巡礼地ルルドで健康でいることの幸せを再確認する

ツール・ド・フランス取材者日記。ポーはパリに続いてツール・ド・フランスがよく訪問する都市です。この避寒地がゴールやスタートになること、今回で71回目。40kmほど離れたタルブやルルドが発着点となったときもチームや関係者の多くが宿泊するのはポー。それだけ自治体としても裕福であり、自転車競技に好意的な町なのです。

イネオスのチームスタッフがタイムトライアルの準備中

で、ボクはポーには宿泊せず、30年前から40kmほど離れたルルドに宿を取ります。ルルドは世界中からカトリック信者が集まるのでホテルにはこと欠きません。毎年2〜3泊はしているので、最終日に1泊しかしないパリの滞在よりも多いですね。

これまでは駅近くのイビスホテルか、ちょっと離れたルーブル系の大手チェーンを利用していましたが、1年前に案なりこだわる必要もないなと考え直して、グロット(奇跡の泉がわき出る教会)の近くにある4つ星ホテルに変更。イタリア系のホテルで、レストランの食事もフランス国内のイタリアンにしてはそれほど悪くない味です。

洗濯しながら原稿を書いてます。なんと小銭不要でカードが使えた。コインランドリーはフランス語でラブリー

今回のポーのステージは大会唯一の個人タイムトライアル。ポーがゴールになるときはプラスボーモンにある劇場が必ずサルドプレスになります。歩いていけるホテルにはイネオス(旧スカイ)が必ず宿泊。個人タイムトライアルのスタート地点に近いので、直前まで部屋にいられたりして有利ですよね。

こうして個人タイムトライアルは滞りなく終わり、帰路はもう何十回も通っている県道を走ってルルドのイタリア系ホテルへ。この日は日本から自転車イベントの関係者が4人視察にやって来ていたので、ホテルのイタリアンで夕ごはん。久しぶりにお一人様ディナーではなく、心の底から楽しめました。

深夜零時の閉門ギリギリに聖なる泉へ。不治の病に冒された人が神にすがる場所です

食事が終わったあとは巡礼の行われている大聖堂へ。24時閉門なのでギリギリでしたが、聖なる泉がわき出ているところには病魔の救いを求める人たちが集まり、祈りを捧げていました。24時ギリギリに門を出てホテルへ。 今年も自分の身ならず家族や友人を含めてみんなが健康で仕事やサイクリングを続けられることの幸せをかみしめたのです。

少女ベルナデットが聖母マリアを見たという岩の割れ目に奇跡の泉が出ています。健康であることのありがたさを確認

🇫🇷第13ステージのレースレポート
🇫🇷ツール・ド・フランス関連ニュース一覧
🇫🇷2019ツール・ド・フランス特集トップページにもどる
ツール・ド・フランス公式サイト

第12ステージにもどる≪≪   ≫≫第14ステージにすすむ

山本幸平11度目V、今井美穂2連覇…全日本MTB選手権

第32回全日本マウンテンバイク選手権大会が7月20、21日に秋田県仙北市のたざわ湖スキー場、秋田県立田沢湖スポーツセンターで開催され、五輪種目のクロスカントリーは男子エリートが山本幸平(Dream Seeker Racing Team)が5年連続11度目の優勝。女子エリートは、今井美穂(CO2bicycle)が2連覇した。

男子エリートをスタートする山本幸平 ©2019 JCF
男子エリートは山本幸平が5年連続11度目の優勝 ©2019 JCF
男子エリートを制した山本幸平(中央) ©2019 JCF

男子エリート優勝の山本幸平のコメント
「勝たないといけないプレッシャーがあるなかで、今までで1番リラックスして挑めた。世界選手権やワールドカップでトップ10を取るのが目標。アジア人でもできるというのを見せたい。オリンピックに向けてはまだまだ長い戦いがあるので、それだけを考えすぎないで、一番を楽しんで自分がやれることをやっていって、5月の段階で決まれば、自国開催でもあるので調整できる自信はある」

女子エリートは今井美穂(CO2bicycle)が2連覇 ©2019 JCF
女子エリートを制した今井美穂(中央) ©2019 JCF

●日本自転車競技連盟のホームページ

商売道具忘れる! ちょっとの不注意でトホホの1日に

ツール・ド・フランス取材者日記。この日はトゥールーズからピレネーのふもとバニェールドビゴールへ。よく登場する町なのでゴールやサルドプレスの位置、ビュフェに用意される地元特産物のおいしさもよく知っている。移動距離も勝手知ったるA64高速を160km走れば到着する。意外と楽な1日のはずでした。

スタート地点は日本が初出場した1998サッカーW杯でチケット騒動のあったトゥールーズのサッカー場

はずでした…。いわあ、ほんのちょっとの不注意でトホホの1日になろうとは。

トゥールーズはピレネー山脈の玄関口という話は前日にご紹介しました。ポーやルルドに向かうとき、3日ほどしてポーやルルドから戻るとき、トゥールーズとポーを結ぶA64高速を使います。

高速道路がレンガ造りの橋をくぐる場所があって、それがとても印象に残っています。30年間で何回くぐったのだろう? 少なくとも年に2回。多いときはもっとですね。そして2019年、とある事態で1日にして3回くぐることに。そのわけは…。

この日は空港へのお迎えもあって、イタリア系ホテル到着後はカルボナーラだけ頼んで休肝日

関係車両でたまにゴールに背を向けて走ってくるクルマとすれ違うんですが、あれはいったいなにがしたいのかと不思議に感じていました。ところがボクがそれをするハメに。

スタート地点からA64高速を順調に160kmの距離を走ってゴールのサルドプレスに到着。さあ仕事をするかとパソコンなど一式が入ったバッグを探したら、いつもの後部座席にないんです! まさか盗難? 最後の望みであるトランクを開けるのですが、そこで見つからなかったときの絶望感。

なんか焦るというより放心状態に。落ち着いて考えてみたらホテル出発時にバッグを積み込んだ記憶がない。ホテルに忘れたことを確かめるために電話をかけたら「戻ってきなさい」という。クルマのトランクには予備のパソコンがあるのでそれでとりあえず原稿が書けるのではとも考えたんですが、やはりパソコンを手元に戻さないと落ち着かない。

バニェールドビゴールのスパ。こういうところでのんびりするはずだったのに ©Thébault

160kmを素直に折り返しました。自分の不注意なので文句も言えません。いつもホテルの部屋を出るときはベッドシーツをもとどおりにして、すべてを指さし確認して忘れ物がないかをチェックするんですが、この日はそのルーティーンが異なりました。

ホテルから離れたところの地下駐車場にクルマを置いていたので、そこまで荷物を運ぶのは大変。だからあらかじめ荷物をパッキングして、クルマでホテル前まで戻ってきて、部屋に荷物を取りに行ってチェックアウトしようと。ところが衣類の入ったバッグは持ったんですが、ベッドの上に置いた商売道具を忘れました。

ほんの少しの注意力があれば回避できたこと。武勇伝にもなりません。トゥールーズとポーを結ぶ高速を1往復半。レンガ造りの橋は3回くぐりました・この日は結局600kmを走って疲労困憊に。ホテルのお姉さんが見覚えのあるバッグを手渡してくれたときは本当にうれしかったことを考えて、クヨクヨしないことに決めました。

🇫🇷第12ステージのレースレポート
🇫🇷ツール・ド・フランス関連ニュース一覧
🇫🇷2019ツール・ド・フランス特集トップページにもどる
ツール・ド・フランス公式サイト

第11ステージにもどる≪≪   ≫≫第13ステージにすすむ

フルームが繰り上がり総合優勝…2011ブエルタ・ア・エスパーニャ

2011ブエルタ・ア・エスパーニャで13秒遅れの総合2位だった英国のクリストファー・フルーム(当時スカイ、現イネオス)が同大会の総合優勝者となった。総合1位だったフアンホセ・コボ(スペイン)が不正薬物使用の嫌疑に関して意義申し立てをしなかったことで失格が決定となり、フルームが繰り上がって優勝者となった。

2011ブエルタ・ア・エスパーニャ最終日の表彰台。中央がコボ、右がフルーム、左がウィギンス ©Unipublic

これによりフルームは、2012年に総合優勝したブラッドリー・ウィギンスに代わってブエルタ・ア・エスパーニャを初めて制した英国選手となった。

2011ブエルタ・ア・エスパーニャでフルームがアタック ©Unipublic

フルームのグランツール優勝はブエルタ・ア・エスパーニャ(2011、2017)、ジロ・デ・イタリア(2018)、ツール・ド・フランス(2013、2015、2016、2017)の合計7勝となった。

2011ブエルタ・ア・エスパーニャのフルームとコボ ©Unipublic
リーダージャージのコボをフルームがマークする ©Unipublic
2011ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝したフルーム ©Unipublic

●ブエルタ・ア・エスパーニャのホームページ

トゥールーズ…これほどまで魅力的な町だとは

ツール・ド・フランス取材者日記。トゥールーズはピレネー山脈の玄関口なので、環状線なら毎年、ピレネーに向かうときに1回、ピレネーから帰ったときに1回、つまり2回は走る。だからこれまでのツール・ド・フランス取材で50回は訪問したことがあります。

キャピトル広場に面したレストランのテラス席。向こうに見えるのは荘厳な市庁舎

と、トゥールーズ観光局の担当者に豪語したら、「でもあなた、中心街は来たことないわよね」と見破られました。そんなお話から発展し、この日の宿はトゥールーズ観光局が提供してくれることに。ありがたい限りです。

トゥールーズがツール・ド・フランスを歓迎してくれた

そんな出会いがあったので、初めてトゥールーズの街中を歩いてまわったのですが、レンガ造りの建造物が落ち着いたピンク色をしていて、「バラ色の町」と呼ばれるほどの美しさを目撃。まだボクなんてフランスの知らないところがいっぱいあることを再確認させられました。

レンガ造りの建造物に見とれ、ガロンヌ川に出てみると夏の夕日を見ながら友だちや恋人とくつろぐ人たちが多くいました。路地を含めてとても魅力的で、おいしそうな飲食店が点在します。

レンガ造りの建物がバラ色に映える

名物にはフォアグラ、鴨のマグレ、カスレ、トゥールーズのソーセージ、ワインはフロントン、ガイヤック、アルマニャックなど。ロックフォールやピレネー産トムチーズ。スミレのお菓子などがあるそうです。

意外とインド料理が多かったのですが、せっかくなので地元料理のお店を探してウロウロ。路地裏にある小さなお店を見つけて外にあるテーブルで幸せな夕ごはんをいただいたのです。

キャピトル広場のファサード

コンパクトな中心街なので歩いてどこにでも行けるのが魅力。翌朝にはGPSデバイスを起動して前日に歩いたルートをデータ記録。こうして保存しておけばお店がどこにあったかも推測できるからです。

パリよりある意味スゴい町で、パリよりも落ち着いていて。温暖な気候で。街の雰囲気に南フランスの人々の真面目で温かい気質が表れていて、そんな魅力に満ちています。

ガロンヌ川とサンピエール橋

歴史遺産の街トゥールーズ

特別な歴史的建造物が残された街。16世紀に盛んに栽培された藍の染料用植物「パステル」の黄金時代に建てられた個人の豪邸や、レンガや石による装飾の宗教建築、素晴らしいモニュメントや産業施設から姿を変えた美術館の充実したコレクションなど、訪れる場所で次々と驚きがあります。

夜になると街はライトアップされ、建物のファサードやガロンヌ川、モニュメントが新たな顔を見せます。

オープンエアがとても気持ちよくて、どこで飲むか物色中
カップルばっかりだ
写真で紹介したところを翌日にジョギングでデータ取得。クリックするとリンクページに飛びます
夕暮れ時にはガロンヌ川岸にたくさんの人たちが集まっていた

2019年5月14日には成田〜トゥールーズ間で特別チャーター機の運航を実施されました。トゥールーズを中心としたオクシタニー地方の周遊プランやスペインのバスク地方との組み合わせたものなど9つのツアーが実施され、座席はすべて埋まるほど好評だったようで、今後も継続的なチャーター便の運航が期待できるようです。

キャピトル広場からサンローム通りに入り、さらにジェストという路地を入ったところにある

🇫🇷第11ステージのレースレポート
🇫🇷ツール・ド・フランス関連ニュース一覧
🇫🇷2019ツール・ド・フランス特集トップページにもどる

休息日にもどる≪≪   ≫≫第12ステージにすすむ

カフェテリアを利用すれば夕ごはんはコスト1/3を実現

ツール・ド・フランス取材記者日記。アルビでのまさかの予約なし騒動を体験し、かなり郊外の宿にたどり着きました。この日は休息日なのでチームのプレスカンファレンスなどいろいろな動きが想定されたのですが、ここで無理すると長丁場に悪影響が生じるので、休息日はお休みすると割り切りました。

メイン料理のお皿の空きスペースにたっぷりと付け合わせ野菜を盛りつけた

いつものツール・ド・フランスでは休息日は500km以上の大移動があり、疲れ果てた末にプレスインタビューなどに出席するので、全日程の中でも一番忙しく、これまでの休息日にやすんだことはありません。今回の休息日2日はどちらもひとつの都市にとどまるので大移動はなし。ツール・ド・フランス取材で初めてまともなお休みをいただきました。

宿のご主人が「午前11時までいていいよ。でも畑の作業があるので、お会計はできればいま済ませてくれるかな」というので、清算して部屋に戻り、バスタブに日本から持ってきた「温泉のもと」を入れ、ゆっくりとお湯に入って疲れを癒しました。脚が多少重いと感じたので、この日はランニングもお休みしました。

とても居心地のいいビジネスマン向けレジデンス

ところでツール・ド・フランスってまだ折り返してないんだっけ?

ベッドの上でこの日のホテルをネット検索。翌日のゴールであるトゥールーズ近郊まで行ってしまったほうが、いろいろ便利かなと思ったので、環状線の近くにあるビジネスタイプのレジデンスに。田舎のホテルが続いたこと、スーパーなどが全くないエリアばかりだったことで、ちょっと近代的なところが恋しくなったのです。

この滞在型レジデンスは想像以上に快適。ガレージも予約したので安心完ぺき。部屋の中は学習教室みたいなので、シゴトに集中できました。休日なんですが、いくつかの原稿は出さないといけなかったので。こうしてすべての原稿を片付けて、開放感いっぱいの気分を楽しみながら歩いていけるスーパーマーケット「オシャン」へ。

部屋にはキッチンもあるんですが、夕食は買い出しするのではなく、カフェテリアのflunch(フランシュ)を見つけたので大喜びで店内へ。

サラダコーナーは選んだお皿の大きささで料金が変わる

連日のレストラン利用はお金もかかるし、フランス流の間の取り方にストレスを感じることもあるので、そういったときはショッピングモールのカフェテリアを利用することにしています。いつもならディナーは4500円ほどかかりますが、1500円に収まります。ただし安くあげるにはコツがあります。

最初にあるサラダコーナーは盛り付けるお皿の大きさで料金が異なりますが、無視しましょう。プラドショー(温かい皿=いわゆるメイン料理)を頼むと、付け合わせのレギューム(野菜)は取り放題放題なんです。

さまざまなお皿が並ぶが、こちらは有料

ということでワインを注ぐピッチャーの大きさを選んでメインをお願いすれば1500円で野菜不足が解消し、五大栄養素のバランスが取れたディナーになります。自分のペースでくつろいで、配膳をあとかたづけすればホテルに帰って寝るだけです。

ワインはカラフ(水差し)の大きさを選んで自分で注ぐというシステム

この日行ったカフェテリアはフランスならよくあるチェーン店で、たいてい大規模ショッピングモールに入っています。安価でくつろぎやすすぎて、毎日行かないようにしています。だって地方の味も楽しみたいので。

●フランシュ(カフェテリア)のホームページ

レギューム(付け合わせ)は温野菜やパスタ、お米もある

🇫🇷ツール・ド・フランス関連ニュース一覧
🇫🇷2019ツール・ド・フランス特集トップページにもどる

第10ステージにもどる≪≪   ≫≫第11ステージにすすむ