クロフォードと中西が残り10kmでアタック…ツール・ド・コリア第2ステージ

キナンサイクリングが出場しているツール・ド・コリア第2ステージが5月31日、天安から栄州までの202.6kmで争われた。キナンはメイン集団に2人が残り、集団スプリントでフィニッシュ。チーム最高位はトップと同タイムでフィニッシュしたジャイ・クロフォードの28位だった。椿大志はレース中盤で落車し、鎖骨の骨折などの負傷によりリタイアとなった。

ツール・ド・コリア第2ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Naoi HIRASAWA

高層ビルや巨大な施設が並ぶ都市から、山あいの小さな町を目指す200km超の大会最長ステージ。26.3km地点に登坂距離4.0km、平均勾配6.1%の山岳、108.6km地点には3.3kmで平均6.9%の上りが設定された。アップダウンはあるが、終盤は平坦が多く残り1kmはやや下り基調でゴールスプリントが予想されるコース。キナンとしては第1ステージでは連携してスプリントに臨めていただけに、よりよいリザルトにつなげたいところだ。

正式スタートが切られると椿がファーストアタックに反応し積極的な姿勢を見せる。5選手が抜け出しかけたが、交通規制が不十分な区間があるとしてフィニッシュまで198km地点でレースが一時中断。交通規制できていない区間があったため。逃げはリセットされ安全に走行できる区間まで速度を落とし、ニュートラル規制のもと走行。2kmほど進んだ地点からレースが再開した。

すると、再開と同時に椿がアタックを仕掛けた。これに続いた2選手とともに集団から抜け出し、逃げを試みる。1kmほどもがいた椿らだったが、残念ながら集団に吸収。そのカウンターで飛び出した3選手が集団からリードを奪い、逃げ集団を形成した。

逃げ集団は1つ目の山岳を問題なく越え、集団も約4分ほどのリードを与えながらペースをコントロールするシンプルなレース展開となった。しかし、この山岳で椿がメイン集団から遅れ、単独で追う形に。懸命の追い上げにより平坦区間で合流し、その後は補給などでアシストもこなしたが、2つ目の山岳へ向かう途中で落車。鎖骨骨折などの負傷により救急車で運ばれてリタイアとなった。椿は治療を受けレース後にチームに合流。大会期間中にチームを離脱し帰国する予定だ。

2つ目の山岳に入ると、逃げ集団ではメカトラブルにより1人が脱落。さらにポイントになったのはKOMから下った後に再び現れる厳しい上り。ここでメイン集団からかなりの人数が振るい落された。KOMまでで脚を使っていた雨乞もここで脱落。20人ほどの集団でフィニッシュを目指した。この厳しい上りを越え、メイン集団は逃げていた2人を吸収。先頭は60人強の集団となった。そのままゆるやかなアップダウンが続く高速道路を進み、残り約11kmの地点で、クロフォードがアタックし集団から飛び出した。

前日に落車したとは思えない力強い走りで約2kmにわたって独走。さらにブリッジを試みた選手の動きに中西が反応し、クロフォードに合流を果たした。キナンとして有利に運べる状況を作れたかに思えたが、そのまま逃がすことをメイン集団が許さず、強烈な追い上げを受けて吸収されてしまった。不発に終わったが、集団内に残った2人が効果的な連携を見せたシーンだった。

そのままメイン集団から抜け出せた選手はおらず、勝負は集団スプリントに委ねられた。キナン勢は優勝争いには絡めず、クロフォードが28位、中西が39位でフィニッシュした。雨乞は20分42秒遅れの98位で次のステージに駒を進めた。

翌日の第3ステージは栄州をスタートし北に位置する旌善にフィニッシュする192.4km。2つの山岳が設定され、中盤から終盤にかけて険しい上りが連続するため、今大会で最も厳しいコースといえそうだ。3人で挑むこととなったキナンだが、どこまでメイン集団に残って戦えるか、試練の1日となる。

ツール・ド・コリア第2ステージ結果(202.6km)
1 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 4時間58分47秒
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +0秒
3 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム)
4 セオ・ジュンヨン(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング)
5 パク・サンフン(韓国、LXサイクリングチーム)
6 ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
28 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team)
39 中西健児(KINAN Cycling Team)
98 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +20分42秒
DNF 椿大志(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 チョウ・ヒョンミン(韓国、グンサン・インサム チーム) 9時間17分39秒
2 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +1秒
3 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +6秒
4 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +9秒
5 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +12秒
6 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +13秒
34 中西健児(KINAN Cycling Team) +19秒
56 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team)
94 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +21分1秒

ポイント賞
1 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 24pts

山岳賞
1 クォン・スンヨン(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング) 20pts

チーム総合
1 イスラエル サイクリングアカデミー 27時間53分45秒
19 KINAN Cycling Team +20分51秒

中西健児

中西健児のコメント
2つ目の山岳はゆっくり上って最後にペースが上がり、そんなに激しい感じではなかった。KOMを越えた後の山がポイントかなと思っていて、動けるように前で展開した。そこで集団の人数が減り、ウィリエールのスプリンターが遅れたので、スプリンターのいる他のチームがペースを上げ終盤はすごく速くなった。椿さんが落車、雨乞さんが遅れて最後は2人だったが、残り15km、10kmあたりのアップダウンでジャイさんと2人で動けた。脚を残していたので、うまく“当たり”の逃げを引いてタイム差をつけてゴールできればと思っていたが最後はスプリントになって安全にゴールした。ジャイさんに合流した場面は他の選手についていくだけで追いつけた。3人だとまずいので集団につかまってしまったが、いい形がつくれたと思う。5時間走ったわりには脚を残せている。そこまで追い込んだわけではないので、明日以降も展開を見ながら強いチームの動きに合わせてチャレンジしたい。

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