コロナ禍にほんろうされる2021ツール・ド・フランス分析

2021年に開催される第108回ツール・ド・フランスのコースが発表された。東京五輪が1年延期された影響で、当初計画していたデンマーク開幕を断念。6月26日にブルターニュ半島最西端のブレストを出発し、前半にアルプス、後半にピレネーを越える。全23日間、総距離3383km。悪魔が棲む山モンバントゥーを2回上るのが見どころ。

ここが地の果てブレスト © LE MEN Nicolas

コロナ禍で大どんでん返しとなった日程と開幕地

フランスで「地の果て」と呼ばれるブレストで開幕するのは2008年以来。奇抜なコース設計をせず、右回りにフランスを一周する。プロバンス地方が舞台となる第11ステージは「悪魔の棲む山」として恐れられるモンバントゥーを2度上る。個人タイムトライアルは第5ステージと、最終日前日にある第20ステージ。山岳スペシャリストが得意とする頂上ゴールは、第9ステージのティーニュ(アルプス)、第17ステージのサンラリースランと第18ステージのリュザルディダン(ともにピレネー)。7月18日にパリにゴールする。

2021ツール・ド・フランスのコース

当初はデンマークのコペンハーゲンで開幕するはずだったが、東京五輪とサッカー欧州選手権が1年延期となったことで状況が一変。コペンハーゲンは欧州選手権3試合の会場で、同時期に2つの国際大会を運営・警備することが困難と判断。ツール・ド・フランス開幕地を返上した。これを受けてブルターニュ地方が開幕地を名乗り出た。コペンハーゲンは2022年にツール・ド・フランス開幕地となる。

総合1位のタデイ・ポガチャル ©A.S.O. Alex Broadway

「3つの頂上ゴールがあるけど、もっとあってもいい」と2020年の総合優勝者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)は、コロナ禍のためにセンセーショナルなコース設計を避けた大会を分析する。

「勝負となるのは後半のピレネー。2019年のブエルタ・ア・エスパーニャで1勝したところで、総合3位にもなれた。しっかりと準備をしたい」

モンバントゥー
2021ツール・ド・フランス第11ステージ(クリックすると拡大します)

第二波で直前に発表会中止のハプニング

コース発表は当初、10月29日午前11時30分にパリ国際会議場に多くの選手や自治体首長を集めて行われ、インターネットを駆使して全世界にライブ配信されるはずだった。ところが前日午後8時にマクロン大統領がテレビ出演し、新型コロナウイルス感染拡大の防止策として二度目のロックダウンを通告。発表会は中止となり、11月1日夜(日本時間は2日早朝)に大会最高権威のクリスティアン・プリュドムがフランステレビジョンに出演して発表した。

直後に東京五輪があることを忘れてはならない

2021年はコロナ禍によって1年延期となった東京五輪が開催される。五輪の慣例として自転車男子ロードは大会初日に行われることから、ツール・ド・フランスは7月23日に開幕する東京五輪との日程重複を避けるため、通常よりも開催を1週間前倒した。2020年に引き続いて2021年も同様に五輪に配慮した。

パリにゴールしてから中6日で東京五輪が行われることになるが、日本代表に内定している新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は次のようにコメント。

「来年の最大の目標は東京五輪だが、チームから打診されればツール・ド・フランスも走る。今年も1週間後に開催された世界選手権でジュリアン・アラフィリップが優勝しているのだから、不利にはならないと思う」

ブルターニュ地方は文化も気候も英国的

●2021ツール・ド・フランスのコース
6月26日 第1ステージ ブレスト〜ランデルノー 187km★
6月27日 第2ステージ ペロギレック〜ミュールドブルターニュ 182km★
6月28日 第3ステージ ロリアン〜ポンタビー 182km
6月29日 第4ステージ ルドン〜フジェール 152km
6月30日 第5ステージ シャンジェ〜ラバル・エスパスメイエンヌ 27km(個人タイムトライアル)★
7月1日 第6ステージ ツール〜シャトールー 144km
7月2日 第7ステージ ベルゾン〜ル・クルーゾ 248km★★
7月3日 第8ステージ オヨナ〜ル・グランボルナン 151km★★★
7月4日 第9ステージ クルーズ〜ティーニュ 145km★★★
7月5日 休日
7月6日 第10ステージ アルベールビル〜バランス 186km
7月7日 第11ステージ ソルグ〜マロセーヌ 199km★★★
7月8日 第12ステージ サンポールトロワシャトー〜ニーム 161km
7月9日 第13ステージ ニーム〜カルカッソンヌ 220km
7月10日 第14ステージ カルカッソンヌ〜キラン 184km★★
7月11日 第15ステージ セレ〜アンドラ・ラビエイユ 192km★★★
7月12日 休日
7月13日 第16ステージ パスデラカセ〜サンゴーダン 169km★★
7月14日 第17ステージ ミュレ〜サンラリースラン 178km★★★
7月15日 第18ステージ ポー〜リュザルディダン 130km★★★
7月16日 第19ステージ ムラン〜リブルヌ 203km
7月17日 第20ステージ リブルヌ〜サンテミリオン 31km(個人タイムトライアル)★
7月18日 第21ステージ シャトゥ〜パリ・シャンゼリゼ 112km
★は難易度

🇫🇷ツール・ド・フランス特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

2021ツール・ド・フランスのコース…悪魔の山は二度上る

2021年に開催される第108回ツール・ド・フランスのコースが発表された。2021年に延期された東京五輪の競技初日に行われる男子ロードと重複しないよう、通常日程よりも1週間前倒ししている。

2021ツール・ド・フランスのコース

6月26日にブルターニュ半島最西端のブレストで開幕し、7月18日にパリにゴールする。前半がアルプス、後半がピレネーの難所。プロバンスが舞台となる第11ステージは「悪魔の棲む山」として恐れられるモンバントゥーを2度上る。個人タイムトライアルは第5ステージと、最終日前日にある第20ステージ。

山岳スペシャリストが得意とする頂上ゴールは、第9ステージのティーニュ、第17ステージのサンラリースラン、第18ステージのリュザルディダン。

モンバントゥー

●2021ツール・ド・フランスのコース
6月26日 第1ステージ ブレスト〜ランデルノー 187km★
6月27日 第2ステージ ペロギレック〜ミュールドブルターニュ 182km★
6月28日 第3ステージ ロリアン〜ポンタビー 182km
6月29日 第4ステージ ルドン〜フジェール 152km
6月30日 第5ステージ シャンジェ〜ラバル・エスパスメイエンヌ 27km(個人タイムトライアル)★
7月1日 第6ステージ ツール〜シャトールー 144km
7月2日 第7ステージ ベルゾン〜ル・クルーゾ 248km★★
7月3日 第8ステージ オヨナ〜ル・グランボルナン 151km★★★
7月4日 第9ステージ クルーズ〜ティーニュ 145km★★★
7月5日 休日
7月6日 第10ステージ アルベールビル〜バランス 186km
7月7日 第11ステージ ソルグ〜マロセーヌ 199km★★★
7月8日 第12ステージ サンポールトロワシャトー〜ニーム 161km
7月9日 第13ステージ ニーム〜カルカッソンヌ 220km
7月10日 第14ステージ カルカッソンヌ〜キラン 184km★★
7月11日 第15ステージ セレ〜アンドラ・ラビエイユ 192km★★★
7月12日 休日
7月13日 第16ステージ パスデラカセ〜サンゴーダン 169km★★
7月14日 第17ステージ ミュレ〜サンラリースラン 178km★★★
7月15日 第18ステージ ポー〜リュザルディダン 130km★★★
7月16日 第19ステージ ムラン〜リブルヌ 203km
7月17日 第20ステージ リブルヌ〜サンテミリオン 31km(個人タイムトライアル)★
7月18日 第21ステージ シャトゥ〜パリ・シャンゼリゼ 112km
★は難易度

2021ツール・ド・フランス第8ステージ(クリックすると拡大します)
2021ツール・ド・フランス第9ステージ(クリックすると拡大します)
2021ツール・ド・フランス第11ステージ(クリックすると拡大します)
2021ツール・ド・フランス第14ステージ(クリックすると拡大します)
2021ツール・ド・フランス第15ステージ(クリックすると拡大します)
2021ツール・ド・フランス第17ステージ(クリックすると拡大します)

当初はコペンハーゲンで開幕するはずだった

2021ツール・ド・フランスのコース発表は当初、10月29日午前11時30分にパリ国際会議場に多くの選手や自治体首長を集めて行われ、インターネットを駆使して全世界にライブ配信されるはずだった。ところが前夜にフランスのマクロン大統領が新型コロナウイルス感染拡大の防止策としてロックダウンを宣言。発表式典は延期され、11月1日夜(日本時間は2日早朝)に大会最高権威のクリスティアン・プリュドムがフランステレビジョンに出演し、発表した。

また当初はデンマークのコペンハーゲンで開幕するはずだったが、2020東京五輪が1年延期となり、2021年にサッカー欧州選手権を同時期に開催する必要のあるコペンハーゲンが開幕地を返上。ブルターニュ地方が代替開幕地となった。コペンハーゲンは2022年にツール・ド・フランス開幕をスライドさせた。

🇫🇷ツール・ド・フランス特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

イネオス・グレナディアスのボトルが日本に新入荷

ツール・ド・フランス2020でお披露目となったイネオス・グレナディアスのチームキットの1つ、ELITE(エリート)の世界最軽量ウォーターボトル「FLY TEAM」に待望のイネオス・グレナディアスカラーが登場した。

従来製品に対し圧倒的に軽量で柔らかく握りやすいボトルは、無臭で、柔らかさと耐久性を兼ね備えたプラスチック素材を使用している。新型の人間工学に基づいた吸い口は複合素材で作られていて、旧製品に比べ中身の流量がアップした。

ドリンクを注ぎやすく、洗いやすい広口のボディ。BPA不使用。

FLY TEAM 2020 / TEAM INEOS GRENADIER
(フライチーム・チームイネオス・グレナディアズ)

フライチーム・チームイネオス・グレナディアズ

カラー:INEOS GRENADIERS
容量:550ml、750ml
サイズ:Φ74mm
価格:550ml/800円、750ml/870円(税別)

FLY TEAM 2020 / CERVELO(フライチーム・サーヴェロ)

フライチーム・サーヴェロ

カラー:Cervelo Blue
容量:550ml、750ml
サイズ:Φ74mm
価格:550ml/800円、750ml/870円(税別)

●カワシマサイクルサプライのホームページ

2021ツール・ド・フランスのコース発表が11月1日に延期

2021ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションが新型コロナウイルス感染拡大により延期された。10月29日にパリ国際会議場で開催予定だったが、11月1日に大会最高権威のクリスティアン・プリュドムがフランステレビジョンに出演し、発表することになった。

新型コロナウイルス感染者が激増しているフランスは10月30日から1カ月超における厳格な外出禁止令が施行される。ツール・ド・フランスのコース発表は午前11時30分から行われる予定だったが、会場内に多くのゲストを招くことから、その形式での発表を中止。テレビやインターネットによってコース全容を明らかにすることになった。

●ツール・ド・フランスのホームページ
🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト

J SPORTSでツール・ド・フランス舞台裏とブエルタ・ア・エスパーニャ放送

国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局、J SPORTSはブエルタ・ア・エスパーニャの開幕に合わせた10月20日(火)からツール・ド・フランスの舞台裏に密着したJ SPORTSオリジナル番組「Cycle*2020 ツール・ド・フランス21日間の裏側」を全21話を放送する。パソコン、スマホ、タブレットで見られる 「J SPORTSオンデマンド」でも全話配信。

さらに延期となっていたシーズン最後のグランツールにしてUCIワールドツアー最終戦となる「ブエルタ・ア・エスパーニャ」を全18ステージ独占生中継&LIVE配信で放送。どちらの番組も第1話、第1ステージは無料放送、無料配信。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い約2カ月遅れての開催となった世界最大のサイクルロードレース、ツール・ド・フランス。開催されれば奇跡、パリまでたどり着いたらそれもまた奇跡と言われた今大会。期間中の選手の感染は確認されず、すべてのチームが最終目的地であるパリ・シャンゼリゼにたどり着くことができた。

選手やチーム関係者、レース主催者を「レースバブル」と呼び、メディアも厳しく接触を制限された異例の大会の裏側に迫るべく、主催者より貴重な素材映像を入手。さらに許諾を得て編集を加えたJ SPORTSオリジナルの番組がこの「 Cycle*2020 ツール・ド・フランス21日間の裏側」だ。

そのとき何が起きていたのか、世界最大の自転車レースの裏側に迫る

大会で旋風を巻き起こしたユンボ・ビスマ、ドゥクーニンク・クイックステップ、サンウェブの作戦会議やステージ優勝後の祝杯、さらにスタート前の貴重な朝食風景など、レース中では見られないトップ選手たちの素顔をたっぷりお届けする。勝利した選手だけではなく、敗れた選手やリタイア選手の声、オンボードでは勝負を分けた落車の瞬間や激しい集団バトル映像が満載。 

Cycle*2020 ツール・ド・フランス21日間の裏側
Cycle*2020 ツール・ド・フランス21日間の裏側

新型コロナウイルスの影響により延期となっていたブエルタ・ア・エスパーニャが10月20日(火)に開幕し、異例の18ステージ開催となる。J SPORTSでは全ステージ独占生中継&LIVE配信する。

異例尽くしの大会の注目選手はグランツール7勝のクリストファー・フルーム(イネオス・グレナディアス)。全盛期の調子を取り戻し11年間の長きにわたって貢献してきたチームで有終の美を飾ることができるか。

ツール・ド・フランスでチーム力を見せたユンボ・ビスマはトム・デュムランと前回大会総合優勝者でもあり、2020年のツール・ド・フランス総合2位のプリモシュ・ログリッチのダブルエース体制で臨むと予想されている。

ツール・ド・フランスで悔しい思いをした両チームがブエルタ・ア・エスパーニャでどんな走りを見せるのか注目。

2020ブエルタ・ア・エスパーニャの放送予定

「Cycle*2020 ツール・ド・フランス21日間の裏側」はブエルタ・ア・エスパーニャの開幕日10月20日(火)より各ステージの中継前の放送、配信を予定。ブエルタ・ア・エスパーニャの中継と合わせて楽しめる。

●J SPORTSブエルタ・ア・エスパーニャ特集サイト

ツール・ド・フランス最終日の選手らが人種差別抗議マスク

テニスの全米オープンで優勝した大坂なおみ選手同様に、ツール・ド・フランス最終日となる9月20日、出場選手が人種差別抗議を訴えるマスクを着用してスタート地点に登場。「サイクリングの世界でも人種差別をなくそう」と世界に訴えた。

B&Bホテルズ・ビタルコンセプトのケビン・レザ(フランス) ©A.S.O. Alex Broadway

パリ・シャンゼリゼにゴールするツール・ド・フランス最終日、出場選手は新型コロナウイルス感染拡大の防止策としてレース前後での着用を義務づけられたマスクに#notoracism(人種差別はノー)というスローガンを手書きした。

コロナ禍の厳戒態勢の中で開催された自転車競技界のメージャーレースで人種差別に対する連帯を示すためのものだ。

ユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー) ©A.S.O. Alex Broadway

「自転車選手はとても敏感な人々であり、彼らは社会で活動する男性と女性であり、世界じゅうの差別を拒絶する。こういった意見に共感してくれる自転車界であることをうれしく思う」と国際プロサイクリスト協会のジャンニ・ブーニョ会長はマイヨジョーヌを獲得したタデイ・ポガチャルと参加選手全員に拍手を送った。

ロット・スーダルのカレブ・ユアン(オーストラリア) ©A.S.O. Alex Broadway

●国際プロサイクリスト協会のホームページ