伝統レースのジロ・デ・イタリアを100年以上も開催し、カンピオニッシモと呼ばれる伝説的な選手を輩出してきたイタリアでも、自転車に乗っている人たちが交通事故死する悲しい出来事は毎日のようにある。アンチサイクリストによるSNSの誹謗中傷も昨今は過激になっているともいう。道路上の暴力とも言えるこのような事態を打開するため、イタリアプロサイクリスト協会が自転車利用者への敬意と保護を喚起する運動に乗り出した。
交通弱者に対する言葉による暴力がSNSにまん延する
サイクリストをひき殺してその場から立ち去ったトラック運転手は海外に逃げ、なにごともなかったかのように日常生活を送っているという。死亡したサイクリストは司法解剖にも着手されず、家族は葬式をすることもできないという。
イタリアでは子供から大人まで自転車に乗っていた人たちが毎日死んでいる。女性と男性、学生と労働者、金持ちとそうでもない人、チャンピオンと一般の人の区別なく、道路暴力は止まる気配がない。さらにこういった交通弱者に対する言葉による暴力は無責任なSNS投稿によって被害者の家族を打ちのめす。
先日もトスカーナでプロ選手が事故死したが、3年前にインターネット上でこのサイクリストに対する危険運転を扇動したという複数の人物が裁判にかけられた。裁判官は事実が犯罪を構成しないため無罪判決を言い渡した。協会はこれを不服として135日以内に上訴する方針だ。
「民事裁判はすべての道路犠牲者の記憶を尊重し続け、自転車を使って移動したいこの国のすべての人を保護する必要がある。言葉による扇動も非合法で罰せられるべきだ」と同協会。
イタリアの道路はサイクリストにとって地雷原
協会は12月18日、どこにいても誰もが参加できる活動を展開することを決定した。
「ダビデ・レベッリンを思い出し、乗る人々への敬意と保護を求め続けるために、その日私たちは腕に喪章をつけて乗り、ハッシュタグ #unmetroemezzodivita とタグ付け @accpi1946 を使用して交通安全を目的としたメッセージをSNSに投稿することを呼びかけたい。
私たちは死と暴力の否定、生きたいというすべての願望、サイクリングの喜び、そしてすべての人間の人生に値する尊敬、さらには私たちを侮辱する者たちがハンドルを握っているとき、まるで彼が手に装填された銃を持っているかのようであることに気づいていない現状を明らかにするためにメッセージを発信したい」とクリスチャン・サルバト会長。
「安全な追い越しのための1メートル半の車間距離確保が法律になったとしても、私たちの社会に深く根付いた言葉と身体の暴力を考えると、それは万能薬ではない。交通弱者がその生活空間に権利を持っていることを認識するための最初のステップにしたい」
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