ジロ・デ・イタリアの名峰セストリエーレがスキー世界選手権に立候補

イタリアアルプスに位置するスキーリゾート、セストリエーレが2029年にアルペンスキー世界選手権の招致活動を始めた。同地は2020ジロ・デ・イタリアの最後の山岳区間となる第20ステージのゴール地点。サイクリングとスキーの大舞台として同地の魅力を打ち出していく。

アルペンスキー世界選手権のセストリエーレ招致を目指すメンバー ©Marco Alpozzi/LaPresse

アルペンスキーワールドカップ大会初日の1月18日、招致委員会が記者会見を行って表明した。

5月30日、セストリエーレは8回目となるジロ・デ・イタリアを迎える。翌日は最終日と成り、ミラノでタイムトライアルが行われるが、山岳ステージとしては最後の大舞台だ。アルペンスキー世界選手権招致委員会は世界中が注目するジロ・デ・イタリアの最後の山岳ステージをいいきっかけとして、ジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトと協力しながら関係者にセストリエーレの魅力を発信していく計画だ。

2020ジロ・デ・イタリア第20ステージ。107.6km地点のアニェッロ峠でフランス入りし、イゾアール、モンジュネーブルを越えてセストリエーレへ。獲得標高は5000m

スキー産業はセストリエーレの歴史の中で間違いなく重要な部分だ。1934年に設立された自治体は、国際的なスキーリゾートになっていく。1997年にワールドカップとスキー世界選手権を開催。トリノ2006冬季オリンピックでもアルペンスキー会場となった。

セストリエーレの規模は年々拡大し、何百万人ものスキーヤーを集客するようになる。今日のセストリエーレは標高2000mの斜面のほとんどをゲレンデとして、世界で最も人気のある観光地の一つとなった。突然の地球規模の気候変動を考えると、その魅力はさらに増していくと分析する。

「8回目の訪問となるジロ・デ・イタリア。この町は多くのサイクリストにも愛されるようになった。アマチュアサイクリストのチャレンジレースであるグランフォンドもこの夏に開催する。そんな町の活気をぜひとも2029アルペンスキー世界選手権の開催につなげていきたい」とセストリエーレのジャンニ・ポンチェット市長。

国境となるアニェッロ峠。ジロ・デ・イタリアでは右手のイタリア側から左手のフランス側に走っていく
イゾアール峠。2019ツール・ド・フランス第18ステージ ©ASO Pauline BALLET

●ジロ・デ・イタリアの公式サイト

キナンのトマ・ルバが頂上ゴールの最難関ステージ4位

UCIオセアニアツアー「ニュージーランド・サイクルクラシック」は1月18日に第4ステージが行われた。この日は頂上フィニッシュが待ち受ける最難関ステージ。KINAN Cycling Teamはメイン集団で上りきったトマ・ルバが4位でフィニッシュ。個人総合では8位と上げて、翌日に控える最終の第5ステージに進むこととなった。

ニュージーランド・サイクル クラシック第4ステージ4位のトマ・ルバ(右) ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日の第3ステージでは、チームとしてメイン集団のペーシングを担い、14人と大人数の先頭グループを追走。最後は中島康晴のスプリントに持ち込んで6位で終えた。個人総合では3ステージを終えて、山本大喜がチーム最上位の個人総合24位につける。同じく29位のトマ・ルバとともに上位陣が見えるポジションをキープ。毎ステージ、スピード域の高いレースが続いており、シーズン初戦の選手たちは速さに対応しながら、上位進出を狙ってトライを繰り返している。

第4ステージは、今回最長のレース距離175.6km。まず、大会の拠点都市であるマスタートンを基点とする51kmのコースを3周回。途中、登坂距離6.5km、平均勾配4.8%のテ・ワラウ・ヒルの上りをこなすことになる。1周目と2周目の通過には山岳ポイントが設けられる。

タフな周回を終えると、いよいよ今大会のハイライトでもあるアドミラル・ヒルへ。頂上に敷かれるフィニッシュラインへは、登坂距離4.1km、平均勾配6.2%。特筆すべきは、フィニッシュ前1.5kmでいったん緩斜面となるも、最後の数百メートルで再度急坂を駆け上がる点。総合争いにおいて遅れることは許されない、KINAN勢にとっても最終局面の攻略こそが上位進出のカギとなる。

そんなレースは、この日もリアルスタートからアタックと吸収の連続。山本元喜や中島康晴らがチェックに出つつ、大人数の飛び出しには山本大喜も加わって、優位な展開へ持ち込もうと試みる。しばらくは決め手に欠ける状態が続いたが、スタートから1時間ほど経とうかというところで、上りを利用して6人が抜け出すことに成功。その後もメイン集団から追走を狙う動きが見られたが、結局1周目を終えようかというところで集団が落ち着き、前の6人を先行させる流れになった。

先頭の6選手とメイン集団とのタイムギャップは、最大で約9分。集団は総合で上位にメンバーを送り込んでいるチームを中心にペーシングを開始。序盤は積極的に攻めたKINAN勢も集団に待機し、情勢を整えることに集中した。

その後もしばし逃げと集団との構図は続いたが、3周目に入っていよいよ追撃ムードが高まりを見せる。みるみる間に逃げていた選手たちを射程圏内にとらえると、先頭でも上りで力の差が見え始め、1人、また1人と遅れていく。この周回を終える頃には、その差は数十秒にまで迫った。

タイミングを同じくして、メイン集団から前方めがけてアタックが散発。ブリッジに成功した選手が加わると、逃げグループは再び勢いを取り戻す。集団も活性化するが、前とのタイム差は再び1分台に。KINAN勢も最後の山岳に向け、集団内でのポジションを上げて重要な局面に備えた。

 いよいよ勝負のアドミラル・ヒルへ。ここからは登坂力勝負。有力選手のアタックに山本大らが反応するがリードを奪うまでには至らない。それでも集団は距離を追うごとに人数が絞られていく。

一方、先頭では終盤にメイン集団からのブリッジに成功したライリー・フィールド選手(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)が、山岳で独走態勢を固める。後ろにはメイン集団も続いていたが、勢いは完全にフィールド選手が上回っていた。最後まで後続の追撃を許すことなく、1人でアドミラル・ヒルの頂上へと到達。

フィールド選手のフィニッシュから53秒。メイン集団は10人ほどになって最終局面へとやってきた。KINAN勢ではトマがこの中で粘り、最後の上りスプリントでステージ4位を確保。その後次々と他のメンバーもフィニッシュラインを通過した。

この結果、このステージを終えた時点での個人総合順位でトマが8位に浮上。トップとのタイム差は55秒とし、チーム最上位となっている。

大会はいよいよ最終日へ。19日に行う第5ステージは、マスタートン市内にセッティングされる“メガ・サーキット”での平坦勝負。10kmのコースを12周回、120kmでクライマックスを迎える。KINAN Cycling Teamは中島でのスプリントを狙って組織力で勝負していく構え。また、UCIポイント圏内に入ったトマの個人総合順位も意識しながら、最後のステージに臨むことになる。

ニュージーランドサイクルクラシック2020 第4ステージ(175.6km)結果
1 ライリー・フィールド(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 4時間31分3秒
2 キース・デュベステイン(ニュージーランド、チーム ブリッジレーン) +53秒
3 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー)
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
5 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) 
6 ヘイデン・マコーミック(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) +55秒
16 山本大喜(KINAN Cycling Team) +1分57秒
47 新城雄大(KINAN Cycling Team) +4分18秒
61 椿大志(KINAN Cycling Team) +8分17秒
67 山本元喜(KINAN Cycling Team) +11分30秒
78 中島康晴(KINAN Cycling Team) +24分8秒

個人総合
1 ライリー・フィールド(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 12時間36分59秒
2 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) +26秒
3 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)+45秒
4 ヘイデン・マコーミック(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) +48秒
5 キース・デュベステイン(ニュージーランド、チーム ブリッジレーン) +49秒
6 コナー・ブラウン(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) +51秒
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +55秒
17 山本大喜(KINAN Cycling Team) +1分59秒
43 新城雄大(KINAN Cycling Team) +4分28秒
63 椿大志(KINAN Cycling Team) +9分58秒
65 山本元喜(KINAN Cycling Team) +11分39秒
78 中島康晴(KINAN Cycling Team) +25分0秒

ポイント賞
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 24pts
13 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 4pts
19 山本元喜(KINAN Cycling Team) 1pts

山岳賞
1 フィン・フィッシャー=ブラック(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) 16pts
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 4pts
12 山本元喜(KINAN Cycling Team) 4pts

チーム総合
1 ブラックスポークプロサイクリングアカデミー 37時間53分21秒
7 KINAN Cycling Team +4分58秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント

「今日のプランは(山本)大喜で総合を狙うことで、自分はセカンドオプションだった。個人的には12月に落車して、1週間トレーニングができなかったことが影響していて調子はまったく良くないし、痛みも残っている。そうした中でも、チームワークで良い流れを作って、大喜と狙いをシェアしながら戦うことができた。結果的に大喜がアタックを試みた後に遅れてしまったので、自分のリザルトにシフトして最後の上りに挑むことになった。(ステージ4位という結果については)コンディションを考えると悪くないし、これからもっと上げていけると思う。シーズン最初のレースでトップ5に入れてよかったし、これもチームワークのおかげだ。

12月にトレーニング中の落車でダメージを負ってしまったけど、チームマッサーの森川さん、安見さんが最善を尽くしてくれて、少しずつながら回復している。リカバリーとトレーニングのバランスをとりながら完治させたい。

2020年シーズンは2つの大きなターゲットを自らに課している。まずはツアー・オブ・ジャパンとツール・ド・熊野で結果を残すこと。これらに向けてトレーニングを積んでいく。2つ目は、チームの日本人選手を育成すること。国内外、レースの大小問わずみんなとともに走って、多くのことを伝えていきたい。昨年から意識して取り組んでいるつもりだけど、今年はさらにリーダーシップを出していけたらと思っている」

EFプロサイクリングが着用するラファ製ジャージ発売

2020ロードシーンで最もポップなデザインとされるEFプロサイクリングのラファ製サイクリングウエアが市販される。チームにはコロンビアのリゴベルト・ウランらが所属し、メジャーレースでも活躍する勢いだ。

©JORDAN CLARK HAGGARD

●ラファの通販サイト

ラファは2004年、英国ロンドンでサイモン・モットラムが設立した。創業以降、ラファは一貫して世界で最も上質なサイクリングウエアを生み出してきた。15年もの間、バイクの魅力に気付いたばかりの初心者からワールドツアーレースに参戦するプロ選手まで、ありとあらゆるサイクリストを納得させる製品を生み出すため、ラファは快適性とパフォーマンス、そしてスタイルを刷新し続けてきた。

EFプロサイクリング・プロチームエアロジャージ 2万4500円

このスポーツへの愛を源流とするラファは、これまでにないユニークなライドやイベントを定期的に開催し、またスポンサーとして携わってきた。サイクリストが集まる過去に類を見ないコミュニティとして、2015年に設立したラファサイクリングクラブには現在世界中で1万2000人を超えるメンバーが所属している。ヨーロッパ、北米、アジアに散らばる合計23店舗のクラブハウスでは、最新の製品を取り揃えるのはもちろん、カフェスペースがRCCメンバーや地元のサイクリストの集いの場所として機能している。

EFプロサイクリング・USAナショナルチャンプジャージ 2万4000円

ラファはその黎明期から、ロードレースの最高峰の選手たちとともに製品開発を行ってきた。2005年から2012年まで英国のUCIコンチネンタルチームであるラファコンドールのタイトルスポンサーを務め、2012年から2016年まではウエアスポンサーとしてスカイの活躍に貢献した。2016年からはUCIウィメンズワールドツアーの強豪チームであるキャニオンスラムのスポンサー活動を開始。ロードレースの実情に関する2年間のリサーチをまとめた『ラファロードマップ』を発行した。2019年にはEFエデュケーションファーストのスポンサーとしてUCIワールドツアーへの復活を果たしている。

2020年のラファは2つの鍵となる新しい試みを始めた。オンライン上の革新的なデザインツールを使って、だれでも自身でフルカスタム製品を簡単にデザインできる『ラファカスタム』がスタート。さらに、サイクリング界によりよい未来をもたらしたいという使命感から、次世代の選手たちを鼓舞して力を与え、金銭的にサポートするための『ラファファウンデーション』を設立。選手育成に携わる非営利団体に資金を提供していく。

進化したインドアトレーナー体験会が2月4日渋谷で開催

2020年、スマートローラーの革命で新潮流が生まれる。インドアトレーニングはここまで進化した。ワイズロードがSARISのバイクトレーナー部門の国内総輸入販売店となり、2020年2月中旬より順次発売。発売前の2月4日(火)にSARIS 「H3」と「MP1」を日本最速で体験できるイベント「SARIS H3&MP1 驚異の実走感を体験せよ!」をワイズロード渋谷本館で開催する。

2020年、スマートローラーの革命が始まる

前世代のSarisトレーナーの5倍の静粛性=時速32kmで59dbを誇る「H3 Direct Drive Smart Trainer」と、インドアトレーナーにライディング本来の動きを再現する全く新しいトレーナープラットフォーム「MP1 Nfinity Trainer Platform」の最強コンビがワイズロード渋谷本館に日本初上陸する。Sarisの革新的なインドアトレーニングの実走感が体感できる。

「SARIS H3&MP1 驚異の実走感を体験せよ!」Supported by Cannondale / MAVIC
開催日:2020年2月4日(火)
時間:11:00~一般向け体験会
※体験会は2月4日(火)から2月11日(火)までワイズロード渋谷本館SARIS特別コーナーで開催
場所:ワイズロード渋谷本館

●Sarisの日本語ホームページ

H3 Direct Drive Smart TrainerとMP1 Nfinity Trainer Platformの最強コンビ

実走しているように身体と自転車が動くサイクルトレーナー

ワイ・インターナショナルが米国発スマートトレーナー、サイクルキャリアパーツのメーカーSARIS社と、現SARISブランドのバイクトレーナー部門(旧ブランド名CycleOps) の輸入総代理店となり、2020年2月中旬より全国のワイズロードとスポーツサイクル専門ショップで発売することになった。

H3 Direct Drive Smart TrainerとMP1 Nfinity Trainer Platformの最強コンビ

ライディングの楽しさを屋内に持ち込める

初めて固定されたトレーナーに乗ったときに「動き」の窮屈さを感じることがある。もちろん無理やり動こうとすれば身体はサドルを超えて左右に動くことができるが、バイクは止まったままで反応せず、ライダーの動きを制限する。

屋内で自転車を安全に乗るためには、長い間この「固定」が必要だった。バイクはトレーナーに固定され、アスリートはバイクに固定され、トレーナーは最もハードなトレーニングに耐えることができた。その結果、屋外よりも不快な乗り心地となり、最終的には「乗り物」のようには感じられなかった。

台が前後左右に稼動することでライディング本来の動きが再現できる

自転車のトレーナーと一緒に多くの時間を過ごすサイクリストで構成されるSarisは、これまで見たことも感じたこともないトレーニング体験を作り出すことができると考えた。そして、屋内バイクトレーナーの製造で20年以上の経験を持つ専門家、エンジニア、 アスリートのチームがこの挑戦に立ち向かったという。

MP1 Nfinity Trainer Platform による“動きの革命”

物理学に基づき工夫が凝らされた構造は没入感があり、快適で本物のトレーニング体験が 得られる。左右の動きだけでは不十分で、湾曲したレールによる前後運動が2次元の動きを加えて実際のライディングのようなライダーとバイクの動きを再現した。前後の可動域は重力の作用により中心位置に戻る構造となっている。

H3 Direct Drive Smart Trainer。12万8000円(税別)

H3 Direct Drive Smart Trainer

時速32kmで59dbの静音性、前世代のSarisトレーナーの5倍の静かさ

インドアトレーナーにおいて最も多い質問は「どれくらい静かなのか?」というもの。Saris社開発チームはこの課題を重要な問題と考え、チェーンの駆動音しか聞こえないほど静かなトレーナーを生み出した。時速32kmで59db、前世代よりも5倍静かな静粛性を実現させたバイクトレーナーの開発に成功した。

しかし、隣接環境において大切なのは静粛性だけではない。リアルな走行感をもたらす 非常に大きな9kgの回転体は1点1点ドリル加工により精密に重量バランスがとられ、振動 の発生を最小限に抑えている。H3は2000w 20%登坂の再現性、優れた安定感の躯体と収納時のコンパクトさと反応性のいい電磁抵抗など、ハイエンド機に求められる性能を高いレベルで備えたSarisのフラッグシップスマートトレーナーだ。

H3はSarisの製品の伝統にならい、高い信頼性と耐久性を備えている。米国本土で供給された鋳造および機械加工されたアルミニウムから作られていて、内部の電力、速度、ケイデンスを測定するための部品は細心の注意を払って調整されている。

●H3 Direct Drive Smart Trainer のイメージ動画

MP1 Nfinity Trainer Platform。15万8000円(税別)

MP1 Nfinity Trainer Platform

Saris Nfinity Technologyを搭載したMP1は、屋内でのトレーニングに屋外でのライド感のような“自由”をもたらす。
・Saris Nfinity Technology がインドアトレーニングに新しいムーブメントをもたらす・実装に近い筋肉を有効に活用でき、楽しく効果的なトレーニングが可能
・大多数の固定式トレーナーやSaris製デスクに対応

2020年、Nfinity TechnologyはMP1に落とし込まれ製品化された。美しいバーチとスチールのMP1は最大級にハードなトレーニングもしっかりとサポートする。バイクトレーナーが始まって以来、Sarisは一つの課題を解決するために進化してきた。それはアウドドアのライディングをインドアで再現することだ。そうしてスマートトレーナーができあがり、インドアサイクリングアプリができ、バーチャルレースやグループライド、管理されたワークアウトが発達し、修練を行うアスリートはインドアトレーニングにも熱心になっていく。

ほぼすべてのバイクトレーナーに対応

インドアトレーニングの進化はまだ終わっていない。その体験をよりよいものにし屋内トレーニングのメリットを最大限に活用するためには快適で熱中できる方法が必要。「MP」とは Motion Platform(モーションプラットフォーム)の略だ。Sarisによって考案された“Nfinity Technology”は固定されたトレーナーに新たな運動軸を加えモーショントレーニングを可能にした。MP1は、先駆的な技術革新をもたらすスマートトレーナーのベストパートナーになる。

キナンが集団コントロール…ニュージーランド・サイクルクラシック第3S

KINAN Cycling Teamが出場しているニュージーランド・サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は第3ステージを1月17日に行った。平坦基調のコースで争われたレースは、スプリントに挑んだ中島康晴が6位でフィニッシュ。レース中盤に大人数の逃げが生まれたが、KINAN勢が中心に立ってメイン集団をコントロール。追撃ムードを高めてライバルたちの逃げ切りを許さなかった。

KINAN勢気迫の集団コントロール。チームの存在感を示したニュージーランド・サイクルクラシック第3ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は中盤戦へ。ここまでの2日間、積極的に前線でレースを展開。第2ステージでは山本元喜が逃げに加わったほか、中島がスプリントに挑んで10位となるなど好走。個人総合でもトップが見える位置に山本大喜、トマ・ルバらがつけ、この先のチャンスをうかがう。

第3ステージは、大会拠点となっているマスタートンからマーティンバラまでの127km。スタートからしばしワンウェイルートを進み、おおよそ中間地点から1周7kmの周回コースへ。これを9周回してフィニッシュを迎える。前半に唯一の山岳ポイントが控えるが、以降は平坦基調。定石通りのスプリント勝負となるか、要所でのアタックなどからレースに変化が生まれるのか、駆け引きが見どころともなった。

迎えたレースは、ここまでの2日間同様にリアルスタートから出入りの激しいものに。数人の飛び出しが決まるかに思われた場面もあったが、いずれも決定打とはならず、アタックと吸収を繰り返しながらレース前半が進行していった。

状勢が一変したのは、周回コースに入る直前でのこと。数人のアタックが容認され集団のペースが落ち着きかけたタイミングでさらに1人、また1人と飛び出しを図る。やがて先行するのは14人に膨らみ、そのまま逃げの態勢へ。KINAN勢もたびたびチェックに動いたが前方までは乗り切れず、メイン集団から先行する選手たちを追う流れとなった。

その状況下で、集団の追撃ムードを高めたのはKINAN勢6人だった。全員が集団前方へと上がってペーシングを開始。椿や新城に加え、終盤に入ってからは山本兄弟とトマも効果的なコントロールを見せ、サーキットコースに入った段階で約3分あったタイム差は、周回を経るごとに減っていく。しばらくして、逃げにメンバーを送り込まなかったチームもローテーションに加わり、着実に先頭グループを射程圏にとらえていった。

懸命の追走が実り、残り2周で逃げていた選手たちをキャッチすることに成功。その後もKINAN勢が集団先頭をキープしながら最終周回へと突入した。

スプリントに向けては、中島で勝負する態勢で他のメンバーがリードアウト。ライバルチームにも一歩も引くことなく、前方を固めながら最後の局面を迎える。そして前方から加速した中島は、トップまでは届かずも6位とまとめてのフィニッシュに。

劣勢になっても不思議ではなかった状況を一気のペースアップで打開し、中島でのスプリントまで持ち込んだKINAN勢。リザルトそのものはベストとはいかずも、プロトンに対してチーム力と存在感を示すには十分なレースであった。

総合成績では、ここまでを終えて山本大がチーム最上位の24位。同29位のトマとともにトップとは31秒差。山本元は同じく38秒差、新城も39秒差としており、上位陣が見える位置を保っている。

翌18日に行われる第4ステージは、今大会の最難関。今回最長のレース距離175.6kmもさることながら、次々とやってくるタフな上りが選手たちの脚を試す。スタートから3周回する51kmのコースでは登坂距離6.5km、平均勾配4.8%のテ・ワラウ・ヒルがそびえ、これを3回クリア。そのうえでアドミラル・ヒルの頂上フィニッシュを目指すことになる。フィニッシュまでの上りは距離4.1km、平均勾配6.2%。残り1.5kmでいったん緩斜面となり、フィニッシュ前数百メートルで再び急坂を駆け上がる。このステージの攻略こそが、総合争いに生き残る絶対条件。KINAN勢も上位進出にかけて、もっとも重要な局面に挑むこととなる。

ニュージーランド サイクルクラシック2020 第3ステージ(127km)結果
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 2時間39分51秒
2 ブレイク・クイック(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +0秒
3 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー
4 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) 
5 ルーク・マッジウェイ(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) 
6 中島康晴(KINAN Cycling Team) 
45 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
51 新城雄大(KINAN Cycling Team)
56 山本大喜(KINAN Cycling Team) 
71 山本元喜(KINAN Cycling Team) 
87 椿大志(KINAN Cycling Team) +18秒

個人総合
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 8時間5分27秒
2 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) +6秒
3 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +11秒
4 エイデン・トゥーヴェイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +16秒
5 キャンベル・スチュワート(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)+17秒
6 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) +21秒
24 山本大喜(KINAN Cycling Team) +31秒
29 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
34 山本元喜(KINAN Cycling Team) +38秒
47 新城雄大(KINAN Cycling Team) +39秒
76 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分21秒
85 椿大志(KINAN Cycling Team) +2分10秒

ポイント賞
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 24pts
15 山本元喜(KINAN Cycling Team) 1pts

山岳賞
1 ボリス・クラーク(ニュージーランド、ユーロサイクリングトリップス・CMI) 10pts
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) 4pts

チーム総合
1 ブラックスポークプロサイクリングアカデミー 24時間17分29秒
9 KINAN Cycling Team +33秒

中島康晴

中島康晴のコメント
「スプリント勝負を予測しながら、危険な逃げには注意しながらスタートした。力のある選手のアタックにはトマや(山本)大喜がしっかり反応してくれて出足はよかった。ただ、逃げが決まったかに思ったところでさらにアタックがあって、自分たちがそこに乗ることができなかったのは反省点。何度か前への合流は試みたが上手くいかず、早めの判断で集団牽引をすることにした。

椿と(新城)雄大が素晴らしい働きで先頭とのタイム差を縮めてくれたことや、集団コントロールに協力してくれたチームもあったことで、前の選手たちを吸収できた。大きなミスこそあったが、ハイレベルのレースでこのような経験ができたことはポジティブに捉えたい。

今日は自分も集団牽引に加わったが、脚を使いながらでも最後のスプリントでは6位とまとめられた。集団内でのポジショニング1つ見ても、自分たちが他チームからリスペクトされていることを感じるし、スプリントだけに集中できればもっと結果を出せる手ごたえもつかめた。

(次のスプリントチャンスは第5ステージ)チーム力を示すことができているので、組織的な動きでスプリントに持ち込みたい。個人的な目標は表彰台に上がること。それを実現したい」