山本元喜がニュージーランド・サイクルクラシック第2Sでアタック

KINAN Cycling Teamが出場中のニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は1月16日に第2ステージを実施。細かいアップダウンやワインディングが続くルートを進んだ1日で、山本元喜が逃げにトライ。レースを先行した5人に加わり、あわや逃げ切りかと思わせる好走。フィニッシュでは中島康晴が10位に食い込んだほか、他の選手たちも問題なくステージを完了。日増しにチーム状態が上がっている。

ニュージーランド・サイクルクラシック第2ステージで積極的な走りを見せた山本元喜 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

上りフィニッシュが設定された前日の第1ステージでは、トマ・ルバがトップと11秒差の19位。山本大喜も同タイムで26位と続き、上位陣が見える位置で終えた。地元ニュージーランド勢を中心に主導権争いが繰り広げられる中で、KINAN勢も逃げを狙ってのアタックや、集団内での位置取り争いなど、攻めの姿勢を見せている。

続く第2ステージは、前日同様に大会拠点都市のマスタートンを発着とする121km。スタートしてすぐに南に針路をとり、15km地点を過ぎたところから1周約30kmの周回コースへ。これを3周したのち、来た道を引き返す形でマスタートンへと戻る。周回コース1・3周目にそれぞれ中間スプリントポイントと山岳ポイントが設けられるほか、この地域特有の細かなアップダウンやワインディングがレース展開にどう作用するかも見ものに。全体のレイアウト的にはスプリンター有利の1日と予想されるが、小雨が降ったり止んだりの天候の中、プロトンの進行スピードや風向き次第で流れが大きく変わることも考えられた。

やはり前日同様にアタックとキャッチの繰り返しとなったレース序盤。効果的なアタックには山本元や新城らが絡んでいき、逃げのチャンスをうかがっていく。17km地点に設定されたこの日1回目の中間スプリントポイント通過した直後には、次々と集団からアタックがかかり、やがて15人の先頭グループが形成される。ここに新城と椿大志が合流し、逃げのムードが高まるかに思われた。

しかし、これもリーダーチームのブラックスポークプロサイクリングアカデミーが容認せず、10kmほど進んだところで吸収。激しい出入りが連続しながら、残り距離を減らしていった。

そんなレースの情勢が一変したのは、36.5km地点に置かれたこの日1つ目の山岳ポイント通過直後のこと。アタックのチェックに動いた山本元が前方に残る形となって、そのまま逃げの態勢へと移っていく。先行するのは5選手。メイン集団が落ち着いたこともあり、その差は徐々に広がっていった。

最大で3分近いリードを得た先頭5人は快調に飛ばす。3周回目に入って、山本元はこの2回目となる中間スプリントで3位、山岳ポイントでは2位でそれぞれ通過。各ポイント争いのスプリントにも積極的に参加していった。

一方で、メイン集団もこの間に先頭グループを射程圏内にとらえ、徐々にタイム差を縮めていく。終盤に入ると追撃ムードが高まっていき、逃げ切りを許さない構え。粘りを見せた山本元も結果的に集団へと戻ることとなり、一団となってフィニッシュへと向かうことになった。

レースは最後、集団スプリントによる勝負となり、KINAN勢では中島が上位進出に挑んで10位でフィニッシュ。他のメンバーも問題なく走り切り、順調にステージを終えている。

大会2日目までを終えて、山本大が総合でチーム最上位の22位。トマが27位で続き、それぞれトップとの総合タイム差は21秒となっている。また、この日中間スプリントで上位通過した山本元が1秒のボーナスタイムを獲得した関係で28秒差の34位に浮上。この先のステージでさらなるチャンスを求めていく。

17日に行われる第3ステージは、マスタートンからマーティンバラまでの127km。スタートからしばしワンウェイルートを進み、おおよそ中間地点から1周7kmの周回コースへ。これを9周回してフィニッシュを迎える。前半に唯一の山岳ポイントが控えるが、以降は平坦基調。第2ステージ同様に、スプリントや要所でのアタックからチャンスが生まれる1日となりそうだ。

ニュージーランド サイクルクラシック2020 第2ステージ(121km)結果
1 キャンベル・スチュワート(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)2時間36分15秒
2 ニコラス・ケルゴゾウ(ニュージーランド、コープランドベーカリーズチーム) +0秒
3 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 
4 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) 
5 リアム・ウォルシュ(オーストラリア、フトゥーロプロサイクリング) 
6 チェン・チェンリャン(台湾、メミル・CCNプロサイクリング) 
10 中島康晴(KINAN Cycling Team) 
34 山本大喜(KINAN Cycling Team) 
51 新城雄大(KINAN Cycling Team)
64 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
70 山本元喜(KINAN Cycling Team) 
101 椿大志(KINAN Cycling Team) +1分13秒

個人総合
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チームブリッジレーン) 5時間25分46秒
2 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) +0秒
3 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1秒
4 キャンベル・スチュワート(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)+7秒
5 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) +11秒
6 エイデン・トゥーヴェイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +13秒
22 山本大喜(KINAN Cycling Team) +21秒
27 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
34 山本元喜(KINAN Cycling Team) +28秒
52 新城雄大(KINAN Cycling Team) +29秒
79 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分11秒
89 椿大志(KINAN Cycling Team) +1分42秒

ポイント賞
1 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 16pts
12 山本元喜(KINAN Cycling Team) 1pts  

山岳賞
1 ボリス・クラーク(ニュージーランド、ユーロサイクリングトリップス・CMI) 10pts
4 山本元喜(KINAN Cycling Team) 4pts

チーム総合
1 ブラックスポークプロサイクリングアカデミー 16時間17分56秒
9 KINAN Cycling Team +33秒

山本元喜

山本元喜のコメント

「集団のペースが緩んだタイミングでスルスルと前に出たら、そのまま逃げグループができた感じだった。それまで何度か逃げを狙ってアタックはしていたが、(逃げが決まった)その局面だけ見れば正直狙っていたわけではなかった。それでも、逃げている間は集団とのタイム差が広がったこともあって、逃げ切りのチャンスに賭けてみんなしっかり踏んでいた。

もがく感覚を養いたいと思っていたので、山岳賞や中間スプリントにもトライをした。レースは全体的にペースが速く、シーズン真っ只中のニュージーランド勢やオーストラリア勢が中心になっているが、自分としても冬場にしっかりトレーニングを積めた分、感覚的にはよいイメージで走ることができている。

逃げで得られた収穫が大きいので、あとは最終日まで確実に走り切ることを意識しながら、その中で最善の形に組み立てていければと思う。チャンスがあれば総合も狙っていきたいが、ナーバスにはならずに今できることに集中して取り組んでいきたい」