フランスのステージレース、ツール・デュ・ロワールエシェールは4月13日、第3ステージが行われた。急坂や未舗装区間が含まれる難コースでキナンサイクリングは新城雄大の73位が最上位。レース終盤に苦戦を強いられ、トップから3分以上の差をつけられた。出走4選手はいずれもフィニッシュして次のステージへと駒を進めていて、残り2日間での雪辱を誓う。
冷雨の中でのレースとなった前日の第2ステージ。雨乞竜己がスプリントを狙って臨んだが、寒さと序盤からのハイスピードの影響もあり上位進出は果たず。とはいえ各選手がステージを終えるごとにコンディションを上げていて、大会中盤以降のステージに期待をふくらませる1日でもあった。また、このステージで椿大志がリタイア。残るステージを4選手で戦う。
第3ステージは、ドゥルエ(Droué)からバンドーム(Vendôme)までの178km。前半と後半にそれぞれ1カ所ずつ山岳ポイントが設定され、終盤はバンドームの周回を約2周走ってフィニッシュ。周回コースは途中、短いながらも勾配8%の上りがあるほか、未舗装区間も登場。例年このコースでプロトン(メイン集団)全体が活性化していて、今回も個人総合成績を視野に入れたレースが展開されると予想された。キナンチームとしては、これまでのステージ同様逃げのチャンスをうかがうほか、周回コースでは好位置から勝負できる状況を作り出せるよう意識して臨む。
そして迎えたスタート。序盤に2選手の逃げが決まり、キナン勢はいずれもメイン集団に待機。次なる展開へと備える。山岳ポイントの上りなど、要所ではしっかりと前方を確保し、大きな変化にも対応できる態勢を整えていく。逃げとメイン集団とは最大で約7分30秒の開きとなるが、有力チームを中心にペースをコントロール。キナン勢もそれに合わせる形で淡々とレースを進行させた。
後半に入ると、メイン集団は逃げを本格的に追い始めたほか、終盤の周回コースを意識してペースが少しずつ上がっていく。キナン勢も集団内でのポジションを上げ、好位置で勝負できる状況が見えてくる。しかし、残り30kmから立て続けにトラブルが発生。中西健児がホイールトラブルでバイク交換し、後方からの追い上げを余儀なくされる。さらには、位置取りが激しくなった集団内の各所で落車が次々と発生。これでスピードダウンを強いられ、クラッシュを免れた選手たちとの差が広がっていく。強い横風も相まって、キナン勢の前方復帰は厳しい展開となってしまった。
新城が第2集団で、中西、雨乞、塚本一樹の3人は第3集団でバンドームの周回コースへ。先行する選手たちへの合流はかなわなかったが、4人ともフィニッシュを通過して次のステージへとつなげた。総合争いを含め、プロトン全体が激しい動きとなることを見越し、このステージに集中力を高めていたキナン勢だったが、この大会の厳しさや難しさを痛感する1日となった。それでも、ステージを追うごとに集団内でのポジショニングや、勝負を意識した動きに手ごたえをつかむなど、選手たちは徐々にヨーロッパレースに適応しつつある。あとは、限られた機会の中でチャンスを作り、それを生かせるかにかかってきている。
14日に行われる第4ステージは、ブレ(Bourré)を発着する183km。スタート直後から山岳カテゴリーに含まれない急坂をこなすなど、終始アップダウンが繰り返されるコース設定。前半には最大勾配18%の山岳ポイントを2回通過するほか、後半にも2カ所の山岳ポイントが控えていて、今大会のクイーンステージ(最難関区間)と目される。キナン勢はいずれも総合争いからは遅れてしまったが、サバイバルが予想される中でどれだけレースを動かせるがポイントになる。
ツール・デュ・ロワールエシェール第3ステージ結果(178km)
1 トニー・ユレル(フランス、ソジャサンエスポワールACNC) 4時間16分54秒
2 ヨナス・ヴィンデゴール(デンマーク、チームコロクイック) +0秒
3 アスビョルン・クラフ(デンマーク、チームヴィルトゥサイクリング)
4 ヨセフ・チェルニー(チェコ、エルコフ・アーサーサイクリングチーム)
5 エミールナイゴール・ヴィニェボ(デンマーク、チームコロクイック)
6 アレクサンダー・カンプ(デンマーク、チームヴィルトゥサイクリング)
73 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分15秒
94 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +5分6秒
95 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
117 中西健児(KINAN Cycling Team)
個人総合時間
1 トニー・ユレル(フランス、ソジャサンエスポワールACNC) 13時間5分55秒
2 ヨナス・ヴィンデゴール(デンマーク、チームコロクイック) +4秒
3 アスビョルン・クラフ(デンマーク、チームヴィルトゥサイクリング) +5秒
4 エミールナイゴール・ヴィニェボ(デンマーク、チームコロクイック) +8秒
5 アレクサンダー・カンプ(デンマーク、チームヴィルトゥサイクリング)
6 ヨセフ・チェルニー(チェコ、エルコフ・アーサーサイクリングチーム) +10秒
77 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分25秒
105 中西健児(KINAN Cycling Team) +5分16秒
120 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +8分3秒
125 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +8分53秒
ポイント賞
1 ヨヒム・アリエセン(オランダ、メテック・TKH コンチネンタルサイクリングチーム) 21pts
山岳賞
1 ピエール・テラソン(フランス、CR4C ロアンヌ) 10pts
ヤングライダー賞
1 ヨナス・ヴィンデゴール(デンマーク、チームコロクイック) 13時間5分59秒
52 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +8分49秒
チーム総合
1 チームコロクイック 39時間18分34秒
25 KINAN Cycling Team +15分55秒
塚本一樹のコメント
必要に応じてチームカーへ下がることや、集団の前の方で動くことなど、高いレベルのレースで必要な技術を学びながら走ることができている。今後はこうした動きからチームに貢献できるよう精度を上げていきたい。勝負に加われるようになるためには、瞬発的な動きを鍛えていく必要があると感じている。第4ステージでは集団の前方を確実に押さえて周回コースに入りたい。それができれば上位争いも見えてくると思う。
新城雄大のコメント
前半から常に前が見える位置をキープして、重要な局面での動きに備えていた。ペースの上がった後半も(中西)健児さんと連携できていたが、周囲で落車が続いたことでポジションを下げてしまったのと横風の影響で、集団復帰ができないまま周回コースに入ることになった。終盤まではよい動きができていただけに、悔しいレースになってしまった。前の方で走り続けられればどんなレースができるのか、というのは個人的にも興味がある。第4ステージは逃げへのトライも含めて、ステージ優勝を狙って走りたい。チームとしてもこの大会で存在感を示すことができていない。残るステージで何としてもアピールしたい。
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