自由気ままなロングライド“いなヴェロ”にキナン選手参加

自転車の街としておなじみの三重県いなべ市全域を舞台として、サイクリストが主役のビッグイベント「DENSO Presents いなべヴェロフェスタ2019 with KINAN Cycling Team(いなヴェロ)」が10月27日に開催された。イベント名の通り、KINAN Cycling Teamが2019年もゲスト参戦。市内各地での走行はもちろん、エイドステーションからのラジオ出演、ファンサービスと、選手たちは大忙しの1日を過ごした。

いなべヴェロフェスタ2019 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

毎年5月のツアー・オブ・ジャパン(TOJ)では、KINAN Cycling Teamのホームステージとして選手たちを後押しするいなべ市。レース開催にとどまらず、今回のようなライドイベント、学校での自転車安全教室の実施など、年間を通してサイクリングを軸とした街おこしに力を入れる。なかでもこの「いなヴェロ」は街の全域を活用し、市内の人気スポットや特産品を販売するショップなども参画する一大イベント。

それだけにサイクリストに向けたホスピタリティも充実。「みんなに優しいロングライド」をコンセプトとし、走行距離やコース、通過するポイントに制限を設けず、参加者自身でルートセッティングできる“ライダーファースト”が特徴。参加ライダーたちを待ち受けるチェックポイントを15カ所設定し、そのうち5つは“いなべの食”を堪能できるエイドステーションを兼ねる。

加えて、世界的な自動車部品メーカー「デンソー」の大安製作所が“スペシャルポイント”となり、同県北勢地域のグルメイベント「美し国みえグルメフェア」「キッズヴェロフェスタ」と併催。そのほかにも、チェックポイント独自の「味のおもてなし」や、サイクリストの多くが知るところとなった三岐鉄道三岐線のサイクルトレインが西藤原駅から乗車可能であるなど、午後3時のフィニッシュタイムまで無限にいなべのよさを満喫できるロングライドとなった。

そんな“走って”“食べて”“楽しんで”の1日に2019年もKINAN Cycling Teamの選手たちがゲスト参加。山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜、雨乞竜己、新城雄大の6選手が参加者とともにスタートラインから街のいたるところへと出発。この日ばかりはレースではなかなか見られないリラックスムード。みんなとともにエイドで補給をしたり、記念撮影に応じるなど、いつも以上にファンサービスにも力を入れた。

このイベントでは、「キナンdeスタンプラリー」と称して、選手たちを見つけてスタンプをゲットすると抽選でIRCタイヤ(1万3000円相当)が当たる特別企画も実施。参加者は一様にサイクリングを楽しみつつ、KINANメンバーの“探索”にも熱が入っていたよう。

また、この日はパーソナリティー役に徹した中島康晴を筆頭に、選手たちが地元ラジオ局「いなべFM」にもたびたび出演。コースに繰り出したメンバーによるチェックポイントからのレポートのほか、中島による参加者へのインタビューなど、その臨場感をリスナーへダイレクトに伝えることにも努めた。

約800人の参加者に恵まれた“いなヴェロ”。「KINANの選手たちに会えると聞いて参加を決めた」「有名店の味を確かめたくて」といった声や、「TOJのコースを体験できることをモチベーションに」など、参加動機はさまざま。それも、「自由気ままなロングライド」だからこそ。今年から市の中心部に地位する「北西市民会館」が主会場となったことで、走行ルートや立ち寄るチェックポイントのセレクトに幅が生まれたことも、イベントの成功の大きな要因となった。

●いなべヴェロフェスタ2019のホームページ

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラ総合優勝

マレーシアで行われてきたステージレース「ツアー・オブ・ペニンシュラ(Tour of Peninsular、UCIアジアツアー2.1)」は10月19日に最終の第5ステージを行い、KINAN Cycling Teamはマルコス・ガルシアの総合リーダージャージを守り切ることに成功。すべてのステージを終えて、マルコスが個人総合優勝を達成し、山岳賞との個人2冠。さらに、チーム総合でもトップを堅守。個人・チームともに総合力の高さを誇示する結果となった。

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラで総合優勝  ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日は今大会唯一の山岳ステージが設定され、序盤に形成された先頭グループに4人を送り込むことに成功。レースの主導権を握り、最後はマルコスが後続に大差をつけてステージ優勝。さらに、アシストでも大車輪の働きを見せたトマ・ルバが2位となり、ワン・ツー・フィニッシュを達成。マルコスは個人総合で首位となり、リーダージャージを獲得。2位以下に対して3分以上の総合リードを持つ。また、山岳賞でもマルコスが首位、チーム総合もトップに立ち、個人・チームともにレベルの高さを示している。

そしてマレー半島をめぐってきた戦いは最終日。第5ステージは151.4kmで争われ、前半に4級、後半に2級とそれぞれカテゴリー山岳が設定される。その他はおおむね平坦基調だが、数少ない登坂区間がレース展開にどう影響するかがポイントとなる。最後は首都クアラルンプール郊外のセティアワンサにフィニッシュ。KINAN Cycling Teamはマルコスの個人総合首位のキープを絶対的な位置づけとし、最後のステージに臨むことになった。

その意識通り、KINAN勢はレースを展開していくこととなる。リアルスタートから約1時間にわたって出入りの激しい流れが繰り返されたが、その間はライバルチームの逃げ狙いの動きを選別。危険なアタックに関しては、各選手がチェックに入るなど、集中したレースの入り。

そうした状況から、50kmを過ぎたところで5人の逃げが決まる。以降はKINAN勢を中心にメイン集団が統率され、レース全体が落ち着く。中盤までは新城雄大や山本大喜が前線に出てペーシングを担った。

おおよそ2分台で進行した先頭とメイン集団との差は、後半の山岳区間で徐々に縮まりを見せる。上りのペースメイクはトマに加え、椿大志やサルバドール・グアルディオラが務め、マルコスの総合固めに。長い登坂で集団の人数を減らしながら、先を急ぐ選手たちとのタイムギャップを安全圏内へと戻していった。

ハードな上りに、テクニカルなダウンヒルも続き、タフなコース設定がなされたレース後半だったが、KINAN勢はトラブルなくプロトンを統率し、そのまま終盤へ。結果的に2選手の逃げ切りを許すこととなったが、総合争いに関係しない選手の動きとあり、マルコスを確実にメイン集団でフィニッシュへ送り込むことを優先。ステージトップから14秒差で集団がフィニッシュし、この中にマルコスはもちろん、最後までケアに努めたサルバドールとトマも入った。

この瞬間、マルコスのツアー・オブ・ペニンシュラ個人総合優勝が決定。同様に首位で最終日を迎えていた山岳賞でもトップを守って個人2冠を達成。山岳での圧倒的な強さが生かし、5日間の戦いにおける王座を戴冠した。また、トマが個人総合8位としてトップ10圏内に。サルバドールも同12位とまとめた。チームが重視するUCIポイントの獲得は、今大会合計で187点。

さらに、各ステージのチーム内上位3選手の合算で競うチーム総合でも1位に。個人で勝利したマルコスにとどまらず、各選手のアシストとしての働きや、要所での効果的な動きが奏功し、チームとしての強さも示すことに成功した。

例年同様にアジアをメインに数々のレースを転戦してきたKINAN Cycling Team。シーズン終盤で迎えた今大会を最高の形で終えることができた。この勢いのまま、残る戦いへとフォーカスしていく。チームは今後、公式戦としては10月20日のジャパンカップサイクルロードレース(UCIアジアツアー1.HC)と、11月10日のツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)に出場する。そのほかイベント参加なども控えており、活発なチーム活動に努めていく。

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
「とてもうれしい。調子がよく、秋のレースや日本で過ごした時期を経て、今回もよい走りができた。今日も多くの出来事があったレースだった。スタートからハイペースが続いたが、われわれはとても強く、レースをコントロールできた。多くのアタックがあったが、いずれもしっかりとチェックしながら、先頭グループとの差も3分以内にとどめることも心掛けた。最後は先頭とのタイム差を気にする必要がなく、ストレスを感じずに走り切ることができた。今年は3月のツアー・オブ・台湾、4月のツアー・オブ・タイランドとよい走りができ、5月のツアー・オブ・ジャパンでは悔しい結果に終わったが、調子を戻して今回の優勝に結びつけられた。いまはとても良いシーズンだったと思える」

●キナンのホームページ

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラ優勝に王手

マレーシアのステージレース「ツアー・オブ・ペニンシュラ(Tour of Peninsular、UCIアジアツアー2.1)」は大会4日目の10月18日、アジア屈指の超級山岳キャメロンハイランドの頂上フィニッシュが設定さた第4ステージが行われ、KINAN Cycling Teamのマルコス・ガルシアとトマ・ルバがワン・ツーフィニッシュ。椿大志と新城雄大からのホットラインも完全に機能し、同国が誇る名峰をチーム全体で征服した。

マルコス・ガルシアが名峰キャメロンハイランドで優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は後半戦へと突入。ここまでの3ステージはいずれも平坦コースだったが、いよいよ大会の最難関ステージを迎える。

89.5kmとショートステージながら、スタート直後から上り基調となり、中盤から本格的に山岳区間へ。78km地点で1級山岳リングレットを越えると、向かうは超級山岳のキャメロンハイランドへ。標高1440mの頂上にフィニッシュラインが敷かれるが、その手前5kmは細かな変化があり、まさに選手たちの脚を試す難度の高い舞台。今大会の総合争いの形勢を明確にする最も重要な1日となる。

KINAN Cycling Teamはここまで3ステージをクリアし、このステージで勝負をかける。マルコス、トマ、サルバドール・グアルディオラのクライマーたちを中心に、椿大志、山本大喜、新城雄大の登坂力とスピードを備える選手たちがレースを構築していく。上位進出が至上命題となる。

その狙い通り、KINAN勢がスタート直後から攻撃的な走りを展開する。まずマルコスと椿が加わった逃げ狙いの動きに、新城とトマが追随。上りと下りを繰り返す間に先行する選手たちとメイン集団とのタイム差は広がっていき、やがて約20人の先頭グループとして固まる。KINAN勢はそのまま4選手がレースをリードする形になった。

先頭グループは主要チームの多くが選手を送り込んだこともあり、順調に貯金を増やしていく。4人を送り込んだことでレースの主導権を握ったKINAN勢は、個人総合で上位が見える位置を走るマルコスを軸に、トマ、椿、新城がペースメイク。これが奏功し、距離を追うごとに先行メンバーの人数を減らしていく。

こうした流れから、62km地点に設置されたこの日2つ目の中間スプリントポイントでマルコスが上位通過を狙って加速。新城のリードアウトも利き、マルコスを2位通過させることに成功。ボーナスタイム2秒を獲得した。

レースが残り25kmを切ると、いよいよ本格的に山岳区間へと入っていく。依然KINAN勢のペースメイクが続き、椿の牽引で次々とライバルを振り落としていく。椿が役目を終えると、満を持してトマがコントロールへ。さらに人数が絞られていき、1級山岳リングレットを通過する頃には、先頭にはトマとマルコスを含む4人となっていた。

いよいよ、残すは頂上にフィニッシュが敷かれるキャメロンハイランド。上りを迎えると4人の形成に変化が見られ、ここまでトマのペーシングで脚を残していたマルコスがついに動き出す。他選手の厳しいチェックもありながら、残り6kmで一気のスピードアップ。完全に独走態勢に持ち込むと、追う選手たちとの差はあっという間に広がっていく。マルコスの後ろでは、トマが他選手の抑えに回り追撃の芽を摘み取っていく。

終始レースを掌握したKINAN勢。勝負を託されたマルコスは最後までスピードを緩めることなく、単独でフィニッシュへ。キャメロンハイランド頂上に集まった多くの観衆からの祝福を受けながら勝利の瞬間を迎えた。

マルコスの歓喜から50秒後、大車輪の働きを見せたトマがこちらも単独でフィニッシュラインへ。他選手を振り切り、2位を確保しワン・ツーフィニッシュを達成した。さらに50秒遅れて3位争い、メイン集団でレースを進めた選手たちの多くは、マルコスから3分以上のタイム差でレースを終えることとなった。

KINAN勢は6選手がいずれもこのステージを完了。メイン集団でレースを進めたサルバドールが14位とまとめ、アシストとして機能した山本、椿、新城も走り終えている。

これらの結果から、総合成績で大きな変動が発生。このステージを制したマルコスが狙い通りにリーダージャージを確保。個人総合首位に立ち、残る1ステージへと進むことに。2位との総合タイム差は3分2秒としている。あわせて、山岳ポイントも大量に稼いだことから山岳賞のレッドジャージも手にしている。さらに個人総合では、トマが7位、サルバドールが12位に浮上。チーム内ステージ上位3選手のタイム合算で競うチーム総合でも首位となり、最重要ステージで個人・チームそれぞれの強さを発揮した。

大会は最終日へ。最後を飾る第5ステージは、クアラリピスからセティアワンサまでの151.4km。レース前半に4級、後半に2級とそれぞれカテゴリー山岳が控えるほかはおおむね平坦。この2カ所の山岳ポイントがレースに変化をもたらすかが見ものとなる。KINAN Cycling Teamはマルコスのリーダージャージキープを最優先に、タイトルを賭けた運命の1日を迎えることとなる。このステージで見せた連携面をさらに機能させることが求められる。

マルコス・ガルシアのコメント
「早い段階で4人が先頭グループに入ることができたのが一番の勝因。そして、みんなが素晴らしい働きをしてくれたことで勝利を手にできた。みんなの働きに心から感謝している」

トマ・ルバのコメント
「力のあるチームが序盤から競り合う展開だったが、しばらくして私を含む4人が先頭に立つことができた。それからは全力で働くことを意識した。
個人的にはよいコンディションでこの大会を迎えられた。ピーク時と比較すると少し落ちてはいるものの、好感触で走ることができている。それだけに、今日の結果とマルコスの勝利はとてもうれしい。
最後の1日については、もちろん改めてタイム差や他チームの動向を確認する必要があるが、われわれは強いチームで今大会に臨んでいる。椿やサルバといった経験豊富なライダーに加え、(山本)大喜と(新城)雄大は昨年のツアー・オブ・ジャパンでマルコスのリーダージャージを守る素晴らしい経験がある。その点では心強いし、最後まで戦い抜くつもりだ」

キナンの雨乞竜己が2019年シーズンを最後に引退

KINAN Cycling Teamの雨乞竜己(27)が2019年シーズンを最後に選手としてのキャリアに終止符を打つことになった。

キナンの雨乞竜己

雨乞は2017年にKINAN Cycling Teamに加入。同年3月の宇都宮クリテリウムで2位とセンセーショナルなチームデビューを飾って以降、持ち前のスピードと勝負勘でエーススプリンターとして確たる地位を築いた。また、同年10月のジャパンカップクリテリウムでは、並みいる世界の強豪との激闘の末に4位入賞。日本のみならず、世界にもその走りをアピールした。

平地系レースでのスプリントにとどまらず、山岳系のレースではアシストとしても機能。2017年のツール・ド・北海道やツール・ド・おきなわ、2018年のシャールジャ・ツアーなどでは、チームの上位進出に大きく貢献し、オールラウンドに実力を発揮してきた。

2018-2019シーズンからは、シクロクロスにも本格参戦。愛知・岐阜両県をメインに転戦する東海シクロクロスシリーズでは、ホストライダーの1人としてレースを盛り上げてきた。

2019年シーズンは終盤に差しかかっているが、10月20日開催のジャパンカップサイクルロードレースが雨乞にとって最後のUCI公認の国際ロードレース出場予定。その後、年内は各種イベント出席など、これまで通りチーム活動に従事するとともに、シクロクロスにも数戦出場する予定となっている。

雨乞竜己

雨乞竜己の引退のあいさつ
KINAN cycling teamに所属し、早3年の月日が流れました。
この度、本年度をもちましてプロとしてのキャリアを終えることとなりました。
自転車に出会い、約10年。駆け足で進んできました。
どれもかけがえのない日々でしたが、特にヨーロッパでの3年、KINANでの3年、この6年間は非日常な日常で、仲間とともに多くの喜怒哀楽を味わいました。
スプリントに掛けた走りで、昨年は多くのアジアツアーに参戦させていただき、一流スプリンターらとの戦いの中で初めて満足いく形でスプリントに挑むことができました。自分の中でさまざまな精神的な葛藤があったので、何かを成し遂げた訳ではないのにフッと張り詰めていたものが解かれ妙な感覚を覚えました。同時に恐怖心も芽生え、そこが分岐点だったのかもしれません。
思ったことをカタチにできると信じることで、イマの自分が創り上げられました。信じ突き進んでいくことで、偶然か必然か、自分の元へヒトまでをも導いてくれることを競技生活を通して、私は学びました。
なので、引退しても自分のライフワークから自転車がなくなることはありません!
これからもLOVE CYCLEです。最後に、今まで関わってくださった多くの方々、チームメイト、スタッフ、ファンのみなさまに感謝申し上げます。

●キナンサイクリングのホームページ

キナンがシーズンエンドパーティーで参加者募集開始

キナンが12月15日にチーム本拠の1つである名古屋市でシーズンエンドパーティーを開催することになり、一般参加者の募集を開始した。

チームは発足5年目の2019年も、国内外でのレース活動、国内各地でのイベント参加などで多くの成果を挙げることができ、これはどんなときでも全力で応援しているファンの支えあってのものだと考えているという。

パーティーでは今シーズンの活動報告のほか、来シーズンの所属選手の正式発表を行う。さらには、ファンや関係者とチームメンバーとの交流会、お楽しみ抽選会といったアクティビティも企画中。

キナン2019シーズンエンドパーティー
【日時】2019年12月15日(日)18:30~21:30 
【会場】REGOLITH(愛知県名古屋市西区牛島町6-1 名古屋ルーセントタワー1F) 
【KINAN Cycling Team参加メンバー】
・2019年シーズン所属選手
・2020年シーズン所属選手
・チームスタッフ 
【会費(一般参加の場合)】7000円(税込) 
【定員】
・一般40名
・スポンサー・サプライヤー企業
・その他関係者40名 
【パーティー内容(予定)】
・2019年シーズン活動報告
・2020年シーズン所属選手の発表
・ファンおよび関係者のみなさまとの交流会
・お楽しみ抽選会
【パーティー飲食内容】
・立食でのビュッフェ形式、ドリンク飲み放題(アルコール提供あり)

【申込方法】
専用ウェブサイト(スポーツエントリー)から申し込み
※同日開催の「ヴェロフェスタ2019 in モリコロパーク with KINAN Cycling Team」の種目別エントリーと同ページになっています。申し込みの際は種目選択から「2019シーズンエンドパーティー」を選択
●エントリー専用ウェブサイト

トマ・ルバがバニュワンギ最終Sで優勝…山岳賞も獲得

インドネシア・ジャワ島東部で行われてきたインターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン(UCIアジアツアー2.2)は、9月28日に行われた第4ステージをもって閉幕。KINAN Cycling Teamは、今大会のハイライトとなった超級山岳イジェン山でトマ・ルバが他を圧倒する走り。貫録のステージ優勝に加えて、個人総合4位と山岳賞を獲得し、上々の形で大会を終えた。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第4ステージで優勝したトマ・ルバ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日までの3ステージを終えて、マルコス・ガルシアがチーム最上位となる個人総合6位。トップとの総合タイム差は57秒とし、上位戦線での走りを続けてきた。また、山岳賞でも初日から首位をキープ。チーム総合では2位につけ、個人・チームともに総合力のアピールを続ける。

そして最終日。129.9kmで競う第4ステージですべてが決する。スタート以降中盤過ぎまでは平坦が続くが、フィニッシュまで残り30kmを切って山岳地帯へと入っていく。4級、3級とそれぞれカテゴリー山岳を通過しながら、登坂を続けていく。いよいよ迎えるのは、超級山岳イジェン山。上り始めから10%を越す急勾配が続き、路面の粗さも相まって選手たちの行く手を阻む。さらには、中腹で驚異の最大勾配28%。頂上にフィニッシュラインが設定され、この上りを終えた時点で、今大会の総合成績が確定する。

イジェンの上りが総合争いの大きく関係してくることは必至。KINAN Cycling Teamは難攻不落のクイーンステージへ臨むにあたり、改めてマルコスを軸に戦うことを確認。山本元喜、椿大志の組み立てから、山岳ではサルバドール・グアルディオラ、トマ・ルバがライバルに対してプレッシャーをかけ、ここぞという局面でマルコスを前方へと送り出す構えだ。

そうして始まったレースは、スタートして早々に9人の逃げが決まる。いずれも総合成績に関係しない選手たちの動きとあり、メイン集団は完全に容認。リーダーチームのチーム サプラサイクリングが集団をコントロールし、レースは淡々と進行。半ばを迎える頃にはタイム差は6分近くにまで開くが、その後は山岳に向けて集団は少しずつギャップを縮めていった。

この間、KINAN勢は集団に待機。来る山岳区間に向けて、好位置を押さえながら勝負どころを待った。

レースが100kmを過ぎたあたりから、いよいよ山岳地帯へ。しばし先頭を走った9選手だったが、登坂力の差が明白となり、やがて逃げの態勢が崩壊。この日1つ目の山岳である4級のジャンベサリを上りきる頃には、先頭には3人だけが残る情勢となった。

一方、メイン集団ではジャンベサリまではチーム サプラサイクリングがコントロールしたが、続く3級のカリベンドに入ってついにKINAN勢が前方へ。山本、椿の順でペースアップを図ると、先頭との差はあっという間に縮まっていった。そして、カリベンドを終える頃には逃げメンバーは全員吸収。最後の最後に待つ超級のイジェン山に向けて、舞台は整った。

それからも依然KINAN勢によるコントロールが続く。サルバドールが上りのペーシングをさらに強めて人数を絞り込んでいくと、イジェン山の上り口からはトマが集団先頭へ。これが大きな決定打となって、前方にはトマとマルコスを含む6人だけが生き残る格好に。

トマによる猛烈なプッシュはその後も続き、ライバルたちを1人、また1人と振り落としていくが、マルコスも遅れ始めてしまう。この時点で総合を争うライバルたちの動向やチーム状況から、トマによるステージ狙いへプランを変更。選手同士で確認し合った戦術の中から、ここで“プランB”を発動することになった。

すでに数度イジェン山を経験しているトマの走りは、最大勾配28%となる中腹でも他を圧倒。勾配がわずかに緩やかになる最終盤もテンポで上り切り、ライバルたちに対してその背中を見せることなく頂上へとやってきた。

イジェン山を完全に征服したトマは、余裕の表情でフィニッシュへ。2位には49秒差をつけ、まさに貫録勝ちの言葉がピッタリの完勝だった。

トマのフィニッシュから6分50秒後、個人総合での上位進出をかけて走ったマルコスがやってきた。総合成績を競っていた選手たちに先着を許す結果になったが、ステージ16位とまとめた。その後、椿が28位、サルバドールは47位、山本は62位と、献身的な走りを見せた選手たちもしっかりと頂上到達を果たしている。

この日のステージ結果によって、注目された総合成績は大幅にシャッフル。ステージ優勝のトマは、順位を大幅にジャンプアップさせて個人総合4位へ。惜しくも総合表彰台は逃したが、大会最終日に猛烈な追い上げを見せた。さらに、大会を通じて上位戦線で走ったマルコスは同10位を確保。2選手をトップ10に送り込むことに成功し、UCIポイントではステージ優勝分も合わせて30点を獲得した。

また、唯一の超級山岳であったイジェン山をトップで上ったトマは、山岳ポイントを一気に稼ぎ出し、マルコスから山岳賞のポルカドットジャージを引き継いで今大会のナンバー1クライマーの称号を手に。さらに、チーム総合でも3位に食い込み、メンバー全員でポディウムへと登壇している。

チームはこれで、おおよそ2週間にわたるインドネシア遠征を終了。出場した2レースともに好成績を残し、これまで以上にアジアでのハードな戦いに自信を深めている。シーズンは終盤へと差し掛かっているが、引き続きアジア圏をメインとしたレース活動を継続。今後のレーススケジュールについては、近日中に発表ができる見通しとなっている。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第4ステージ(129.9km)結果
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 3時間47分51秒
2 アミール・コラドウズ(イラン、タイユアンミオジェサイクリング) +49秒
3 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +59秒
4 イェシードアルトゥーロ・シエラ(コロンビア、チャンユードホテルサイクリングチーム) +1分1秒
5 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チーム サプラサイクリング) +1分54秒
6 ダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム) 
16 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6分50秒
28 椿大志(KINAN Cycling Team) +10分41秒
47 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +17分28秒
62 山本元喜(KINAN Cycling Team) +23分11秒

個人総合
1 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO) 13時間5分23秒
2 マイケル・ヴィンク(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +16秒
3 ジェシー・イワート(オーストラリア、チーム サプラサイクリング) +1分53秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +2分23秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分40秒
6 イェシードアルトゥーロ・シエラ(コロンビア、チャンユードホテルサイクリングチーム) +3分30秒
10 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +4分56秒
25 椿大志(KINAN Cycling Team) +14分48秒
35 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +19分6秒
62 山本元喜(KINAN Cycling Team) +34分9秒

ポイント賞
1 コルビン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 29pts
16 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 10pts
24 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 4pts

山岳賞
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 25pts
7 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 8pts
21 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 1pts

チーム総合
1 チーム サプラサイクリング 39時間24分25秒
3 KINAN Cycling Team +11分33秒

トマ・ルバのコメント
「残り10kmを切ったところから、チームは本格的に集団のペースを上げた。(山本)元喜と(椿)大志が本当に強くて、さらにはサルバが集団の人数を減らしてくれた。次が私の役割だったが、調子が良かった私の一方で、マルコスがベストではなかった。彼がゴーサインを出したので、ステージ狙いに切り替えて勝負に出た。トップで上り切れば山岳賞を獲得できることも計算できていたし、何よりステージ優勝できたことがよかった。

正直言うと、今日の上り(イジェン山)のタイムは先月同じコースを走ったツール・ド・インドネシアの時より1~2分遅れている。(今大会前には移動トラブルがあったが)そんな中でも目の前のレースに集中することが必要だし、今日のステージ優勝が成果になったと思う。まずは休みたいね(笑)

シーズンは終盤だけど、この先のレースも楽しみ。しっかりリカバリーして、その後のトレーニングでコンディションを整えていきたい」