リチャル・カラパス…東京五輪の金メダリストのストーリー

エクアドルのリチャル・カラパス(28)が2021年7月24日に開催された東京五輪男子ロードで2位に1分07秒差をつけた独走を決めて金メダルを獲得した。隣国コロンビアは自転車強豪国として定着したが、エクアドル勢は今回のレースでもわずか出場2人の新興国。カラパスの大躍進が母国の自転車シーンに強烈なセンセーションを巻き起こしている。

自転車をするために家族とともに隣国コロンビアに移住

カラパスが生まれたエクアドルはコロンビアの南西にあり、南米大陸で人口第7位の国。コロンビアと同様にスペインの旧植民地で、言語はスペイン語。そしてどちらにもアンデス山脈があり、標高3000mを越える山岳地帯にも人々の営みがある。有酸素運動の高い能力を備えた逸材を輩出する環境がある。

カラパスがエクアドル選手として初優勝。2018ジロ・デ・イタリア第8ステージ © Gian Mattia D’Alberto – LaPresse

南米大陸で最初に自転車レースが盛んになったのはコロンビアだ。1983年、ツール・ド・フランスが例外的にコロンビアのアマチュア選手で構成されたナショナルチームを出場させた。翌年には国営企業のカフェ・ド・コロンビアをスポンサーにして、針金のように細い四肢のルッチョ・エレラが最難関のラルプデュエズでステージ優勝し、1985年と1987年には山岳王になった。多くの国民が熱狂し、子どもたちが自転車レースを始めたのは言うまでもない。

カラパスが2019ジロ・デ・イタリア第4ステージで優勝 ©Fabio Ferrari/LaPresse

一方、エクアドル選手のツール・ド・フランス初出場は2020年のカラパスまで待たなければならなかった。高地で生まれたカラパスの周囲には自転車文化がなかった。2015年に自転車競技の盛んなコロンビアに家族とともに移住した。U25ブエルタ・ア・コロンビアで総合優勝したことが欧州チームの目にとまり、2016年のシーズン途中からスペインのモビスターに研修生として加入。2018年のジロ・デ・イタリア第8ステージで、カラパスが残り1kmからメイン集団を抜け出して初優勝して脚光を浴びた。

エクアドル選手がグランツールと呼ばれる三大大会で区間勝利したのは初めての快挙だった。

マリアローザのカラパスとアシスト役のランダ。2019ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

「ボクはジロ・デ・イタリアに初出場したエクアドル選手だけど、子どものころはこんなハイレベルのレースでこの位置で走れるなんて考えられなかった」とカラパス。

「母国に自転車文化がないのはちょっとさみしい。この勝利がきっかけとなって、エクアドルの子どもたちが自転車に興味を持ってくれるとうれしい」

2019ジロ・デ・イタリア総合優勝のカラパス ©Fabio Ferrari / LaPresse

そして2019ジロ・デ・イタリア第14ステージ。カラパスが独走を決めて、第4ステージに続いて2勝目、大会通算3勝目を挙げた。総合成績でもここで一気に首位へ。

「今日はエース選手の調子がよくなくて、ボクが首位をねらってアタックすることになった。自転車を始めた15歳の時からマリアローザは夢だった」

カラパスは最終的にエクアドル選手として初めて総合優勝した。中盤で首位に立った伏兵が最後まで逃げ切ったのは予想外だったが、「子どものころに抱いた夢は絶対に忘れちゃいけないんだ。決意をもって努力すれば現実になる」と語った。

2020ブエルタ・ア・エスパーニャで、ログリッチを振り切ろうとするカルパス ©PHOTOGOMEZSPORT2020

エクアドルの自転車競技界は選手層が厚いわけではなく、カラパスが唯一の存在。しかし母国では多くの人が快進撃に熱狂し、自転車レースへの関心が一気に高まったという。

イネオス・グレナディアーズに移籍した2020年はツール・ド・フランス初参加。2021年はチームエースとして走り総合3位。パリにゴールした6日後の東京で金メダルをゲット。身長170cmの小兵ながら、まったく疲れを知らない選手だ。

2020ツール・ド・フランス。ゴール後に健闘をたたえ合うポガチャル(左)とカラパス ©A.S.O. Charly Lopez

2024パリ五輪は参加可能な大会…マラソンと自転車に一般クラス

第33回オリンピック競技大会はフランスのパリで2024年7月26日(金)から8月11日(日)まで開催される。パリで夏季五輪が開催されるのは3回目、前回から100年ぶりの大会となるが、マラソンと自転車ロードレースでは五輪史上で初めて一般参加が可能となる。

マラソン、競歩、トライアスロン、マラソンスイミング、自転車ロードレースの会場となるイエナ橋 ©Paris 2024

新型コロナウイルス感染拡大というな困難な状況で、前代未聞の1年延期を余儀なくされた2020東京大会。ほとんどの試合が無観客開催を余儀なくされたが、2021年8月8日の閉会式でその大役を終え、五輪旗が次の開催地であるパリに引き継がれた。

サンドニにあるスタッドフランス改め「スタッドオランピック」が開閉会式、陸上競技、ラグビー会場となる ©Paris 2024

パリ大会では若い世代の熱意にふさわしい新たな五輪モデルを具現化するダイナミックなスポーツとして、ブレイクダンスの競技形態であるブレイキンが新たに加わり、正式競技数は32に。BMXフリースタイルは継続され、スポーツクライミングは種目数が増える。

2024パリ五輪のピクトグラム
2024パリ五輪の競技会場
2024パリ・パラリンピックの競技会場

地域社会とのつながりを取り戻し、より多くの人たちと大会を共有するという精神のもと、マラソンと自転車ロードレースに一般参加が導入される。一般ランナーやサイクリストがメダルレースと同じ日、同じコース上でオリンピアンが激闘するコースを体験できるというもの。

2020東京五輪の閉会式に合わせてトロカデロ広場にバトンタッチで涌くパリ市民が集まった ©Flora Meteyer
2024パリ五輪招致活動時のロゴ ©Philippe Millereau / KMSP / DPPI

競技の舞台は従来のスポーツ会場だけでなく、エッフェル塔の下でのビーチバレー、廃兵院として作られたアンバリッドで行われるアーチェリー、ルイ16世やマリー・アントワネットが断頭台の露と消えたコンコルド広場のBMXフリースタイル、グランパレでのフェンシングとテコンドー、ベルサイユ宮殿の馬術などスポーツと文化遺産を融合させる。

自転車ロードのメイン会場はエッフェル塔横、セーヌ川にかかるイエナ橋。ツール・ド・フランスと同様にパリの象徴であるシャンゼリゼ通りを走る。このパリ五輪開催にともなって、ツール・ド・フランスは通常の開催日程から1週間前倒しするスケジュールになることが想定される。

1904年から1966年までツール・ド・フランスの最終ゴール地点だったパルクデプランス自転車競技場はサッカースタジアムとなり、五輪でもサッカー競技が行われる ©Paris 2024
サンカンタン・アン・イブリーヌのベロドロームナシオナル ©Paris 2024
ベルサイユ宮殿では馬術と近代五種の馬術種目が行われる ©Paris 2024
アンバリッド旧廃兵院はアーチェリー会場 ©Paris 2024

近代五輪の歴史の中でフランスが重要な位置を占めているのは、国際オリンピック委員会(IOC)を設立したフランスの教育者・歴史家のピエール・ド・クーベルタン(1863〜1937)の存在が大きい。1894年にパリのソルボンヌ大学で開催した会議で、4年に1度、古代スポーツでなく現代スポーツのプログラムで五輪を開催することが決定された。

世界有数の観光大国でありながら、コロナ禍により海外からの集客を積極的に発言できないジレンマ。2024パリ五輪はコロナに勝利するための絶対的な理念が求められる。

五輪を生んだ国が成熟期を迎え、また新たな改革を世界最大のスポーツイベントにもたらすことは時の流れでもある。

イエナ橋の夜景。エッフェル塔に隣接するシャンドマルスには柔道とレスリングの会場がある ©Paris 2024

●2024パリ五輪の公式ホームページ

パリ郊外のル・ゴルフ・ナショナルで伝統の対抗戦…2024パリ五輪でも会場に

NHKの2020東京五輪自転車競技の見逃し配信

東京五輪の自転車競技の模様は民放テレビ局によるインターネットでのオリンピック公式競技動画配信サイト「gorin.jp」で配信されたが、NHKの東京2020オリンピック特設サイトで「見逃し配信」として視聴できる。

ベルギービールウィークエンドは大阪と日比谷も中止

ベルギー産の多様なビールをこれにマッチした料理とともに楽しめるアウトドアイベント、ベルギービールウィークエンドは、大阪と東京の日比谷での開催日程を調整してきたが、新型コロナウイルス感染が収束しないことから開催を断念した。

多様なベルギービールはおみやげとして持ち帰ることもできる

2021年のベルギービールウィークエンドは名古屋、大阪、横浜、東京の日比谷と豊洲で開催を計画していた。名古屋は当初の予定から延期されたが終了。同じく開催を延期した横浜、そして東京の豊洲は引き続き開催日程を調整していく。

●ベルギービールウィークエンドのホームページ

ペダルを漕がない自転車レースの日本予選大会は中止

レッドブルUCIパンプトラック・ワールドチャンピオンシップ2021を主催するレッドブルは、8月29日に福島県相馬郡の「しんちパンプトラック」で予定していた日本予選を、公衆衛生の状況と政府や自治体による対策に応じて中止した。

UCI公認の世界選手権となったパンプトラック ©Dan Griffiths / Red Bull Content Pool

ペダルを漕がない自転車レースの世界選手権、Red Bull UCI Pump Track World Championship(レッドブルUCIパンプトラック・ワールドチャンピオンシップ)は10月にポルトガルのリスボンで開催される予定。その日本予選として開催する計画で、7月21日から募集が始まっていた。参加料は全額返金されるという。

レッドブル・パンプトラック世界選手権を走る榊原爽 © Ryan Fudger / Red Bull Content Pool
ペダルを漕がない自転車レース…世界選手権代表選考会開催

レッドブルUCIパンプトラック・ワールドチャンピオンシップのホームページ

フレームバッグにシートチューブのボトルに干渉しにくいミディアム新登場

R250 フレームインナーバッグ ミディアム アーガイル リップストップ ブラックがワールドサイクルから発売された。最も脚に当たりにくいデッドスペースを利用したバッグで、シートチューブのボトルに干渉しにくいミディアムサイズが新登場。

走行中にさっと中身を取り出せる便利ポケット。撥水効果と耐摩擦性能の高い4層構造のアーガイルリップストップ生地を採用。スマホや携帯工具、財布やカメラ、予備バッテリーや補給食、自撮り棒やミニ三脚などを入れるのに便利。右側のジッパーがメインの荷室用、左側のジッパーは薄めのポケット。iPhone12がちょうど収まる。

トップチューブの前側2本のベルトと、ダウンチューブに取り付けるベルトの位置は、調整可能。トップチューブバッグのベルトとの干渉を避ける仕様だ。リフレクター付き止水ジッパーを使用しているので、少しの雨なら大丈夫。ジッパーの取っ手は指を入れるだけで引っ張ることのできるタイプ。特に冬のグローブで便利。

R250 フレームインナーバッグ ミディアム アーガイル リップストップ ブラック

あえて硬い芯材をどこにも使っていないことも特徴。小さいフレームにもクシュっとつぶれることで、取り付け可能。ダウンチューブに取り付けたボトルの飲み口と多少当たっても大丈夫。予備バッテリーを入れたときに便利な、コードを通す穴がある。

ハンドルやステムにマウントしたスマホやサイコン、ライトなどを給電しながら使用できる。撥水効果と耐摩擦性能の高い、4層構造のアーガイルリップストップ生地を採用。使い勝手を考えて、中の仕切りはあえてない。中身が見えやすいように内張は黄色。

素材:アーガイルリップストップ
サイズ:長さ360mm x 高さ130mm x 幅45mm
素材自体が柔らかいので、多少小さめのスペースにもキュッと入る
重量:120g
販売価格:5720円(税別)
●ワールドサイクルのホームページ

中身が見えやすいように内張は黄色

半年前に発売したラージサイズも

■R250 フレームインナーバッグ アーガイル リップストップ ブラック
サイズ:長さ430mm x 高さ110mm x 幅45mm
重量:162g
販売価格:5940円(税込)
●ワールドサイクルの通販ページ