川崎嘉久がKINAN AACA CUP 2020最終戦で優勝

KINAN Cycling Teamがホストを務める東海地区のロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」の2020年シーズン最終戦が、11月28日に愛知県新城市・鬼久保ふれあい広場を主会場に開催。メインクラスの1-1カテゴリーは、終盤に逃げる選手を捕まえた集団によるスプリント勝負に。最後は川崎嘉久(Nerebani)が制し、レース中3度の周回賞と合わせてタイトルを複数獲得した。

KINAN AACA CUP 2020最終戦は川崎嘉久が優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

新型コロナウイルス感染拡大にともない、開催の中止・延期が続いた今季の同シリーズ。出場選手や関係者、観客の感染リスクを避けながら、おおよそ月1回のペースでレースを開催。今節は2020年シーズンの最終戦として、愛知県新城市での実施となった。

鬼久保ふれあい広場を基点とする1周1.4kmのコースは、アップダウンとコーナーが連続するテクニカルなレイアウト。選手たちのライドテクニックやダウンヒルスピードなど、観る者にとっては魅力満載。また、紅葉の時期とあって赤や黄色に色づいたコース周囲の景色もイベントに彩りを添える。

そんなシーズンの締めとなる一戦には、KINAN Cycling Teamから椿大志、山本大喜、中島康晴の3人がホストライダーとして参戦。キッズレースでの伴走や会場に訪れたファンへの対応と並行しながら、レース本番へと臨んだ。

リアルスタートからアタックが散発した序盤だが、変化に富むコースでは簡単には決定打が生まれない。激しい出入りが続いたまま周回数を重ねていく。

そんな状勢が変化を見せたのは、15周を過ぎようかというタイミング。椿ら数人が集団から抜け出すと、山本も合流。そのまま5人が逃げる展開となる。前を行く選手たちはその後もペースを緩めず進むと、先頭はトム・ボシスと山本の2人に。20周目には山本がボシスを引き離して独走態勢へと持ち込んだ。

1人先行する山本をのぞき、一時的に逃げていた選手たちはいずれもメイン集団へと戻る。その集団はペースの上下が起きたこともあり、山本との差は30秒まで開く。集団では代わる代わる牽引役がスピードアップを図るが、先頭とのタイム差に大きな変化はないままレースは後半へと入っていく。

快調に飛ばし続ける山本だが、30周を過ぎてメイン集団もいよいよ追撃ムードが本格化。周回を重ねるごとにその差は縮まり、タイムギャップは9秒に。これを受けて山本が再度ペースを上げて差を拡大するなど、戦況は一進一退を繰り返した。

そんな流れに大きな局面が訪れたのは残り3周。早川朋宏(Aisan Supporters)、上野颯斗(京都産業大学)、そして椿を加えた3人が集団から飛び出し追走を開始。これでレース全体が活性化すると、次の周回でついに山本をキャッチ。メンバーの入れ替わりを経てパックとなった5人ほどが、集団に対してわずかにリードした状態で最終周回の鐘を聞いた。

この直後に集団が前をゆく選手たちに合流すると、そのまま最終局面に向けたポジション争いへ。フィニッシュ直前の短い上りを前に、位置取りをかけた攻防が激化。前方で上りに入れば有利になるとあり、選手たちがひしめき合う。

迎えた最後の上り。ここへ一番に飛び込んだのは川崎。他の追随を許さないパワーとスプリントを発揮し、トップでフィニッシュラインを通過。このレースでは再三のアタックで、途中に設けられた周回賞4回のうち3回を獲得。さらには優勝と、タイトルを総取りする活躍を見せた。

また、長時間の独走で魅せた山本のシリーズ年間総合1位も確定。今節の上位フィニッシュはならなかったものの、第7戦と第8戦で連勝するなど、随所で持ち味を発揮し総合タイトル獲得につなげている。

そのほか、この日はキャリア最終レースを迎えた椿の引退セレモニーが開かれるなど、シーズンの締めくくりらしい催しも。チーム活動も今年残りわずかとあって、椿をお目当てに会場へと赴いたファンも多かった様子。それに応えようと椿も長時間ファン対応に努めた。

例年と比較してもよりアクティブに、そして勝利を賭けた激しいレースが繰り返されたKINAN AACA CUP。2021年シーズンもレースシーンの活性化を目指してあらゆる趣向で開催していく見通しとなっている。

●キナンのホームページ

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