中島康晴がKINAN AACA CUP最終戦で優勝…総合優勝も

KINAN Cycling Teamがホストを務める東海地区のサイクルロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」は、11月23日に2019年シリーズの最終戦を実施。最上位クラスの1-1カテゴリーでは、すでにシリーズ総合優勝を確定させていた中島康晴がタイトルに花を添える勝利。紅葉が見ごろとなっていたレース会場を熱く盛り上げる走りを見せた。

中島康晴がKINAN AACA CUP総合優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

愛知県や三重県をメインとしながら、おおむね月1回ペースで転戦してきたレースシリーズ。10月に予定されていた前節・第10戦は各地で猛威を振るった台風19号の影響を勘案し中止に。実質2カ月ぶりとなるレース開催となった。

今回の開催地は愛知県新城市。鬼久保ふれあい広場を主会場に、周辺の公道もコースに組み込まれる。1周1.4kmと短いサーキットながらアップダウンに富み、平坦区間はほとんどないセッティング。それでもハイスピードでレースが展開される傾向にあり、クリテリウムの装いに。新城市では、2026年のアジア競技大会における自転車競技ロードレース種目の実施に向けて調整に入っていて、同市から川合教正・産業振興部長が会場を訪れて参加選手を激励するなど、自転車熱の高まりを見せるものとなった。

ホストを務めるKINAN Cycling Teamは今節、椿大志、福田真平、中島康晴の3選手が参戦。レースシーンはオフを迎えているこの時期だが、参加選手同様に勝つことを目標にしっかりと調整してスタートラインについた。

 前夜までの降雨も影響もあり、部分的にウェットな路面コンディション。そんな中で始った1-1カテゴリーは、スタート直後から駆け引きに満ちた展開に。チャンスあらばと飛び出す選手をKINANメンバーがチェックに動くなど、アグレッシブさをうかがわせる流れとなった。

しばらくは出入りの多い状況が続いたが、その均衡が破られたのは7周目。ルイス・オロチス(TEAM VIVACE)と河村敦人(大福屋)とともに中島が抜け出すことに成功。3人はメイン集団に対して着々とリードを広げていき、やがて30秒ほどのタイム差となる。メイン集団でも追撃狙いの動きが見られたがいずれも決まらず、先頭の3選手が優勢となっていった。

快調に飛ばす3人だったが、残り3周回となったところで中島がアタック。上りで差を広げて、下りでさらに勢いに乗せてライバル2人を引き離しにかかる。しかし、続く周回でルイスが猛追。河村を置き去りにして、やがて中島に合流。2選手による優勝争いが濃厚な情勢となって最終周回の鐘を聞いた。

1対1の勝負になれば、やはり中島に一日の長があった。変化の多いコースにあって先頭をキープして最終局面へ。最後は上りスプリントにゆだねられたが、フィニッシュ前のスピードに勝る中島が先頭を譲ることなくトップでフィニッシュラインを通過した。

驚異的な追い上げを見せたルイスが2位、積極的な走りで2回の周回賞を獲得した河村が3位に入線。後方では、終盤にメイン集団からのアタックを成功させた椿が単独でフィニッシュへとやってきて4位を押さえた。

優勝した中島は、今節に臨む時点ですでにシリーズ総合優勝を決めていたが、さらにポイントを伸ばしてタイトルを確定。表彰式では、多くの優勝賞品を多くのファンと分け合うビッグなサービスで会場を盛り上げてみせた。

KINAN AACA CUP恒例となったキッズスクール ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大好評キッズスクールや充実のイベントブースも

KINAN AACA CUP恒例となったキッズスクールは、中西健児アカデミーコーチの音頭のもと、椿、福田、中島の3選手が講師に加わっての豪華プログラムに。今回はコーナリングをテーマに、正しいライン取りと体重移動を意識する内容とした。その後に控えたキッズレースに生かせるよう、中西コーチや3選手が熱心にアドバイス。その甲斐あってか、キッズレースではプロ選手たちも顔負けの激戦が繰り広げられた。

また、会場ではチームのオフィシャルサプライヤーでもあるYONEX、ATHLETUNEのほか、バイクパーツやスマートフォンのガラスコーティング加工を行う光設備、BUCHO COFFEEによる飲食コーナーなどのブースが出展。参加者を中心に多くの人たちでにぎわった。

今節で2019年シリーズの締めくくりとなったKINAN AACA CUP。年間表彰については、12月15日に愛知県名古屋市で行われるKINAN Cycling Teamのシーズンエンドパーティー内で行われる運びとなっている。

●キナンAACAカップのホームページ

神々が宿る那智山の頂へ…熊野古道ヒルクライム開催

紀伊半島南部の和歌山県那智勝浦町で11月3日、晩秋恒例の「熊野古道ヒルクライム」が開催された。約300人のサイクリストが、神々が宿るとされる那智山を激走。今回もゲストライダーとしてKINAN Cycling Teamから5選手が参加。走りはもちろん、トークショーや抽選会、表彰式といったステージイベントにも臨み、イベントを盛り上げた。

熊野路を駆けるサイクリングイベント ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

300人が激坂含む2つのコースへとアタック

熊野古道ヒルクライムはユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産に含まれる熊野路を駆けるサイクリングイベント。各種スポーツイベントを企画・運営する「NPO法人スポーツプロデュース熊野」が主催し、今回で14回目を迎えた。回を重ねるごとに人気の仲間利を見せ、2019年は北は北海道、南は九州地方からの参加があり、地元和歌山県や近隣府県にとどまらず各地から健脚自慢が集った。

約300人のサイクリストは、主会場でもある同町の海水浴場「ブルービーチ那智」を出発し、5.4km先の大門坂駐車場までパレード走行。いったん息を整えたら、いよいよリアルスタート。そこからは、神仏習合による数々の伝承が残される那智の山道を駆けあがっていく。スキルや脚力、好みによってコース選択ができるよう設定されており、Aコースは標高931mの大雲取の山頂を目指す30.9km、Bコースは妙法山阿弥陀寺へと向かう14.6km。途中、勾配が20%に達しようかという激坂区間が複数待ち受けるほか、長くテクニカルなダウンヒルも控え、サイクリストたちにとっては力が試されるポイントに。参加者たちは己の限界に挑戦すべく、勇んでコースへと繰り出した。

キナン勢も参戦 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

山本大喜が“那智山の神”の座を防衛

ゲストとして招かれたKINAN Cycling Teamは、山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜の4選手が大雲取へ、新城雄大と加藤康則ゼネラルマネージャーが妙法山阿弥陀寺を目指すコースへと出発。また、“山の神”として数多くのヒルクライムを制する森本誠(GOKISO)、テレビ番組出演でアイドル級の人気を誇る筧五郎(56サイクル)も同様にゲスト参加し、大雲取へと挑んだ。

距離が長く、難易度も高い大雲取の頂へ、ゲストライダーによるトップ争いが展開された。序盤は一般参加の実力者も加わっての先頭パックが形成されたが、山本元によるハイスピードのペースメイクによって徐々に人数が絞り込まれていく。やがて先頭に残ったのは山本大と森本。最速の登坂勝負は2018年の再現となった。

山本大喜が“那智山の神”の座を防衛 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

熾烈な争いは、普段のトレーニングコースとしても大雲取を走る山本大が後半に入って、地の利を生かして森本を突き放すことに成功。下りを得意とする森本は、その後のダウンヒル区間で山本大を猛追したが、最終盤の激坂区間で再び山本大がアタック。

自身が2018年マークした56分55秒のコースレコードには及ばなかったものの、山本大が実質2連覇となる大雲取頂上制覇。スポーツプロデュース熊野・角口賀敏理事長の激を背に受け、ガッツポーズでフィニッシュラインを通過。少し置いて森本も頂上へとやってきた。

その後は、続々とサイクリストが頂上へ到達。フィニッシュが近づくと歯を食いしばって懸命にペダルを踏む姿が光った。そして頂上へと到達、晴れて“ヒルクライマー”となった瞬間だ。

レベルアップを誓って来年のスタートラインを目指す参加者の姿も

お昼からはブルービーチ那智へと戻って、特産品の振る舞いやステージイベントが展開。その目玉として、ゲストライダーたちによるトークショーが催された。那智山登坂の完走や、今後の目標などが主なテーマとなったトークだが、那智山2連覇を果たした山本大は、2018年「自分が“山の神”」と宣言し会場を驚かせたが、改めてその座を守り続けていることを強調し胸を張った。

300人のサイクリストが神々が宿る那智山の頂へ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

一方、元祖“山の神”森本は2018年の「山の民」宣言で笑いを呼んだが、「もはや完全に“山の民”ですね…」とトーンダウン。3年連続での2位フィニッシュをユーモラスに表現してみせた。

そのほかステージでは、選手たちがプレゼンターを務めた表彰式や抽選会も行われ、大きな賑わいの中でイベントは閉幕。参加者からは、「KINANメンバーのペースにトライしたがあっという間に遅れてしまった」「何度でもチャレンジしたいコース。また1年鍛えて戻ってきたい」などの感想が聞かれ、1日を通して満足できた様子。

また、イベントの成功にあたっては、主催のスポーツプロデュース熊野や地元関係者による事前の準備によるところが大きかったことも押さえておきたい。10月に起きた台風19号発生時には、コースとなる道路がふさがるほどの枝木の落下に見舞われ、その清掃作業に追われたほか、今回の開催直前までアスファルト上に生えた苔を除去するなど、多くの人たちの尽力あって迎えたヒルクライム開催であった。

スポーツプロデュース熊野主催イベントは次回、11月24日の「紀南シーサイドヴェロフェスタ」が行われる。今回同様にKINAN Cycling Teamの選手たちもゲスト参加を予定しており、ライドとグルメが融合した楽しみ満載の1日を盛り上げることになっている。

●熊野古道ヒルクライムのホームページ

熊野古道ヒルクライム前日にキナン選手らが安全祈願

2019年の開催で14回目を迎える熊野古道ヒルクライムを前に、イベント関係者やゲスト参加するKINAN Cycling Teamの選手らが催しの成功と安全、参加者の活躍を祈願。荘厳な熊野路を駆ける秋の風物詩を直前に、開催ムードが高まっている。

11月3日に行われるこのイベントは、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産に含まれる熊野路を走り、神々が宿る那智山の頂上に挑むのが大きな魅力のヒルクライム。深い自然と森林の中をゆく晩秋のライドに魅せられたサイクリストたちが全国各地から集まってくる。

前日であるこの日は、熊野三山の1つである「熊野那智大社」に赴き、熊野の神々にイベントの成功と安全、参加サイクリストの健闘を祈願。加藤康則ゼネラルマネージャーを筆頭に祈祷にも臨んだ。

迎える熊野古道ヒルクライムには、KINAN Cycling Teamから山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜、新城雄大の5選手がゲスト参加。加藤GMも参加者の1人として那智山に挑む。スキルや脚力などに応じた2コースが用意され、Aコースは標高931mの大雲取の山頂を目指す30.7km、Bコースは妙法山阿弥陀寺を目指す14.6km。両コース合わせて約300人のサイクリストの参加が見込まれている。

●熊野古道ヒルクライムのホームページ

自由気ままなロングライド“いなヴェロ”にキナン選手参加

自転車の街としておなじみの三重県いなべ市全域を舞台として、サイクリストが主役のビッグイベント「DENSO Presents いなべヴェロフェスタ2019 with KINAN Cycling Team(いなヴェロ)」が10月27日に開催された。イベント名の通り、KINAN Cycling Teamが2019年もゲスト参戦。市内各地での走行はもちろん、エイドステーションからのラジオ出演、ファンサービスと、選手たちは大忙しの1日を過ごした。

いなべヴェロフェスタ2019 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

毎年5月のツアー・オブ・ジャパン(TOJ)では、KINAN Cycling Teamのホームステージとして選手たちを後押しするいなべ市。レース開催にとどまらず、今回のようなライドイベント、学校での自転車安全教室の実施など、年間を通してサイクリングを軸とした街おこしに力を入れる。なかでもこの「いなヴェロ」は街の全域を活用し、市内の人気スポットや特産品を販売するショップなども参画する一大イベント。

それだけにサイクリストに向けたホスピタリティも充実。「みんなに優しいロングライド」をコンセプトとし、走行距離やコース、通過するポイントに制限を設けず、参加者自身でルートセッティングできる“ライダーファースト”が特徴。参加ライダーたちを待ち受けるチェックポイントを15カ所設定し、そのうち5つは“いなべの食”を堪能できるエイドステーションを兼ねる。

加えて、世界的な自動車部品メーカー「デンソー」の大安製作所が“スペシャルポイント”となり、同県北勢地域のグルメイベント「美し国みえグルメフェア」「キッズヴェロフェスタ」と併催。そのほかにも、チェックポイント独自の「味のおもてなし」や、サイクリストの多くが知るところとなった三岐鉄道三岐線のサイクルトレインが西藤原駅から乗車可能であるなど、午後3時のフィニッシュタイムまで無限にいなべのよさを満喫できるロングライドとなった。

そんな“走って”“食べて”“楽しんで”の1日に2019年もKINAN Cycling Teamの選手たちがゲスト参加。山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜、雨乞竜己、新城雄大の6選手が参加者とともにスタートラインから街のいたるところへと出発。この日ばかりはレースではなかなか見られないリラックスムード。みんなとともにエイドで補給をしたり、記念撮影に応じるなど、いつも以上にファンサービスにも力を入れた。

このイベントでは、「キナンdeスタンプラリー」と称して、選手たちを見つけてスタンプをゲットすると抽選でIRCタイヤ(1万3000円相当)が当たる特別企画も実施。参加者は一様にサイクリングを楽しみつつ、KINANメンバーの“探索”にも熱が入っていたよう。

また、この日はパーソナリティー役に徹した中島康晴を筆頭に、選手たちが地元ラジオ局「いなべFM」にもたびたび出演。コースに繰り出したメンバーによるチェックポイントからのレポートのほか、中島による参加者へのインタビューなど、その臨場感をリスナーへダイレクトに伝えることにも努めた。

約800人の参加者に恵まれた“いなヴェロ”。「KINANの選手たちに会えると聞いて参加を決めた」「有名店の味を確かめたくて」といった声や、「TOJのコースを体験できることをモチベーションに」など、参加動機はさまざま。それも、「自由気ままなロングライド」だからこそ。今年から市の中心部に地位する「北西市民会館」が主会場となったことで、走行ルートや立ち寄るチェックポイントのセレクトに幅が生まれたことも、イベントの成功の大きな要因となった。

●いなべヴェロフェスタ2019のホームページ

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラ総合優勝

マレーシアで行われてきたステージレース「ツアー・オブ・ペニンシュラ(Tour of Peninsular、UCIアジアツアー2.1)」は10月19日に最終の第5ステージを行い、KINAN Cycling Teamはマルコス・ガルシアの総合リーダージャージを守り切ることに成功。すべてのステージを終えて、マルコスが個人総合優勝を達成し、山岳賞との個人2冠。さらに、チーム総合でもトップを堅守。個人・チームともに総合力の高さを誇示する結果となった。

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラで総合優勝  ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日は今大会唯一の山岳ステージが設定され、序盤に形成された先頭グループに4人を送り込むことに成功。レースの主導権を握り、最後はマルコスが後続に大差をつけてステージ優勝。さらに、アシストでも大車輪の働きを見せたトマ・ルバが2位となり、ワン・ツー・フィニッシュを達成。マルコスは個人総合で首位となり、リーダージャージを獲得。2位以下に対して3分以上の総合リードを持つ。また、山岳賞でもマルコスが首位、チーム総合もトップに立ち、個人・チームともにレベルの高さを示している。

そしてマレー半島をめぐってきた戦いは最終日。第5ステージは151.4kmで争われ、前半に4級、後半に2級とそれぞれカテゴリー山岳が設定される。その他はおおむね平坦基調だが、数少ない登坂区間がレース展開にどう影響するかがポイントとなる。最後は首都クアラルンプール郊外のセティアワンサにフィニッシュ。KINAN Cycling Teamはマルコスの個人総合首位のキープを絶対的な位置づけとし、最後のステージに臨むことになった。

その意識通り、KINAN勢はレースを展開していくこととなる。リアルスタートから約1時間にわたって出入りの激しい流れが繰り返されたが、その間はライバルチームの逃げ狙いの動きを選別。危険なアタックに関しては、各選手がチェックに入るなど、集中したレースの入り。

そうした状況から、50kmを過ぎたところで5人の逃げが決まる。以降はKINAN勢を中心にメイン集団が統率され、レース全体が落ち着く。中盤までは新城雄大や山本大喜が前線に出てペーシングを担った。

おおよそ2分台で進行した先頭とメイン集団との差は、後半の山岳区間で徐々に縮まりを見せる。上りのペースメイクはトマに加え、椿大志やサルバドール・グアルディオラが務め、マルコスの総合固めに。長い登坂で集団の人数を減らしながら、先を急ぐ選手たちとのタイムギャップを安全圏内へと戻していった。

ハードな上りに、テクニカルなダウンヒルも続き、タフなコース設定がなされたレース後半だったが、KINAN勢はトラブルなくプロトンを統率し、そのまま終盤へ。結果的に2選手の逃げ切りを許すこととなったが、総合争いに関係しない選手の動きとあり、マルコスを確実にメイン集団でフィニッシュへ送り込むことを優先。ステージトップから14秒差で集団がフィニッシュし、この中にマルコスはもちろん、最後までケアに努めたサルバドールとトマも入った。

この瞬間、マルコスのツアー・オブ・ペニンシュラ個人総合優勝が決定。同様に首位で最終日を迎えていた山岳賞でもトップを守って個人2冠を達成。山岳での圧倒的な強さが生かし、5日間の戦いにおける王座を戴冠した。また、トマが個人総合8位としてトップ10圏内に。サルバドールも同12位とまとめた。チームが重視するUCIポイントの獲得は、今大会合計で187点。

さらに、各ステージのチーム内上位3選手の合算で競うチーム総合でも1位に。個人で勝利したマルコスにとどまらず、各選手のアシストとしての働きや、要所での効果的な動きが奏功し、チームとしての強さも示すことに成功した。

例年同様にアジアをメインに数々のレースを転戦してきたKINAN Cycling Team。シーズン終盤で迎えた今大会を最高の形で終えることができた。この勢いのまま、残る戦いへとフォーカスしていく。チームは今後、公式戦としては10月20日のジャパンカップサイクルロードレース(UCIアジアツアー1.HC)と、11月10日のツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)に出場する。そのほかイベント参加なども控えており、活発なチーム活動に努めていく。

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
「とてもうれしい。調子がよく、秋のレースや日本で過ごした時期を経て、今回もよい走りができた。今日も多くの出来事があったレースだった。スタートからハイペースが続いたが、われわれはとても強く、レースをコントロールできた。多くのアタックがあったが、いずれもしっかりとチェックしながら、先頭グループとの差も3分以内にとどめることも心掛けた。最後は先頭とのタイム差を気にする必要がなく、ストレスを感じずに走り切ることができた。今年は3月のツアー・オブ・台湾、4月のツアー・オブ・タイランドとよい走りができ、5月のツアー・オブ・ジャパンでは悔しい結果に終わったが、調子を戻して今回の優勝に結びつけられた。いまはとても良いシーズンだったと思える」

●キナンのホームページ

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラ優勝に王手

マレーシアのステージレース「ツアー・オブ・ペニンシュラ(Tour of Peninsular、UCIアジアツアー2.1)」は大会4日目の10月18日、アジア屈指の超級山岳キャメロンハイランドの頂上フィニッシュが設定さた第4ステージが行われ、KINAN Cycling Teamのマルコス・ガルシアとトマ・ルバがワン・ツーフィニッシュ。椿大志と新城雄大からのホットラインも完全に機能し、同国が誇る名峰をチーム全体で征服した。

マルコス・ガルシアが名峰キャメロンハイランドで優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は後半戦へと突入。ここまでの3ステージはいずれも平坦コースだったが、いよいよ大会の最難関ステージを迎える。

89.5kmとショートステージながら、スタート直後から上り基調となり、中盤から本格的に山岳区間へ。78km地点で1級山岳リングレットを越えると、向かうは超級山岳のキャメロンハイランドへ。標高1440mの頂上にフィニッシュラインが敷かれるが、その手前5kmは細かな変化があり、まさに選手たちの脚を試す難度の高い舞台。今大会の総合争いの形勢を明確にする最も重要な1日となる。

KINAN Cycling Teamはここまで3ステージをクリアし、このステージで勝負をかける。マルコス、トマ、サルバドール・グアルディオラのクライマーたちを中心に、椿大志、山本大喜、新城雄大の登坂力とスピードを備える選手たちがレースを構築していく。上位進出が至上命題となる。

その狙い通り、KINAN勢がスタート直後から攻撃的な走りを展開する。まずマルコスと椿が加わった逃げ狙いの動きに、新城とトマが追随。上りと下りを繰り返す間に先行する選手たちとメイン集団とのタイム差は広がっていき、やがて約20人の先頭グループとして固まる。KINAN勢はそのまま4選手がレースをリードする形になった。

先頭グループは主要チームの多くが選手を送り込んだこともあり、順調に貯金を増やしていく。4人を送り込んだことでレースの主導権を握ったKINAN勢は、個人総合で上位が見える位置を走るマルコスを軸に、トマ、椿、新城がペースメイク。これが奏功し、距離を追うごとに先行メンバーの人数を減らしていく。

こうした流れから、62km地点に設置されたこの日2つ目の中間スプリントポイントでマルコスが上位通過を狙って加速。新城のリードアウトも利き、マルコスを2位通過させることに成功。ボーナスタイム2秒を獲得した。

レースが残り25kmを切ると、いよいよ本格的に山岳区間へと入っていく。依然KINAN勢のペースメイクが続き、椿の牽引で次々とライバルを振り落としていく。椿が役目を終えると、満を持してトマがコントロールへ。さらに人数が絞られていき、1級山岳リングレットを通過する頃には、先頭にはトマとマルコスを含む4人となっていた。

いよいよ、残すは頂上にフィニッシュが敷かれるキャメロンハイランド。上りを迎えると4人の形成に変化が見られ、ここまでトマのペーシングで脚を残していたマルコスがついに動き出す。他選手の厳しいチェックもありながら、残り6kmで一気のスピードアップ。完全に独走態勢に持ち込むと、追う選手たちとの差はあっという間に広がっていく。マルコスの後ろでは、トマが他選手の抑えに回り追撃の芽を摘み取っていく。

終始レースを掌握したKINAN勢。勝負を託されたマルコスは最後までスピードを緩めることなく、単独でフィニッシュへ。キャメロンハイランド頂上に集まった多くの観衆からの祝福を受けながら勝利の瞬間を迎えた。

マルコスの歓喜から50秒後、大車輪の働きを見せたトマがこちらも単独でフィニッシュラインへ。他選手を振り切り、2位を確保しワン・ツーフィニッシュを達成した。さらに50秒遅れて3位争い、メイン集団でレースを進めた選手たちの多くは、マルコスから3分以上のタイム差でレースを終えることとなった。

KINAN勢は6選手がいずれもこのステージを完了。メイン集団でレースを進めたサルバドールが14位とまとめ、アシストとして機能した山本、椿、新城も走り終えている。

これらの結果から、総合成績で大きな変動が発生。このステージを制したマルコスが狙い通りにリーダージャージを確保。個人総合首位に立ち、残る1ステージへと進むことに。2位との総合タイム差は3分2秒としている。あわせて、山岳ポイントも大量に稼いだことから山岳賞のレッドジャージも手にしている。さらに個人総合では、トマが7位、サルバドールが12位に浮上。チーム内ステージ上位3選手のタイム合算で競うチーム総合でも首位となり、最重要ステージで個人・チームそれぞれの強さを発揮した。

大会は最終日へ。最後を飾る第5ステージは、クアラリピスからセティアワンサまでの151.4km。レース前半に4級、後半に2級とそれぞれカテゴリー山岳が控えるほかはおおむね平坦。この2カ所の山岳ポイントがレースに変化をもたらすかが見ものとなる。KINAN Cycling Teamはマルコスのリーダージャージキープを最優先に、タイトルを賭けた運命の1日を迎えることとなる。このステージで見せた連携面をさらに機能させることが求められる。

マルコス・ガルシアのコメント
「早い段階で4人が先頭グループに入ることができたのが一番の勝因。そして、みんなが素晴らしい働きをしてくれたことで勝利を手にできた。みんなの働きに心から感謝している」

トマ・ルバのコメント
「力のあるチームが序盤から競り合う展開だったが、しばらくして私を含む4人が先頭に立つことができた。それからは全力で働くことを意識した。
個人的にはよいコンディションでこの大会を迎えられた。ピーク時と比較すると少し落ちてはいるものの、好感触で走ることができている。それだけに、今日の結果とマルコスの勝利はとてもうれしい。
最後の1日については、もちろん改めてタイム差や他チームの動向を確認する必要があるが、われわれは強いチームで今大会に臨んでいる。椿やサルバといった経験豊富なライダーに加え、(山本)大喜と(新城)雄大は昨年のツアー・オブ・ジャパンでマルコスのリーダージャージを守る素晴らしい経験がある。その点では心強いし、最後まで戦い抜くつもりだ」