フランス旅で各地のワインを飲むのはエッフェル塔観光と同じくらい重要

フランス観光開発機構パリ本部がフランスのワイン雑誌「Terre de Vins(テール・ド・ヴァン)」と共催して立ち上げた「ワインツーリズム大賞 LES TROPHÉES DE L’ŒNOTOURISME」の第1回金賞受賞者が来日した。近年観光分野の中でも目覚ましい発展を見せるワインツーリズムに脚光を当て、フランス国内外の旅行者の需要に合わせながら日々ワインツーリズムの素材を提供するワイン生産者(シャトーやドメーヌ)の努力や創意をたたえるもの。

14のワイン産地に属するワイン生産者やワイン関連施設を対象にして、9つの部門よりそれぞれ金賞、銀賞、銅賞を選出。さらに3つの審査員特別賞を加えた合計30賞が2019年3月19日にフランスで発表されていた。

金賞受賞団体には日本へのビジネストリップが贈られ、今回の来日となった。メンバーは2グループに分かれて長野県軽井沢市、宮城県仙台市を訪れ、ワイナリーや酒蔵視察を通じて当地におけるテロワールを観光推進に活かした取り組みについても学んだ。

14日に挨拶したヌーヴェル・アキテーヌ地方観光局イノベーション・開発ディレクターで、フランス観光開発機構内の「ワインツーリズム・クラスター」副会長を務めるブリジット・ブロックは「この賞は、フランス観光開発機構内でワインツーリズムの価値向上を目指す取り組みを始めてから20年目の成果。フランスでワイナリーを訪問しそのワインを試飲することは、エッフェル塔を訪問することと同じくらい重要なこと」と語った。

来日した第1回ワインツーリズム大賞金賞受賞者と、当該地域の観光局メンバー

受賞ワイナリー
団体名(カッコ内はワイン産地)
受賞部門 / 地方
●シャトー・ド・ペノーティエ
Château de Pennautier (11610 Pennautier)
建築と景観 オクシタニー地方(ラングドック)
メゾン・アッカーマン
Maison Ackerman (49400 Saumur)
芸術と文化 / ロワール地方(ロワール渓谷)
シャトー・ヴェニュス
Château Vénus (33720 Illats)
クリエイティブとオリジナリティー / ヌーヴェルアキテーヌ地方(ボルドー)
シャンパーニュ・パニエ
Champagne Pannier (02400 Château-Thierry)
ビジネス関連ワイン ツーリズムとプライベートイベント / グランテスト地方(シャンパーニュ)
シャトー・フィーリー
Château Feely (24240 Saussignac)
教育及び環境配慮 / ヌーヴェルアキテーヌ地方(シュッドウエスト)
シャトー・ギロー
Château Guiraud(32210 Sauternes)
レストラン / ヌーヴェルアキテーヌ地方(ボルドー)
シャトー・ド・メルキュエス
Château de Mercuès (46000 Cahors)
宿泊 / オクシタニー地方(シュッドウエスト)
シテ・ド・シャンパーニュ・コレ
Cité du Champagne Collet (51160 AÿChampagne)
アペラシオン価値向上・公的機関 / グランテスト地方(シャンパーニュ)
ラ・シャブリジェンヌ
La Chablisienne (89800 Chablis)
家族経営ワイナリー / ブルゴーニュ・フランシュコンテ地方(ブルゴーニュ)

●フランス旅日記
●フランス観光開発機構のホームページ

次は2023ラグビーW杯フランス大会…観光局が全面支援

フランス観光開発機構とラグビーワールドカップ2023組織委員会は、フランスへの旅行者誘客を目的にRWC2023大会の国際プロモーションにおけるパートナーシップ協定に調印した。フランス観光開発機構はいわゆるフランスの政府観光局。

パートナーシップ協定に調印した(左から)クロード・アチェ(ラグビーワールドカップ 2023 組織委員会CEO)、カロリーヌ・ルブーシェ(フランス観光開発機構総裁)、クリスチャン・マンテイ(同会長)

ラグビーワールドカップ2019日本大会があと数日でフィナーレを迎える10月30日、フランス観光開発機構とラグビーワールドカップ2023組織委員会は、フランスが2023年大会の開催国として立候補した3年前より築かれていた協力関係をさらに強固なものにする意思を表明した。

日本での2019年大会実施の成功に敬意を表したこの2団体は、次大会となる第10回大会を、国外から60万人もの観客が来仏し、9つの試合開催都市を訪れる重大イベントと認識し、これをより魅力あるイベントとするため双方の力を合わせることに合意した。世界 209カ国で放映されるラグビーワールドカップは、フランスの観光デスティネーションが持つ魅力を国外に発信できるまたとない機会だ。

調印会場には優勝杯ウェブ・エリスカップが

今から2023年まで、フランス観光開発機構はラグビーワールドカップ2023年大会に関連するさまざまな国際プロモーションを図っていく。フランス観光開発機構が実施する各種施策(プレスイベント、旅行会社向けワークショップ、イベントなど)の中で、またフランス観光開発機構が参加するイベント(国際見本市、フランス全土および地方レベルのPRオペレーション)の中で、そのコミュニケーション網を活用しながらワールドカップのプロモーションを行う。イベントやワールドカップに向けた特別キャンペーンを実施 し、一般コンシューマー、メディア、国外の旅行業者に向けて意識づけを行い、特にチケット販売開始やチームの組み合わせ抽選会など、重要な局面でのPRを強化するという。

フランスのさまざまな観光デスティネーションと協力して行う一連のプロモーションでは、フランスを躍動感にあふれ祝祭に満ちた場所として訴求。試合をきっかけに訪仏するサポーターに滞仏期間を長期化させ、観光デスティネーションに足を向かわせるプロモーションを目指す。さらに、ワールドカップの期間中に海外からの訪仏客を最良の環境で迎えるため、フランス観光開発機構は、外国人旅行者が旅先に期待することなどの情報ツールを、大会組織委員会へ提供する。

調印式後のレセプションではフランスラグビー界の伝説で、2023年大会のアンバサダーを務めるスバスチャン・シャバルが特別ゲストとして登場

クロード・アチェ(ラグビーワールドカップ2023CEO)のコメント
「経験にあふれ多様性を持つ国フランスが2023年大会のホスト国になる。このワールドカップは我が国を対外的に見せる最良の機会、我が国の旅行の魅力を発信するまたとない機会であると思う。フランス観光開発機構とのパートナーシップは我々が持つ共通の目標を一つにするもので、たいへん喜ばしい。その目標とは、世界すべての大陸から集まる旅行者に、スタジアムの中であれ外であれ、フランスのテロワールや歴史遺産を身近に感じながら、唯一無二の経験をしてもらうことに尽きる」

カロリーヌ・ルブーシェ(フランス観光開発機構総裁)のコメント
「フランスでのラグビーワールドカップ2023年大会は、フランスの旅行デスティネーションに付加価値を与え、国外からの訪仏客に試合の合間にフランス人との交流を通じてフランスのライフスタイルを知ってもらい、フランスを周遊してもらうまたとない機会だ」

クリスチャン・マンテイ(フランス観光開発機構、経営委員会、会長)のコメント
「209カ国でTV放映され、国外から60万人の観客を迎えるラグビーワールドカップのフランス開催は、観光業の発展に大きな弾みをつけるだろう。我々は2023年大会組織員会とともに協力し、この大会を成功に導きたい、そして訪仏客にこの国での類まれなる体験をしてほしい」

キャバレーでもビーチでも! さすがラグビー強豪国フランス

フランスのラグビーは前後半だけでなく第3ハーフがある

ラグビーワールドカップ2023フランス大会
1987年から4年おきに開催されている大会は次回で10回目を迎える。2023年9月8日から10月21日まで、20チームがフランスに集結し、まもなく誕生から200年を迎える楕円形のラグビーボールをめぐって熱い48試合を繰り広げる。
●開催都市
パリ 【コラム】ツール・ド・フランス取材者日記。アリベ・ア・パリ!
リヨン
マルセイユ 
【コラム】ボクのツール・ド・フランスはマルセイユから始まった
ニース 
【コラム】2020ツール・ド・フランスの開幕地はニースに
ボルドー
 【コラム】ボルドーからポワティエまでまっすぐに行くN国道
ナント
トゥールーズ 
【コラム】トゥールーズ…これほどまで魅力的な町だとは
リール・ヴィルヌーヴ・ダスク
サンテティエンヌ
 【コラム】フランスのこの心地よさを日本の人にも体感してほしい

●ラグビーワールドカップ2023フランス大会 パリとともに開催地に選ばれた8都市

2020ツール・ド・フランス コースは10月15日18時30分発表

2020年6月27日に開幕する第107回ツール・ド・フランスのコース全容が10月15日(火)にWebで世界同時配信される。発表会場はパリ国際会議場で、現地時間11時30分から。日本時間は同日18時30分から。インターネットのライブストリーミングで視聴できる。

2020ツール・ド・フランスはニース開幕 ©ASO / Timothe RENAUD

●ツール・ド・フランス公式サイト
●ツール・ド・フランス公式facebookページ

ツール・ド・フランスの最初の2日間のステージは3月18日にすでに発表されている。第1ステージと翌28日の第2ステージともにスタートとゴールはニース。初日は小さな周回コースを回り、2日目は大きな周回コースで内陸地の山岳も含まれる。

地中海に面したニース ©Atout France/Jean François Tripelon−Jarry

23日間の日程で開催されるツール・ド・フランスは近年は7月の第1土曜日に開幕してきた。しかし2020年は東京オリンピックが7月24日(金)に開幕。25日(土)には男子ロードが最初の決勝種目として行われる。例年のように7月第1週にツール・ド・フランスが開幕すると、有力選手のほとんどは東京五輪に出られない事態となった。

主催者ASOは開幕日を開催期間を1週間前倒しして6月27日(土)開幕とした。ツール・ド・フランスが東京オリンピックに譲歩したことになる。

●2020年のグランツールと東京五輪の開催日程
5月9日〜31日 ジロ・デ・イタリア(ハンガリー・ブダペスト開幕)
6月27日〜7月19日 ツール・ド・フランス(ニース開幕)
7月24日〜8月9日 東京五輪
8月14日〜9月6日 ブエルタ・ア・エスパーニャ(オランダ・ユトレヒト開幕)

キャバレーでもビーチでも! さすがラグビー強豪国フランス

フランス南西部のオクシタニー地方ではラグビー競技場で観戦する大きな試合の他に、友人たちや家族の中など、“ラグビー” の文化は、数多くの活動やイベントに姿を変えていたるところに存在している。オクシタニーでは、このスポーツを魅力的で親しみやすいものにし、大衆化するために、あらゆることが利用される。

キャバレー・ムーラン・デ・ロシュで演じられるハカ ©Moulin_des-Roches

新奇な世界キャバレーがラグビーの世界と出会う時

トゥールーズの入口にある有名キャバレー、ムーラン・デ・ロシュ(Moulin des Roches)で、レヴューショーのリーダーとフェザードレスを纏ったダンサーたちが、スタジアムの神のような選手たちと出会った! 村のラグビーマンたちを誇りに思うバー・レストラン “ノエ”(Noé)の元オーナー、アレックス・ボレ(Alex Borret)が、そこで忘れられないトワジエム・ミタンに居合わせた。

ラグビーを愛してやまず、1000枚近くのラガーシャツを集めたボレは2009年に亡くなるが、父の想い出が永続することを願い、その子どもたちが寄贈したヨーロッパ随一のコレクションとしてムーラン・デ・ロシュに展示されている。
●ムーラン・デ・ロシュ

キャバレー・ムーラン・デ・ロシュ ©Moulin_des-Roches

これもラグビー:ビーチラグビー、ウォーターラグビーにラグビー祭り

ラグビーを魅力的で親しみやすいものにし、大衆化するために、ビーチラグビーやウォーターラグビーが娯楽ラグビーの形で発達。そんなラグビーフェスティバルが毎年トゥールーズで開催されている。

グリュイサンのビーチラグビー ©Gruissan Tourisme

ビーチラグビー
ビーチラグビーは、15人制と13人制ラグビーから生まれた団体競技で、ビーチ、少なくとも砂の上で行われる。1チーム5人の2チームが対戦する。この競技は、より遊びの要素が強く、より参加しやすく、ルールがとても柔軟なので、ラグビー経験のあるなしに関わらず、全ての参加者のレベルに合わせることができる。

地中海の全ての海岸で行われているが、とりわけヴァルラス・プラージュ(Valras-Plage)とオード県(Aude)のグリュイサン(Gruissan)で盛んで、毎年7月には有名な大会が開催されている。

グリュイサン・ビーチラグビーは、“プチ・プランス”(星の王子様)のニックネームを持つ、元フランス代表でグリュイサン市長のディディエ・コドルニウが力を入れて開催している。この大会は、若年層、男女混成、女性、全てのチームに開かれ、あらゆる形、あらゆるレベルで、砂の上で競われ、ラグビーの価値を際立たせている。
●グリュイサン・ビーチラグビー

ル・フェストバル(Le Fest’ oval:楕円球フェスティバル:ラグビーの祭典)

トゥールーズのキャピトル広場にラグビー場。ラグビーの祭典、ラ・フェストバル ©Dominique Viet

年に一度、6月、フランス選手権トップ・キャトルズ(Top14)決勝の際、トゥールーズのキャピトル広場(la Place du Capitole)は、2023年ラグビーワールドカップを開催する、誇り高き“ラグビーの首都”を象徴するこのスポーツの、パッションと文化を分かち合うため、ラグビー場に変化する。

グリュイサンのビーチラグビー ©Gruissan Tourisme

ウォーターラグビー:世界唯一の大会
縦40m 横35m の、水上に浮いたプラットフォーム上で行われる、遊びのラグビーの一種であるウォーターラグビーは、1チーム5人の2チームが20分間対戦するが、トライを取る時は水に飛び込まなければならない。

その雰囲気は折り紙付き! 2019年大会は9月13日から15日にトゥールーズのガロンヌ川(Garonne)で行われたたが、セドリック・エマンス(Cédric Heymans)、エミール・ンタマック(Emile N’ tamack)、イマノル・アリノルドキ(Imanol Harinordoquy)、クリストフ・ドミニシ(Christophe Dominici)、ディミトリ・ヤシュヴィリ(Dimitri Yachivili)、ヴァンサン・クレール(Vincent Clerc)、ヤニック・ジョジオン(Yannick Jauzion)といったフランスラグビー界のかつての大物選手が集まった。
●ウォーターラグビー

●ツール・ド・フランス取材者日記「トゥールーズ…これほどまで魅力的な町だとは」

フランスのラグビーは前後半だけでなく第3ハーフがある

フランス南西部のオクシタニー地方はラグビーが盛んな地方で、2019年ラグビーワールドカップ日本大会に出場するフランスナショナルチーム37人(バックアップメンバー6人を含む)のうち、11人もの選手を送り出している。4年後の2023年はフランス大会で、同地のトゥールーズで試合が開催される。

くまモンとスタッド・トゥールーザンの仲良しツーショット © Stade_Toulousain、 © 2010 Kumamoto pref. Kumamon

オクシタニーのラグビーは、単なるスポーツにとどまらずこの地方の文化そのもの。ラグビーの情熱はこの地方において、ライフスタイルのあらゆるところに浸透している。現地での試合後に勝者と敗者が盃を酌み交わし、お祭り騒ぎをする「トワジエム・ミタン」(第3ハーフ、試合後のお祭りという意味)という習慣もそのひとつ。

アジャンのラグビー競技場 ©Dominique Viet
フランス政府の元閣僚で、現在はオクシタニー地域圏議会の議長を務めるキャロル・デルガさんがラグビーW杯に合わせて来日

ラグビー関連の店は多く、クラブグッズを販売する店はもちろん、元ラガーマンが経営するレストランやバー、ラグビーボール型のチョコレート、ラグビーを題材にしたキャバレーのレヴューなど多岐にわたる。

ラグビーは19 世紀末にフランスに伝わり、まずパリでその愛好者ができ、それから驚くほどの熱狂とともに、フランス南西部のあらゆるところへと普及していく。そしてこのスポーツは、オクシタニーの人々のライフスタイルや性格に見られる、地方特有の哲学にぴたりとはまり、重要なものとなった。

スタッド・トゥールーザンに所属する日野剛志 ©Stade toulousain

誇りとホスピタリティーの微妙なバランス、懇親性と陽気な精神、勇ましさと他者へのリスペクトがこの土地とマッチ。この地方でこのうえないスポーツとなったラグビーのために、オクシタニーのどこでも、それがどんな小さな村でも毎週日曜日、全ての世代、家族、友人、そして全ての社会階級どうしが集まるという。

数字で見るラグビー:完全にラグビーな地方!

トゥールーズのキャピトル広場でパブリックビューイング ©Dominique Viet

7万人以上の登録選手(フランス全体で32万8000人=2018年統計)が約400のクラブに分かれて所属するオクシタニーは、15人制ラグビーのフランスで1番の地方リーグ。また、毎年2万人の若い選手が、全域に数100あるラグビースクールのどこかでラグビーを始めている。

フランスで最もスポーツが盛んな地方(77.6%以上の住民がスポーツ活動を実践:2018年統計)であるオクシタニーにおいて、ラグビーは、サッカー、テニスとともに、最も競技人口の多いスポーツのトップ3を形成している。

ドラゴンズ・カタランズの優勝 ©Dragons Catalans

トップ14(フランス選手権1部)所属の3つのチームと、プロ D2(同選手権2部)の5つのチームがあるオクシタニーは、フランスで最も多くトップクラスのプロクラブが存在する地方となっている。

女子ラグビー
地方の3つのチームが、エリート・アン(1部リーグ)で、他の3つがエリート・ドゥ(2部リーグ)でプレーしている。現在スタッド・トゥールーザン所属のガエル・エルメ(Gaëlle Hermet)は、6ネーションズ2018年大会の時、女子フランス代表の元キャプテンを務めた。これらのチームがいい結果を出していること、そしてメディア露出が増えたことで、登録選手数が激増し、すでに80以上の女子チームが地方に存在している。

モンペリエ・エロリーリュグビー女子クラブ ©Stade toulousain

競技場外での観戦場所や試合後に盛り上がれる場所

トゥールーズのパブ ©OT Toulouse

「ラグビーは、前後半の2つではなく、3つのハーフにわたってプレーされるのだ。前半は熱意、後半は勇敢、その後は友愛」ルネ・クラボス(René CRABOS)元フランス代表
大きな試合の時には、オクシタニー地方の主要なラグビー都市では、トゥールーズのキャピトル広場(Place du Capitole)、モンペリエの市庁舎広場(Parvis de l’Hôtel de Ville)などに、大型スクリーンが設置され、安全なパブリックビューイング体験を存分に楽しめる。ラグビー愛好家の中には、店内で試合の放送を流す、やはり特有の雰囲気を持つバーを好む人もいる。

スタッド・トゥールーザン勝利の瞬間 ©Nathalie Casado – Agence d’attractivité Toulouse

●ツール・ド・フランス取材者日記「トゥールーズ…これほどまで魅力的な町だとは」
●フランス観光開発機構のホームページ

熱波のニーム。選手も大変だけど観客や警備員も心配なほど

ツール・ド・フランス取材者日記。この日はニームを発着とするステージでしたが、選手たちは首筋やヘルメットの中に冷却用の氷を入れるなどしてなんとか過酷なレースをしのぎきりました。この暑さの中を走るなんて人間業(わざ)ではありません。

ニームでのランチタイム

記者もカメラマンも関係者も本当に暑さとの戦い。サルドプレスは屋根の高い見本市会場ですが、こっちのそれというのは空調もなにもない倉庫のようなところです。ボクが一番入りしたときはまだ記者が少なかったので、なんとかここで仕事できるなと思ったんですが、ゴールが近くなってその数が多くなると、熱気と湿気がこもって気持ち悪くなりそうに。

近くのホテルに連泊しているという記者にお願いして、エアコンの効いた部屋に転がり込んだが、そこまでの日なたの道路を歩いて行くだけで倒れそうになりました。部屋に着いて、冷えたフロアに直接横になり、精神的に安定するまでちょっと時間がかかりました。

年齢を重ねるほど経験値が高まるためか楽しく取材できてきたと思っていたんですが、2019年はツラいです。体力は年々向上しているはずなのに、精神的に疲労困ぱい。ホテルの荷物忘れによる320kmの移動。3日間におよぶ視察団のアテンド。多少の要因はあるかも知れませんが、熱波による高温が激しい疲労感を誘発したかも。

ニームのサルドプレス。人が増えると蒸し暑くて仕事に集中できなくなった

30年前の初取材時は900人の記者の中でボクが一番の駆け出し。時を経てボクよりも年齢が高く、経験がある記者は両手ほどの数に。フランス社会は60歳の定年を迎えるとキッパリと仕事を辞める人が多いんです。さすがに60代でこの仕事は厳しすぎることもあります。

言い換えるとボクもあと4年で終わり方を考えなくちゃ。ただしアルプスに逃げ込めば快適すぎて、やめたくないなと考え直す気もするんですが…。

ニームのペルマナンス(大会本部)。移動オフィスだが観葉植物は欠かせない

暑さにやられてちょっとおつかれなので、来々軒へ。嗅覚で探しました。平日は2000円ほどで食べ放題なのがフランスの来々軒のデフォルト。

すべてのツール・ド・フランス関係者にとって過酷な日が続きます。日なたに長時間立っている警備員とか倒れないんだろうか? 翌日の高速を使った迂回路は280kmですが、ボクはモンバントゥーの南麓を通ってのんびり下道で行きますね。

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