7月13日 第8ステージ マコン〜サンテティエンヌ

ロット・スーダルのトマス・デヘント(ベルギー)が3年ぶり2度目の区間優勝。総合成績では6秒遅れの総合2位、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)がゴール手前で抜け出し、首位ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)に20秒差をつけてゴール。アラフィリップが3日ぶりにマイヨジョーヌを奪回した。

トマス・デヘントが逃げ切りで第8ステージ優勝 ©ASO Alex BROADWAY

逃げ屋デヘントがその本領を発揮して2勝目

デヘントは同じチームで同じベルギー選手、現在山岳賞ジャージーを着用するティム・ウェレンスととても仲がいい。2018年のシーズン最終戦としてイタリアで行われたイル・ロンバルディアが終わると、2人でベルギーの自宅までの約1000kmを1週間かけてロードバイクで帰ったくらいだ。2人のサイクリング旅行は連日ツイッターで報告され、プロ選手でも一般愛好家のように自転車を楽しむことがあるのかと大きな反響を呼んだ。

デヘントはグランツール(三大ステージレース)ですべて勝利している実力者。解説者からは「逃げ屋」と呼ばれ、連日のように果敢なアタックを見せてファンを喜ばせてくれる。

2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Alex BROADWAY
2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Alex BROADWAY

この日デヘントは数選手とアタックすると、徐々に他選手をふるい落としていき、残り14kmからは単独になってゴールを目指した。そして3年前、スタート直後から逃げて優勝したときと同じような勝ちパターンで、2度目の勝利をものにしたのだ。

しかもデヘントはこの日、7つの山岳ポイントをすべてトップ通過した。山岳賞の総合成績でも1位ウェレンスの43点に肉薄する2位37点に浮上した。友だち同士で1位と2位。これから本格化する山岳ステージで調子のいいほうが山岳ポイントを取りに行き、ライバル選手の得点を伸ばさないためにもう1人も積極的に得点を刈り取っていく。チームから区間勝者や山岳王が誕生すればそれでいいというおおらかな考え方だ。

2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET
2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET
2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET
2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET

「ステージ優勝はチームの目標だった。前日はスプリンターのカレブ・ユアンがあと一歩だったので今日はボクが頑張った。残り70kmからは全開の走りで、いくつかのコーナーはクラッシュ寸前だった」とデヘント。長距離の逃げを最も得意とするだけに、今後も親友のウェレンスと協調しながら積極的な走りを見せつけるに違いない。

第8ステージで総合優勝を期待されるピノがライバルに差をつけてゴール ©ASO Alex BROADWAY
2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Alex BROADWAY
アラフィリップが第8ステージでマイヨジョーヌを奪還 ©ASO Alex BROADWAY

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

2019ツール・ド・フランス第8ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
マコンの街 ©Alain Doire – Bourgogne Franche Comte Tourisme
マコンのソーヌ河岸 ©Alain Doire – Bourgogne Franche Comte Tourisme
マコン、木組みの家 ©Alain Doire – Bourgogne Franche Comte Tourisme
ジェリエールの丘【ボーナスポイント】

新ルール解説【ボーナスポイントとは?】

サンテティエンヌの中心街 ©Centre-ville Saint-Etienne Tourisme + M. Stora
サンテティエンヌのアーティストがデザインしたベンチ ©Saint-Etienne Tourisme&Congrès – Buchowski et Vagabonde
サンテティエンヌ、ロワール峡谷クルージング ©Christophe Roy Saint Etienne tourisme

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第7ステージにもどる≪≪   ≫≫第9ステージにすすむ

7月12日 第7ステージ ベルフォール〜シャロンシュルソーヌ

ユンボ・ビスマのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)がゴール勝負を制し、3年連続、大会通算4勝目を挙げた。ゴール前の混戦で落車した第1ステージの雪辱を果たした。前日に首位に立ったトレック・セガフレードのジュリオ・チッコーネ(イタリア)はタイム差なしの同一集団でゴールし、マイヨジョーヌを守った。

フルーネウェーヘン(右)がツール・ド・フランス第7ステージを制した ©ASO Pauline BALLET

フルーネウェーヘンが初日落車の雪辱を果たす

自転車競技は走行速度が高いので空気抵抗が極めて大きい。マラソンのような独走は至難の業で、抵抗が最も大きい先頭を他選手と交替で務めながらひたすらゴールを目指す。それが他チームの選手であっても、「ゴールまで逃げ切りたい」という目的が一致したら協力して走り続ける。

©ASO Thomas MAHEUX

この日はワンティ・ゴベールのヨアン・オフレド(フランス)とコフィディスのステファヌ・ロセット(フランス)がスタート直後に抜け出して、協力態勢をとった。

2選手には共通点がある。格下チームとしての出場だ。ツール・ド・フランスは第1カテゴリーの18チームに自動的出場権が与えられ、残る4チームは第2カテゴリーから主催者推薦として選ばれる。こうして出場を果たしたのだがら、チームスポンサーのためにもテレビ中継を独占し、その名を世界中にアピールしたい。そんな思いから距離230kmという長距離ステージで逃げを敢行した。

共通点はもうひとつ。今シーズンに大怪我を負ったということ。オフレドは春先のレースで激しいクラッシュをして、1カ月以上の活動停止を余儀なくされた。5月に競技を再開したばかりだ。ロセットは3月のトレーニングで猫を避けようとして股関節を骨折。運よく復帰にこぎ着けた。

2019ツール・ド・フランス第7ステージ ©ASO Alex BROADWAY
2019ツール・ド・フランス第7ステージ ©ASO Thomas MAHEUX

2人はチームの枠を超えて一致団結。もう1人のペースが落ちると、サドルを押すなどして必死で逃げ続けた。しかし後続集団は数にものをいわせて、残り距離を計算しながら徐々にその差を詰めていく。残り13kmで2人は吸収され、217kmの旅は終えん。それでも格下チームの名を世界中にアピールしたのは確かだ。

大会は最初の7日間が終わり、これからは総合成績の上位を目指す実力者が動き始める。マイヨジョーヌを目指すような総合力のある選手はひとにぎり。それ以外はたった1日の勝利を目指してアタックのチャンスをうかがっていくはずだ。

ディラン・フルーネウェーヘンがツール・ド・フランス第7ステージを制した ©ASO Pauline BALLET
チッコーネがマイヨジョーヌを守った ©ASO Alex BROADWAY

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

2019ツール・ド・フランス第7ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
ベルフォールの街 ©M. Coquard and E. Detrez Bestjobers – Bourgogne Franche Comte Tourisme
ベルフォールのライオン像 ©L. Cheviet – Bourgogne Franche Comte Tourisme
ベルフォールの街 ©M. Coquard and E. Detrez Bestjobers – Bourgogne Franche Comte Tourisme
シャロンシュルソーヌのサンヴァンサン広場 ©Le Boat
シャロンシュルソーヌのサンヴァンサン広場 ©J. Marché – OT Grand Chalon
シャロンシュルソーヌの街 ©Alain Doire – Bourgogne Franche Comte Tourisme

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第6ステージにもどる≪≪   ≫≫第8ステージにすすむ

7月11日 第6ステージ ミュルーズ〜ラプランシュ・デ・ベルフィーユ

バーレーン・メリダのディラン・トゥーンス(ベルギー)が最後の激坂でトレック・セガフレードのジュリオ・チッコーネ(イタリア)を振り切ってステージ初優勝。有力選手ではイネオスのゲラント・トーマス(英国)が区間4位に。総合1位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)は1分46秒遅れの6位で、チッコーネが首位に躍り出た。

ジュリオ・チッコーネがラプランシュ・デ・ベルフィーユで先頭を引く ©ASO Pauline BALLET

区間2位のチッコーネがサプライズのマイヨジョーヌ

ラプランシュ・デ・ベルフィーユは2012年に初採用され、これまで3回序盤戦のゴールとなっているが、過去すべてゴール後の表彰台でマイヨジョーヌを着用した選手が総合優勝を決めている。それだけ重要な山岳ステージだけに有力選手は慎重にレースを進めながら最後の激坂に備えた。

その間隙を突いたのがトゥーンスやチッコーネだ。スタートしてすぐに14選手がアタック。そのなかには山岳賞ねらいのトマス・デヘントとティム・ウェレンスのベルギー、ロット・スーダル勢もいた。トゥーンスは完全に区間勝利ねらい。前日までの総合成績で1分43秒遅れの42位であるチッコーネも同様で、総合1位をねらおうなどとは考えもしなかった。

第6ステージのスタートはミュールーズ ©ASO Pauline BALLET
2019ツール・ド・フランス第6ステージに詰めかけた観衆 ©ASO Pauline BALLET

第1集団は徐々にその数を減らしていき、ラプランシュ・デ・ベルフィーユのふもとではトゥーンス、チッコーネら数選手に。さらにトゥーンスとチッコーネの一騎打ちとなり、トゥーンスが初優勝を決めた。最後は勝者から11秒離され、ガッカリしてゴールしたチッコーネだが、後続の有力選手のゴールが遅れ、まさかのマイヨジョーヌを手中にすることになる。

チッコーネは身長176cmとそれほど小柄ではないが、細身の山岳スペシャリストでジロ・デ・イタリアでは山岳王になっている。24歳で、この日は同時に新人賞の首位にもなった。

ロット・スーダルのティム・ウェレンス(山岳賞)とトマス・デヘント ©ASO Pauline BALLET
トマス・デヘントがアタック ©ASO Pauline BALLET

「勝つことができなかったけど、マイヨジョーヌは子どものころからの夢。それがかなうなんて信じられない。ジロ・デ・イタリアで目標達成して、ツール・ド・フランスは経験のために出場しただけなんだ。でも強いチームなのでできるだけマイヨジョーヌを守りたい」とチッコーネ。

有力選手ではバーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、UAEエミレーツのファビオ・アルー(イタリア)、AG2Rラモンディアルのロマン・バルデ(フランス)が遅れた。

ラプランシュ・デ・ベルフィーユを上る(先頭から)ピノ、アラフィリップ、トーマス ©ASO Pauline BALLET
バーレーン・メリダのディラン・トゥーンスがチッコーネを振り切った ©ASO Alex BROADWAY
ジュリオ・チッコーネがマイヨジョーヌ ©ASO Pauline BALLET

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

2019ツール・ド・フランス第6ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
ミュルーズのレユニオン広場 ©OTC Mulhouse and region
ミュルーズの国立自動車博物館 ©OTC Mulhouse and region
ミュルーズのタマネギ祭り ©OTC Mulhouse and region
シュブレール峠【ボーナスポイント】

新ルール解説【ボーナスポイントとは?】

ラプランシュ・デ・ベルフィーユ
ラプランシュ・デ・ベルフィーユ ©Alain Doire – Bourgogne Franche Comte Tourisme
ラプランシュ・デ・ベルフィーユ ©Alain Doire – Bourgogne Franche Comte Tourisme
ラプランシュ・デ・ベルフィーユ ©K. Altmayer

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第5ステージにもどる≪≪   ≫≫第7ステージにすすむ

7月8日 第3ステージ バンシュ(ベルギー)〜エペルネ

ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)が終盤で独走を決め、2018年の2勝に続く大会通算3勝目を挙げた。前日まで31秒遅れの総合11位につけていた同選手は、後続とのタイム差に加え、ボーナスタイムを量産して初めて首位に立った。初日から2日間マイヨジョーヌを守っていたユンボ・ビスマのマイク・テウニッセン(オランダ)は終盤に大きく遅れた。

第3ステージはベルギーのバンシュをスタート ©ASO Pauline-BALLET

フランス期待のアラフィリップがいきなりマイヨジョーヌ

ベルギーで開幕した大会は3日目、10km地点でベルギーに別れを告げ、フランスに入国。終盤はシャンパーニュ地方の4つの丘陵地が待ち構えるコースで、それがこの日のキーポイントとなった。残り49km地点の最初の山岳ポイントでアタックしたのはロット・スーダルのティム・ウェレンス(ベルギー)だった。同選手は4つの山岳ポイントをすべてトップ通過。しかしその目的は山岳賞ジャージの獲得で、最後の峠を通過するとお役御免とばかりにペースを緩めた。

この4つ目の峠で後続のメイン集団から抜け出したのが、2018年の山岳王アラフィリップだった。単独で抜け出すと、テクニカルなダウンヒルをこなし、最後はシャンパン醸造所が建ち並ぶシャンパーニュ通りを激走してゴールまで逃げ切った。アラフィリップはゴールで後続の2位集団に26秒差をつけたことに加え、ボーナスポイントが設定された最後の峠を2位通過して5秒、区間1位の10秒がボーナスタイムとして引かれ、一気に首位に立った。

第3ステージで優勝し、マイヨジョーヌも獲得したアラフィリップ ©ASO Olivier-CHABE

アラフィリップは過酷なコースで抜け出し、ゴールまで逃げ切るタイプの27歳。プロデビュー当時は2位が多く、優勝にいつもあと一歩の存在だったが、徐々に勝負勘を覚え、絶妙のタイミングでアタックして主導権を握る。強力なチームメートもそのポイントまでアラフィリップを援護していることも好成績を支えている。

ツール・ド・フランスではステージ優勝と山岳賞ねらいとなるが、中規模のレースでは総合優勝できる実力を備えている。

「このステージがボクに向いていることは把握していて、調子がよかったので思いきってアタックした。単独になるとは思っていなかったが、区間優勝ばかりかマイヨジョーヌを獲得できて言葉がないよ」とアラフィリップ。存在感のある選手が早くも主役の座につけた。

ベルギーのファンが選手たちに声援を送る ©ASO Pauline-BALLET
2019ツール・ド・フランス第3ステージ ©ASO Pauline-BALLET
2019ツール・ド・フランス第3ステージ ©ASO Pauline-BALLET

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)

2019ツール・ド・フランス第3ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
シャンパーニュ地方の中心地エペルネ ©PRESSPORTS
ミュティニーの丘【ボーナスポイント】

新ルール解説【ボーナスポイントとは?】

乾杯と言えば本場フランスでもシャンパーニュ ©PRESSPORTS
モエエシャンドンもエペルネにある ©PRESSPORTS

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第2ステージにもどる≪≪   ≫≫第4ステージにすすむ

7月10日 第5ステージ サンディエデボージュ〜コルマール

ポイント賞1位のマイヨベールを着用するボーラ・ハンスグローエのペテル・サガン(スロバキア)がゴール勝負を制し、今大会初優勝。大会通算12勝目を挙げた。総合1位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)は同タイムの同一集団でゴールし、首位のリーダージャージー、マイヨジョーヌを守った。

サガンが2019ツール・ド・フランスでまず1勝目 ©ASO Alex BROADWAY

サガンが7年ぶりに見せた超人ハルクポーズ

ヤンチャで、いかにも悪ガキっぽい雰囲気が人気のサガン。しかし幼少期からMTBで修得した自転車操縦技術、そして隠れたところで鍛錬する体幹の強さはピカイチ。やはりゴール勝負ではサガンの実力が抜きんでている。「キング・オブ・スプリンター」の称号であるマイヨベールは2012年から1年を除いて6回受賞。これは最多タイ記録だ。唯一2017年のみ逃しているが、これはゴールスプリント時に微妙な危険走行判定を受けて失格になったためだ。

サガンがいきなり頭角を現したのが2012年の第1ステージ。その年は破竹の勢いで3勝し、歯に衣着せぬコメントでにぎやかした。この日のガッツポーズは「超人ハルク」をマネしたもので、2012年にも見せた得意の雄姿。テレビ番組の主人公がいざというときになると緑色に変化することにちなんだという。

キャラバン隊がやって来た ©ASO Thomas MAHEUX

この日はドイツ国境に近いアルザス地方の丘陵地がコースで、前日に勝利したドゥークニンク・クイックステップのスプリンター、エリア・ビビアーニ(イタリア)ら純粋なスプリンターは途中で遅れていた。サガンの強さは起伏がちなコースでも先頭に位置して、最後のゴール勝負に加われることもある。

「勝利を目指して常に積極的に行かなくちゃいけない。平たん部分を含めてチームメートが完ぺきにコントロールしてくれた。だから最後にボクたちチームが目指していた勝利をつかむことができたんだ。まずはチームメートの働きに感謝したい」とサガン。

みんなこの日を待っていた! ©ASO Alex BROADWAY

かつては若気のいたりで、表彰式女性のお尻にタッチして問題に。事後に謝罪するという失態もあった。しかし3年連続で世界チャンピオンになると、人間としても成長。サインをもらうために出待ちをしている子どもたちの前に必ず立ち止まり、握手や写真を一緒に撮ったりする。

ポイント賞争いでは頭ひとつ飛び抜けている。最多記録更新となる7回目の受賞も夢ではない。

2019ツール・ド・フランス第5ステージ ©ASO Alex BROADWAY
ボージュ山系を走る ©ASO Alex BROADWAY

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)

2019ツール・ド・フランス第5ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
サンディエデボージュ、教会の中庭 ©Ville de Saint-Dié-des-Vosges
サンディエデボージュ盆地のながめ ©Ville de Saint-Dié-des-Vosges
サンディエデボージュ、ツールドラリベルテ ©Ville de Saint-Dié-des-Vosges
コルマール ©Office du Tourisme Colmar
コルマール ©CRTA Zvardon
コルマール ©Office du Tourisme Colmar

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第4ステージにもどる≪≪   ≫≫第6ステージにすすむ

7月9日 第4ステージ ランス〜ナンシー

ドゥークニンク・クイックステップのスプリンター、エリア・ビビアーニ(イタリア)が大集団によるゴール勝負を制して初優勝。チームはジュリアン・アラフィリップ(フランス)に続く2日連続のステージ優勝となり、さらに前日に首位に立ったアラフィリップがその座を守った。

2019ツール・ド・フランス第4ステージはランス大聖堂をスタート ©ASO Pauline-BALLET

ビビアーニ初優勝。マイヨジョーヌのアラフィリップも勝利をアシスト

フランス北東部のナンシーにはこれまで15回ゴールしているが、地元フランスの4勝を上回っているのが、5勝のイタリア勢だ。この町はイタリアから移民してきた人が多い。フランスの元サッカー選手ミシェル・プラティニもイタリア移民だが、国内リーグではこのナンシーでデビューしている。それだけにイタリア選手が頑張らないわけがない。

序盤からステージ優勝を目指した選手らが先行したが、有力スプリンターを擁するチームが逃がすわけはない。ゴールまでの残り距離を把握しながら徐々に差を詰めていき、終盤にすべての選手を吸収した。こうなれば瞬発力のあるスプリンターがいて、それをけん引するアシスト陣がいるチームが主導権を握る。

マイヨジョーヌのアラフィリップ ©ASO Pauline-BALLET
2019ツール・ド・フランス第4ステージで逃げ続ける3選手 ©ASO Pauline-BALLET

抜きんでた力を発揮したのはドゥークニンク・クイックステップだ。残り1kmからは首位のマイヨジョーヌを着るアラフィリップがけん引役を引き受けた。さらに2人のアシストがハイペースで引っ張り、ビビアーニが最も得意とする残り180mから一気にスパートし、アヌシーでイタリア勢の6勝目を記録した。

ビビアーニはジロ・デ・イタリア5勝、ブエルタ・ア・エスパーニャ3勝を誇るトップスプリンターだが、ツール・ド・フランスには2014年しか出場していない。2015年から2017年はスカイ(現イネオス)に所属していて、メンバーはクリストファー・フルームを総合優勝させるためのアシスト選手が選ばれたので、ビビアーニに出場機会はなく、これが初勝利となった。2018年に現チームに移籍したのが成功の引き金となった。

ビビアーニ(右から2人目)がツール・ド・フランス初優勝 ©ASO Pauline-BALLET

「今年最大の目標が達成できた。第1ステージで勝利を逃したけど、昨日アラフィリップが勝ってくれてチームに勢いがついた。これでミッションがコンプリートできたと感じている」

これで三大大会全制覇。もともとリオ五輪トラック競技の金メダリストで、2020年東京五輪ではトラックに復帰することも計画されている。

ステージ優勝のビビアーニ(左)マイヨジョーヌのアラフィリップ ©ASO Alex-BROADWAY
2019ツール・ド・フランス第4ステージ ©ASO Alex-BROADWAY

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)

2019ツール・ド・フランス第4ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
ランスの大聖堂 © Cyrille Beudot
ランス近郊ヴェルゼネ © Cyrille Beudot
ランス、シャンパーニュ・メゾンのテタンジェ ©Carmen Moya
ナンシーの街、夜の風景 ©Regine Datin
ナンシーのカリエール広場 ©Regine Datin
ナンシーのスタニスラス広場 ©Regine Datin

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