2023ラグビーW杯でトゥールーズを訪れたらここは外せない

フランスは2023年のラグビーワールドカップ開催国。2020年12月14日には世界中が注目するプール組み分け抽選会がパリのブロンニャール宮で行われる。試合が行われる都市は9つで、現地に足を運んだら訪れてみたい場所を順次紹介。第3回はトゥールーズ。

トゥールーズの中心部キャピトール広場 ©Arnaud Späni

フランス南西部の中心に位置するトゥールーズは、アドベンチャーの街。航空産業、宇宙、科学分野のアドベンチャーはもちろんのこと、旅のアドベンチャーも目白押しです!

悠久の歴史が宿る街

古代ローマのレンガ造りの建造物が残る「バラ色の街」ことトゥールーズ。つねにその美しさで人々を魅了するこの街は、2000年にわたる歴史を誇り、3つのユネスコ世界遺産のほか、ルネサンス期の壮麗な邸宅を100ほど抱えています。そうした名所の数々は徒歩で、自転車で、あるいはミディ運河Canal du Midiやガロンヌ川のクルージングなどで気軽に観光することができます。また活気あふれるガロンヌ川岸は、トゥールーズ市民の憩いの場となっています。

「バラ色の街」の異名をとるトゥールーズ ©Arnaud Späni

豊かなライフスタイル

街の雰囲気は、南仏の人々の飾らないフレンドリーな気質を反映しています。活気に満ちた通りをそぞろ歩いてショッピングを楽しむもよし、カフェのテラスでのんびり地元のラグビークラブ、スタッド・トゥールーザンの試合を観戦するもよし。暮らすのに心地よいこの街は、おもてなしの街でもあり、それはしばしばボリューム満点の食事に象徴されています。味自慢は、鴨、カスレ(白インゲン豆と肉類の煮込み料理)、ワイン、チーズ、スミレを使ったお菓子など。

ジャコバン修道院 ©Arnaud Späni

科学分野のアドベンチャー

蒸気エンジンを使ったエオール号、コンコルド、エアバス380…飛行機造りにおいてつねに進取の気性を発揮してきたトゥールーズは、まさに「航空機産業の世界的中心地」の称号にふさわしい街。テーマパーク「シテ・ド・レスパスCité de l’espace」が宇宙を紹介し、エアバス社の組み立てライン、アエロスコピア航空博物館Musée Aeroscopia、新施設「ラ・ピスト・デ・ジェアンLa Piste des géants」が伝説となった各種飛行機の偉業を今に伝えています。さらにトゥールーズ自然史博物館Muséum de Toulouseと科学文化普及センター「ケ・デ・サヴォワールQuai des Savoirs」も、科学と楽しく触れ合う機会を数多く提案しています。

必見の場所

ジャコバン修道院
Couvent des Jacobins
中世芸術の精華とされる壮大な建造物で、峻厳な外観と光に満ちた内部のコントラストが印象的。ヤシの木の形をした石造りの天井や、静けさとくつろぎに満ちた心地よい回廊などが見どころで、トゥールーズ観光の目玉のひとつになっています!

ジャコバン修道院 ©Arnaud Späni

サン・セルナン大聖堂
Basilique Saint-Sernin
キャピトール広場Place du Capitoleの近く、トール通りrue du Taurの端に建つフランス最大のロマネスク様式の教会。ユネスコの世界遺産に登録されており、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路を旅する人たちを幾世紀にもわたって受け入れてきました。

サン・セルナン大聖堂 ©Arnaud Späni

ヴィクトル・ユーゴ市場
Marché Victor Hugo
トゥールーズに来たからには屋根付きのこの市場を訪れないわけにはいきません!ここは市内屈指の人気を誇る市場で、80を超える店が新鮮な地元の食品、食材を豊富に取りそろえています。市場で扱う品々をその場で味わいたい方はぜひ2階へ。5軒のレストランが美味しいランチでもてなします。

ヴィクトール・ユーゴ市場 ©HapTag


ぜひ試したい食

カスレ
トゥールーズ名物カスレを味わうことは、このバラ色の街のはずせない観光アクティビティ!料理人ごとにレシピは違えど、風味豊かな白インゲン豆、鴨のコンフィ、トゥールーズ産ソーセージを入れるのが定番です。

スミレ
バラ色の街を象徴する花、スミレを使った特産品もお忘れなく。花びらの糖衣がけ、酸味のあるキャンデー、スミレ風味のマスタード、チョコレート、紅茶のほか、ロウソク、化粧品などバラエティ豊かなアイテムがそろっています。

スミレグッズを扱う専門店「メゾン・ド・ラ・ヴィオレット」 ©Emilie Eychenne


トゥールーズ新情報  

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリと『星の王子さま』
2021年8月29日まで博物館「ロンヴォル・デ・ピオニエl’Envol des pionniers」にてアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリと『星の王子さま』をテーマにした特別展が開催されます。この場所で当展覧会が開催されるのは偶然ではありません。なにしろ作家であり飛行士でもあったサン=テグジュペリは、この博物館の真ん前にあるモントードランMontaudran飛行場からラテコエール社のパイロットとして大空に飛び立っていたのですから。展覧会では、勇気と人間愛にあふれ、自身の限界を越えて伝説となったサン=テグジュペリの軌跡を追います。https://www.lenvol-des-pionniers.com/

「ランヴォル・デ・ピオニエ」で開催の星の王子様とサン・テグジュペリ展 ©Chloé Sabatier – Agence d’attractivité Toulouse

ジャコバン国際ピアノ音楽祭
2021年9月、偉大なピアニストたちと若きピアニストが集う恒例のジャコバン国際ピアノ音楽祭が開催されます。フェスティバルでは1カ月にわたって、ジャコバン修道院の回廊や総会室という荘厳で幻想的な空間を舞台にクラシックやジャズのコンサートが繰り広げられます。http://www.pianojacobins.com/

ジャコバン・ピアノフェスティバル ©Piano aux Jacobins


周辺の見どころ

カルカソンヌ
Carcassonne
トゥールーズから1時間のところにある中世の城塞都市カルカソンヌは、オクシタニー地方の1日エクスカーションに理想的。ユネスコの世界遺産に登録されているコンタル城(歴代伯爵の居城)や城壁は必見です。

カルカッソンヌの城塞 ©CRT Occitanie

アルビ
Albi
鮮やかな色彩、美味しい食べ物、ショッピングが魅力のアルビは、イタリアの情緒が感じられる暮らしやすい街。鉄道またはバスでアクセスでき、司教都市としての歴史を誇るこの街の名声を高めているのは、元司教館のべルビー宮Palais de la Berbie、タルン川を見下ろすようにそそり立つサント・セシル大聖堂Cathédrale Sainte-Cécile(レンガ造りの建造物としては世界最大)、トゥールーズ・ロートレック美術館Musée Toulouse Lautrecです。ロートレックはベル・エポック期を代表する画家で、1864年、この街で生まれました。

アルビのサント・セシル大聖堂 ©Dominique Viet


地元の有名クラブ

スタッド・トゥールーザン
Stade Toulousain

トゥールーズはラグビーの街。スタッド・トゥールーザンは1907年に創設された15人制のラグビークラブで、現在、スタッド・アーネスト=ワロンをホームスタジアムにしてプレーしています。フランス最多のタイトルを獲得している名門クラブで、フランス選手権では20回、ハイネケンカップ(現ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ)では4回の優勝を誇ります。選手たちはシンボルカラーの「赤と黒」のユニフォームに身を包み、TOP14でその実力をいかんなく発揮しています。 www.stadetoulousain.fr  

Le Club :トゥールーズ・オランピック・トレーズ
Toulouse Olympique XIII  

1937年創設のトゥールーズ・オランピック・トレーズToulouse Olympique XIIIはトゥールーズを本拠地とする13人制のラグビークラブで、フランスカップ1回、フランス選手権6回の優勝を誇ります。フランスのクラブとしては唯一、イギリスの「チャンピオンシップ」に参加しており、現在、上位リーグとなるヨーロッパの「スーパーリーグ」への昇格を目指して戦っています。www.to13.com

ラグビー好きにおススメ

RWC2023スタジアム
スタジアム・ド・トゥールーズ  Stadium de Toulouse
33 000席

ル・ルージュ・エ・ノワール
Le Rouge et Noir – 3 Rue du Pont Saint Pierre
サン・シプリアン地区quartier Saint-Cyprienにあるラグビーファン御用達のバー。店名の「ルージュ(赤)」と「ノワール(黒)」は地元のクラブ、スタッド・トゥールーザンのシンボルカラーにちなんで付けられました。店内の壁には世界中のクラブのユニフォーム、エンブレム、旗、マフラータオルが飾られています。www.le-meilleur-quartier.fr/le-rouge-et-noir

スタッド・トゥールーザン・リュグビー
Stade Toulousain Rugby – 73 rue d’Alsace Lorraine
1997年にオープンしたこの店は街の中心部にあり、スタッド・トゥールーザンの関連グッズを販売しています。https://boutique.stadetoulousain.fr/

ツール・ド・フランス取材者日記
トゥールーズ…これほどまで魅力的な町だとは

キャピトル広場に面したレストランのテラス席。向こうに見えるのは荘厳な市庁舎


パリからのアクセス
パリ・シャルル・ド・ゴール空港から飛行機で1時間15分
パリ・モンパルナス駅1、2より高速鉄道「TGV Inoui」で4時間25分(直通)

2023ラグビーワールドカップの開催都市
●Bordeaux ボルドー
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【特集ページ】ラグビーワールドカップ2023

2023ラグビーW杯でマルセイユを訪れたらここに行きたい

フランスは2023年のラグビーワールドカップ開催国。2020年12月14日には世界中が注目するプール組み分け抽選会がパリのブロンニャール宮で行われる。試合が行われる都市は9つで、現地に足を運んだら訪れてみたい場所を順次紹介。第2回はマルセイユ。

旧港とノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院 ©OMTCM

地中海沿岸の大都会マルセイユ。コスモポリタンな色彩をまとったこの街では、鮮やかなコントラストが育まれています。ダイナミックに賑わう中心部と、ノスタルジックな風情あふれる旧市街。熱狂と大歓声に包まれるスタジアム「スダッド・オランジュ・ヴェロドロームStade Orange vélodrome」と、年に300日は顔を出す太陽に温められた美しい砂浜。国際的名声を誇る偉大な建築家が手がけた流行の新施設やスポットと、都市周辺にある国立公園としてはヨーロッパ最大で、隣町カシにまで広がるカランク国立公園。そんな数々のコントラストに彩られたマルセイユに、旅心を刺激されない人はいないはず!

旧港、MuCEM、ノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院 ©Yoan Navarro

市内を歩けば、建築物を通じてその歴史に触れることになるでしょう。古代ギリシャ・ローマ時代に開かれた港、中世に遡るサン・ヴィクトール修道院Abbaye de Saint-Victor、市庁舎Hôtel de Ville、オスマン様式のエレガンスが光るレピュブリック通りRue de la République、建設当時は「頭のおかしな人の家」と酷評されていたル・コルビュジエの建築群、建築家リュディ・リチオッティが手がけた欧州・地中海文明博物館Mucem、隈研吾が設計したマルセイユ現代美術センターFond régional d’art contemporain/FRACなど、見どころがいっぱい。

加えてマルセイユでは年々、スポーツや文化の国際大会や国際イベントを開催したり、EUの事業を担ったりする機会が増えています。例えば2013年には欧州文化首都を、2016年に開催されたサッカーのユーロ2016ではホストタウンを、2017年には欧州スポーツ首都を務めたほか、2020年にはヨーロッパ現代芸術ビエンナーレ「マニフェスタ13」が開催されました。2023年にはラグビー・ワールドカップの、2024年にはパリ五輪のセーリングとサッカーの会場となる予定です。となれば、これはもう、マルセイユに足を運ぶしかありません!

必見の場所

ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院
Notre Dame de la Garde
19世紀に建立されたこの宗教建造物は「優しき聖母さま」とも呼ばれ、船乗りや漁師にとってはまさに、丘の上にたたずむ守り人。マルセイユのシンボルとなるこの寺院には、毎年200万人以上が訪れています。

旧港からノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院を望む

イフ島
Château d’If
アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』で知られる、かつて監獄のあった島。歴史的記念物に指定されている城は必見です。旧港から船で20分。

イフ城 ©OMTCM

ル・コルビュジエのシテ・ラディユーズ(輝ける都市)
Cité radieuse
1947~51年に建設されたこの建築物は、337戸のアパルトマン、ホテル、レストラン、学校、複数の店舗、眺望のよいルーフテラスに設けられたアート・デザインセンターから構成され、ユネスコの世界遺産に登録されています。ガイド付き見学あり。www.marseille-tourisme.com

ユニテ・ダビタシオンの屋上 ©OTCM/FLC

ぜひ試したい食

ブイヤベーズ
La Bouillabaisse
魚のスープ、ルイユ(ニンニクとサフランで味付けしたマヨネーズの一種)を塗ったクルトン、ジャガイモ、魚の切り身を楽しむ伝統の郷土料理。かつては漁師めしとして食べられていましたが、今や美食の一品となっています!

老舗「ミラマール」のブイヤベーズ ©OMTCM

パスティス
le pastis
太陽、歓び、親睦、のんびりとした別荘暮らしを連想させる、マルセイユのご当地アペリティフ! アニス酒の一種で、19世紀より食前に供されてきました。食欲を高め、消化を助け、胃の不調をケアする働きあり! 世界一有名なのが、リカールRicard社のパスティスです。

アペリティフに欠かせないパスティス

マルセイユ新情報  

海底美術館
Musée Subaquatique
カタラン・ビーチの沖、水深5メートルの場所に、10点の大作を集めたインスタレーション「マルチ・アーティスト」がお目見えします。シュノーケリングができれば誰でも鑑賞できるこのユニークな美術館は、芸術、科学、教育、環境のどの観点から見ても華々しい壮挙と言えるでしょう。

海底美術館 @Wallis

チューバ
TUBA
新しいホテル&レストランがマルセイユで評判を呼んでいます。バーとプライベートビーチがついたこのホテルは、岩に囲まれた入り江地帯「カランク」にあり、目の前には海が広がっています。部屋数はわずか5室。隠れ家的な雰囲気のもと、映画「グラン・ブルー」の世界を味わえます。

ホテルレストラン「チューバ」 ©Tuba

周辺の見どころ

カランク
Les Calanques
海岸松や香り高い草木が生い茂る山とターコイズブルーの海が織りなすカランク国立公園Parc National des Calanquesは、ハイキング、ダイビング、クライミング、自然を愛する人にぴったりの遊び場です。

マルセイユ近くのカランク ©Lamy

ラ・トレイユ
La Treille
市内東部に位置するのどかで美しい地区。中心部からすぐのところに静かな港があります。ガルラバン丘陵Collines du Garlabanにはいくつかハイキングコースが設けられており、当地区をこよなく愛したプロヴァンス生まれの作家にして映画人、マルセル・パニョルの足跡をたどるコースもあります。

ラ・トレイユ地区 ©Lamy

地元の有名クラブ

プロヴァンス・リュグビー
Provence Rugby

©Provence rugby

都市広域連合体「メトロポール・エックス・マルセイユ・プロヴァンス」内に活動拠点を置くこのクラブが設立されたのは1970年。現在、プロ2部リーグ「プロD2」所属で、フランスのベスト30のクラブに仲間入りしています。シンボルカラーは黒。2007年にフランスでワールドカップが開催された際には、ニュージーランド代表「オールブラックス」を相手に戦いました。www.provencerugby.com

ラグビー好きにおススメ

RWC2023開催スタジアム
Stade Vélodrome スタッド・ヴェロドローム
6万7000席

アイリッシュパブ「オ・ブラディズ
O’Bradys
スタッド・オランジュ・ヴェロドロームの近くでビールを楽しめる店。もちろん試合中継あり。最高の雰囲気が味わえます! www.obradys.com

ル・コック・スポルティフ
le Coq Sportifのブティック
ル・コック・スポルティフはラグビーフランス代表チームのユニフォームを手がけるブランド。その店がパラディ通り17番地にあります。同じ通りには、同じくラガーマン愛用のエデンパークEden ParkとセルジュブランコSerge Blancoも店を構えています。


パリからのアクセス
鉄道 : パリから高速鉄道TGVで3時間、リヨンのパールデュー駅から1時間40分
飛行機 : 国際空港である「マルセイユ・プロヴァンス空港」も擁し、特にパリ・オルリー空港とマルセイユを結ぶエールフランスのシャトル便「ラ・ナベット」は30分間隔で運航。シャルル・ド・ゴール空港からも1日3~4便が飛んでいます。
車 : フランスの南東部と南西部をつなぐ幹線高速道路上にも位置し、ニースからは車またはバスで2時間。
●マルセイユ市のホームページ

2023ラグビーワールドカップの開催都市
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【特集ページ】ラグビーワールドカップ2023

2023ラグビーW杯でリヨンを訪れたらこれを食べたい!

フランスは2023年のラグビーワールドカップ開催国。2020年12月14日には世界中が注目するプール組み分け抽選会がパリのブロンニャール宮で行われる。試合が行われる都市は9つで、現地に足を運んだら訪れてみたい場所を順次紹介。1903年の第1回ツール・ド・フランスのステージ順に紹介するので、第1回はリヨン。

リヨン旧市街 ©S.Delyons

フランス第2の都市リヨンは、フランス流アール・ド・ヴィーヴル(暮らしの美学)を体現する街。2000年の歴史をたどる秀逸な観光コースを備え、美しさと魅力にあふれるヨーロッパ屈指の観光都市となっています。「美食の都」、「巨匠ポール・ボキューズの街」としても名高く、さまざまな生産地から質の高い産物が集まるそのロケーションと、さらには才能と創造性に長けたシェフたちの卓越した腕により、驚くほど豊かで多彩な食を提案しています。

そんな数々の魅力を抱えながらも、リヨンは人のぬくもりを感じさせる街で、責任ある開発に心を砕きつつ、訪れた人に特別な体験を用意しています。加えて、ボジョレー地区に点在する「黄金の石の村」からコート・ロティの険しい斜面に広がるブドウ畑まで、リヨン近郊は1日エクスカーションにうってつけ。歴史、美しい風景、ワインを愛する人たちを喜ばせること請け合いです。

必見の場所

旧市街 Vieux-Lyonとトラブール(抜け道)
リヨンの旧市街にはルネサンス期の建造物が集まっており、その面積はヨーロッパ最大級。1964年にこの地区の24ヘクタールがマルロー法によって保全されることになり、以来、この歩行者専用の観光地区に残る15~16世紀の建造物が行政当局によって修復されてきました。旧市街には石畳の小道が走り、店やレストランのほか、さまざまなアクティビティで賑わっています。またリヨン名物のトラブールを歩けば、通りから通りへ、建物の中庭や回廊を突っ切って移動できます。

フルヴィエールの丘と古代ローマ劇場跡 ©S.Delyons

フルヴィエールFourvièreの丘と大聖堂および古代ローマ劇場
この「祈りの丘」に紀元前43年、古代ローマの植民都市「ルグドゥヌム」が建設されました。丘には現在、大規模な古代遺跡が残っています。丘の頂上にそびえ立つフルヴィエール大聖堂Basilique de Fourvièreはリヨンのランドマークのひとつで、街を見晴らす格好の展望スポットになっています。

リヨン市場 ©Jack Leone

ポール・ボキューズ市場
Les Halles Paul Bocuse
リヨンっ子や星を持つ偉大なシェフが、地元の質の高い食材を求めて訪れる有名な屋根付き市場。色とりどりの食材が並び、あちこちから美味しそうな匂いが漂ってくる場内は、フレンドリーで活気に満ちた独特の雰囲気に包まれています。ハムやソーセージを扱うシビリアSibilia、クネル専門店ジローデGiraudet、チーズ「サン・マルスラン」のラ・メール・リシャールla Mère Richard、タルト・ア・ラ・プラリーヌで有名なセーヴSèveなど50店が入っています。

リヨン旧市街の屋根を見下ろす ©Jean-Charles Garrivet


ぜひ試したい食

カワカマスのクネル、ナンチュアソースがけ
La quenelle de brochet sauce Nantua
クネルとは、魚のすり身に牛乳、卵、小麦粉、バターを加えて焼いたスフレの一種。ナンチュアソース(ザリガニ風味のベシャメルソース)とともにいただきます。

カマスのクネル、ナンチュアソース ©Julien Bouvier

タルト・ア・ラ・プラリーヌ
La tarte à la praline
砂糖をコーティングしたアーモンドを使ったリヨンの名物菓子。パティシエの数だけレシピがありますが、特にセーヴSèveとジョクトゥールJocteurのタルトが有名です。

プラリネのタルト ©Stéphanie Iguna

リヨン新情報 

フード・トラブール
Food Traboule
全面的に改修された元4つ星ホテル内に設けられた新ジャンルのフードコート。660m2のこのユニークなスペースは、フレンドリーな雰囲気のもとでグルメを楽しんでもらうことを目指しています。フードコートは3フロアーに分かれ、12人のシェフがカウンターの向こうですばやく調理。新鮮な地元の食材を使った料理やスイーツを振る舞います。

フード・トラブールは老舗ホテル「トゥール・ローズ」跡にできたフードコート ©Alexandra Battut

ミーホテル・トゥール・ローズ
MiHotel Tour Rose
長いあいだ眠りについていたトゥール・ローズが、ミーホテルグループのおかげで目覚めました。シックでコンテンポラリーなデザインでまとめられた14室のスイートとイベントラウンジ、テラス、プライベートガーデンで宿泊客をもてなしています。

スイートルーム「パラッツォ」 ©Sabine Serrad
スイートルーム「ビアンカ」 ©Sabine Serrad


周辺の見どころ

ボジョレー Beaujolais地区の「黄金の石の村」
テルナンTernand、シャティヨン・ダゼルグChâtillon d’Azergues、シャルネCharnayといった個性的な村々では、「黄金の石の村」の呼び名が示すように、金色味を帯びた石材が景観に独特の色合いを授けています。「フランスの最も美しい村」に認定されているワンOingtもおすすめ。

ボジョレーワインの生産地ワン村 ©JB Laissard

ペルージュ
Pérouges
秀逸な建築遺産を抱える中世の城塞都市で、「フランスの最も美しい村」に認定されています。

ペルージュの老舗ホテル「オステルリー・デュ・ヴュ―・ペルージュ」。建物は歴史建造物に指定 ©Ketty Tranchina


地元の有名クラブ

ル・ルー・ラグビー
le LOU Rugby (Lyon Olympique Universitaire rugby)
男子チームの創設は1896年。1932年と33年の2回、フランス選手権で優勝しました。2010年代初頭までトップ14とプロD2のあいだを何度か行き来したあと、2016-17シーズンよりトップ14でプレーしています。2008年には女子のチームも発足し、2019年以降、一部リーグのエリート1でプレーしています。

ラグビー好きにおススメ

RWC2023スタジアム
Groupama Stadium グルパマ・スタジアム
5万9186席

ブラッスリー・デュ・ルー Brasserie du LOU
マットミュット・スタジタム・ド・ジェルラン Matmut Stadium de Gerland
スタジアムの複合施設内にあるフレンドリーで居心地のよいブラッスリー。ランチスペース、バースペース、リラックススペースに分かれ、それぞれ異なる雰囲気を味わえます。選手、サポーター、パートナー、一般客が混じり合い、日常的に交流できるのも魅力。

ベルクール広場 Place Bellecour
リヨンの中心部にある広場で、巨大スクリーンを設置したファンゾーンはサポーターの集結場所。このファンゾーンによって、広場は試合前、試合後の控室と化しています。最高潮の熱気を体験できること間違いなし!


パリからのアクセス
鉄道:パリからリヨン・パールデュー駅またはペラーシュ駅まで2時間、リヨン・サン=テグジュペリ駅まで1時間52分 
車:高速A6号線を利用して4時間50分
飛行機:リヨン・サン=テグジュペリ国際空港まで1時間10分
●リヨン市のホームページ

2023ラグビーワールドカップの開催都市
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●Bordeaux ボルドー
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●Paris パリ
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クリストフが初日を制して首位に…ツール・ド・フランス開幕

第107回ツール・ド・フランスが2カ月遅れで開幕。地中海に面したニースを発着とする第1ステージは、UAEエミレーツのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)がゴール勝負を制し、2年ぶり4回目の区間勝利。総合成績でも首位となり、黄色いリーダージャージー、マイヨジョーヌを獲得した。

2020ツール・ド・フランス開幕地はニース ©A.S.O. Pauline-Ballet

大会はアルプスやピレネーという難所に加え、選手とスタッフを合わせて30人のチーム内から2人以上の感染者が出たら大会から除外されるという特別規定を背負って、これまでにないほどの張り詰めた空気の中、フランス一周の激闘を始めた。

2020ツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

長時間の有酸素運動をする出場選手でさえ、スタート直前までマスク着用。華やかな開幕でありながら、人影がまばらな沿道。加えて天気さえ試練を与えた。紺碧の海で知られるニースを発着とする第1ステージだが、暗雲が立ちこめ、大粒の雨が路面を濡らした。

初日から有力候補がクラッシュ。ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)が落車に巻き込まれ、アスタナのミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)が下りカーブでスリップしてコース脇の建造物に突っ込んだ。グルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)も落車で傷つき、4分04秒遅れでゴールしたが、残り3kmを切っての落車は国際規定によってタイム差なしとされ、救済された。

地中海を見ながら進むツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

雨脚の強さに有力選手らが安全走行のためにスピードダウンすることを指示。この日のレースの山場は、ニースの目抜き通りでのスプリント勝負となった。

降雨でのスリップを避けるため、トニー・マルティンが集団をスローダウンさせた ©A.S.O. Alex Broadway

だれもが初日に勝利したい。トップでフィーニッシュラインを切れば区間勝利だけでなく、総合成績でも1番になれる。今大会は2日目から山岳ステージが設定され、上りで大きく遅れるスプリンターにとっては、この日がマイヨジョーヌ獲得のチャンスだった。

クリストフは残り1kmでアシストをしてくれるチームメートを失っていたが、ゴールを目指して一気にスピードが上がるとボーラ・ハンスグローエのペテル・サガン(スロバキア)の背後をマーク。最後に団子状態から抜け出して1着に。区間優勝と同時にマイヨジョーヌを手に入れた。

2020ツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

「数日前に転んでしまっていい状態ではなかった。でもこれ以上の夢は描けないよ」とうれしさをかみしめるクリストフ。ノルウェー勢がマイヨジョーヌを着用するのは、2004、2006、2011年のトール・ヒュースホウトに続く2人目の快挙だ。

「マイヨジョーヌは、33歳のボクのキャリアとボクの子どもたちにとてつもない影響をもたらしてくれるだろうね」

©A.S.O. Charly López
アレクサンドル・クリストフが2020ツール・ド・フランス第1ステージでマイヨジョーヌ ©A.S.O. Alex Broadway

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEエミレーツ)
マイヨベール(ポイント賞)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEエミレーツ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ファビアン・グレリエ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)
□マイヨブラン(新人賞)マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)

©A.S.O. Charly López

【もの知りコラム】ツール・ド・フランスの発祥は?

100年以上の歴史があるツール・ド・フランスの「なるほど!」と思わせる逸話を連日紹介。まずは大会の発端から。

今から120年前、スポーツ新聞社が企画した「パリ〜ブレスト往復自転車レース」が大ヒット。ブレストは「地の果て」と言われるブルターニュ半島の最西端で、1200kmを自転車で走るという冒険レースが人々に感銘を与えた。ライバル新聞のロト(現在のレキップ)は販売部数を大きく落とし、「もっとスゴい自転車レースを」と考えたのがフランス一周。ツールは一周するという意味なので、つまりツール・ド・フランスだ。当時は自転車に変速機もなく、自転車でフランスを一周できるとは考えられなかった時代だ。

ちなみにパリ〜ブレストはフランス菓子の名前にもなった。形が車輪に似ていることから今も庶民に親しまれている。

≫≫第2ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ツール・ド・フランス厳戒開催へ…選手・関係者をバブル内隔離

新型コロナウイルス感染拡大により当初予定から2カ月遅れとなる8月29日〜9月20日の開催となった第107回ツール・ド・フランス。異例ずくめの大会運営体制の一部が明らかになったが、過去に例がないほどの特殊なレースになりそうだ。

2019ツール・ド・フランス第17ステージ ©ASO Thomas MAHEUX

7月23日、大会主催者のASOから報道関係者に取材受け付けの案内がメール送信されてきた。

通常なら開幕の3カ月前に送信されるものだが、2020年は開幕まで1カ月余でようやく送られてきた。それだけ主催者が健康面での安全対策に苦心し、試行錯誤していたことが推測できる。

案内文は、現在の健康危機において必要とされる取材方法を説明している。これらの規定は7月に定められたとしていて、今後の数週間におけるフランスでの感染状況によっては、大きく修正される可能性があると警告している。

従来の「ファミリー」から「バブル」という枠組みに変更

ツール・ド・フランスはこれまで、主役である選手を中心に、チーム関係者、主催スタッフ、取材陣、スポンサーを「ファミリー」という言葉でひとくくりにし、円滑な運営を続けてきた。例えば交通規制に関してなら、一般の人たちが制限されるところにも「ファミリー」は入ることを許され、大会特別規定の道路通行ルールが適用された。

今回、「ファミリー」に替わって明記された言葉が「レースバブル」。英語ではRace bubble、フランス語ではBulle Course。

2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET

レースに関わる主要な人々の周りに「バブル」を実装する。その範囲となるのは選手、チームスタッフ、オフィシャル、レース運営者。取材陣とスポンサーは外されている。大会期間中はバブル内にいる人に対して厳格な健康管理と衛生対策が行われれ、バルブ内にウイルスを持ち込まない態勢づくりを構築した。さらにバブル外の人たちとの接触を可能な限り制限する。

ツール・ド・フランスに帯同する取材者、メディア、各地域の大会協力者はバブルの外となるが、大会に数日間関わる場合は、レース前の健康テストから期間中の健康観察、レースバブルとの接触制限、会場でのソーシャルディスタンス順守が厳命される。

無観客レースにはならない…大事なことは遠回しに表記

ファンの動きにも言及されている。常にソーシャルディスタンスを確保すること、レースコース沿道ではスマホアプリをインストールして、感染者が出たときに接触があったかを確認できるようにすること。これらの感染予防策を取り入れれば主催者は「一般の人たちも招待する」という表現をしているので、無観客レースとはならないようだ。

まとめると…
ツール・ド・フランス関係者の健康を守るためにバブルが設定される
レースバブル=選手・チーム関係者・大会運営スタッフ
第2バブル=それ以外のツール・ド・フランスファミリー
第3バブル=一般の人たち

2019ツール・ド・フランス第11ステージ ©ASO Pauline BALLET

ツール・ド・フランスに帯同するすべての人は現地到着の5日前以降にPCR検査を受けて陰性となった各国保険機関の証明書が必要。Stop Covid”アプリケーションをダウンロードする必要がある。マスク着用。

主催者側はさらに連日にわたって消毒を徹底的に行い、12〜19人ほどの専任医療関係者と看護士を帯同させる。また開幕時とパリのゴールでは選手の家族が訪問するのが恒例だが、2020年はこれも禁止された。

🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

王家ゆかりのランスに2泊すればシャンパーニュ1本贈呈

フランス北東部のグランテスト地方にあり、フランス歴代王が戴冠した古都として、またシャンパーニュの産地として有名なランス(Reims)の観光局は、この夏観光でランスに滞在した人先着3000人にシャンパーニュを贈呈するキャンペーン「ロイヤル・サマー:シャンパーニュ!(UN ÉTÉ ROYAL : CHAMPAGNE !)」を2020年7月15日より開始。

ランス大聖堂前のテラスカフェで © Cyrille Beudot – Office de Tourisme du Grand Reims

シャンパーニュ巡りの拠点として人気の都市ランスでは、シャンパーニュの高貴なイメージと、フランス王が戴冠した場所という歴史をロワイヤル(royal)の一語をかけ、この夏だけの特別キャンペーンを実施している。

シャンパーニュ地方の集落はどことなく美しく落ち着いている © Cyrille Beudot

キャンペーンの仕組みはシンプルで、ランスに2泊以上観光で滞在した人先着3000人が、滞在の最後にランス観光局の窓口でシャンパーニュ1本をもらえるというもの。もらえるシャンパーニュは、ブドウ栽培者による醸造の「シャンパーニュ・ド・ヴィニュロン」。

ぶどうの収穫 © Cyrille Beudot

キャンペーン参加方法は

次の3種類の観光消費をランス都市圏(グランランス)で行い、それを証明する書類をキャンペーン特設サイトからアップロードする。

l  認可された宿泊施設(家具付きの部屋貸しは除く)で、2泊以上続けて予約し支払いをする

l  レストランで食事をする(少なくともメイン一品に加え、前菜、デザートまたは飲み物のどれかを取ること。ファストフード店は除く)

l  レジャー分野の有料アクティビティを行う(観光または文化アクティビティ)

シャンパーニュで乾杯しなくちゃ © Cyrille Beudot

上記の観光消費はすべて、ランス都市圏(グランランス)で行われること。ランス都市圏外であればランス観光局のパートナー団体のサービスであることが条件となる。

キャンペーン参加者は特設サイト(www.un-été-royal.fr)からフォームに必要事項を記入し、観光消費を証明する書類をアップロードする。滞在の終わりに、大聖堂近くにあるランス観光局にてシャンパーニュが受け取れる。

秋の朝もやに立つシャンパーニュのシャトー © Cyrille Beudot

このキャンペーンでは、コロナ禍の後、ランスで旅行者の受入れを再開できることを祝い、通常とは異なる特別なPRを行うことを目的としている。また、新たな顧客層にアプローチし、ランス観光局のパートナー団体であり現在厳しい状況下に置かれるブドウ栽培家によるシャンパーニュ醸造メーカーの支援にもつなげたいという。

●ロイヤル・サマーシャンパーニュ!の詳細ページ(フランス語)
●ランス観光局のホームページ

2020年7月13日現在、一般の人が日本からフランスへ観光目的で渡航するのは現実的ではないものの、フランス国内で実施される観光復興キャンペーンの事例を紹介しました。

シャンパーニュ地方のぶどう畑 © Cyrille Beudot