川口うらら、MTBで世界を目指す…科学的トレ導入も

MTBのアジア選手権ジュニア女子で2017年から2連覇した川口うらら。MTBとロードの2競技で世界選手権の日本代表に起用されている。現在19歳の注目選手は東京五輪のテスト大会にも日本勢3選手のひとりとして出場した。目指すのは世界のトップテン。あるいはその先にある2024パリ五輪だ。

フカヤレーシングの川口うらら

ロードとMTBで世界選手権代表メンバーに

兵庫県たつの市に菖蒲谷という森林公園がある。大自然に囲まれた林道があって、MTBで走ると最高に楽しい。近くに住む川口が小学4年生のときから友だちと一緒に走っていたフィールドだ。

「環境に恵まれていましたね。だれかと走るのが楽しいんです。ああだこうだ言いながら」

もともとスキーやキャンプが大好きなアウトドア派。トレイルランも苦にしない。中学生でバスケットボール部に入ったので自転車は一時中断。しかし高校では放課後にバスケ練習、週末になると部活動とは別に自転車を楽しむ生活に戻った。

ロードバイクも練習の一環として乗り始める。2年前、高校3年生になる年に日本自転車競技連盟がジュニア女子ロードの合宿に呼んでくれた。MTBでの実績があって素質を見込まれたからだ。

「女子の場合はMTBとロードの両方をやりやすいんです。海外でも同じで、MTB世界選手権にいる選手はロード世界選手権にもいますから」

MTBはロード競技と同様にハイレベルな心肺機能が必要だが、それに加えてテクニックもいる。小学生時代からオフロードに親しんできた川口はそれがアドバンテージだ。それでも、「日本では下りも得意なほうだと思うんですが、世界レベルで見るとまだまだ」と自分の課題を掲げる。

2018世界選手権ジュニア女子ロードを走る川口うらら(左から2番目)  ©2018 JCF

現在は日本体育大1年生。ロード競技では同大の所属として走り、MTBでは今季からフカヤレーシングに所属して男子2選手とともに世界を目指す。横浜市にあるキャンパス周辺には山がないので、大学のアスリート支援システムを活用。大学ジムでパーソナルトレーナーの指導を受けるなどでこれまでに体験したことがなかった科学的練習を積む。

「タイで開催されるアジア選手権対策として、大学実験室の温度を上げて暑さに順応する練習をしたり、研究室で出力数値解析できる自転車をこいだりしています。これまでは感覚だけが頼りなので練習もあいまいでしたが、今は数字を見ながらの練習。測定で算出された数字を見れば強くなったことが分かります」

MTB選手活動の基盤となるフカヤレーシングで、選手兼チームマネジメント担当の松本佑太は、「世界と戦える選手だと川口選手に声をかけました」とチーム加入のいきさつを証言している。

「目標を聞いたときに、『世界チャンピオンになる』という力強い言葉が返ってきた。素質もあるのでこれはいけるなという予感があった。常に上を向いている姿勢も評価できた」と松本。

深谷産業のオリジナルブランド、ギザロ

オーバートレーニングで一時は低迷

順風満帆の川口に大きな壁が立ちはだかったことがある。2019年1月から慢性疲労となり、半年ほど睡眠障害などで体調を壊した。「気持ちの問題だ」とも言われたが、練習したら治るという状態でもなかった。じつはハードトレーニングによる疲労の蓄積が原因となったものだ。真面目な性格が災いした。練習をやり過ぎてしまう。レースでダメだったら自分で反省ばかりして考えすぎた。練習を重ねる体力もあったからやり過ぎたのも原因だったという。

「かなり悩んで、いろんな人と相談をして。その期間も苦しかったけど、復帰してからももとの感覚に戻すまで時間がかかったのがツラかった。それでも精神的な面で一番成長できたと思います。自分としてはこういう1年もレベルアップのためには必要だったかな」

現在はU23カテゴリーで走るが、その実力は多くのエリート選手を超えている。東京五輪のMTBクロスカントリー女子の日本選手は開催国枠の1つだけ。複数あれば川口にもチャンスがあったはずだ。

「もともと東京五輪を狙うつもりはなくて、まずは世界選手権で10番以内になること。五輪はその中でチャンスがつかめたらと思っていました」

将来の可能性を高めるために積極的に走っていきたい。川口の国内開幕戦は4月5日、子どものころから遊んでいた菖蒲谷を舞台としたMTBシリーズ戦だ。

フカヤレーシングの松本佑太、川口うらら、竹内遼

●フカヤレーシングのホームページ

しまなみ海道はどうやって世界一になったかの研究講座

しまなみはどうやって住民と行政を巻き込んで世界一になったか!」をテーマにした2019年度第13回自転車活用研究会のセミナーが2020年3月13日(金)に東京・南青山のライフ・クリエーション・スペース OVE南青山で開催される。

しまなみ海道をいく。サイクリング専用道ではなく、歩行者も利用するので、出会ったときは減速するなどゆとりを持って

今や世界的に有名になったしまなみ海道は、NPO法人シクロツーリズムしまなみの存在なくして語れない。かつてはサイクリングと無縁だった島々を結ぶ生活のための橋。島民、行政、さまざまな民間団体を巻き込み、サイクリストと住民との交流を積み上げて10年。ナショナルサイクルルートに認定されるまでに育て上げた「しまなみ海道」の今とこれからを、新刊『しまなみ島走(とうそう)PLAN』(OVEでも販売中・1400円)を上梓(じょうし)したシクロツーリズムしまなみスタッフの宇都宮一成さんが、しまなみ成立の謎を解き明かす。

宇都宮一成(うつのみやかずなり)
1968年愛媛県西予市出身。10年半をかけて夫婦で日本人初のタンデム自転車世界一周を遂行し、五大陸88カ国、10万5805kmを巡る。2009年にNPO法人シクロツーリズムしまなみの立ち上げに関わり、サイクリストと住民の交流をテーマとしたまちづくりに取り組む。しまなみポタリングガイドとして、自転車旅メニューを開発中。著書『世界でいちばん長いハネムーン』(風濤社)、『88ヶ国ふたり乗り自転車旅』(幻冬舎)、『しまなみ島走BOOK』(NPO法人シクロツーリズムしまなみ)

ライフクリエーションスペースOVE。港区南青山にある

しまなみはどうやって住民と行政を巻き込んで世界一になったか!
日時=2020年3月13日(金)18:30〜20:30
場所=ライフ・クリエーション・スペース OVE南青山
東京都港区南青山3-4-8 KDXレジデンス南青山 1F
地下鉄「外苑前」駅1a出口から、青山通りを渋谷方面へ。南青山三丁目交差点を左折し、直進。最初の信号のある交差点を右へ(角のSKI SHOP JIROが目印)。坂の途中、青山迎賓館の向かい。約600m・徒歩約8分。
会費=自転車活用推進研究会員500円(非会員3000円)
閉会後の懇親会=OVEで開催。申し込みの際「懇親会に参加する」を選び、参加費1000円を会場入り口で開会前に支払う。

●詳細と申し込みサイト

日本を表現した和柄サイクルウエアとキャップ発売へ

パールイズミが和柄をベースにデザインした「和柄プリントジャージ」と「和柄プリントサイクルキャップ」 を発売する。数量限定で、商品は在庫がなくなり次第、販売終了となる。

ジャージは島国日本を象徴する荒波と、日本を代表する3種類の猫をモチーフとしたデザイン。サイクルキャップは日本の伝統の柄である波、菱、亀甲、3つのバリエーションを用意している。

ジャージ、サイクルキャップともに、和をさりげなく着こなせるデザインで、海外の人にも喜ばれるアイテム。2020年4月中旬より、サイクルショップやスポーツ用品店などで購入できる。ぜひジャージとサイクルキャップで和のコーディネートを楽しもう。

プリントジャージ

【カラー 】波、猫
【価格】1万800円(税別)
【サイズ】
波 S, M, L, XL, 3L
猫 XS, S, M, L, XL, 3L
素材はルミエースUV。抜群の吸汗拡散機能で肌面をサラサラに保ち、快適な着用感を実現する素材。3バックポケット。脇メッシュ素材。日本製

プリントサイクルキャップ

【カラー 】波、菱、亀甲
【価格】3000円(税別)
【サイズ】FREE
洗濯しても折れ曲がりにくいツバ素材。耐久性の高い吸汗速乾素材

●パールイズミのホームページ

サイクルウエアは葛飾北斎にするか黒柴にするか

自転車、輪行、サイクルパーツ販売のワールドサイクルと、和んこ堂のコラボウエアが発売された。価格は1万3200円(税込み)。予約期間は2月19日までで、3月末ごろ入荷予定。

ワールドサイクルと和んこ堂のコラボウエア ©WANKODO

和んこ堂の黒柴ジャージ作家・安田全利(やすだぜんり)氏が描く、柴犬をモチーフに和のテイストを織り交ぜたキャラクターブランドがサイクルウエアになった。

黒柴ジャージ。左が花札、右が黒柴印 ©WANKODO

●黒柴印
●花札

葛飾北斎ジャージも登場。百年前の筆跡が今の人たちに訴えるスピリットを表現し、サイクルウエアとして具現化した。

葛飾北斎ジャージ。左が月、右がおいらん

●おいらん
●月

サイクルウエアとしては基本のベーシックモデル。吸汗速乾性、伸縮性に優れた高機能素材を採用。内部の汗を素早く吸水し、ムレを防ぐので、いつでもサラッとした着心地を実感できる。

裾滑り止めシリコンゴム標準装備。豊富なサイズ展開で男女問わず着用できる。

材質 : ポリエステル100%
仕様 : 3分割バックポケット付き
製造 : サンボルト S-RIDE
サイズ:XS~3XL

ラグビー田中史朗の頭にタライが落ちる自転車CMが話題

自転車の安全基準を満たすための厳しい試験、もし人間が受けたとしたら? ラグビーワールドカップ2019で大活躍! 屈強な身体を誇る田中史朗選手が、過酷な耐久試験をパスする安全性の高い自転車を表現! 一般社団法人自転車協会がWEB動画『BAA TRYOUT』を2月7日(金)に公開した。

自転車協会がラグビーワールドカップ2019日本代表の田中選手を起用した、安全・安心な自転車の目印である「BAAマーク」のプロモーションWEB動画を公開した。BAA(Bicycle Association (JAPAN) Approved)マークは、自転車協会が業界自主基準として制定した“安全基準”に適合した自転車に貼付されるマーク。

公開されたWEB動画は、普段BAAマーク取得のために自転車が受けている厳しい試験を、人間が受ける試験に置き換えて表現している。主人公の自転車役には、2019年ラグビーワールドカップで初のベスト8に輝いたラグビー日本代表の田中選手を起用。BAAマークを貼るための試験を模した「だるまさんが転んだ」「ぐるぐるバット」「タライ落とし」などに挑戦し、その頑強な身体で無事クリアするというストーリーだ。

これらの不思議な試験は、自転車のブレーキ試験、ハブの回転摩耗試験、フレーム衝撃性試験など、実際に実施されている厳しい試験を表現したものだという。BAAマークの認定を受けた安全性の高い自転車を選んでもらうきっかけになることを目指した動画だ。映像内で行われている試験の撮影は、十分な安全上の配慮のもとで行われたという。

田中史朗が迫真の演技!

薄暗い怪しげな倉庫に屈強な人間たちが集められ、これから過酷な試験が行われることを告げられる。まず始まったのは「だるまさんが転んだ」。床は水浸しになっていて、「ダルマサンガ、コロンダ!」という掛け声に、スモウレスラーは止まることができず転んでしまい、サイレンが鳴り会場から退場させられる。

次の試験は「ぐるぐるバット」。 バットを渡された試験者は、砂ぼこりが舞う中で高速で回転した後に走り出すが、女性ソルジャーと覆面レスラーはフラフラでまっすぐ走れず転んでしまう。この2人もここで試験から脱落する。次の「ロデオマシーン」では、ヘビー級ボクサーがあまりの激しさで振り落とされてしまい脱落。さらに「タライ落とし」ではカンフーマスターが痛みに耐えられず脱落、「ゴム紐」ではカウボーイも力及ばず脱 落した。

屈強な男たちが次々と脱落する中、余裕で試験をクリアしていくものが一人、それが田中選手だった。全ての試験をクリアした田中選手には試験官から「BAAマーク」が貼られた。後ろのドアから主婦が登場すると、田中選手はおんぶの姿勢になり主婦がその背中にまたがった。次の瞬間、田中選手が自転車の姿に戻り、主婦がBAA マークの貼られた自転車に乗って走り去るというストーリーだ。

撮影時のとんこつラーメンは替え玉4個!

田中選手はとんこつラーメンが好き。ロケ当日はラーメン店『一風堂』に、特別に撮影現場にケータリングを提供しに来てもらった。田中選手は替え玉を4回も頼み、計5杯をうれしそうな表情で軽々と平らげてしまい、店員さんもビックリ。
また、ロケ前日が誕生日であった田中選手のために、特製ケーキを用意し、撮影終了後にスタッフ全員でお祝いすると、戦いの場では勇ましい田中選手のかわらしい笑顔も見られた。

BAAマークとは?
BAA〔Bicycle Association (JAPAN) Approved〕マークは自転車業界が自主基準として制定した“安全基準”に適合した自転車に貼付されるマーク。自転車の品質の低下や粗悪な製品に由来する自転車事故の増加などを背景に、消費者の安全を守り、自転車全体への消費者の信頼を回復することを目的に、2004年9月から自転車協会が推進している制度。
BAAマーク貼付の対象となる車種は、一般用自転車で、シティ車、スポーティ車、幼児向け自転車をはじめ、電動アシスト自転車も対象車種となっている。

田中史朗(たなかふみあき)
試合の先を読む能力が高く、判断よく正確なパスを出し、巨漢選手にも果敢にタックルする勇敢なSH(スクラムハーフ)である。2013年2月22日、ニュージーランド南島の都市 ダニーデン「フォーサイスバースタジアム」で行われたスーパーラグビー第2節、ハイランダーズ対チーフス戦の後半26分、日本人として初めて南半球最強プロリーグの舞台に立った。その日の丸刈り頭は、ハイランダーズのオールブラックスSHアーロン・スミスに刈ってもらったもの。
京都で生まれ、洛南中、伏見工業高、京都産業大と一貫して京都でラグビーを続けた。大学時代に夢を抱いてラグビー王国NZへ留学。いったんは「自分には無理」とあきらめるが、三洋電機、パナソ ニックで元オールブラックスのSOトニー・ブラウンと出会い、体も小さく、手に障害を持ちながらの激しいプレーに刺激され、挑戦を続けた。
「ジャック」というニックネームは、パナソニックでともにプレーした田辺淳さんの長男ジャック( NZ生まれ)と顔が似ていたため。小学生に「君、何年何組?」と声をかけられるなど、子供と間違えられるエピソードは数知れず。

●自転車協会のホームページ

映画『栄光のマイヨジョーヌ』予告編…弱ペダ渡辺航からもエール

映画『栄光のマイヨジョーヌ』が2月28日(金)より新宿ピカデリー/なんばパークスシネマ(大阪)ほか全国順次公開される。2月7日には予告編とポスターが発表された。

©2017 Madman Production Company Pty Ltd

オーストラリア初のプロサイクリングロードレースチーム “グリーンエッジ” の発⾜から5年にわたり、チーム内部から彼らのレースツアーに密着したスポーツノンフィクション映画。

命がけで過酷な競技の実態、エースを優勝へ導くためアシストに徹する⾃転⾞ロードレース特有のチームプレー、強い信頼関係や敬意の上にのみ成り⽴つ「ALL FOR ONE」(原題)の精神。

マイヨジョーヌを着るサイモン・ゲランス。『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

ただ体⼒・技術勝負だけでない“⼈としての強さ”も試される ⾃転⾞ロードレースの奥深さをあぶり出し、マスコミ向け試写では「スポーツノンフィクションの枠を超えた“ヒューマンドラマ”としてロードレースファンのみならず、それ以外の層にまで広くおすすめできる」と話題になっている。

「君が勝つために、僕は負ける。」勝負のモチベーションとしては⼀瞬理解し難いマインドであるにもかかわらず、今回解禁となった予告編冒頭のこの⾔葉こそ、着順ではなく「チームの戦い⽅」が最⼤の⾒せ場であり、レースに⾒え隠れするリアルなヒューマンドラマが⼈々を魅了してやまない⾃転⾞ロードレースの真髄。

『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

「弱虫ペダル」作者 渡辺航からのコメント

その魅⼒について、「ロードレースはよく⼈⽣に例えられます。挫折や栄光、多くの失敗、仲間の存在、⼼から楽しむことーー。」と今回コメントを寄せたのは、累計発⾏部数2500万部突破、⾃転⾞漫画の⾦字塔「弱⾍ペダル」(秋⽥書店刊)で、⾃転⾞を通して⽣まれた友情、勝利へのあくなき努⼒、そしてレースでチームとともに⾛る喜びを⾒出していく主⼈公の姿を描き続けてきた漫画家渡辺航⽒。ライダーである前に「⼈間」である選⼿たちの過酷なレース=まさに⼈⽣を映す本作に、絶賛コメントが到着した。

「ロードレースはよく人生に例えられます。
挫折や栄光、多くの失敗、仲間の存在、心から楽しむことーー。
チャベスのレースでの劇的復活、その勝利を喜びながらも、
「年をとるのはやだね、若い奴らばかりが勝つよ」
そう言っていたベテラン選手のヘイマンは、
何度も挑戦してきたクラシックレースで・・・最後に奇跡を起こします!
これが掛け値なく本当の出来事なのだから、ロードレースはファンタスティックなんです!
「諦めず進む勇気」をもらえる映画です。」
ー「弱虫ペダル」作者/渡辺航

『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd
『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd
『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

映画『栄光のマイヨジョーヌ』

 2017年/オーストラリア/英語、スペイン語/103分/原題:ALL FOR ONE  監督・撮影:ダン・ジョーンズ

●『栄光のマイヨジョーヌ』の公式サイト

ブエルタ・ア・エスパーニャのエステバン・チャベス。『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd