3Dプリンターのカーボンバイクが5億円の資金調達達成

R-StartupStudioが2020年7月14日からIndiegogoでクラウドファンディングを開始したシリコンバレーのスタートアップ「Arevo」が開発した自転車『Superstrata』の支援金額が日本円にして5億円を突破した。

世界初となる3Dプリンターで作るフルオーダーカーボンバイク

大型3Dプリンティングの技術を持つ「Arevo」とは?

シリコンバレーのスタートアップである「Arevo」が開発した自転車『Superstrata』。 この「Arevo」が持つ技術は世界を変える可能性があるとR-StartupStudio。

今回のクラウドファンディングを行った『Superstrata』はモノコックフレームのカーボン製の自転車。従来モデルとは違い、大型の3Dプリンターで自転車のフレームを制作している。これにより、結合部がないカーボン製フレームを実現させた。

「Arevo」は他社が真似できない大型3Dプリンティングの技術を保有していて、この技術を使い、「世の中のモノを軽量化し二酸化炭素の排出量を減らす」ことを理念として掲げている。

この技術を世界中に広めることによって、これからのモノづくりの常識を変えようと活動をしているという。

「Arevo」の持つ技術を多くの人に知ってもらうにはどうすればいいのか? 普通に車や船などにこの技術を使っても、業界関係者にしか知られないのではないか?

そこで、一般の人にもこの技術とともに、今の二酸化炭素排出量が多い深刻な地球環境の現状を知ってもらおうと、自転車の製作を始めたのがクラウドファンディングを行った経緯だという。

Arevoの3Dプリンティングの様子

地球上にあるさまざまな課題の中でも気候変動は最も深刻な問題に成長している。この原因のひとつと考えられているのが二酸化炭素の増加だ。Arevoのプロジェクトは、世界中に広がり、世の中のモノの多くを軽くしていくことで、非常にインパクトのある解決策になる可能性を秘めているという。

R-StartupStudioも彼らの持つ技術の可能性、そして彼らの持つ壮大なビジョンに共感して、このプロジェクトのクラウドファンディングを支援。もっと多くの日本人にこの技術の可能性と「Arevo」の思想を知ってもらいたいという。

R-StartupStudioが世界規模のクラウドファンディング

Arevoのようにハードなテクノロジーやディープテック領域のスタートアップは、課題に対してダイレクトなソリューションとなる大きな可能性を秘めているにも関わらず、ベンチャーキャピタルなどからの資金調達にうまくいかずに頓挫してしまうケースが多々ある。

5億円の資金を短期間で調達してしまった

これは非常にもったいないことで、日本中の大学の研究室や町工場やラボなど、他にもさまざまなところに世界を変える可能性のある”技術”や”アイデア”は実際に形になることなく眠っている。

R-Startupstudioは革新的な技術やアイデアを実際に形にするための独自の支援策を構築。その一つがクラウドファンディングだ。 

従来、日本での技術やアイデアは、日本のクラウドファンディングプラットフォームで実施されてきた。しかし、同社が使用するのは国内のクラウドファンディングではない。indiegogoやKickstarterなどの世界規模なクラウドファンディングプラットフォームを活用し、短期間で世界中に一気に認知を広げ、そこから共感の輪を広げていく。

もちろん、それは簡単なことではなく、ノウハウもなくクラウドファンディング行ったところで多くの場合が失敗に終わる。ではなぜR-StartupStudioにはそれが実現可能なのか?

R-StartupStudioには、クラウドファンディングの経験値の高いクリエイターが数多く所属していて、ティザー戦略、SNSと広告戦略、コミュニティ戦略、マスメディア戦略までを一気通貫して行うからだという。

所属するクリエイターはこれまでの経験をもとに研究を積み重ね、そこから導いた独自のノウハウを使い、多くのクラウドファンディングをハックしている。 

R-StartupStudioのクラウドファンディングのスキルやノウハウを活用し indiegogoやKickstarterで技術やアイデアを世界中の人に知ってもらえば、プロトタイプをつくるための資金や次のラウンドに進むための資金は十分に集まるという。プロジェクトを途中であきらめる必要もない。

スタートアップこそクラウドファンディングの活用

スタートアップがクラウドファンディングを活用することに対して、批判的な意見を持つ人も日本にはいるが、日本のプロジェクトやスタートアップこそクラウドファンディングを活用すべきだという。

特に国内需要が飽和して人口減少が加速しているこの国でスタートアップをするのなら、国内的な視点ではなく世界を前提としたプロダクトづくりが必要。indiegogoやKickstarterを活用したグローバルでのクラウドファンディングは、自分たちの持つソリューションがどういう形であれば世界中の人々に受け入れてもらえるのか知るいい機会になるという。

また、世界中のメディアやベンチャーキャピタルや投資家などにも技術やアイデアを知ってもらうことができる。自分たちがアプローチすべき革新的な技術やアイデアをIndigogoやKickstarterなどのクラウドファンディングのプラットフォームで探しているからだ。

世界規模のクラウドファンディングにはまだ多くのチャンスがある。「面白い技術やアイデアを持っているけれど思うように進んでいない」というプロジェクトやスタートアップがあればクラウドファンディングもいい。

●R-StartupStudioのホームページ

クラウドファンディングでアイデア商品…自転車製品で急増

これまでは完成車ブランドやパーツメーカーが製品をつくり、自転車ショップなどで販売するのがあたりまえだったが、だれもが考えなかったようなアイデア商品を、資本力を持たない人たちでもクラウドファンディングで生産できるようになった。それって一体なに? どんな仕組みなの? そこで今回はそんな自転車関連の最新商品を紹介。

3Dプリンターで製造するフルカーボンバイクもクラウドファンディング

ネットで資金を募って部品を製造…できあがったら出資者へ

こんな商品があったら便利だなというアイデアを考えた人が、それを作るために資金を募る手段がクラウドファンディングだ。お金を出す人へのリターンのあり方で4タイプに分類される。

①アイデアに賛同して寄付するので見返りはなし。
②投資として配当を受け取る。
③融資として利子を受け取る。
④代金として商品を受け取る。

ウルトラマンデザインのオーダーカーボンバイクは78台限定

自転車関連の場合は④が多い。つまり「この商品がほしい」という人がネットで注文。企画者は目標額が集まったら製造に着手し、代金を払った人に販売するという手順だ。今回紹介する商品はすべて国内に窓口を持つもの。それぞれの問い合わせ先はネット検索で。

3Dプリンターで作るカーボンバイク

米国シリコンバレーのベンチャー企業アレボは、3Dプリンターを活用した世界初のオーダーメイド・カーボン製スポーツバイク「スーパーストラータ」を開発。予約キャンペーンを7月14日よりクラウドファンディングで始めた。開始3分もたたずに目標の10万ドル(1050万円)を達成し、現在は2500人以上の支援者から約400万ドル(4億2000万円)の支援を受けている。

Superstrata Terraは2799ドル(約30万円)

この製品は独自の技術により、従来は加工が難しかったカーボン複合材を使用した継ぎ目のないフレーム構造が簡単にでき、カーボンバイクならではの軽さはそのままに耐衝撃性を高めた。また、3Dプリンターを使用することにより、体格や乗車姿勢に合わせフルカスタムを実現しながら、低価格での提供を可能に。

従来のカーボン製自転車のフレームは何十個のパーツを接着・溶接、ボルトなどでの固定により製作されていたが、3Dプリントすることにより継ぎ目や連結がないモノコック構造を実現。完成車状態で市場価格の5分の1ほどの約30万円で売り出した。

●アレボのホームページ


Zwiftもできるフィットネスバイク

バーチャルサイクリングアプリに対応した多機能センサー内蔵のフィットネスマシン「ヒットフィットバイク」がクラウドファンディングの「キャンプファイヤー」で公開され、支援金額が1000万円を突破した。

画面に映し出された道路の勾配に応じてペダルの重さが変わるバーチャルマシンは注目されているが、自分の自転車と負荷が自動調節されるスマートトレーナーが必要だった。このシステムはフィットネスクラブのマシンのように自転車がなくても楽しめる。定価は12万円(税込み)だが、早割価格で35%引きに。

●ヒットフィットバイクの詳細ホームページ


出かけるたびに携行しなくてもいいロック

米国製の「ロブスターロック」。走行中はフレームに固定しておいて、駐輪時にアームを伸ばして鍵をかけるというアイデア商品。6月26日からクラウドファンディングの「マクアケ」で販売し、発売開始5日で100万円、海外では500万円以上の支援金を獲得している。

●ロブスターロックの詳細ホームページ


簡単にハンドル部に装着できるスマホホルダー

手持ちのスマホをハンドルやステム部に装着できる「バイクタイ」。台湾の台北市に拠点を置くボーンコレクションが企画。7月15日から自社オンラインショップでクラウドファンディング方式として発売した。スマホのサイズに関係なく装着できる。専用モバイルバッテリーホルダーがセットになったもので2980円(税込み)。先行販売では数量限定で最大35%割引。

●バイクタイのホームページ

高たんぱくで低脂肪、常温保存可能なスポーツカニかま

新潟市の一正蒲鉾が「スポーツかにかま」を2020年9月1日から通販限定で新発売する。フィッシュプロテインや必須アミノ酸BCAAが豊富で、スポーツに励む人のための機能性に特化したカニかま。ワンハンドで持ちやすくジューシーな食感で常温保存可能なため、サイクリングなどのアウトドアシーンでも手軽に栄養補給することができる。

いちまさの「スポーツかにかま」は、主原料である魚由来のたんぱく質「フィッシュプロテイン」だけでなく、必須アミノ酸BCAAを1本で1300mgも配合。1本(約45g)にたんぱく質7.2g、脂質0.1gと高たんぱくで、かつ低脂肪のため小腹がすいた時の間食としても罪悪感が少ない。

カニかまは、体内では作ることのできない栄養素をバランスよく含む良質なたんぱく質によって、筋肉増強に効果がある食品として注目されている。カニの色を再現した赤色はトマトに含まれるリコピン色素を使用しているので安心して食べることができる。 

通販のみの2000本限定販売。

※BCAA は必須アミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の総称で、体内への吸収スピードが速く運動中や運動前後に摂取すると筋肉の分解抑制や修復に効果的と言われている。

スポーツかにかま
内容量:1本(約45g)
希望小売価格:1本 220円(税抜) 8本入 1760円(税抜)
※1本からの購入はいちまさオンラインショップ限定
スポーツかにかま 商品情報: https://www.ichimasa.co.jp/products/products_item.asp?id=1272
いちまさオンラインショップ: https://www.ichimasa-eshop.com/

業務用 大容量【冷凍】一正 かに風味かまぼこ 業務用 【ちらしフレーク 500g×2袋】 大容量 お徳用 ちらし寿司 炒飯 彩り お弁当 おつまみ かにかま カニカマ カニかま 手軽にお魚 シーフード いちまさ 一正蒲鉾

価格:1,100円
(2020/8/31 09:24時点)
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アラフィリップが第2S優勝で総合首位に…ツール・ド・フランス

第107回ツール・ド・フランスは8月30日、ニースを発着とする距離186kmの山岳コースでドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)がマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)、アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)とのゴール勝負を制して優勝。

ジュリアン・アラフィリップが第2ステージでマイヨジョーヌを獲得した ©A.S.O. Alex Broadway

アラフィリップは総合成績でもトップに立ち、マイヨジョーヌを獲得した。

紺碧の海を見ながら第2ステージが始まった ©A.S.O. Alex Broadway

アラフィリップは2018年と2019年に各2勝していて、大会通算5勝目。2019年は14日間にわたってマイヨジョーヌを着用した。

第2ステージの序盤にマイヨベールを着るペテル・サガンらが第1集団を形成 ©A.S.O. Alex Broadway

大会最初の2日間はどちらもニースを発着とするステージだが、初日は平たん路、そしてこの日は内陸の山岳部を走る山岳コースだった。大会2日目に早くも厳しい峠が出現するというのが2020年の特徴だ。そんなハードコースの優勝候補はアラフィリップだ。レース終盤の峠で抜け出し、ゴールまで逃げ切るのが勝ちパターンである。

2020ツール・ド・フランス第2ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

案の定、残り13kmの最後の峠でアラフィリップがアタック。これに新人のヒルシが反応し、イェーツも追従した。3選手は先頭を交代しながらゴールを目指し、残り1kmからは一転して、迫りつつ後続集団との距離を確認しながらのけん制合戦。息をのむような戦いをベテランのアラフィリップが制した。

アラフィリップがアタック。ヒルシがマークする ©A.S.O. Alex Broadway

「今シーズンはまだ1勝もしていなかったが、激しい練習は積んでいてその準備はできていた」とアラフィリップ。

「チームメートにレースを難しくするように頼んだ。だからアタックした時は先頭グループにもうライバルが残っていなかった。2カ月前に他界した父にこの勝利を捧げたい」

ゴール後に歓喜の表情を見せたアラフィリップ ©A.S.O. Thomas-Maheux

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨベール(ポイント賞)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEエミレーツ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス)(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)

ツール・ド・フランス第2ステージのビラージュで ©A.S.O. Jonathan Biche

【もの知りコラム】マイヨジョーヌが黄色になったわけ

複数の日程で争われるステージレースは、その日終わって各賞で1位となった選手にリーダージャージが与えられる。ツール・ド・フランスでは現在4つのリーダージャージがあるが、所要時間の合計で争う個人総合成績の1位選手が着用するのは、黄色いリーダージャージ、マイヨジョーヌだ。マイヨはジャージ、ジョーヌは黄色という意味。

マイヨジョーヌは1903年の第1回大会から存在したわけではない。
「集団のなかでも首位選手がすぐに見つけられるようにしてほしい」という取材記者の要望で、主催者が1919年に設定した。主催するスポーツ新聞のロト(現在のレキップ)の新聞紙の色が黄色だったことから採用された。パリ・シャンゼリゼの表彰台でマイヨジョーヌに袖を通した選手がその年の総合優勝者となる。

第1ステージにもどる≪≪   ≫≫第3ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

クリストフが初日を制して首位に…ツール・ド・フランス開幕

第107回ツール・ド・フランスが2カ月遅れで開幕。地中海に面したニースを発着とする第1ステージは、UAEエミレーツのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)がゴール勝負を制し、2年ぶり4回目の区間勝利。総合成績でも首位となり、黄色いリーダージャージー、マイヨジョーヌを獲得した。

2020ツール・ド・フランス開幕地はニース ©A.S.O. Pauline-Ballet

大会はアルプスやピレネーという難所に加え、選手とスタッフを合わせて30人のチーム内から2人以上の感染者が出たら大会から除外されるという特別規定を背負って、これまでにないほどの張り詰めた空気の中、フランス一周の激闘を始めた。

2020ツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

長時間の有酸素運動をする出場選手でさえ、スタート直前までマスク着用。華やかな開幕でありながら、人影がまばらな沿道。加えて天気さえ試練を与えた。紺碧の海で知られるニースを発着とする第1ステージだが、暗雲が立ちこめ、大粒の雨が路面を濡らした。

初日から有力候補がクラッシュ。ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)が落車に巻き込まれ、アスタナのミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)が下りカーブでスリップしてコース脇の建造物に突っ込んだ。グルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)も落車で傷つき、4分04秒遅れでゴールしたが、残り3kmを切っての落車は国際規定によってタイム差なしとされ、救済された。

地中海を見ながら進むツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

雨脚の強さに有力選手らが安全走行のためにスピードダウンすることを指示。この日のレースの山場は、ニースの目抜き通りでのスプリント勝負となった。

降雨でのスリップを避けるため、トニー・マルティンが集団をスローダウンさせた ©A.S.O. Alex Broadway

だれもが初日に勝利したい。トップでフィーニッシュラインを切れば区間勝利だけでなく、総合成績でも1番になれる。今大会は2日目から山岳ステージが設定され、上りで大きく遅れるスプリンターにとっては、この日がマイヨジョーヌ獲得のチャンスだった。

クリストフは残り1kmでアシストをしてくれるチームメートを失っていたが、ゴールを目指して一気にスピードが上がるとボーラ・ハンスグローエのペテル・サガン(スロバキア)の背後をマーク。最後に団子状態から抜け出して1着に。区間優勝と同時にマイヨジョーヌを手に入れた。

2020ツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

「数日前に転んでしまっていい状態ではなかった。でもこれ以上の夢は描けないよ」とうれしさをかみしめるクリストフ。ノルウェー勢がマイヨジョーヌを着用するのは、2004、2006、2011年のトール・ヒュースホウトに続く2人目の快挙だ。

「マイヨジョーヌは、33歳のボクのキャリアとボクの子どもたちにとてつもない影響をもたらしてくれるだろうね」

©A.S.O. Charly López
アレクサンドル・クリストフが2020ツール・ド・フランス第1ステージでマイヨジョーヌ ©A.S.O. Alex Broadway

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEエミレーツ)
マイヨベール(ポイント賞)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEエミレーツ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ファビアン・グレリエ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)
□マイヨブラン(新人賞)マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)

©A.S.O. Charly López

【もの知りコラム】ツール・ド・フランスの発祥は?

100年以上の歴史があるツール・ド・フランスの「なるほど!」と思わせる逸話を連日紹介。まずは大会の発端から。

今から120年前、スポーツ新聞社が企画した「パリ〜ブレスト往復自転車レース」が大ヒット。ブレストは「地の果て」と言われるブルターニュ半島の最西端で、1200kmを自転車で走るという冒険レースが人々に感銘を与えた。ライバル新聞のロト(現在のレキップ)は販売部数を大きく落とし、「もっとスゴい自転車レースを」と考えたのがフランス一周。ツールは一周するという意味なので、つまりツール・ド・フランスだ。当時は自転車に変速機もなく、自転車でフランスを一周できるとは考えられなかった時代だ。

ちなみにパリ〜ブレストはフランス菓子の名前にもなった。形が車輪に似ていることから今も庶民に親しまれている。

≫≫第2ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

山本大喜がJプロツアー初優勝。西日本ロードクラシック1独走

国内レースの最高峰である「Jプロツアー」の広島2連戦が8月29日開幕。広島県中央森林公園サイクリングコースを舞台に行われる「西日本ロードクラシック」のDay-1は、KINAN Cycling Teamが終始優勢にレースを展開。最後は山本大喜(まさき)が独走に持ち込み、Jプロツアーでのシリーズ初勝利を挙げた。

山本大喜がJプロツアー初優勝。西日本ロードクラシックDay-1で独走 ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

幾多の名勝負が生まれた広島のコースで行われる伝統の一戦。この日は、今節に照準を合わせた山本大のほか、山本元喜、トマ・ルバに加えて、前日のバンクリーグを走った新城雄大も出走。4人での出場と他の有力チームと比較し少数で挑むこととなるが、勝負どころとなる終盤に攻撃を仕掛けていく戦術で勝機を見出していくことに。

その見立て通り、残り2周で発生したアタックからKINAN勢が確実に反応していく。ライバルのチェックに動いた山本大を含む3人が先行すると、その後ろでは山本元を含む追走グループも形成される。最終周回に入るタイミングで山本元らが先頭に合流し、山本兄弟を含む5人がレースをリード。さらには、後ろで余力を残していたトマも前方へと上がり、先頭グループにはKINAN勢3人が入る数的有利な状況を作り出す。そこからは、3人が断続的にアタックを仕掛け、先頭グループを崩していく。

ライバルの消耗を誘いながら抜け出すポイントを探っていた山本大がアタックを決めたのは残り3km。下りを利用しての加速で、10秒、20秒と後続との差を広げていく。そのまま単独で最後のストレートへと到達。最後は体全体で勝利の喜びを表してのウイニングライドとなった。

山本大をトップに送り出した山本元、トマは最終盤での追撃の芽をしっかりと摘み取るアシスト。最後は山本元がスプリントで3位を決め、KINAN Cycling Teamはワン・スリーフィニッシュを達成。トマも4位で続いている。

優勝した山本大は、チーム加入1年目だった2018年の全日本選手権U23個人タイムトライアル以来の公式戦勝利。もちろん、Jプロツアーでは初勝利。好調なチームは、これでシーズン3勝目となった。

広島での戦いは、翌30日のDay-2へ。この日は欠場となった椿大志と中島康晴が合流し、6選手で出走する。(Text: 清水翠、Edit: 福光俊介)

西日本ロードクラシック広島大会(61.5km)結果
1 山本大喜(KINAN Cycling Team) 1時間30分47秒
2 西村大輝(宇都宮ブリッツェン) +27秒
3 山本元喜(KINAN Cycling Team)) 
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
5 阿曽圭佑(eNShare Racing Team) +28秒
6 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 
13 新城雄大(KINAN Cycling Team) +1分44秒


山本大喜のコメント

山本大喜

「めちゃくちゃうれしい。いまはそれに尽きる。今季KINAN Cycling Teamとしては3勝目。例年はUCIレースに挑戦しているが、今季は新型コロナウイルスの影響もあり、国内をメインに走っている。レース数が少ない中で、Jプロツアー3勝目はうれしい。
レースが後半に動くだろうと想定し、脚を抑えて、勝負どころで戦おうとチームとしてまとまっていた。前方に3人入ることができて、最終局面でそれぞれの選手が仕掛けるという共通認識を持って戦えたことが勝利につながったと思う」

山本元喜のコメント

山本元喜

「(山本)大喜が飛び出した場面は、もし(大喜が)捕まったとしても自分がスプリント勝負できるように脚を残して走っていた。その場合は自分ががんばらなくてはと。トマが合流してくれたことで、チームとして有利な展開になり、これは勝たなければならないと思っていた。予想される展開を絞り、個人ではなくチームで勝てることを一番に考えた作戦がきれいにはまったと思う」

●キナンのホームページ