シマノが欧州レースでニュートラルアシスタンスを開始

2021年3月、創業100周年を迎えた世界屈指の自転車部品メーカー、シマノがグランツールと呼ばれる三大ステージレースで技術サポートを担うことになった。ツール・ド・フランスでは地元メーカーが常にその業務をこなしてきたが、ついに日本企業がこれに変わった。欧州自転車界の景色が一変するほどの衝撃的ニュースだが、シマノに与えられたその任務とは?

2021パリ〜ニースのニュートラルアシスタンスはシマノ ©A.S.O. Fabien Boukla

ツール・ド・フランスの景色が変わるほどの衝撃ニュース

シマノに与えられた任務はニュートラルアシスタンスサービスと呼ばれるもの。チームの分け隔てなく公平に機材故障に対処する車両を走らせる。ツール・ド・フランスではこれまでフランスのマヴィック社がこれを務めていた。車両は黄色で、フランス語でそれを意味する「ボワチュールジョーヌ」と呼ばれて親しまれてきた。その黄色が今季からシマノの企業色である青色に変わるのだ。

ジロ・デ・イタリアが3月5日にシマノとのコラボを発表 ©LaPresse

1973年のパリ〜ニースでマヴィックは初めて黄色いニュートラルアシスタンスカーを走らせた。すぐにその存在は知れ渡り、沿道にいるファンは黄色い車を見ればマビックだとだれもが分かった。選手たちの後ろを伴走する車両隊列の中で、一番目立つのがボワチュールジョーヌだった。

マヴィック社はシマノのようにあらゆる自転車部品を開発・販売する規模ではなく、かつては変速機やクランク周辺部など、現在も車輪やアパレルなどに特化して製造する。企業規模としては小さいが、主催者とともに大会を育んできた実績と貢献度は計り知れない。ツール・ド・フランスにとってマヴィックは協賛企業ではなく、協力企業という特別の立ち位置でもあった。

旧車、旧ロゴのマヴィックカーのミニチュア

ニュートラルアシスタンスサービスに従事するスタッフの出番はラジオツールと呼ばれる車載無線で指示されて始まる。

「ボワチュールジョーヌ、先頭集団で○○チームの選手がパンク!」

指示が入るや、「あのチームの後輪はカンパニョーロの11段変速だ」などと判断し、現場に急行するや適合する車輪を選択して交換する。

ジロ・デ・イタリアやストラーデビアンケのニュートラルアシスタンスもシマノ ©LaPresse

ボワチュールジョーヌの屋根の上には交換用の自転車本体も積載されているが、車輪の交換はひんぱんにあるものの、ボワチュールジョーヌが自転車を交換することはほとんどない。使用するペダルの形状がチームによってバラバラで、これに選手の体格によってフレームサイズの違いが加わるからだ。1秒を惜しんで前を走る集団に追いつきたい選手を前にして、ペダルを交換しているヒマはない。こういった場合はチームカーの到着を待つのがほとんど。

助手席にはステージごとにスポンサーなどのVIPが乗る。世界各国の得意先やメディアなどの名前が予約リストに掲載されている。競技のうえでなくてはならない存在なのかもしれないが、同時進行で社交が展開されている。このあたりに、自転車レースは伝統に裏打ちされた文化であることがうかがえる。

1990年代にようやく欧州市場でその存在が認められた後発メーカーのシマノは、いきなり世界最高峰のツール・ド・フランスでマビックを追い落とそうとはしなかった。まずは国際統括団体のUCI(国際自転車競技連合)が主催する世界選手権でニュートラルアシスタンスを始めた。

ブエルタ・ア・エスパーニャでシマノは大会協賛も ©PHOTOGOMEZSPORT2020

レースの勝敗に影響を与えかねないほどの高性能な機材を次々と開発していくシマノにとっては、競技規則を定めるUCIと蜜月関係を築きたいという戦略もあった。次に三大大会のジロ・デ・イタリア、さらにブエルタ・ア・エスパーニャでサポート業務を受注した。そして100周年の2021年、いよいよツール・ド・フランスへ。出場選手の過半数がシマノ部品を使うのだから、それは自然の成り行きだった。

ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの姉妹レースもすべてシマノが業務を担う。3月7日、ツール・ド・フランス傘下のパリ〜ニースが開幕し、青色のニュートラルアシスタンスカーが初めてフランスを走った。

●シマノ100周年の特設サイト

ストゥイベンが最長距離299kmのミラノ〜サンレモ優勝

トレック・セガフレードのヤスパー・ストゥイベン(ベルギー)が3月20日にイタリアのミラノから地中海リビエラ海岸にあるサンレモまでの299kmで開催されたミラノ〜サンレモで初優勝した。

地中海のリビエラ海岸に到着したメイン集団 ©LaPresse – Fabio Ferrari

ストゥイベンのこれまでのモニュメントレースでの最高成績は2017年のパリ〜ルーベ4位。ベルギー勢の優勝は22回目。2020年のワウト・ファンアールト(ユンボ・ビスマ)に続いて2年連続。連覇をねらったファンアールトは同タイムの3位だった。

ヤスパー・ストゥイベンがミラノ〜サンレモ優勝 ©Gian Mattia D’Alberto – LaPresse

「勝負がかかるポッジオの丘がしかけどころだと思っていた。優勝候補のビッグスリーはアラフィリップ、ファンアールト、ファンデルプールだが、彼らはお互いにけん制し合うはずなので、アタックして逃げ切るチャンスはあった」とストゥイベン。

「うまくソーレン・クラーアンデルセンと抜け出すことができた。彼についていくのに相当な体力を使ったが、彼も限界だった。最後はメイン集団が背後に迫っていたが、ボクのキャリアの中でも最も感動的な数メートルを体験することができた】

ミラノ〜サンレモ ©LaPresse – Fabio Ferrari
最長距離299kmを走るミラノ〜サンレモ ©LaPresse – Fabio Ferrari
ミラノ〜サンレモ ©LaPresse – Fabio Ferrari
世界チャンピオンのアラフィリップがしかける ©LaPresse – Fabio Ferrari
上りでアタックしたアラフィリップをファンアールトがマーク ©LaPresse – Fabio Ferrari
ファンアールトを先頭にゴールを目指す ©LaPresse – Fabio Ferrari
ヤスパー・ストゥイベンをトレック・セガフレードのチームメートが祝福する ©POOL – Dario Belinghieri – LaPresse
ミラノ〜サンレモ優勝のヤスパー・ストゥイベンを中央に左が2位カレブ・ユアン、右が3位ワウト・ファンアールト ©Gian Mattia D’Alberto – LaPresse
ミラノ〜サンレモ優勝のヤスパー・ストゥイベン ©Gian Mattia D’Alberto – LaPresse

●ミラノ〜サンレモのホームページ

カリマーの新レーベル、シーズンコンテンツが3月22日完全公開

英国発祥のアウトドアブランド、karrrimor(カリマー)は、2021 Spring & Summer「Naturestyle」「Lifestyle」2レーベルのシーズンコンテンツを3月22日に公開する。

今シーズンより、山という定義を広くとらえながら、ブランドのアイデンティティである移動装備の拡張の概念を大きく2つのレーベルに進化させ、長年アルパインの世界で培った技術と経験を遠征登山からトレッキング、ハイキングなどに対応する「Naturestyle」と、ライフスタイル、トラベル、ビジネスシーンなど日々の暮らしを再定義し、機能性と美しさを統合する「Lifestyle」の2レーベルでコレクションを構成していく。

Naturestyle

アルパインマウンテニアリングで培ってきたカリマーの技術。その粋を落とし込むことで得られる機能と快適性は、あらゆるアウトドアシーンに高いパフォーマンスをもたらせる。トレッキングやハイキング、そしてマウンテンマラソンやファストハイクに対応するコレクション。
●Naturestyleのホームページ

Lifestyle

アウトドアフィールドで培ったノウハウを落とし込むことで得られる機能性と洗練されたスタイル。アウトドアとシティをクロスオーバーする「camp」「urban utility」「travel」の3つのシーンにフォーカスした。
●Lifestyleのホームページ

ストラーダバイシクルズをMAVICがジャック…ホイール試乗も

マヴィックジャパンは、滋賀県草津市のストラーダバイシクルズで4月3日から11日まで の9日間にわたって、MAVICホイールを存分に体感できるMAVIC JACK を開催する。MAVICチューブレスホイールを体感できるプレミアムな9日間となる。

2021年でストラーダバイシクルズ創業20周年を記念し、MAVICコラボとして開催されるこのイベントは、話題のチューブレスホイールを体感できるだけでなく、MAVICニュートラルサービスカーが帯同しライドをサポートするMAVICプレミアムライドも開催する。2Fには「MAVIC 特設POPUPコーナー」を設置して実施し、週末にはMAVICスタッフによるセミナーも開催。 MAVICを見て、聞いて、乗ってと体感できる特別な期間となっている。

チューブレスのホイールに興味あるけどイマイチよく分からない。自分の乗り方にはどんなホイールが合っているんだろう?と思 っているライダーも安心。MAVICとストラーダバイシクルズのスタッフアドバイスのもとで製品を試すことができ、MAVICのホイールが持つ魅力を体感できる。

ストラーダバイシクルズ草津本店の上野店長のコメント
ストラーダバイシクルズは2021年で開業20周年を迎えます。20年間、今日まで営業できたのも、地域のみなさまのおかげでございます。そこで、開業当時から長くお付き合いのある、ストラーダバイシクルズ一押しメーカーのMAVICを触って、試乗、ライドができるMAVIC JACKを開催いたします。

●MAVICプレミアムライド、セミナー、ホイール試乗の予約ページ

JCL参戦の宇都宮ブリッツェンを応援するキャンペーン

ドリームファクトリーが展開するトータルボディケアブランド、ドクターエアがオフィシャルサプライヤーとして支援している宇都宮ブリッツェンと、2021年シーズン開幕を記念したTwitterコラボキャンペーンを3月18日から28日まで実施する。

ジャパンサイクルリーグ(JCL)の2021年開幕戦が3月27日・28日に宇都宮ブリッツェンの本拠地がある栃木県で行われることを記念して、選手が日頃のボディケアで使用しているドクターエアのストレッチサポートツール「ストレッチロールS」と、東京五輪に選出された増田成幸の直筆サイン入りキャップをセットでプレゼントするTwitterキャンペーンを実施する。

キャンペーンはTwitterから応募

(1)ドクターエア公式アカウント(@Dr_Air_PR) と宇都宮ブリッツェン公式アカウント(@blitzen_PR)をフォロー
(2)対象の投稿を選手への応援コメント付きで引用リツイートする
https://twitter.com/Dr_Air_PR/status/1372369586935398401

賞品と当選数 
ストレッチロールSと増田成幸の直筆サイン入りキャップをセットで1名

●ドリームファクトリーのホームページ

 

LEOMOがモビスターと戦略的パートナーシップ

米国コロラド州ボウルダーに本拠を置くLEOMOは、UCIワールドチームのモビスター(スペイン)との戦略的パートナーシップを3月17日に正式に発表した。

モビスターの知識とLEOMOの技術をかけ合わせ、共同して選手のパフォーマンス向上への取り組みを行い、そこで得られた知見を多くのサイクリストへ開放するという新たなビジネスモデルを構築していく。

LEOMOはサイクリストやトライアスリートが抱えるパワーに頼ったトレーニングでの伸び悩みを打破するため、これまで何千ものサイクリストの解析を行って培った技術により、怪我することなくより効率的に速く強くなるための製品やサービスをあらゆるレベルの利用者へ提供してきた。

今回の契約によって、LEOMOはモビスター男子、女子、eチームへの単なる製品提供にとどまらず、独自に開発したテストプロトコルに基づくデータ解析で選手の弱点を明らかにし、サイクリングフォーム、バイクポジション、サイクリングエコノミーの向上に関するフィードバックを通じて、トレーニングやレースでのパフォーマンスの質を上げることにコミットしていく。 

また今回のパートナーシップを通した取り組みの延長線上として、LEOMOは将来的に自転車競技のプロチームが抱えている現在のビジネスモデルの課題においても解決に取り組み、かつ一般のサイクリストにも役立たつような新たなサービスの展開を視野に入れている。 

モビスターCEOのミゲル・グラバロスは、「我々はチーム全体として最先端のテクノロジーを活用したアスリートのパフォーマンス向上とそのプログラムの研究開発に取り組んでいます。 このLEOMOとの価値のある提携を通じて彼らのテクノロジーと知見がロード選手のパフォーマンス強化につながるのはもちろんのこと、eチームにも取り入れることでアスリートの強化プログラムの新たな道を切り開いていけるものと思っています」とコメント。 

LEOMOの共同創業者でCEOの加地邦彦は、「今回のパートナーシップはモビスターのトレーニングやレースでのパフォーマンス向上のみならず、その知見をアマチュアのサイクリストやコーチに開放することにより、プロフェッショナルサイクリングの世界に新たな道標となる取り組みになるだろう」とコメント。 

LEOMO TYPE-S について
TYPE-Sは2つのラインナップがあり、 LEOMOモーションセンサー2つを同梱したモーション解析のビギナー向けパッケージであるTYPE-Sセンサーキット(税別4万9800円)およびLEOMOモーションセンサー5つ全て同梱したTYPE-Sセンサーキットプロ(同8万9800円)をアマゾン、Yahoo!ショッピングの直販サイトをはじめ正規販売店で販売している。 
ウェブサイトURL: https://www.leomo.io/pages/product-type-s-jp

LEOMO リモートバイクフィッティングサービスについて
米国および日本で提供されて大好評を得ている完全リモート型のバイクフィッティングサービス。サービスにはデバイスのレンタルが含まれ、自宅にいながら適正なポジションの提案を受けることができる。プランはサドル高の提案を受けられるベーシックプラン(税別9800円)と、サドル高に加えサドル前後位置までの提案を受けられるスタンダードプラン(同1万2800円)から選べる。 
ウェブサイトURL: https://www.leomo.io/pages/remote-bike-fitting-jp

LEOMO, Inc. について
2012年に加地邦彦と、孫泰蔵が創業し活動するMistletoe株式会社によって設立され、米国ボウルダーの本社と品川区五反田の東京オフィスでスポーツデバイスとそれに連動するサービスの開発を行っている。 
ウェブサイトURL: https://www.leomo.io