズィオはイタリアの最も北東部に位置していて、ログリッチの生まれ育ったスロベニアの国境まで数kmほど。16年前の2007年、スキージャンプ競技の世界選手権がこの地で開催され、当時ジャンプのスロベニア代表だったログリッチがジュニア部門で優勝した場所でもある。コース沿道にはログリッチを声援するファンが押し寄せたのは言うまでもない。

第20ステージは今大会3度目の個人タイムトライアル。距離18.6kmで、標高752mから1766mまで上り詰める独特のヒルクライムだ。11km地点までは平坦だが、そこから一気に上りが始まる。そのため選手たちはスタート台から乗っていたタイムトライアル専用バイクから、ドロップハンドル形状のノーマルバイクに乗り換える作戦を取った。

グランツール最終日前日に設定されたヒルクライムタイムトライアル。ログリッチには忘れられない戦いがある。2020ツール・ド・フランス、ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユで行われた第20ステージだ。

エガン・ベルナルと激しい首位争いを展開していたログリッチは、同胞タデイ・ポガチャルがツール・ド・フランス初勝利した第9ステージで念願の首位に。第19ステージまでマイヨ・ジョーヌを着用し、初制覇を懸けて得意とする個人タイムトライアルに挑んだ。総合2位ポガチャルとの差は57秒あった。

ところがポガチャルの信じられない激走にあって、まさかの首位陥落。この日終わって59秒遅れの総合2位となり、ツール・ド・フランスの初タイトルを取り逃してしまった。そのときと今回は立場が異なった。追われるのはトーマス。ログリッチは追う立場だった。

最後から2番目に登場したログリッチは、この種目の東京五輪金メダリストでもある。3分前にスタートしたのは前走者がヤング・ライダー賞1位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)。アルメイダは最終日ローマでの表彰台はもちろん、マリア・ローザ獲得のチャンスもあり、中間計測ではトップタイム。

しかしこの日はログリッチがそれを上回る走りを見せた。上りに入って軽量バイクに乗り換えて軽快なテンポでログリッチが走った。トーマスとの前日までのタイム差26秒を上回ることがターゲットだった。

最終走者、マリアローザのトーマスが苦戦 ©Fabio Ferrari/LaPresse

ドラマがあった。上り坂の最も急な部分でログリッチのチェーンが脱落した。

「チェーンが落ちたが、自分で元に戻した。すべてを失うこともあったかもしれないが、それはレースの一部だった」

バイクで追走していたメカニックと沿道に居合わせた観客が、あまりの急坂でペダルを漕ぎ出せないでいたログリッチのお尻を押して再スタートをサポート。それは一瞬の出来事だった。

「チェーンが落ちたので、それを元に戻す必要があったけど、少しだけフリーな休息を与えてくれた。リズムを取り戻して走ることに集中しなくちゃいけなかったが、その余力は残っていた。でもリスタートする場所がとても急だったので、誰かが私を押すためにそこにいたのは幸運だった」

ログリッチはそれまでトップタイムのアルメイダを42秒も上回るタイムでゴール。そして最終走者トーマスがログリッチから40秒遅れた。その結果、ログリッチが総合成績でトーマスに14秒差をつけてこの大会で初めて首位に立つことになった。

「素晴らしい気分だ。信じられない。観客は私にプラスアルファのワットを与えてくれ、レースの雰囲気とエネルギーを楽しんだ。あと1日だね。最終日のコースは少しテクニカルなので、フィニッシュするまでレースは終わっていないと考えるのがよさそうだ」

ゲラント・トーマス、マリアローザを失った ©Marco Alpozzi/LaPresse

ログリッチのジロ・デ・イタリア区間優勝はこれで4回目だが、すべて個人タイムトライアルだ。2016年の第9ステージで初勝利。第1ステージではジャイアント・アルペシンのトム・デュムラン(オランダ)にコンマ1秒の僅差で2位になっていた。

当時のチーム名はロットNLユンボで、現在もチームメートであるステフェン・クライスヴァイクのアシスト役だった。クライスヴァイクはその大会の第14ステージでマリアローザを獲得。しかし第19ステージのフランス国境アニェッロ峠からの下り坂で落車。4分54秒も遅れ、首位を陥落した。傷だらけでゴールすると骨折の疑いがあるためブリアンソンの病院に直行した。

2016年のログリッチはアシストとして参加し、最終的に総合58位だった。

2019年ジロ・デ・イタリアは初日の個人タイムトライアルでログリッチが優勝し、マリアローザを着用した。第6ステージで首位を明け渡したが、第9ステージの個人タイムトライアルでも優勝。一時は総合優勝するリチャル・カラパスまで7秒差の総合2位に詰め寄っている。

最終的にログリッチは総合3位となり、その年の秋に開催されたブエルタ・ア・エスパーニャで初めての総合優勝を達成している。

「今回のジロ・デ・イタリアでの2回目のクラッシュからまだ5日しか経過していない。まだ少し影響はあったが、戦い続けた。痛みはあるけど、今日は勝つための脚があり、うまくいった。沿道の観客のおかげでできた。すべての人々のサポートを決して忘れないだろう。みんなが応援してくれているのを見て、鳥肌が立ち、涙が浮かんだ。私は結果をあまり気にしないようにした。ここまできた選手として信じられないほど誇りを感じている」

首位と総合2位の差はわずかに14秒だが、ジロ・デ・イタリアにはさらに僅差の記録が多い。1948年のフィオレンツォ・マーニとエツィオ・チェッキの差は11秒、1974年のエディ・メルクスとジャンバティスタ・バロンケッリとの差は12秒、そして1955年のマーニとファウスト・コッピとの差は13秒だ。

最終日前日にマリアローザを獲得したログリッチ ©Fabio Ferrari/LaPresse

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也は、全体の4番目でスタート。上りのタイムトライアルは得意としないので、10分54秒遅れながらフィニッシュ。第106回ジロ・デ・イタリアの完走をほぼ確実にした。総合成績は5時間19分06秒遅れの122位。

バーレーン・ヴィクトリアスはチーム賞部門で2位イネオス・グレナディアーズに16分22秒の大差をつけていて、翌日の最終日で総合チーム賞を獲得するのは間違いなくなった。

チームメートのジョナサン・ミラン(イタリア)は大会2日目に区間勝利して獲得したポイント賞ジャージを20区間守り抜いている。

山岳賞1位はティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)で、最終日のローマにゴールさえすれば山岳王が確定する。

逆転優勝に王手をかけた地は、スキージャンプのジュニア代表時代にログリッチが勝ったところだ ©Marco Alpozzi/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

大会2日目からポイント賞ジャージを着るミランがそれを守った ©LaPresse
山岳賞のティボー・ピノ。最終日のローマにゴールさえすれば山岳王になる ©LaPresse
新人賞1位、総合3位のアルメイダ ©Fabio Ferrari/LaPresse

第19ステージにもどる≪≪   ≫≫第21ステージにすすむ

2023ジロ・デ・イタリア第20ステージ・個人タイムトライアル出走リスト

5月27日に行われるジロ・デ・イタリア第20ステージは、総合成績をほぼ確定される個人タイムトライアル。距離18.6kmで高低差にして1000mを駆け上がるヒルクライムが設定された。

2023ジロ・デ・イタリア第20ステージのコースプロフィール

新城幸也は全体の4番目、11時33分(日本時間で18時33分)に出走する。トップ3はアルメイダが17時08分(日本時間で深夜零時08分)に、その3分後にログリッチ、さらに3分後にマリア・ローザのトーマスがスタートする。果たして総合優勝の行方は?

2023ジロ・デ・イタリア第20ステージの出走リスト(クリックすると拡大します)
2023ジロ・デ・イタリア第20ステージの出走リスト(クリックすると拡大します)
2023ジロ・デ・イタリア第20ステージの出走リスト(クリックすると拡大します)

頭が大きく見えないヘルメット、VITTが快適性をアップデート

オージーケーカブトがコンパクトフォルムを追求したシールド付きスタンダードモデル「VITT(ヴィット)」をリニューアルし、新色を投入した。税込み1万6500円。

G-4 マットブラックレッド

「VITT」は、国内頭部計測データに基づくラウンド形状で快適なかぶり心地と派手さを抑えたコンパクトフォルムの帽体を採用。ポタリングからレースまで幅広いシーンに対応。

新規カラーの発売にあわせて細部パーツをリニューアル

アイウェアとしても機能するシールドは「AR-5シールド」へと変更。従来のバックルに比べてあご紐が緩みにくい「アンチスリップバックル」を装備している。

G-4 マットブラックネイビー

今回追加するカラーは、バイカラーのG-4 マットブラックネイビー、G-4 マットブラックレッド。シンプルなワントーンのマットモノホワイト、マットモノブラック、マットアッシュネイビー、マットグレー、マットコヨーテ。

・国内頭部計測データに基づくラウンド形状で快適なかぶり心地で、ポタリングからレースまで幅広いシーンに対応。
・アイウェアとして機能する「AR-5シールド」を標準装備。
・オプションの「ARS-3シールド」も使用でき、目的や用途に応じてシールドを選択可能。
・あご紐のゆるみを軽減する、YKK株式会社と共同開発の「アンチスリップバックル」を装備
・ヘルメットとアイウェアの2役を果たす、これからのスタンダードスタイルとなるサイクルヘルメット。
・優れた安全性能を確保しながら、シェルとライナーの一体感を意識し、コンパクトで派手さを抑えた造形デザインを採用。
・サポート部分内面を球体形状とし、後頭部を包み込むようなフィット感を実現する新設計の「XF-8 アジャスター」を装着。
・「XF-8 アジャスター」は頭部形状や好みに応じて、上下4段階の調節を可能。
・虫などの侵入を防ぐ「A.I.ネット」を標準装着。

●オージーケーカブトの詳細ページ

ログリッチがトーマスから3秒奪って最終決戦へ…ジロ・デ・イタリア

第106回ジロ・デ・イタリアは5月26日、ロンガローネ〜トレチメディラバレド間の183kmで第19ステージが行われ、バーレーン・ヴィクトリアスのサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)が独走して、2022年に続く大会通算2勝目を挙げた。

コロンビアのサンティアゴ・ブイトラゴが天王山で独走勝利 ©Marco Alpozzi/LaPresse

総合優勝争いは首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)と2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が3位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)を突き放してゴール。

2023ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

ログリッチがゴール前でトーマスに3秒差をつけ、総合成績の差を29秒から26秒にして最後の山岳タイムトライアルに挑む。

ブイトラゴは2022年に続くジロ・デ・イタリア通算2勝目

トレ・チーメ・ディ・ラヴァレドはイタリア北部のドロミテ山塊にある象徴的な山岳だ。トレ・チーメはイタリア語で「3つのピーク」という意味を持つ岩山群で、最も高い真ん中のチーメは標高2999mだ。今回のゴール地点はそのトレ・チーメの麓にある道路で、標高2304mまで駆け上がる。

第13ステージで通過する予定だったグランド・サン・ベルナルド峠(標高2469m)が想定外の大雪と雪崩の危険性があるとしてカットされたため、大会最高峰の特別賞が懸かるチーマ・コッピはこのトレ・チーメ・ディ・ラヴァレドに変更された。

コースは中盤から2級、1級、1級、2級の山岳ポイントを越え、1級カテゴリーのトレ・チーメ・ディ・ラヴァレドにゴールする。獲得標高はなんと5400m。まさにクイーン・ステージと呼ばれるにふさわしい舞台だ。

総合優勝争いは前日の第18ステージで変化があった。1分にも満たない変化だが、終盤戦になってもこれだけ接戦を展開している今大会だけに、かなり大きな局面転換だ。18秒遅れの総合2位でマリア・ローザに届く位置にいたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が、総合1位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)、29秒遅れの総合3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)の2人から遅れを取ったのだ。

第19ステージのスタート時点でマリア・ローザはトーマス、総合2位に浮上したログリッチが29秒遅れ。総合3位に下降したアルメイダは39秒遅れだった。今大会の総合優勝争いはすでにこの3選手に絞られたといってもいい。

2023ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Marco Alpozzi/LaPresse

レースは快晴の中で125選手がスタートした。イスラエル・プレミアテックのデレク・ジー(カナダ)らが38km過ぎに仕掛けると、EFエデュケーション・イージーポストのマグナス・コルト(デンマーク)らが加わり、第1集団が形成された。ブイトラゴはメイン集団から抜け出して、57km地点で合流し、15選手の逃げが始まった。

176km地点でトップに立ったのが、今大会で積極的な走りを見せるジーだ。これを追ってブイトラゴが単独で追走集団から抜け出した。そしてトレ・チーメ・ディ・ラヴァレドの残り3kmでブイトラゴがジーを逆転。最後はブイトラゴがジーに51秒差をつけてフィニッシュした。ジーは今回の3週間で4回目の2位となった。

34年前の1989年ジロ・デ・イタリア、トレ・チーメ・ディ・ラヴァレドでは、コロンビアの伝説的ヒルクライマー、ルッチョ・エレラが優勝している。コロンビア勢が初めてステージ優勝したのはちょうど50年前のチョザス・ロドリゲスで、通算34回目の勝利となった。

「トレ・チーメ・ディ・ラヴァレドは、このジロ・デ・イタリアで最も重要なステージだ。ここでソロで勝つことは素晴らしい。勝つための脚があることは知っていたが、ハードな走りを余儀なくされた。有力選手を含むプロトンが後ろでなにをしているのかを理解するのは困難だった」とブイトラゴ。

「ジロ・デ・イタリアの前にたくさん働いてきたから、この日勝つことは僕にとってとても大事なことだった。これからは自分自身の走りをさらに改善していきたい。いつの日か総合成績で最高位を争える日が来ることを願っている」(ブイトラゴ)

ログリッチとマリアローザのトーマスが総合3位アルメイダを置き去りにする ©Fabio Ferrari/LaPresse

一方のマリア・ローザ争いは、ステージ優勝を狙うグループとは別の熾烈な戦いを繰り広げていた。最後のトレ・チーメ・ディ・ラヴァレドではトーマス、ログリッチ、アルメイダの3選手が残してきたパワーを出し合った。

ログリッチは残り2kmで仕掛けて、トーマスの反応を見た。さらに残り500mでアタックしたが、ライバルを引き離すことはできなかった。しかしフィニッシュ目前の50mでトーマスに余力がなくなった。ログリッチは先行していたコルトを追い抜いて3着のボーナスタイムを獲得することはできなかったものの、最後の瞬間にトーマスとの差を広げ、貴重な3秒を獲得。総合成績でログリッチはトーマスとの差を29秒から26秒に縮めた。

わずかな差ではあるが、これが翌日の山岳タイムトライアルでどうなるかは、24時間後でないと評価することはできないはずだ。

最大のニュースはアルメイダが再びわずかに離されたことだった。アルメイダはログリッチに23秒、トーマスに20秒の差をつけられてしまった。最終日前日の個人タイムトライアルは総合成績でトーマスから59秒遅れ、ログリッチから33秒遅れでスタートすることになる。

59秒という差は記憶に新しい。2020年ツール・ド・フランスの最終日前日、ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユで山岳タイムトライアルが行われたが、前日まで57秒遅れの総合2位につけていたタデイ・ポガチャルがログリッチを逆転。終わってみれば59秒差をつけてトップに立ったのである。

3年前の夏、ログリッチは最終日前日にマイヨ・ジョーヌを失ったことを忘れることはないだろう。

ゴール前でログリッチがトーマスに3秒の差をつけた ©Massimo Paolone/LaPresse

山岳ステージでマリア・ローザを死守したトーマスは、まずは安堵の言葉を発した。

「タフな1日だったが、アシストたちが本当によく走ってくれた。UAEチームエミレーツかユンボ・ヴィスマの選手がステージ優勝を狙うかもしれないと予想していたが、それは実現しなかった。

登りの多い長いレースだった。残り400mを走っているとき、フィニッシュまではまだ遠いと気づいたが、ジョアンからタイムを稼ぐことができたのでよしとした。明日のためにパワーをセーブすることにした。明日のレースは、今日の最後の500mよりも自分に合っていると思う。だから自分のことに集中して、できるだけ速く走ることをこころがけたい」

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也は、チームメートの勝利から43分20秒後、他のチームメート2人とポイント賞ジャージを着用するジョナサン・ミラン(イタリア)をアシストしながら一緒にフィニッシュ。制限時間内にミランをゴールさせたことで、ポイント賞の獲得に大きく前進した。またチーム賞も1位を守った。新城の総合成績は5時間08分37秒遅れの122位。

第20ステージは個人タイムトライアル。しかも距離18.6kmで、標高752mから1766mまで上り詰めるヒルクライムだ。

新城は全体の4番目、11時33分(日本時間で18時33分)に出走する。トップ3はアルメイダが17時08分(日本時間で深夜零時08分)に、その3分後にログリッチ、さらに3分後にマリア・ローザのトーマスがスタートする。果たして総合優勝の行方は?

マリアローザを死守したトーマス ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

第18ステージにもどる≪≪   ≫≫第20ステージにすすむ

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●レッドブルの詳細ページ

ザナがピノを制して初優勝、ログリッチ総合2位浮上…ジロ・デ・イタリア

第106回ジロ・デ・イタリアは5月25日、オデルツォ〜バルディゾルド間の161kmで第18ステージが行われ、チームジェイコ・アルウラーのフィリッポ・ザナ(イタリア)がグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)を制して初優勝した。

フィリッポ・ザナ(右)とティボー・ピノ ©Fabio Ferrari/LaPresse

ピノは第13ステージに続いて2着に終わったが、山岳賞争いでEFエデュケーション・イージーポストのベン・ヒーリー(アイルランド)を逆転してトップに立ち、山岳賞ジャージを奪還した。

首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)は29秒遅れの3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とともに、18秒遅れの2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)を突き放した。

トーマスが37歳の誕生日にマリアローザを守り、ログリッチがタイム差は変わらず29秒のまま総合2位に浮上した。アルメイダは39秒遅れとなり、総合3位に後退した。

2023ジロ・デ・イタリア第18ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

フィリッポ・ザナがティボー・ピノを制して初優勝

この日は5つの山岳ポイントが待ち構えるイタリア北部のドロミテ山塊が舞台。岩盤が針のように屹立する独特の景観を持つ、ジロ・デ・イタリア終盤戦の勝負どころだ。この日のコースはスロベニア国境に近く、ログリッチを応援するファンも沿道にひしめく。

レースは山岳賞1位のヒーリーら5選手が飛び出して戦いが始まった。ところがヒーリーの調子はよくなく、最後の峠で第1集団はユンボ・ヴィスマがペースメークするメイン集団に捕まってしまう。

すかさず飛び出したのが山岳賞ジャージをねらうピノ、ステージ初勝利を目指すイタリアチャンピオンのザナだ。8人となった第1集団は、いったんは30人ほどに数を減らした有力選手らの集団に吸収されるもの、山岳ポイントの獲得を目指すピノが再びアタック。5人の先頭集団となったが、ザナは再びここに加わっていた。

ここからピノの山岳ポイント量産が始まった。ゴールとなるヴァル・ディ・ゾルド以外の4つの山岳ポイントすべてを1着通過。大量にポイントを稼いで、山岳賞で一気に首位に立った。

逃げた5選手のなかで総合成績が最もいいのも6分48秒遅れの13位にいるピノだった。残り55kmでメイン集団との差は4分33秒で、逃げ切りの可能性が高くなり、逃げた選手らは活気立つ。総合成績の逆転も想定されることから、イネオス・グレナディアーズ、ユンボ・ヴィスマ、UAEチームエミレーツがその差を詰めていく。

ジリジリと有力選手がタイム差を詰めていく中で、最後の上りへ。先頭グループはバラバラになり、サバイバルレースとなった。ここからピノとザナの一騎打ちが始まった。最後は先行するピノをマークしたザナが冷静な走りで逆転してトップフィニッシュした。

2023ジロ・デ・イタリア第18ステージ ©Marco Alpozzi/LaPresse

「この機会を与えてくれたチームに感謝しなければならない。100%の状態でジロ・デ・イタリアに参戦することができた。今日は人生に何度かあるチャンスだったので、それをつかんだ。イタリア国旗のトリコロールジャージを着て勝つことは特別なことだ」とザナ。

「集団から飛び出した選手らに追いつかなければならず、それは簡単なことではなかった。ジロ・デ・イタリアでステージ勝利するのが夢であり、今回の栄冠がボクのキャリアの出発点になることを願っている。これまでの人生で最も美しい日の1つとなった」(ザナ)

負けたピノは敗北を認めている。

「一番強い人が勝ったということ。いい1日を過ごせたが、フィリッポ・ザナを突き放すにはちょっとしたコツが必要だった」

クラン・モンタナにゴールした第13ステージで、ピノはモビスターチームのエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア)、EFエデュケーション・イージーポストのジェフェルソン・セペダ(エクアドル)とのゴール勝負に挑み、ルビオに負けて2位に甘んじていた。

「この日のゴール勝負ではネガティブな考えになってしまい、第13ステージのことを思い出した。もう少し自分を信じていたら。小さな間違いを犯してしまった。でも、最悪の心理状況だった2日前にステージ優勝争いを再現しろと言われたら、無理だと思っただろう。明日の最後の山岳ステージで山岳賞ジャージを守らなければならない。ジロ・デ・イタリア最終日の表彰台に上がるのは夢だった。総合成績の表彰台には届かないが、山岳賞も悪くない」(ピノ)

ログリッチをマークするマリアローザのトーマス ©Fabio Ferrari/LaPresse

一方の後続集団はログリッチのアシスト役である・セップ・クス(米国)がペースアップすると、総合2位、ヤング・ライダー賞1位のアルメイダが遅れ始めた。それを見てログリッチがアタック。トーマスがそれに反応するが、アルメイダは着いていけず。アルメイダのアシスト役ジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が懸命にサポートする。

トーマスとログリッチは2人になると、追走するアルメイダを振り切るために協力。ザナとピノから1分56秒遅れてゴールした。最終的にアルメイダに21秒差をつけたことになる。

23日の第16ステージがマリア・ローザを獲得するための最初の戦いだったとすれば、この日は2回目の戦いだった。第16ステージではログリッチが脱落し、この日はアルメイダの番だった。この2人を1人ずつうまく利用したのがトーマスだと言っていい。

「プリモシュ、ジョアンとボクはかなり似ている。みんなそれぞれ悪い日を過ごした。そして明日はそれが私かもしれない。でも私は状況に左右されずに、ただしっかりと基本をやるだけだ」と37歳の誕生日にマリア・ローザを死守したトーマス。

「暑さもあり、とてもタフな1日で、最初の2週間とは全く違うレースのように感じた。確かにログリッチは今日とても強かった。でもそれは予想できていた。マリア・ローザを獲得することは私にとって大きなボーナスだ。私は37歳で、こんなことをしているよりもビーチにいるべき人間だ。これまでたくさんの転落期があったので、キャリア最高の瞬間を楽しむのも悪くはないけど」

首位トーマスは37歳、2位ログリッチは33歳。ジロ・デ・イタリアがこのまま終われば快記録が生まれるという。1955年に1位フィオレンツォ・マーニ34歳、2位ファウスト・コッピ35歳で合計69歳という年長記録を塗り替えるのだ。

ジェイコ・アルウラーのフィリッポ・ザナがティボー・ピノを制して優勝 ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也は34分57秒遅れの98位でゴール。総合成績は4時間27分06秒遅れの123位。最難関の第19ステージをゴールすれば、チーム賞1位の実績を下支えする走りで貢献しながら、目標とする完走を果たすことが確実となる。

そしてチームメートのジョナサン・ミラン(イタリア)は、第2ステージで手中にしたポイント賞ジャージを17日間もキープしている。

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

ピノが山岳賞ジャージを奪還 ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

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