フランス北中部のロワールエシェール県を舞台に行われるステージレース、ツール・デュ・ロワールエシェールが4月11日に開幕。4年連続の出場となったキナンサイクリングは5選手がスタートラインに並んだ。183.5kmで争われた第1ステージではスプリントを狙うも、フィニッシュ直前に複数の落車が発生。これに影響されて上位進出はならず。翌日以降のステージで再挑戦することとなった。
4月6日にフランス入りし、県庁所在地であるブロワを拠点に活動を行っているキナン。トレーニングや調整を進め、遠征終盤に入りここまでの成果を試す場として今大会へと臨んでいる。今回のメンバーは椿大志、塚本一樹、中西健児、雨乞竜己、新城雄大。チームは2017年以降、この遠征におけるメンバー選出を若手から中堅年代の日本人選手に限定していて、2018年も平均年齢23歳の5人で編成。サイクルロードレースの本場であるヨーロッパでのレースを通じて、チームの底上げを目指す。
59回目を迎えるこの大会はレースカテゴリーこそUCI2.2クラスだが、活躍した選手が数年後にトッププロチーム入りするなど、将来を有望視される選手たちの登竜門的な位置づけとも言われている。キナンとしてもこれまで以上に戦力を整えて参戦しているだけに、存在感を示すことが求められる。
迎えた第1ステージはブロワからフジェールシュルビエーブルまでの183.5km。スタートから21kmと28.4kmに山岳ポイントが設けられる。そのうち1つ目の山岳ポイントは最大勾配20%の急坂。2つ目の山岳ポイント以降は平坦基調。しかし、コースレイアウトには記されないアップダウンが潜んでいるほか、この土地特有の強風やテクニカルなコーナーが集団をふるいにかける。そして最終盤はフジェールシュルビエーブルに設けられた10.5kmの周回コースを約3周半めぐってフィニッシュする。
スタートから発生した逃げ狙いのアタックにキナン勢も応戦。リードを奪うチャンスも見られたが実らず、他チームの3選手が飛び出すとプロトン(メイン集団)はそれを容認。キナン勢5人はメイン集団でレースを進めることとなった。逃げる3人とメイン集団との差は約5分程度にまで広がったが、スプリントを狙うチームを中心にタイム差をコントロール。キナン勢も集団内でポジションを確保しながら、残り50kmを過ぎてから本格化したペースアップに対応した。
やがてプロトンは終盤の周回コースへ。最終周回には逃げていた選手を吸収し、スプリントの態勢へと移ってゆく。キナンは雨乞が集団前方を押さえながら勝負に備える。しかし、残り3km手前から断続的に落車が発生。集団の前方、後方問わず次々と複数の選手によるクラッシュが起き、キナン勢も足止めを余儀なくされてしまった。このステージに集中していた雨乞も目の前で起きた落車によって止まらざるを得ず、勝負に絡むことはできなかった。
フィニッシュから3km以内でのトラブルであれば、発生時に属していた集団と同タイム扱いとなるが、これが適用されたのは新城と中西の2人。ともにステージ優勝者と同じタイムとなっている。
翌12日の第2ステージはベルヌアンソローニュ(Vernou-en-Sologne)からラ・フェルテアンボー(La Ferté-Imbault)までの200km。スタートからしばらくは平坦基調が続き、140km過ぎと150km過ぎにそれぞれ山岳ポイントが設定される。最後はラ・フェルテアンボーの周回を約3周走ってフィニッシュ。第1ステージ同様、スプリント勝負となることが予想されているが、天候やレース展開次第では定石通りとはならないことも大いに考えられる。第1ステージで悔しい結果となったキナンとしては、挽回を狙って臨むことになる。
ツール・ドゥ・ロワール・エ・シェール第1ステージ結果(183.5km)
1 レオナルド・ボニファツィオ(イタリア、AVC エクサンプロヴァンス) 4時間23分2秒
2 ヨヒム・アリエセン(オランダ、メテック・TKH コンチネンタルサイクリングチーム) +0秒
3 ディラン・マルドナード(フランス、AVC エクサンプロヴァンス)
4 アリダン・デデッケル(ベルギー、ロット・スーダルU23)
5 キャスパー・フォンフォルサク(デンマーク、チームコロクイック)
6 ケヴィン・ボイエ(フランス、S.C.オリンピック・デ・ディジョン)
78 新城雄大(KINAN Cycling Team)
108 中西健児(KINAN Cycling Team)
122 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +2分47秒
137 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +3分37秒
147 椿大志(KINAN Cycling Team) +9分6秒
個人総合時間
1 レオナルド・ボニファツィオ(イタリア、AVC エクサンプロヴァンス) 4時間22分52秒
2 ヨヒム・アリエセン(オランダ、メテック・TKH コンチネンタルサイクリングチーム) +4秒
3 ディラン・マルドナード(フランス、AVC エクサンプロヴァンス) +6秒
4 シーン・レイク(オーストラリア、ベネロン・スイスウェルネスサイクリングチーム) +7秒
5 ニコラ・プロドーム(フランス、シャンベリーシクリズムフォルマシオン)
6 アリダン・デデッケル(ベルギー、ロット・スーダルU23) +10秒
80 新城雄大(KINAN Cycling Team)
108 中西健児(KINAN Cycling Team)
136 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +2分57秒
144 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +3分47秒
147 椿大志(KINAN Cycling Team) +9分16秒
ポイント賞
1 レオナルド・ボニファツィオ(イタリア、AVC エクサンプロヴァンス) 15pts
山岳賞
1 ニコラ・プロドーム(フランス、シャンベリーシクリズムフォルマシオン) 8pts
ヤングライダー賞
1 ディラン・マルドナード(フランス、AVC エクサンプロヴァンス) 4時間22分58秒
60 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +3分41秒
チーム総合
1 AVC エクサンプロヴァンス 13時間9分6秒
25 KINAN Cycling Team +2分47秒
雨乞竜己のコメント
しばらくは集団内で椿や(新城)雄大と一緒に動いていて、周回コースに入ってからは単独でポジション確保していた。(足止めとなった場面は)周囲の選手に挟まれるような感じになってしまい、足をついて踏ん張るのがやっとだった。1ステージ走って、感触はすごくよい。距離を進むごとに体の動きもよくなってきて、調子は悪くないと感じている。第2ステージも混戦となりそうだが、もう1度挑戦する。
新城雄大のコメント
逃げにトライしたが、全体のペースが速かったことと、細かなアップダウンやワインディングで脚を使ってしまい、他選手のアタックに反応できないまま逃げの3人を行かせてしまった。その後は気持ちを切り替えて、集団内でリラックスして走った。周回コースに入ってからは、雨乞さんのスプリントのアシストができればと思っていたが、落車が起きたこともあり、ひとまずはフィニッシュすることに専念した。調子は悪くないので、第2ステージでは逃げにトライしつつも、第3ステージ以降で勝負できるよう準備をしていきたい。
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