ツール・ド・フランスの過酷さをイヤでも体験してしまうのがエタップ・デュ・ツール

ツール・ド・フランスに出場できるのは一流プロばかり198選手。2018年は1チームの出場選手数が9から1減するのでさらに狭き門となる。そんなは世界最高峰の自転車レースに、一般サイクリストが1区間だけではあるがまったく同じコースを走れる大会がある。それが毎年1万人以上が参加するエタップ・デュ・ツールだ。

本番のレース、つまりツール・ド・フランスの一流プロがそこを走るレースの数日前に開催される。主催者もコースもツール・ド・フランスとまったく同じ。マビックの黄色いサポートカーも伴走し、世界最高峰の自転車レースに出場する選手になったような気分が味わえる。沿道には本番ほどではないが大観衆が詰めかけ、熱い声援を送ってくれる。

「通過する村の子供たちが応援の歌を歌ってくれました。町の音楽隊がずっと演奏を続けてくれました。峠の上り坂にはファンが生け垣のように集まっていて…。こんな感動的なシーンは体験したことがありません。ずっと涙が止まらなかった」
日本からこの大会に参加した人は口々にこう証言している。

大会にはフランスの著名人やかつての一流プロ、ツール・ド・フランスに出場していない現役プロなどがスタート第一列に並ぶ。元F1ドライバーのアラン・プロストはその常連で、毎年上位でフィニッシュしている。2003年にはF1時代の佐藤琢磨が、2008年には片山右京が参戦している。

1万人以上が参加するイベントだけに、スタートは第1列の招待選手から1万番台の選手まで1時間近くを要する。それでも計測チップを装着するので個人の所要時間はきちんと算出され、性別・年代ごとの表彰も行われる。優勝者には表彰式でマイヨジョーヌが与えられる。

世界最高峰の自転車レースのコースを使用するだけに、だれもが気軽に参加できるというわけではない。もちろん順位を争うのはごく一部の選手で、あとは地元のサイクリストと一緒に集団走行しながらゴールを目指すのだが、やはり計画的にトレーニングしている人しか挑戦する権利はないだろう。

日本の参加者にアンケートを採ったところ、月間の平均走行距離は750kmだった。「それくらい練習しないとこのレースに挑戦する資格はないですよ」と70歳の参加者が言い切ったくらいだ。
「フランスの選手は下りのスピードが速いが、意外と上りは遅いので練習していれば結構抜ける」という日本人参加者も。

最大の魅力はツール・ド・フランスの過酷さやレベルの高さを、身をもって体験できること。参加者が足をついて絶望した峠を、数日後に一流プロが顔色一つ変えずに飛び去っていくかもしれない。やはりツール・ド・フランスの本当のスゴさは現場に足を向けないと分からない。

2018年7月8日に開催される第27回エタップ・デュ・ツールは、同17日に開催されるツール・ド・フランス第10ステージとまったく同じものが採用された。43km地点を頂点とする標高1477mのラクロワフリ峠、距離6kmながら平均勾配11.2%の難度があるプラトーデグリエールの坂、ロンム峠を走り、最後に標高1618mのコロンビエール峠が待ち構える。大会最初の山岳ステージで、マイヨジョーヌの行方も左右する注目の1日。アヌシーとル・グランボルナンは2013年の第100回大会にも訪問した町で、長い夏休みをのんびり過ごすバカンスの象徴でもあるエリアだ。挑戦してみる?

ASO/Manu MOLLE

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【Column】フランスには外国人が免税で新車を購入できるシステムがある

フランスの自動車メーカー、プジョー、ルノー、シトロエンにはそれぞれ短期滞在の外国人が免税で新車を購入でき、帰国時に買い取ってくれるシステムがある。これが実に便利で快適で安価。好きな車種を選べる。しかしながら思わぬ落とし穴がある。

ツール・ド・フランスをルノーで追いかける。写真はピレネー山中のアンドラ公国

ツール・ド・フランス取材時にボクがいつも利用しているのが、プジョーなら「オープンヨーロッパ」、ルノーなら「ユーロドライブ」と呼ばれるシステム。サイクルスポーツ編集部時代の1994年から利用しているので、もう20年以上にもなる。

17日以上の外国人旅行者や6カ月以内の駐在員にうってつけで、免税で新車を購入し、帰国時に売却する。インターネットで申し込むことができ、利用者は購入金額と売却金額の差額をクレジットカードで支払えばいい。ツール・ド・フランス取材とその前後で26日間乗り回して、たとえばルノー・メガンヌで14万円くらいだ。

赤いナンバープレートには外国人が免税で乗っているという意味がある

レンタカーの場合、保険や税金などで見かけの見積額より高くなるケースがある。それに対してこのシステムは、税金は当然免除。保険は追加料金なしでフルカバーされる。そしてなんといっても自分名義の新車が乗り回せることが魅力。

納車や返却をシャルルドゴール空港にすれば、到着して電話すれば迎えに来てくれるので、重い荷物を引きずって移動することは帰国時までない。かなり激しくぶつけても返却時にとがめられることはないのだが、毎年無傷で返却するのがボクのモットーだ。交通事故を起こしたらもうツール・ド・フランス取材はやめようという覚悟で安全運転しているのが、無事故無違反の秘けつだと思う。

2013年の100回大会のときはコルシカ島で3日間レンタカーを借り、ニースに入ってからマイカーをピックアップした

欧州では日本のような「新しいモノ主義」がないので、ちょっと乗り回したくらいの中古車を購入する人たちが多い。だから自動車メーカーも、外国人に安く買わせて中古車として下取りをして売るという商売が成り立っている。

万一故障した場合はフランスのどんな町にもあるメーカーのディーラーに持ち込めば無償修理してくれる。24時間態勢で緊急アシスタンスサービスもある。ところが唯一注意しなければならないこと。レンタカーと違って故障しても別のクルマに交換してくれない。自分名義のクルマなので修理が終わるまで待たなくちゃいけないことだ。

無料でレンタカーを出してくれるので駐在員などは問題ないだろうね。でもツール・ド・フランスは1日200kmを移動するイベントなのである。

隣国ドイツにも陸送してもらった

2000年の取材途中にボクの新車が乗り始めて6日目にオイル漏れを起こした。最寄りの修理工場で点検した結果、「エンジンに亀裂が入っているので修理に4日かかる」とのこと。仕方ないので4日間は与えられたレンタカーを乗り回し、約束の日にボクだけ800kmを引き返すことになったとき、「ツール・ド・フランスから脱落する」というさみしさがこみ上げた。しかも工場に行ったら「あと1日待ってくれ」と。

2018年はどのクルマにしようかなと楽しみではあるが、壊れないヤツにしてください。

【これまでのColumn】

GPSデバイスはあえてセカンドグレードを選んだ、これだけの理由
http://pressports.com/2017/12/22/【column】gpsデバイスはあえてセカンドグレードを選ん/

© 仲沢隆

ボクのツール・ド・フランスはルーアンから始まった
http://pressports.com/2017/12/15/【column】ボクのツール・ド・フランスはルーアンか/


死ぬまでに泊まってみたいホテル…天文台で満天の星空を見る
http://pressports.com/2017/12/11/死ぬまでに泊まりたいホテル天文台で満天の星/

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5000kmを無事に走り終えてパリの常宿の前、いつもの定位置に駐車するとホッとする

BMCのベビンがニュージーランド選手権を欠場…練習中に負傷

BMCの新加入選手パトリック・ベビンが練習中の落車による負傷により、母国のニュージーランド選手権を欠場するとチームが発表した。

Chris Auld Photography

南半球のオーストラリアやニュージーランドでは、欧州や日本と異なりこの時期にナショナルチャンピオンシップを開催。ベビンはそれに向けて調整していたが、2017年12月30日にニュージーランドでの練習中に負傷した。同選手権を欠場し、オーストラリアで開催されるメジャー第1戦、サントスツアーダウンアンダーに出場するために再調整していく。

宇都宮ブリッツェンがルコックスポルティフに…2018シーズンのウエア刷新

地域密着型プロ自転車ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」を運営するサイクルスポーツマネージメントが2018シーズンのチームキットを発表した。

チーム創立10年目の2018年からルコックスポルティフにウエアが変更された宇都宮ブリッツェン

チーム創立10年目のシーズンとなる2018年より、ウエアサプライヤーはルコックスポルティフへ変更となった。それに伴いウエアデザインも一新され、チーム名にも冠されたブリッツェン(稲妻)をフレンチテイストでアートグラフィック化。チームカラーのレッドをジオメトリックで斬新なウエアデザインへと昇華させている。

雨澤毅明
小野寺玲

宇都宮ブリッツェンのホームページ
http://www.blitzen.co.jp

浅井康太が1発賞金1億円超のKEIRINグランプリ優勝…2年ぶり2回目

1着賞金1億160万円(副賞含む)のKEIRINグランプリ2017が12月30日、神奈川県平塚市の平塚競輪場で行われ、浅井康太(三重)が優勝した。2年ぶり2度目のグランプリ制覇で、年間賞金王にも輝いた。

2着には武田豊樹(茨城)、3着には新田祐大(福島)が入った。浅井と連携した深谷知広(愛知)が積極的な走りを見せつけたが、最終周回で落車。8着でゴールした。28日に行われたガールズグランプリでは石井寛子(東京)が悲願の初優勝を遂げた。

NIPPO・ヴィーニファンティーニはデローザ「PROTOS」とサンティーニでシーズンを戦う

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニが2018シーズンを戦うチームバイクとチームウエアを発表した。バイクは2014年のチーム発足時からパートナシップを組むイタリアのコンペティションバイクメーカー、デローザの「PROTOS(プロトス)」。前シーズンよりチームに供給される「新型PROTOS」の実力はジャパンカップなど数々の勝利に裏付けられている。

NIPPOチームが駆るデローザのフラグシップモデル「PROTOS チームエディション」

「PROTOS」は4種類のカーボンファイバーを組み合わせ、強度を維持しながらも軽量化に成功。エアロダイナミズムにも優れるフレーム設計が施されていて、チームカラーのビビッドなオレンジ色を基調にバーミリオンレッド、ミッドナイトブルーがアッセンブルされ、レーシーな印象を与えるとともにプロトンのなかで一層引き立ち、大きな存在感を発揮する。

2017年同様にメインコンポーネントはパワーメーターの「パワー2マックス」がチェーンホイールに組み込まれたカンパニョーロ・スーパーレコードEPSとスーパーレコード。コンポーネントで前シーズンからの変更点となるのはリヤディレイラー。ワイドレシオへの余裕ある対応をするため、ロングケージ仕様のモデルを状況によって使用していく予定。レーシングホイールはクリンチャー仕様の「ボーラ35」「ボーラ50」「シャマル」でシーズンを通して戦う。

ハンドルとステムはFSAとヴィジョン。サドルはセライタリアのラインナップから選手の好みに合わせてセレクト。そしてレーシングタイヤも引き続き日本のトップブランドであるIRCタイヤがスポンサー。2018シーズンはクリンチャーとチューブレスで戦い、タイムトライアルバイクのディスクホイールのみチューブラータイヤのサポートを受ける予定。

クネゴ仕様シルバーの「PROTOS」(左手前)と、カノラ仕様ブルーの「PROTOS」(右奥)

2018シーズンは19選手に対し、レースバイク、レーススペアバイク、トレーニングバイク、タイムトライアルバイクの計4台でシーズンに挑む。またチームキャプテン、ダミアーノ・クネゴとマルコ・カノラにはそれぞれスペシャルカラーの「PROTOS」が用意された。クネゴのバイクはツヤ消しのシルバーを基調とし、鏡面仕上げのロゴが入るモデル、カノラには美しい光沢を放つブルーの特別バイクが用意された。

サンティーニ製正式チームウエアが完成
2017年11月3日のサイクルモードで発表されたイタリアンブランド、サンティーニ製2018シーズンチームウエアだが、一部スポンサーロゴの追加や修正が加わり、最終的なウエアとなった。ミッドナイトブルーに一新されたウエア全面には、近代的なグラフィックがあしらわれている。襟元には伊日共同チームのシンボルとして両国のナショナルフラッグが入る。

イタリアでのチームプレゼンテーションからシーズン開幕
2018シーズン、最初のチームイベントは1月13日にイタリア・アブルッツォ州キエーティで開催されるチームプレゼンテーション。イタリアのスポーツ界、自転車競技界からのVIP、地元の政治家らも招待される華やかな劇場で、所属全選手が壇上にて紹介される。その後、チームはスペイン・カルペへと移動し、28日まで第二次トレーニングキャンプを実施。そして2018シーズンの初戦は1月31日〜2月4日までのヴォルタ・ア・ラ・コムニタート・ヴァレンシアーナになる。