2年間で15億7200万円の寄付を集めたユニクロのチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」が2024年も展開される。国際的写真家集団マグナム・フォトとコラボレーションした新コレクションが9月20日からスタートする。全国のユニクロ店舗とオンラインストアで1500円で発売され、利益の全額となる1枚あたり販売金額の20%相当が貧困・差別・暴力・紛争などによって影響を受けている人たちの支援を行う団体の活動費に充てられる。
世界最高峰の写真家集団の現場画像をTシャツにプリント
すべての人が安全に暮らせる未来と世界の平和を願って、ユニクロの「服のチカラ」とマグナム・フォトの「写真のチカラ」の融合により生まれた新プロジェクトが始動する。今回のプロジェクトの一環として「GLOBAL PHOTO EXHIBITION – PEACE FOR ALL 」が英国ロンドンを皮切りに、東京、米国ニューヨーク、ベトナムのハノイなど世界10都市で写真展を順次開催。
東京は9月19日から23日まで青山・国際連合大学前広場で誰もが見られるパブリックな空間で開催される。そのこけら落としとなる記者発表会が行われ、ユニクロ グローバルマーケティング部のシェルバ英子部長とマグナム・フォトの写真家オリビア・アーサーさんのトークセッションが行われた。
「ユニクロが社会貢献活動を立ち上げたのが2001年。以来、従業員が世界の現地に赴いて会社としてなにかできることはないかと耳を傾けた。こうして利益の全額を寄付するプロジェクトが始まった」とシェルバ部長。
「今回新たなコラボを組んだマグナム・フォトとは、Tシャツのビジュアルとなる画像を提供してもらって十数年の付き合いがある。3人の写真家を現地に派遣して不安な生活を強いられながらも力強く生きる人たちの姿と、支援活動の瞬間を独自の視点で撮影してもらった」という。
そんなビジュアルを利用して2024バージョンのTシャツが完成した。
Tシャツを通して私たちのメッセージが伝えられれば
マグナム・フォトは世界最高峰の写真家集団だ。今回はクリスティーナ・デ・ミデル会長、アーサーさん、リンドグシェ・ソベクワさんの会員写真家3人が「PEACE FOR ALL」の寄付金により支援活動をしている拠点ベトナムとルーマニア、エチオピアに赴き、現地での支援活動やそこで暮らす人々の生活を独自の視点で撮影した。
登壇したアーサーさんはルーマニアに足を運び、ウクライナからの難民や現地の人たちの姿にレンズを向け、今この世界でなにが起こっているのかを撮影することでプロジェクトを推進した。
「完成したTシャツを見たときはとてもうれしくて、幸せだった。Tシャツを通して私たちのメッセージがたくさんの人に伝えられれば。日本でこのTシャツを着ている人を見かけたら、プロジェクトに賛同してくれているんだと共感を持つことができる」とアーサーさん。
写真展は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン、公益財団法人プラン・インターナショナルとの共催。マグナム・フォトが報道と芸術の融合で表現した作品63点を通じて、「Tシャツを買って着る」というアクションが、世界のどこで、どのように役立てられ、どんな人に力を与えることができたのかを鮮烈に伝える。
地球上で自宅を追われた人はここ数年で3倍増に
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の伊藤礼樹駐日代表は、「紛争などで1億2000万人の人が家を追われている。この企画が始まったときからその数は3倍増になっている。PEACE FOR ALLというメッセージは今こそが大事。全国のユニクロ店舗を通じてこの難題を認識することは非常に有意義」とコメントした。
生きる・育つ・守られる・参加するという子どもが持つ権利を世界各地で実現する環境を目指し、120カ国で子ども支援活動を展開するセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの高井明子専務理事・事務局長は、「ルーマニアに逃れてきたウクライナの子どもたちを支援するため、写真を通して現状を多くの人に伝える機会になった」と報告した。
プラン・インターナショナル・ジャパンの池上清子理事長は、「現地の写真を通して女の子たちの生命力と躍動感を感じた」とコメント。
「ベトナムでは18歳未満の女性が若くして結婚しなければならないという社会習慣・現状がある。早婚のすべてが悪いというわけではないが、それだけ女性が教育を受けるチャンスを失う。鍵となるのは教育なんです。写真の力、身につける服の力の融合が新たなきっかけをもたらしてくれる」という。
また、写真・映像を専門とする世界的にも数少ない美術館である東京都写真美術館の学芸員をゲストキュレーターとして迎えたユニクロ初の本格的な写真展となる。さらに、音声ガイドのナレーターを「PEACE FOR ALL」コラボレーターの綾瀬はるか、佐藤可士和さん、国枝慎吾さんが担当し、一部の写真については支援現場の現状や写真が撮られた背景、写真家の思いを音声で解説する。
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