大会唯一の個人タイムトライアルが行われ、首位のマイヨジョーヌを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)がトップタイムで優勝した。第3ステージに続く今大会2勝目、大会通算4勝目。この日最有力と思われた前年の覇者、イネオスのゲラント・トーマス(英国)に14秒の差をつけたアラフィリップは、総合成績で2位トーマスとの差を1分12秒から26秒に広げた。
これぞマイヨジョーヌマジック…アラフィリップがトップタイム
アラフィリップは最終出走者としてマイヨジョーヌのワンピースジャージーを着用してスタートした。7.7km地点にある第1チェックポイントでこれまでのトップタイムを5秒も上回る記録で通過すると、現地サルドプレスでどよめきが起こった。アラフィリップはこれまでタイムトライアルでは好成績を修めたことがないからだ。
スタート前は「これまでに経験したことがないくらい、苦しいタイムトライアルになるだろう」とアラフィリップはコメントしていたが、苦戦するという意味ではなく、力の限り攻めていくという意味だったのだ。
さらに2つの計測ポイントでもトップ。最後は激坂を駆け上がり、フランス人の観客が大興奮するなかでフィニッシュ。優勝を決めたゴール直後はチームスタッフと涙を流しながら抱き合った。
「信じられないよ。本当に幸せだ。このコースは自分に向いていると思っていた。でもトーマスにこんな大差をつけてステージに勝つことができるとは思わなかった」とアラフィリップ。
「最初からかなりいいペースだったが、後半になってうまく走れることに自分自身が驚いた。観客の声援が後押ししてくれたのだと思う」
優勝候補と言われたイネオスは、ダブルエースのエガン・ベルナル(コロンビア)が総合3位から5位に陥落。得意とする山岳ステージは翌日からだが、エース2人を駆使してアラフィリップに揺さぶりをかけにくくなった。アラフィリップにとってはチームメートのエンリク・マス(スペイン)が総合4位にいることも頼もしい。上りが得意で、アシスト役として期待できるからだ。
2019年のツール・ド・フランスは短めの個人タイムトライアルがターニングポイントとなり、思わぬ展開に。フランス勢の34年ぶりの総合優勝の悲願もまだなくなったわけではない。
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)エンリク・マス(スペイン、ドゥークニンク・クイックステップ)
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