ピレネー山脈初日の山岳ステージは、ミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツ(英国)が3選手によるゴール勝負を制して初優勝。首位のマイヨジョーヌを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)ら総合成績の上位選手は9分35秒も遅れたが、この日先着した選手はすでに大きく遅れていて、アラフィリップらの順位に変動はなかった。
サイモン・イェーツが総合成績での遅れを利して初優勝
サイモン・イェーツは2018年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝。ジロ・デ・イタリアでも区間2勝している強豪だが、前日までに1時間08分19秒も遅れていた。一方、双子の弟アダムは1分47秒遅れの総合7位の位置につけている。
序盤に形成された第1集団にサイモンではなくてアダムが加わっていたら、後続のメイン集団は逃げを容認しなかっただろう。サイモンはすでに総合優勝争いから陥落した存在であるからだ。ただし総合成績で遅れている選手は、後続が執拗に追いかけないことからステージ優勝する可能性は高くなる。サイモンはその状況をうまく利用した。
ステージ優勝争いは最後に3選手に絞り込まれ、かつてはトラック選手だったサイモンがスプリント力を発揮して優勝。これでグランツール(三大ステージレース)のすべてで勝ったことになる。
「他の2選手にどうやって勝つか分からなかったが、監督から最後のコーナーを先頭で曲がってゴール勝負しろという指示を受けた。それがうまくいったよね」とサイモン。
サイモンのもうひとつのねらいは弟アダムを休ませることだった。兄が逃げていることで、弟は追走する義務から解放される。他選手の後ろに位置して体力を使わずにゴールできる。翌日は大会唯一の個人タイムトライアルが控えている。それを念頭にした他の有力選手も積極的な走りは見せなかった。
「この日はとても奇妙な役割だった。ボクはこの大会でアダムを山岳でアシストするのが仕事。でも今日はメイン集団を抜け出して先行し、そして勝利をものにできた。チームメートのダリル・インピーが第9ステージで勝って以来、チームの雰囲気は最高だ」
双子の中ではサイモンのほうがグランツールでの実績を持つが、今年の大会はアダムがまずまずの位置につけて本格化する総合優勝争いに加わった。兄の献身的アシストで上位進出も期待できる。
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
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