第107回ツール・ド・フランスは8月31日、ニース〜システロン間の198kmで第3ステージが行われ、ロット・スーダルのカレブ・ユアン(オーストラリア)がゴール勝負を制して優勝。2019年の区間3勝に続く大会通算4勝目を挙げた。
総合成績ではドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)が首位を守った。
身長165cmの韓国系オーストラリア選手。ポケットロケットという愛称を持つユアンが、2019年最終日のパリ・シャンゼリゼに続く区間勝利をゲットした。
この日は山岳賞をねらったフランスの3選手がスタート直後から抜け出したが、ゴールをねらうスプリンター勢は後続のメイン集団の中で最後の勝負に備えていた。案の定、最後まで逃げ続けた選手を残り16kmで吸収。予想通りのゴールスプリント勝負となる。
2020年の大会はフランスにある5つの山岳地帯をすべて訪問する。例年よりも平たんステージが少ないので、スプリンターが勝ちにいけるチャンスはそれほどない。最初のチャンスだった第1ステージでは、ユアンは落車でゴール勝負に加われなかった。第2ステージはユアンが苦手な山岳区間で、29分08秒遅れの最下位でゴールした。
それでも翌日には1着が取れるのだから面白い。
「今日は勝てると思っていた。コース脇の鉄柵に当たりそうだったが、前が開けたので一気にスパートできたのは幸運だった。この先も勝利を重ねたい」とユアン。
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス)(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)
【もの知りコラム】最下位選手にはランタンが渡される
昔の汽車は夜になると前後にランタンの明かりを灯した。最後尾につけるのは赤色のランタンで、いわゆるテールランプ。フランス語では「ランタンルージュ」と呼ばれている。ツール・ド・フランスでランタンルージュといえば最後尾、つまり個人総合成績で最下位の選手のことだ。例年シャンゼリゼに凱旋する最終ステージのスタート前に、ちょっとした伝統行事が行われる。最下位選手が赤いランタンを持たされてカメラマンのポーズに応じたりするのだ。
ツール・ド・フランスでは最下位だってある意味で勲章。完走しなければ最下位になれないからだ。多くの選手にとってパリに到着することが目標。ランタンルージュを持たされてポーズを取ったりしていても、瞳の中にはまばゆいばかりの達成感がきらめく。
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