新城雄大が逃げでレースを構築…雨乞竜己が6位。ツール・ド・とちぎ

ツール・ド・とちぎは最終日となる3月25日、栃木県北部の那須町から中部の真岡市まで147kmの第3ステージが行われた。

ツール・ド・とちぎ第3ステージで積極的な走りを見せた新城雄大 ©︎ KINAN Cycling Team / Satoru KATO

コース途中にスプリントポイントが1カ所、3級山岳が2カ所設定された。3級山岳以外にもうねるようなアップダウンが続く一方、コース終盤は平坦になるため、集団ゴールになる可能性が高かった。リアルスタート直後のアタック合戦に、キナンサイクリングの新城雄大、椿大志らが参戦。飛び出しと吸収を何度か繰り返したのち、新城とホセ・ヴィセンテ・トリビオ・アルコレア(スペイン、マトリックスパワータグ)、キム・クンス(韓国、LXサイクリングチーム)の3人が先行する。

メイン集団との差は30秒ほどまで開くが、それ以上差は広がらず、49km地点のスプリントポイントを前に吸収される。そこから再びアタック合戦が始まるが、抜け出せる選手がいないまま、61km地点にあるこの日最初の3級山岳に向けた登りに集団のまま入る。

この登りと頂上からの下りで集団が大きく割れ、30人ほどの集団が先行。その中から4人の逃げ集団が形成される。メイン集団との差は最大で2分近くまで開くが、リーダーチームのオーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコーストと、スプリント勝負に持ち込みたい愛三工業レーシングチームが協力して逃げを追走する。

残り20km、逃げ集団とメイン集団との差が1分を切ったところで、逃げ集団にいた岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が単独アタック。メイン集団との差を1分まで広げる。しかしゴールに向けてメイン集団も加速。残り5kmを過ぎたところで岡はメイン集団に吸収される。最後は集団でのスプリント勝負となり、レイモンド・クレダー(チームUKYO)が優勝。キナンからは雨乞竜己がスプリント勝負に加わり、タイム差なしの6位に食い込んだ。中島康晴、塚本一樹もタイム差なしの集団ゴール。序盤に逃げた新城は9秒差の50位で完走。椿は残念ながら途中リタイアとなった。

1月のシャールジャ・ツアーから好調のまま今大会に臨んだキナンだったが、2017年のツール・ド・とちぎ個人総合2位だったエース、ジャイ・クロフォードを直前の怪我で失い、他チームと比較して数的不利な状況に立たされた。しかし残るメンバーが明確な役割と意識のもと、できうる限りの走りを見せ、一定の成果を残した。最終日の新城の果敢に逃げる姿は、厳しい局面でも攻める姿勢を忘れずに戦うチームスピリットの片鱗を見せた。

これに応えるように雨乞もゴール争いの数的不利な中、埋もれながらもスプリントに挑み6位と、今後のシーズン中に数多く控えるゴールスプリントへ向けてしっかりと手応えをつかんだ。

次戦の国際レースは4月1〜6日のツアー・オブ・タイランド。その後もUCIヨーロッパツアーへの出場が控えていて、引き続き春のシーズンでの活動を強化していく。

ツール・ド・とちぎ第3ステージ結果(147km)
1 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) 3時間16分6秒
2 岡本隼(愛三工業レーシングチーム) +0秒
3 黒枝咲哉(シマノレーシングチーム)
6 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
24 中島康晴(KINAN Cycling Team)
26 塚本一樹(KINAN Cycling Team)
50 新城雄大(KINAN Cycling Team) +9秒
DNF 椿大志(KINAN Cycling Team)

個人総合
1 マイケル・ポッター(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト) 5時間46分16秒
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +14秒
3 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +20秒
21 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分38秒
43 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +3分29秒
44 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分30秒
59 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +4分39秒

椿大志

椿大志のコメント
すごく厳しいステージというわけではなかったものの、個人的にはDNFという結果に終わり、最終局面の雨乞のアシストができなかった。肝心のところで何もできず、非常に残念。雨乞はしっかりと集団スプリントをもがいて6位に入って、スプリンターとしての役割を果たした。一緒に練習をしていて世界レベルのスプリント力を持っているのを知っているし、彼を軸にしたレースというのも増えていくはずなので、その場面での動きにしっかり対応できるようにしたい。多くの方に期待と応援をしていただいたが、今回のレースでは思うような動きやアピールができずに終わってしまった。次回のレースでは、しっかりと応援に応えられる走りをしたい。

新城雄大

新城雄大のコメント
チームとして前日のような消極的なレースはしないということと、個人的にも攻めたいというのもあり、スタート直後からかなりトライしていった。結果、前半で数回の逃げに乗ることができたが、集団に容認されず捕まってしまった。後半は、雨乞さんのスプリントへ向けての動きに集中したが、最終局面でアシストができなかった。個人的な動きとしては悪くなかったと思うが、後半もう一仕事が必要だと感じた。今回は数的不利があるなかで中島さんの動きもあり、最終局面でのポジショニングはできていたので、うまくはまれば勝ちも遠くはないと感じている。個人的には、得意とする逃げの展開に磨きをかけていきたい。チームとしては、やはり雨乞さんのスプリントを成功させるような動きができるように連携を図っていきたい。

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ツール・ド・ランカウイでキナンのトマ・ルバが個人総合8位

マレーシアで3月18日に開幕したツール・ド・ランカウイは、25日の第8ステージをもって閉幕。この大会に初出場を果たしたキナンサイクリングは、トマ・ルバの総合8位がチーム最上位。また、ルバのほかサルバドール・グアルディオラ、中西健児の3人が完走。総距離1341.2kmに及ぶ戦いに幕を閉じた。

ツール・ド・ランカウイの最終ステージ ©︎ KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

2018年で23回目を迎え、ステージ数やレースオーガナイズなど大会の規模から「アジア最高峰のステージレース」とも称されるこの大会。16日にランカウイ島でチームプレゼンテーションが行われ、18日からは全8ステージにわたる戦いが続いてきた。

キナンは、第1ステージで椿大志、第7ステージでマルコス・ガルシアがそれぞれリタイアし、残る4選手で最終日を迎えた。前日の第7ステージでは山本元喜と中西の動きに始まり、グアルディオラが大人数の逃げに合流。さらに中盤にルバがメイン集団を飛び出し、グアルディオラが入るグループへ。一時はルバがバーチャル総合リーダーとなる場面もあり、キナン勢の動きがレースをよりサバイバルにした。

第7ステージまでを終えてルバが個人総合9位につけているが、チームは引き続き攻撃的な走りに努めることを確認。順位を守るのではなく、1つでも上げられるよう残る3選手がサポートする。

今大会の最後を飾るのは首都クアラルンプールにフィニッシュする141.1km。途中、スプリントポイントと4級山岳がそれぞれ3カ所ずつ控える。クアラルンプール市内に入ってからは、一度フィニッシュラインエリアを通過したのち、市街地を5周回してフィナーレ。ステージ、総合とも行方はフィニッシュするまで分からない、あらゆる展開が考えられるルートが設けられた。

レースはスタートしてすぐに4人が逃げグループを形成。キナン勢は山本らが前を狙ったが、逃げに入ることはなくメイン集団でレースを進める。逃げる4人は最大で約3分のリードを築くが、メイン集団が射程圏内に収めながら進む。しかし、集団から飛び出した数人が逃げグループに合流。この中に個人総合上位の選手が入ったこともあり、キナン勢は中西を集団前方へと送り込んで追走態勢を整える。

その構図は変わらないまま、クライマックスとなるクアラルンプールの市街地へ。人数を減らしながらも粘る逃げに対し、強力スプリンターを擁するチームが率いるメイン集団。徐々にタイム差を縮めていったメイン集団が最終周回で逃げていた選手たちをキャッチ。キナン勢はグアルディオラがルバをケアしながら最終局面へと向かった。

スプリントでのステージ優勝争いの後ろで、ルバとグアルディオラもしっかりとフィニッシュ。ルバは個人総合での上位を確定させた。個人総合上位陣の一部に集団から遅れてフィニッシュした選手が出た関係から、ルバはスタート時から1つ順位を上げて個人総合8位。UCIポイントは50点をゲット。また、グアルディオラも個人総合23位とし、同様に5点を獲得。今大会で合計55点を得た。この2人に続き、中西も完走。クアラルンプール市街地の周回コース途中までアシストの役割を果たしてフィニッシュしている。

今大会は平坦ステージが多くを占めた中、総合成績に視野を定めて臨んだキナン。初出場ではありながらも、世界の名だたる強豪とならんで戦えるだけの存在感をこの8日間で示したといえる。選手間の連携も上々で、適材適所の役割配分ができていたこともこの先のレースにつながるはずだ。チームが重視する、UCIポイント獲得を常に狙いながら、引き続き全体の底上げを図っていくこととなる。

チームのUCI国際レース次戦は、4月1~6日のツアー・オブ・タイランド(タイ)。主戦場であるアジアでのレースでキナンの活動はさらに加速度を増すことになる。

ツール・ド・ランカウイ第7ステージ結果(141.1km)
1 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 3時間10分25秒
2 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク) +0秒
3 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)
4 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
5 マルコ・クンプ(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ)
6 ヨルダンアルレイ・パッラ(コロンビア、マンザナポストボンチーム)
15 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
34 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
60 中西健児(KINAN Cycling Team) +8分14秒
DNF 山本元喜(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 32時間6分45秒
2 ルカシュ・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ) +27秒
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +32秒
4 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +54秒
5 ジュゼッペ・フォンツィ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +57秒
6 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) +1分2秒
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分8秒
23 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分30秒
88 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間12分48秒

ベストアジアンライダー
1 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) 32時間7分47秒
36 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間11分46秒

スプリント賞
1 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 61pts
20 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 11pts

山岳賞
1 アルバロラウル・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカアムスキンズレーシング) 43pts
11 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 10pts

チーム総合
1 ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア 96時間23分38秒
9 KINAN Cycling Team +23分23秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
結果についてはまずまずといったところ。予想のできない戦いだったなかで、コンディションを日ごとに上げていきながらフィニッシュができたことについては満足している。キャメロンハイランドの頂上フィニッシュ(第5ステージ)の5位も悪くはなかった。ただ、表彰台には立ちたかったし、一度はバーチャルリーダーとなった第7ステージでリーダージャージを逃したことも悔しかった。それでもなにより、どんな結果が待っているか分からないハイレベルの戦いを走り切れたことはよかったと思う。
UCIワールドチームなどのビッグチームがそろっていた中で、チームはよく戦ったと思うし、中西健児にとっては素晴らしい経験になっただろう。とはいえ、この大会も(チームが並行出場した)ツール・ド・とちぎもレースには変わりない。コンチネンタルチームが勝つことだってもちろんあるし、レースバリューですべてが決まるわけではない。
いまから次のレースが楽しみ。チームスピリットをしっかりと持って、みんなで喜び合える結果を残したい。

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キナン勢は後半勝負に賭けるも終盤の上りで遅れ…ツール・ド・とちぎ第2ステージ

ツール・ド・とちぎ第2ステージが3月25日、栃木県南部の小山市から観光地として有名な日光市まで距離105kmのロードレースとして行われ、キナンサイクリングの5選手が参加した。コース前半は平坦区間が続き、後半は3級山岳を含むアップダウンがある。

ツール・ド・とちぎ第2ステージを走るキナン勢 ©︎ KINAN Cycling Team / Satoru KATO

初日のタイムトライアルの差を挽回すべく、リアルスタート直後から各チームがアタック合戦を繰り広げる。しかしどれも決定的な動きにならないまま、ハイスピードでレースは進行する。後半に入り、コースにアップダウンが出始めてくると、シマノレーシングの湊諒、マトリックスパワータグの安原大貴、日本大の小嶋健太の3人の逃げが容認される。ここから集団はリーダージャージのマイケル・ポッターを擁するオーストライランサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコーストがコントロールを開始し、逃げ集団との差を1分に維持する。

86km地点の3級山岳への登り、逃げる3人との差は一気に詰まり、下りで全てを吸収。この動きで個人総合上位2人を含む9人が先行して逃げ切り、最後はスプリントを制したポッター選手が第1ステージに続き優勝した。キナンチームは、後半勝負にかけてメイン集団の中でレースを進めるも、3級山岳で先行した先頭集団に誰も送り込めず、41秒遅れの第2集団でゴールした中島康晴の21位が最高位に終わった。

最終日は栃木県北部の那須町をスタートし、中部の真岡市にゴールする147kmのロードレース。険しい山岳はないものの、アップダウンが繰り返されるコースで、途中2カ所の3級山岳が含まれるコースだ。チームとしての最終日にかける士気は高く、緊張感を保って第3ステージに挑むこととなる。

ツール・ド・とちぎ第2ステージ結果(105km)
1 マイケル・ポッター(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト) 2時間21分27秒
2 レイモンド・クレダー(チームUKYO) +0秒
3 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 
21 中島康晴(KINAN Cycling Team) +41秒
46 新城雄大(KINAN Cycling Team) +2分14秒
48 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
55 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +2分54秒
81 椿大志(KINAN Cycling Team) +4分47秒

個人総合順位
1 マイケル・ポッター(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト) 2時間30分10秒
2 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +22秒
3 レイモンド・クレダー(チームUKYO) +24秒
22 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分38秒
49 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分21秒
50 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +3分29秒
71 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +4分39秒
77 椿大志(KINAN Cycling Team) +5分55秒

椿大志

椿大志
序盤1時間半くらいのアタック合戦は雄大と連携しながら、読みづらい展開をうまく立ち回れたと思う。肝心のKOMで雨乞をサポートできる位置で登らなければと粘ったが、厳しかった。最低でも集団復帰できるところでクリアしなければならなかった。ただ、入口まではみんなでまとまれたのはよかった。明日の最終日はトップコンディションとはいかないまでも、今の最善を尽くしてチームに貢献したい。

塚本一樹

塚本一樹
平坦の区間では、中盤から集団内を移動する感覚をつかめた気がするので、明日のステージではチームの勝利のために積極的に動きたい。今日も学ぶことが多く、良い経験になった。とても楽しむことができたステージだったが、チームのために動けなかったことが悔しい。いろいろあるが、明日もがんばっていきたい。

雨乞竜己

雨乞竜己
KOMでの下からのペースアップには耐えることができたが、その後の細い下り区間で雄大と一緒に中切れにあって、その後は挽回できずにゴールを迎えてしまって悔しい。もうあと5番手前を走っていれば、中切れで遅れずに済んだだけに状況判断ミスが悔やまれるが、上りきった時にあのポジションにならないためにも、あらためてもう1ランク上のベースアップを目指さなければならない。明日は今日のようなミスをなくして集団に残って必ずスプリントしたい。

中島康晴

中島康晴
最初からアタック合戦がガンガン激しく始まり、それを椿と雄大が要所要所で反応してくれて、しっかりチェックしてくれたのでチームとしてとてもありがたかった。チームオーダーで決めていた上り前の位置取りも成功して15番手で上り始めたが、宇都宮ブリッツェンのペースアップになす術がなかった。個人としてもチームとしても不完全燃焼のままで終わりたくないし、悪いイメージを払しょくするためにも、明日はチームみんなで雨乞のステージ優勝をねらう。

新城雄大

新城雄大
前日のミーティングでアタックが激しくなるのは予想していて、実際その通りになった。序盤のピリピリとした集団の動きの中、決まってしまいそうなメンバーが行った逃げにチェックすることに専念して、チームオーダーをこなすことができた。集団が落ち着いてからは雨乞さんの近くにいてサポートしながらKOMに向けて前で固まっていけたが、上りでポジションを下げてしまったことが悔やまれる。昨日、今日の悪い流れを断ち切って、チームとしても個人としても明日こそ見せ場を作りたい。

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ルバが一時バーチャルリーダーとなる攻めの走り…ツール・ド・ランカウイ第7ステージ

マレーシアで開催されているアジア最高峰のステージレース、ツール・ド・ランカウイは3月24日、第7ステージが行われた。今大会最長の222.4kmのレースでキナンサイクリングが攻めのレースを展開。トマ・ルバが一時バーチャルリーダーとなったほか、サルバドール・グアルディオラもレース中盤から先頭集団に入ってルバをサポート。他選手の逃げ切りが決まってしまい、ルバの個人総合は9位に下がったが、アグレッシブな走りがレース全体を活性化させるきっかけとなった。

©︎ KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

名峰キャメロンハイランドを上った第5ステージ、今大会最短の108.5kmで争われた第6ステージに続くは、この大会で最も長い200km超えのロングステージ。それにふさわしく、序盤から細かなアップダウンが連続し、サバイバルが予想されるコースレイアウトが用意された。カテゴリー山岳は4級のみながら、中盤までに7カ所を上る。その後は、フィニッシュまで約110kmの平坦基調を走るが、マレーシア特有の暑さやここまで6ステージをこなしてきた消耗度合いによっては、展開に大きな変化があったも不思議ではない。

キナンチームは、ここまでルバが個人総合6位につけ、マルコス・ガルシアが同12位と続く。前日の第6ステージは出走5人全員が次々と逃げ狙いのアタックを繰り出したが、厳しいチェックもあり先行するまでには至らず。それでも、残る2日間も引き続き攻撃的な姿勢を緩めず、チャンスをたぐり寄せるべくスタートラインに並ぶ。

レースはまず山本元喜と中西健児の2人が積極的に前方をうかがう。繰り返し訪れる山岳での攻撃ではグアルディオラも加わり、大人数での逃げグループ形成を狙う。プロトン全体での思惑が交錯し、しばらくは出入りの激しい状況が続いた。

均衡が破られたのはスタートから80km過ぎ。グアルディオラを含む大人数の逃げが形作られると、ここに次、また次と力のある選手たちが加わり、最大で36人もの先頭グループとなる。やがて人数が絞られていくなか、100km地点を過ぎたところで今度はルバがメイン集団からアタック。先頭グループへの合流に成功したことで、前方で待つ格好となったグアルディオラとの数的有利な形勢とした。

先を急ぐルバとグアルディオラたちのグループに対し、個人総合上位陣は後方の集団に位置。2分以上のリードを得たことで、総合トップから1分8秒でスタートしたルバがバーチャル総合リーダーに立った。

だが、残り100kmを切ったところから総合上位陣が含まれる追走グループが生まれると、徐々に先頭とのタイム差を縮めていく。追う側と逃げる側双方の気迫がぶつかる争いは、残り約30kmを迎えたところで、追い上げた総合上位陣の合流によってふりだしに戻った。

この直後に10人がアタックし抜け出すと、ルバとグアルディオラは他の総合上位陣とともに追いかける形に。しかし、タイム差は広がる一方。結局、この10人の逃げ切りが決まり、ルバとグアルディオラはトップから1分28秒差のメイン集団内でフィニッシュを迎えた。

逃げ切ったメンバーの中に、総合上位に肉薄していた選手が数人含まれていたことから、このステージを終えてルバの個人総合は9位に下がった。また、同12位でスタートしたガルシアが胃腸のトラブルで途中リタイア。3位につけていたチーム総合も9位となり、総合各賞の観点からは厳しい1日となった。

かたや、繰り返しやってくるアップダウンや気温40度近い暑さの中でのレースにあって、キナン勢の動きがサバイバルな展開につながった部分も見逃すことはできない。世界の名だたるチームが出場するハイレベルな大会で、攻撃的姿勢を見せることができた点では大きな収穫ともいえそうだ。

アジアが世界に誇るステージレースは翌25日、いよいよ2018年大会の最終日を迎える。最後を飾るべく、マレーシアの首都クアラルンプールを目指して走る。距離は141.1kmで、スプリントポイントと4級山岳がそれぞれ3カ所ずつ控える。クアラルンプール市内に入ってからは、一度フィニッシュラインエリアを通過したのち、市街地を一周回したのちフィナーレ。この周回コースは山岳ポイントこそつかないものの、最大勾配14.2%を筆頭に10%前後の登坂が繰り返し登場。さらには、距離こそ短いものの驚異の勾配39.3%の下りも選手を待ち受ける。ステージ、総合ともに最後の最後まで勝負の行方は分からない、ドラマを生み出すルートが整えられた。

キナンはルバ、グアルディオラのほか、山本と中西も最終の第8ステージに駒を進めている。この大会を通じて続く強気のスタンスを最後まで貫く構えだ。

ツール・ド・ランカウイ第7ステージ結果(222.4km)
1 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク) 5時間8分23秒
2 ユーゲルト・ジューパ(アルバニア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +0秒
3 ルスラン・トルウバイエフ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
4 ディラン・ペイジ(スイス、チームサプラサイクリング)
5 ジェイコ・フェンター(南アフリカ、ディメンションデータ)
6 パオロ・シミョン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
22 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分28秒
38 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
51 山本元喜(KINAN Cycling Team) +14分50秒
104 中西健児(KINAN Cycling Team) +20分12秒
DNF マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 28時間56分20秒
2 ルカシュ・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ) +28秒
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +32秒
4 ジュゼッペ・フォンツィ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +57秒
5 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +59秒
6 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +1分0秒
9 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分8秒
26 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分30秒
103 山本元喜(KINAN Cycling Team) +58分7秒
104 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間4分34秒

ベストアジアンライダー
1 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) 28時間57分22秒
44 山本元喜(KINAN Cycling Team) +57分5秒
45 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間3分32秒

スプリント賞
1 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) 55pts
18 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 11pts

山岳賞
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 40pts
11 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 10pts

チーム総合
1 ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア 86時間52分23秒
9 KINAN Cycling Team +15分9秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
最後の2日間でどれだけトライできるかを考えている。今日はそれが成功するまであと少しだった。長距離と暑さの中でのステージで、サルバドールとできる限りのことをやった。まあ、これがサイクリングというものだね。もちろんここまでの走りはポジティブにとらえている。挑戦を続けることが大事だし、それをせずに終えるわけにはいかない。しっかり体を休めて最後の1日に臨む。

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ツール・ド・とちぎ開幕…個人タイムトライアルでキナンの中島康晴は39位

2018年最初の国内UCIステージレースとなる「ツール・ド・とちぎ」が3月23日、栃木県内で開幕し、キナンサイクリングの5選手が参戦した。初日は栃木県南部の渡良瀬遊水地で個人タイムトライアルが行われた。

ツール・ド・とちぎに参加したキナンサイクリング ©︎ KINAN Cycling Team / Satoru KATO

広大な渡良瀬遊水地に沿って走る1周7.2kmのコースは完全フラット。しかし遮蔽物がないため少しの風でも影響を受けやすく、この日もレースがスタートした午後から弱めの風が吹き始めた。トップタイムを出したのは、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコーストのマイケル・ポッター。出場選手中ただ1人8分台のタイムを出してステージ優勝した。

キナンサイクリングは中島康晴がトップから45秒遅れの39位を筆頭に、新城雄大が55位、椿大志が56位、雨乞竜己が63位、塚本一樹が87位で完走して翌日につなげている。第2ステージは105kmのロードレース。前半は平坦、後半は3級山岳が1カ所あるが、距離が短いため序盤からレースが動く可能性がある。

ツール・ド・とちぎ第1ステージ結果(7.2km個人タイムトライアル)
1 マイケル・ポッター(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト) 8分55秒74
2 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +9秒45
3 パク・サンフン(韓国、LXサイクリングチーム) +11秒40
39 中島康晴(KINAN Cycling Team) +45秒24
55 新城雄大(KINAN Cycling Team) +55秒23
56 椿大志(KINAN Cycling Team) +55秒79
63 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +1分3秒05
87 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +1分32秒77

椿大志

椿大志
トップタイムとはいかないまでも個人総合やチーム総合などを考えて最小限のタイム差でゴールしたかったが、それがかなわなかった。明日は気持ちを切り替えて、チーム一丸となってがんばりたい。

塚本一樹

塚本一樹
チームに加入して初レースだったのでとても緊張した。スタート前はありえないくらいに心拍が上がっていた。 その分、明日は気持ちも楽になって、平常心で挑めると思う。今後のステージはチームに貢献していきたい。

雨乞竜己

雨乞竜己
苦手なタイムトライアルとはいえ、もう少しタイムが出せると思っていただけに残念。今の実力がそのまま出たと思うととても悔しいし、総合を考えたうえでももう少しタイム差を少なくしておきたかった。当初からのチームオーダーのとおり、スプリントで狙っているので気合いは十分。今回の大会は特にモチベーションも高く、個人的にも楽しみ。ヤルゾ! ヤルゾ! ヤルゾ!。

中島康晴

中島康晴
渡良瀬のコースは自分にとって初めだったけど、自分が走るころには風向きが変わるかなと思っていた。スタート後の追い風から向かい風、横風区間の後、ゴールに向けては向かい風でその区間で耐えられずタイムロスにつながった。もともとタイムトライアルは苦手なところで、今回は自分なりにまずまずのスタートが切ることができたと思う。 明日からがいよいよ本番で、総合上位陣も秒差の接戦なので、チーム一丸となって良い結果を出せるようにしたい。

新城雄大

新城雄大
個人的にトップタイムを狙っていたので、残念な結果になってしまってとても悔しい。明日からはチームオーダーで雨乞さんのステージ優勝を狙っていく。レース展開的にチャンスがめぐってきた時はチャンスを逃さずに走りたい。

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ツール・ド・ランカウイでトマ・ルバは個人総合6位を堅守

マレーシアで行われているステージレース、ツール・ド・ランカウイは3月23日に第6ステージが実施された。5選手が出走しているキナンサイクリングは、全員メイン集団でフィニッシュ。トマ・ルバの個人総合6位、チーム総合3位はともにキープしている。

ツール・ド・ランカウイ第6ステージ ©︎ KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

超級山岳キャメロンハイランドの頂上にフィニッシュした前日の第5ステージ。今大会のクイーンステージで、キナンはルバが上位争いを展開。ステージ5位となり、個人総合成績でも6位とした。トップとの差は1分8秒。さらにマルコス・ガルシアもステージ11位で終え、総合では1分29秒差の12位につけている。この2人にサルバドール・グアルディオラが続き、各ステージのチーム内上位3選手のフィニッシュタイム合算で競うチーム総合でも3位に上げた。

最難関だった前日とは対照的に、第6ステージは今大会最短の108.5km。スタートして20kmにスプリントポイント、67.3km地点には4級山岳ポイントが設定される。そのほかはおおむねフラットはレイアウト。イスラム教徒の多いマレーシアでは、他のイスラム諸国と同様に金曜日が休日にあたるため、レースもこれまでの午前11時スタートから午後3時スタートへとシフト。イレギュラーな中でレースを迎えることになった。

集団はスタート直後から激しいアタック合戦。逃げを狙っての動きにキナン勢も果敢に加わる。次、また次とアタックを試みるキナン勢は、たびたびメイン集団に対して数秒のリードを奪う場面を作る。山本元喜やグアルディオラ、ガルシアらの動きで逃げが決まるかに見えたが、なかなか容認を得ることができない。そのままこの日唯一のスプリントポイントを通過。さらに10km以上出入りを繰り返した末、1選手の飛び出しをもってスプリンターチームが集団のコントロールを開始。道幅が狭くなったところで、前方をブロックする形として逃げ狙いの動きを押さえた。

以降、キナン勢はメイン集団でレースを進めた。5選手が隊列を組み、集団前方に位置しながら走る。レーススタート時は強い日差しが注いだが、中間地点を過ぎたあたりからスコールに見舞われるなど、気象条件が目まぐるしく変わる中、着々と距離を踏んでいく。メイン集団はスプリンターを配するチームを中心に逃げとのタイム差を調整していき、残り20kmを切ったあたりで吸収。スプリントに向け集団内での位置取りが慌ただしくなる中、キナン勢は危険を回避しながらポジショニング。そのまま最終局面を迎えた。

キナン勢は5人ともトップと同タイムでのフィニッシュ。ルバのケアをしながらフィニッシュラインを通過した中西の26位がこのステージでの最上位。直後にルバが続いた。このステージでは総合成績に大きな変動は起きず。ルバの個人総合6位、ガルシアの同12位は変わらず。チーム総合でも3位を保っている。

大会は残り2日。24日に行われる第7ステージは、ニライ(Nilai)からムアル(Muar)までの222.4km。今大会の最長ステージが待ち受ける。序盤からアップダウンの連続で、中盤までに7カ所の4級山岳を通過する。終盤は平坦となるが、それまでにレースに大きな動きが見られても不思議ではないコースレイアウト。キナンとしてはあらゆるレース展開に対応できる態勢を整えるとともに、攻めの姿勢も失わずにトライを続けていくことが必要となる。

ツール・ド・ランカウイ第6ステージ結果(108.5km)
1 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) 2時間24分55秒
2 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) +0秒
3 モハドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
4 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)
5 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
6 パオロ・シミョン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
26 中西健児(KINAN Cycling Team)
28 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
44 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
50 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
108 山本元喜(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 23時間46分29秒
2 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +32秒
3 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +59秒
4 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +1分0秒
5 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) +1分5秒
6 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分8秒
12 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +1分29秒
27 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分30秒
113 山本元喜(KINAN Cycling Team) +44分45秒
115 中西健児(KINAN Cycling Team) +45分50秒

ベストアジアンライダー
1 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) 23時間47分34秒
49 山本元喜(KINAN Cycling Team) +43分40秒
51 中西健児(KINAN Cycling Team) +44分45秒

スプリント賞
1 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) 55pts
16 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 11pts

山岳賞
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 40pts
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 10pts
21 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 2pts

チーム総合
1 トレンガヌサイクリングチーム 71時間22分26秒
3 KINAN Cycling Team +2分11秒

サルバドール・グアルディオラ

サルバドール・グアルディオラのコメント
逃げを狙って動いたが、レース距離が短かったことと、上りが少なかったことからタイム差を広げることは難しかった。個人総合で上位を狙うことは難しいので、ステージ優勝にフォーカスしている。チャンスは残り2ステージ。どちらもアップダウンのあるコースだし、自分にも可能性はあると思う。1ステージ終えるごとに調子が上がってきているから、よい走りを続けられるだろう。

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