東京五輪の自転車競技に16選手…略歴と競技日程・会場

2020東京五輪の自転車競技に出場する日本代表16選手が決まった。これまでの五輪自転車で日本選手が獲得したメダルは銀1、銅3で、すべてトラック男子によるもの。自国開催となる今回は女子や新種目のBMXフリースタイルにも期待がかかる。国内自転車界悲願の金メダル獲得を目指してそれぞれが練習を積み重ねている。

2020東京五輪のピクトグラム(フレームタイプ)

自転車競技はトラック、ロード、MTB、BMXの4種目

東京五輪で開催される自転車競技は大きく分けてトラック、ロード、MTB、BMXの4つがある。トラックは男女ともに6種目が行われ、そのうち3種目がスプリント系の短距離レース。日本はすべてこのカテゴリーで男子選手が五輪メダルを獲得してきた実力があり、悲願の金メダルも十分に期待できる。バンクと呼ばれる自転車競技場は会場ごとに特性があるので、五輪の舞台となる伊豆ベロドロームで長期的な強化合宿を積む日本勢は地の利が行かせる。

ただし今回の金メダル最有力はトラック中距離の女子。2020年2月に行われた世界選手権女子オムニアムで優勝した梶原悠未(かじはらゆうみ)だ。トラック日本女子では初、男子を含めても33年ぶりの世界チャンピオンだ。オムニアムは1日で4種目を行い、その合計で競う複合種目。世界選手権よりも五輪のほうが参加選手数が絞られるため、ライバルの数も少なくなる。梶原が順当なレース展開を見せれば金メダル獲得も夢ではない。

梶原悠未がオムニアム出場時に使用するアルカンシエルデザインバイク

コロナ禍による大会延期も「強くなるために練習する時間が持てた」と梶原。「日本代表としての誇りをもって必ずオムニアムで金。有言実行を胸に臨みたいです」

新種目として採用されたBMXフリースタイルでは中村輪夢(なかむらりむ)に期待。20インチ車輪の自転車に乗り、人工セクションを使って宙返りするなど、いかに難易度の高い技を決めて高得点をたたき出すかなどで争われる。世界大会での表彰台の常連だけにメダル圏内。

「悔いのない走りをしたい。それができればメダル獲得という成績もついてくると信じています」と中村。

中村輪夢 ©Eisa Bakos/Red Bull Content Pool

MTB女子代表の今井美穂は群馬県前橋市立新田小の教員を務めながら、平日の夜と週末に練習を続ける。

「応援してくれる子どもたちがいなかったら、五輪なんてあきらめていたかも知れません。その恩返しとして子どもたちになにかを伝えられたら」と意気込む。

日本勢の五輪メダルは銀1個、銅3個

今井美穂は東京五輪代表リモート記者会見も小学校から参加した ©JCF

日本自転車選手の五輪メダルは過去に4個で、すべてトラック短距離種目。1984年ロサンゼルス大会の個人スプリントで坂本勉が銅、1996年アトランタ大会の1kmタイムトライアルで十文字貴信が銅、2004年アテネ大会で長塚智広・伏見俊昭・井上昌己の日本チームが銀、2008年北京大会のケイリンで永井清史が銅。

2020東京五輪 自転車競技の日本代表16選手

◆トラック短距離
新田祐大
(ドリームシーカー)

◆トラック短距離
脇本雄太
(ブリヂストンサイクリング)

◆トラック短距離
小林優香
(ドリームシーカー)

◆トラック中距離
橋本英也
(ブリヂストンサイクリング)

◆トラック中距離
梶原悠未
(筑波大大学院)

◆トラック中距離
中村妃智
(日本写真判定)

◆ロード
新城幸也
(バーレーンビクトリアス)

◆ロード
増田成幸
(宇都宮ブリッツェン)

◆ロード
与那嶺恵理
(ティブコシリコンバレーバンク)

◆ロード
金子広美
(イナーメ信濃山形)

◆MTBクロスカントリー・オリンピック
山本幸平
(ドリームシーカー)

◆MTBクロスカントリー・オリンピック
今井美穂
(CO2bicycle)

◆BMXレーシング
長迫吉拓
(日本写真判定)

◆BMXレーシング
畠山紗英
(日本体育大)

◆BMXフリースタイル・パーク
中村輪夢
(ウイングアーク1st)

◆BMXフリースタイル・パーク
大池水杜
(ビザビ)

2020東京五輪 自転車競技の日程と会場

ロード
●開催日程=7月24、25、28日
●開催場所=東京都府中市〜富士スピードウェイ

MTB
●開催日程=7月26、27日
●開催場所=静岡県・伊豆MTBコース

BMX
●開催日程=7月29日〜8月1日
●開催場所=有明アーバンスポーツパーク

トラック
●開催日程=8月2〜8日
●開催場所=静岡県・伊豆ベロドローム

●2020東京五輪のホームページ

新城幸也、増田成幸オンライントークショー…だれでも視聴可

東京五輪代表の新城幸也(バーレーン・マクラーレン)と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)のオンライントークショーをメリダジャパンが12月13日(日)に開催する。国内外のロードレースをメリダバイクで駆ける2選手の話が自宅などで視聴できる。

今回はMERIDA CYCLING ACADEMYの特別プログラム。特別ゲストとして新城と増田を迎え、コロナ禍で揺れた激動の今シーズンの振り返りや、オフシー ズンの過ごし方、来シーズンの意気込みなど、ここでしか聞けないエピソードを交えた1時間のトークショーを行う。

トークショーはMERIDA X BASE YouTubeチャンネルで無料オンライン配信されるので、自宅でも楽しめる。

【オンライントークイベント概要】
日時 2020 年 12 月 13 日 15:00~16:00
●MERIDA X BASE YouTube チャンネル

事前に質問を募集

●質問はこちらで応募。 ※全て紹介できない場合がある

※録音、録画は禁止
※インターネット接続環境が必要
※通信にかかる費用は各自の負担
※通信環境により画像・音声が乱れる場合もある

【特別ゲスト】

新城幸也
沖縄県石垣島出身のサイクルロードレース選手
TEAM BAHRAIN McLAREN 所属。2009年には日本選手として13年ぶりにツール・ド・フランスに出場し、日本人で初めて近代ツール・ド・フランスを完走した選手の一人となった。
2012年のツール・ド・フランスでは第4ステージにおいて敢闘賞を獲得。日本人で初めてグランツールの表彰台に上がった選手。
2020年はジロ・デ・イタリアに唯一の日本人選手として出場。

新城幸也 ©Yuzuru SUNADA

増田成幸
2006-2007 ミヤタ・スバル~チームミヤタ
2008-2009 エキップアサダ~EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン
2010 チーム NIPPO
2011-2012 宇都宮ブリッツェン
2013 キャノンデール・プロサイクリングチーム
2014- 宇都宮ブリッツェン
2019 年全日本自転車競技選手権 個人タイムトライアル男子エリート優勝

増田成幸

新城幸也、増田成幸、与那嶺恵理、金子広美が東京五輪代表

第32回オリンピック競技大会(2020/東京) 自転車競技ロード日本代表選手に新城幸也、増田成幸(以上男子ロード)、与那嶺恵理(女子ロード、女子個人タイムトライアル) 、金子広美(女子ロード)が選出された。

補欠選手は男子ロードが中根英登、女子ロードが樫木祥子。

男子の選手選考基準は日本自転車競技連盟が設定したランキングの上位2選手が代表となった。1位は新城で533ポイント、2位は増田で283ポイント。五輪代表枠を逃した中根は282ポイントだった。

10月29日に日本自転車競技連盟が報道機関に通知し、11月4日に情報が解禁された。


●新城幸也のコメント

新城幸也

「自国開催のオリンピックを自分が現役選手の時に迎えられることは運命だと思っていました。世界中が大変な状況下で競技を続けられる自分の環境 に感謝し、しっかり準備をして自分の最高のパフォーマンスを発揮するだけです。皆さんも楽しみにしていてください!」


●増田成幸のコメント

増田成幸

「東京オリンピックロードレースの日本代表候補への選出、大変光栄です。 一方で、身が引き締まる思いです。日本代表の名に恥じないような走りができるように精進いたします」


●与那嶺恵理のコメント

与那嶺恵理

「全てを力に変えて」


●金子広美のコメント

金子広美

「私がここまで走れる環境を用意してくれた、すべての方々に感謝しています。今も世界は厳しい状況が続いていますが、与えられたチャンスに向けて、次につながるきっかけとなる走りができるように、しっかりとトレーニングを重ねていきます」


自転車競技の東京五輪日本代表はこれですべての出場予定選手が決定。男子8、女子8の合計16選手が挑むことになった。

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)自転車競技日本代表選手

BMXレーシング
男子:長迫吉拓(日本写真判定)
女子:畠山紗英(日本体育大学)

BMXフリースタイル
男子:中村輪夢(ウイングアーク1st)
女子:大池水杜(ビザビ)

MTBクロスカントリー・オリンピック
男子:山本幸平(ドリームシーカーMTBレーシングチーム)
女子:今井美穂(CO2bicycle)

トラック・短距離
男子
新田祐大(ドリームシーカーレーシングチーム/日本競輪選手会 福島支部)
脇本雄太(チームブリヂストンサイクリング/日本競輪選手会 福井支部)
女子
小林優香(ドリームシーカーレーシングチーム/日本競輪選手会 福岡支部)

トラック・中距離
男子
橋本英也(チームブリヂストンサイクリング/日本競輪選手会 岐阜支部)
女子
梶原悠未(筑波大学大学院)
中村妃智(日本写真判定)

ロード
男子
新城幸也(バーレーン・マクラーレン)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
女子
与那嶺恵理(女子個人タイムトライアルも/OANDA JAPAN)
金子広美(イナーメ信濃山形)

●日本自転車競技連盟のホームページ

新城幸也が3度目のジロ・デ・イタリア出場…10月3日開幕

バーレーン・マクラーレンの新城幸也が10月3日にイタリアのシチリア島で開幕する第103回ジロ・デ・イタリアに出場する。同大会は2010年、2014年に続く3度目の出場。ツール・ド・フランス7回、ブエルタ・ア・エスパーニャ3回と合わせ13回目のグランツール出場となる。

シチリア島のチームプレゼンテーションに登壇した新城幸也 ©LaPresse

●ジロ・デ・イタリアに出場した日本選手
1990 市川雅敏(フランク・トーヨー)総合50位で完走
1993 市川雅敏(ナビガーレ)途中リタイア
1995 今中大介(ポルティ)途中リタイア
2001 野寺秀徳(コルパック・アストロ)途中リタイア
2002 野寺秀徳(コルパック・アストロ)総合139位で完走
2010 新城幸也(Bboxブイグテレコム)総合93位で完走
2011 別府史之(ラジオシャック)総合67位で完走
2012 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)総合121位で完走
2014 別府史之(トレックファクトリー)総合82位で完走
2014 新城幸也(ヨーロッパカー)総合128位で完走
2015 別府史之(トレックファクトリー)総合117位で完走
2015 石橋学(NIPPOビーニファンティーニ)途中リタイア
2016 山本元喜(NIPPOビーニファンティーニ)総合151位で完走
2019 西村大輝(NIPPOビーニファンティーニ・ファイザネ)途中リタイア
2019 初山翔(NIPPOビーニファンティーニ・ファイザネ)総合142位で完走

ゲラント・トーマスやニバリがキー選手

2020年大会の主な出場選手は、2013年と2016年の総合優勝者ビンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)、2018ツール・ド・フランス総合優勝のゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアス)、2018ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝のサイモン・イェーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)、2020イル・ロンバルディア優勝のヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)など。

2020ジロ・デ・イタリア日程

10月3日(土) 第1ステージ モンレアーレ〜パレルモ 15km(個人タイムトライアル)★★
10月4日(日) 第2ステージ アルカモ〜アグリジェント 150km
10月5日(月) 第3ステージ エンナ〜エトナ 150km★★★
10月6日(火) 第4ステージ カターニア〜ビラフランカティッレーナ 140km★
10月7日(水) 第5ステージ ミレート〜カミーリャテッロシラーノ 225km★★
10月8日(木) 第6ステージ カストロビッラーリ〜マテーラ 188km
10月9日(金) 第7ステージ マテーラ〜ブリンディージ 143km
10月10日(土) 第8ステージ ジョビナッツォ〜ビエステ 200km★★
10月11日(日) 第9ステージ サンサルボ〜ロッカラーゾ 208km★★
10月12日(月) 休養日
10月13日(火) 第10ステージ ランチャーノ〜トルトレート 177km
10月14日(水) 第11ステージ ポルトサンテルピディオ〜リミーニ 182km★
10月15日(木) 第12ステージ チェゼナティーコ〜チェゼナティーコ 204km★★
10月16日(金) 第13ステージ チェルビア〜モンセリーチェ 192km★
10月17日(土) 第14ステージ コネリャーノ〜バルドッビアデーネ 34km(個人タイムトライアル)★★
10月18日(日) 第15ステージ バセアエレアリボルト〜ピアンカバッロ 185km★★★
10月19日(月) 休養日
10月20日(火) 第16ステージ ウディーネ〜サンダニエーレ・デル・フリウリ 229km★★
10月21日(水) 第17ステージ バッサーノデルグラッパ〜マドンナディカンピーリオ 203km★★★
10月22日(木) 第18ステージ ピンツォロ〜ラーギディカンカーノ 207km★★★
10月23日(金) 第19ステージ モルベーニョ〜アスティ 251km
10月24日(土) 第20ステージ アルバ〜セストリエーレ 198km★★★
10月25日(日) 第21ステージ チェルニュスコスルナビーリオ〜ミラノ 15.7km(個人タイムトライアル)

🇮🇹ジロ・デ・イタリア特集サイト
🇮🇹2020ジロ・デ・イタリア関連ニュース(まとめページ)
●ジロ・デ・イタリアのホームページ

フランスのジュリアン・アラフィリップが世界チャンピオンに

フランスのジュリアン・アラフィリップが9月27日にイタリアのイモラで開催された世界選手権エリート男子ロードで、残り10kmから独走して初の世界チャンピオンになった。2位は24秒遅れの4人の争いを制したベルギーのワウト・ファンアールト、3位はスイスのマルク・ヒルシ。

最終周回でアタックしたアラフィリップ ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2020

フランス勢の世界選手権優勝は1997年のローラン・ブロシャール以来となる23年ぶり8人目。

●フランス勢の世界チャンピオン
1936 アントナン・マーニュ
1954 ルイゾン・ボベ
1959 アンドレ・ダリガード
1962 ジャン・スタブリンスキ
1980 ベルナール・イノー
1994 リュック・ルブラン
1997 ローラン・ブロシャール

エリート男子ロードは距離258.2kmで争われた ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2020

日本から唯一出場した新城幸也はスタート直後に形成された7人の先頭集団に加わり、国際映像に積極的な走りを映し出された。4人に絞り込まれてもその中に残ったが、2選手に先行され、ゴールまで77kmの地点でメイン集団に吸収された。

ベルギー、ポーランド、イタリアなどの強豪国がレースをコントロールしようとした ©Ilario Biondi/BettiniPhoto©2020

最終周回の最後の上りでアラフィリップがアタック

今季はF1も開催されるイモラサーキットを基点として2つの上りが含まれる周回コースを9周する。序盤から新城を含む7選手が先行するが、終盤になってメイン集団がこれを吸収。残り2周で、1週間前にツール・ド・フランスで総合優勝したばかりのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が単独で抜け出したが、後続のメイン集団に捕らえられた。

地元イタリアのビンチェンツォ・ニバリがアタックすると、スペインのミケル・ランダら優勝候補がマーク ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2020

最終周回の最後の上りまで各国のエースはメイン集団に残ったが、残り10km地点でアラフィリップがアタックすると、わずかにその差がついた。

独走でゴールを目指すアラフィリップを追って、ファンアールト、ヒルシ、ポーランドのミハウ・クビアトコウスキー、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ、デンマークのヤコブ・フルサンが追走。しかし10〜15秒の差が詰まらず、アラフィリップを捕らえられなかった。

ジュリアン・アラフィリップが世界チャンピオンに ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2020

「この感情を説明する言葉がない。今日は自分のキャリアの中で最大の目標を達成した」と目に涙を浮かべるアラフィリップ。

「これまでもうなにも残すことなく、多くの犠牲を払ってきた。チームメイトに感謝しなければならない。まだ夢を見ているような気分で、ボクたちフランスチームが達成したことを確認する必要がある」

アルカンシエルを着用したジュリアン・アラフィリップを中央に、左が2位ワウト・ファンアールト、右が3位マルク・ヒルシ ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2020

「最後の上りでは、ピークを越えてからの下りで数秒のリードを得るために全力で行った。考えることをすべてやめて、ひたすらペダルをこいだ。ゴールまで200mで、もう捕まえられないと分かって、夢がかなったと思った。とても幸せだ」

アラフィリップは9月30日に開催されるにフレッシュワロンヌで世界チャンピオンの称号である5色の虹色ジャージ、アルカンシエルを着てデビューする。

●世界選手権エリート男子ロード結果
1) ALAPHILIPPE Julian (France) km 258.2 in 6:38:34 (average speed 38.869 kph)
2) van AERT Wout (Belgium) +24
3) HIRSCHI Marc (Switzerland) +24
4) KWIATKOWSKI Michal (Poland) +24
5) FUGLSANG Jakob (Denmark) +24
6) ROGLIC Primoz (Slovenia) +24
7) MATTHEWS Michael (Australia) +53
8) VALVERDE Alejandro (Spain) +53
9) SCHACHMANN Maximilian (Germany) +53
10) CARUSO Damiano (Italy) +53
リタイア 新城幸也(日本)

アルカンシエルを手中にして天を仰ぐアラフィリップ ©Ilario Biondi/BettiniPhoto©2020

●大会ホームページ
●Liveサイト
●facebook
●twitter
●Instagram
●YouTubeのUCI channel

映画「弱虫ペダル」公開記念ライドに渡辺航と新城幸也参加

映画「弱虫ペダル」公開記念Zwiftライドが7月26日(日)に開催され、原作者の渡辺航(わたなべ わたる)がライドリーダーに、プロロードレーサー新城幸也もオンラインで参加した。ワイ・インターナショナルがライドイベントをサポートした。

Zoomでつながった渡辺航(上から4列目中央)や新城幸也(上から5列目中央)

映画公開を記念し、全世界で利用されているバーチャルサイクリングのプラットフォーム 「Zwift」(ズイフト、米国)上でライドイベントを開催。当日は、Y’sRoad渋谷本館をキーステーシ ョンとして、Y’sRoadの各店舗と原作者の渡辺をオンライン会議システムZoomで結び実況中継をした。渡辺をライドリーダーに、世界25カ国・約2000人の参加者とバーチャルライドを楽しんだ。

Y’sRoad 渋谷本館のモニターに映し出された集団ライド

Y’sRoad 渋谷本館では、映画の自転車技術指導を務めた元プロロードレーサー城田大和(し ろた やまと)が、スマートトレーナーの「SARIS H3」とプラットフォーム「MP1」を使用しライドに参加。さらに映画「弱虫ペダル」小野田坂道役の永瀬廉、鳴子章吉役の坂東龍汰が劇中で着用していたチーム総北の衣装に身を包み、応援に駆けつけてくれた。

永瀬と坂東もバーチャルライドを体験し、永瀬は「坂道の傾斜がきついほどペダルが重くなったりするんですか?」と興味津々で、リアルなライディングに感動していた。また、約2000名とリアルタイムでつながっていることに驚いていた。

渡辺航と参加した全世界のライダーがライド中のチャット(画面中央に表示)を楽しんだ

イベント後、渡辺は「初めてグループライドでリーダーもやらせてもらって、2000人と一緒に走ったのは初めてだったのですごく面白かった」と達成感にあふれていて、永瀬も「汗もかけるし、体も動かせるしロードレースも盛り上げられるし、一石二鳥以上のものが得られるイベントですね」とあらためてバーチャルライドの楽しさを語った。

また、3年前まで現役選手だった城田も「これまでの室内練習に比べ、傾斜や負荷がかかることで実際の道を走っているような体感ができ、景色も変わって楽しめるので、長時間漕げて いいですね。僕が現役時代の時はなかったのに、今の選手がうらやましい…」とコメントした。

城田大和も参加

8月14日(金)に公開となる映画「弱虫ペダル」に注目。

映画の自転車技術指導を務めた元プロロードレーサー城田大和

映画「弱虫ペダル」は2020年8月14日(金)に全国公開

累計2500万部突破の大人気スポーツ青春漫画「弱虫ペダル」。2008年に週刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載開始され、連載は2020年で12年目を迎え、現在まで67巻が既刊されている大人気コミックス。アニメ、 アニメ映画、舞台、小説、ドラマなどさまざまなコンテンツでメディアミックスされているが、満を持して初の実写映画化となった。松竹配給のもと、ワイ・インターナショナルは劇中で使用する自転車などの提供と走行技術指導の協力をした。

●映画「弱虫ペダル」の公式サイト
●ワイ・インターナショナルのホームページ

【ツール・ド・フランスリバイバル】2016…フルーム傷だらけの勝利

世界遺産モンサンミッシェルで開幕した第103回ツール・ド・フランスは、英国のクリストファー・フルーム(スカイ)が2年連続3度目の優勝を果たした。2年ぶり6度目の参戦を果たした新城幸也(ランプレ・メリダ)は悲願の区間勝利こそつかめなかったが、第6ステージで敢闘賞を獲得した。2012年の第4ステージに続いて2度目の受賞。

第19 ステージでフルームは苦戦。マイヨジョーヌは落車で破け、手足から出血も
2016ツール・ド・フランス
新城幸也にとって2度目の敢闘賞

初日に区間勝利とボーナスタイム10秒を獲得して首位に立ったディメンションデータのマーク・カベンディッシュ(英国)は、翌日の第2ステージ終盤の上り坂で脱落。このゴールまでの上り坂で少人数の力勝負となり、ティンコフのぺテル・サガン(スロバキア)がわずかに先着。3年ぶり5回目の区間勝利を果たした。

第1次大戦の激戦地でチームプレゼンテーションに登場した世界チャンピオンのサガンとコンタドール

総合成績では前日までの成績で6秒遅れの総合3位につけていたサガンが首位に立ち、マイヨジョーヌを獲得した。同選手はポイント賞争いでも1位になり、5年連続の同賞獲得にも手応えをつかんだ。

第5ステージは中央フランスに舞台を移し、BMCのグレッグ・バンアーベルマート(ベルギー)が終盤に独走して優勝。前日までの総合成績で18秒遅れの20位につけていた同選手が、2位以下に2分以上の大差をつけたことで一気に首位に立った。

この日は起伏の激しい中央山塊に突入したことで有力チームの走りが本格化。首位のマイヨジョーヌを着るサガンは長い上りを得意としていないため、23分45秒遅れの区間110位でゴール。総合1位から76位に陥落した。

第1ステージは世界遺産モンサンミッシェルをスタートした

そして戦いは第8ステージで前半の勝負どころ、ピレネーへ

ピレネーの本格的山岳ステージでティンコフのラファウ・マイカ(ポーランド)ら3人の伏兵が逃げを打った。3選手とも区間勝利の実績があり、総合成績の逆転をねらった走りというよりはこの日の勝利を目指したものだ。さらにこの3選手の中からマイカが抜け出すのだが、後続集団は総合成績で大きく遅れているマイカを無理には追わなかった。とりわけフルームを擁するスカイチームは翌日も重要な山岳区間が控えていることからアシスト陣の消耗を考え、ある程度は逃げを容認する方針をとった。

マイカが先行した意図は自らの区間勝利とともにチームエースであるアルベルト・コンタドール(スペイン)を後続集団内で体力温存させるためだからだ。マイカはゴールまで残り2つの峠を残して吸収され、区間勝利はならなかったが、この日から本格化した山岳賞のトップに立った。

第6ステージで新城幸也はヤン・バルタとアタックし、後続に5分10秒差をつけた
第6ステージで新城幸也が敢闘賞

有力選手の戦いは最後の山岳でも膠着状態だった。ところが残り15.5km地点の峠の頂上を通過するとフルームが一気に加速して高速ダウンヒルを開始。これにはライバルも意表を突かれ、一気に差が開いてしまう。調子が上がらないコンタドールが脱落し、ゴールまでに大差をつけられる。母国スペインでの区間を目前にして総合優勝争いからの脱落である。

「下りでアタックすることはまったく計画にはなかった」

フルームは下り坂でその差を広げてゴールまで逃げ切った。フルームの区間勝利は2015年の第10ステージ以来で、大会通算6勝目。

「上りで何回かアタックしたが、他の選手が着いてきた。だったら下りで突き放してやろうと考えた。ちょっと体力を使ってしまい、翌日の過酷なレースが気になるが、ステージ勝利は気分がいいし、貴重なタイムをかせぐことができた」

ピレネーの第8ステージで、戦闘から2分遅れのメイン集団をスカイとモビスターが引っ張る
ピレネーの第8ステージでフルームが優勝。首位に躍り出た

総合優勝を争うモビスターのナイロ・キンタナ(コロンビア)とアスタナのファビオ・アルー(イタリア)らは13秒遅れ。フルームは区間1位のボーナスタイム10秒も獲得していて、総合成績で一気に首位に立った。前日までの首位バンアーベルマートは山岳を得意としていないため、25分54秒遅れで、その座を手放した。

しかしキンタナとアルーはわずか23秒差でフルームを追う位置にいる。フルームとしては上りでこの2選手の走りを警戒しているだけに、この日の下りを使った奇襲作戦に出たとも考えられる。マイヨジョーヌをめぐる戦いは始まったばかりだ。

第9ステージのアンドラ・アルカリスは雹混じりの豪雨だが、パンタノはファンから傘を借りたらしい

アルプスの個人タイムトライアルで突き放す

第18ステージは距離17kmの個人タイムトライアルが行われ、総合成績で首位のフルームが30分43秒のトップタイムで優勝。ピレネー山脈で行われた第8ステージに続く今大会2勝目で、大会通算7勝目。個人タイムトライアルで勝ったのは2013年以来2度目。総合成績では2位バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)との差を2分27秒から3分52秒に広げた。

距離は短いものの上り坂を駆け上がる個人タイムトライアル。チームメートに助けてもらうことができない種目なので、個人の実力差が量られる。そんな重要なステージでフルームが1位になり、だれが一番強いのかがはっきりとした。2年連続3度目の総合優勝に大きく前進したのである。

ニースで起きたテロ事件の犠牲者に黙とうを捧げる

フルームはスタートしてしばらくは慎重に走った。すでに総合2位以下とのタイム差は十分にあり、落車や観客との接触のみを注意して走ればよかった。しかし中間地点で暫定トップだったトム・デュムランのタイムに並ぶと後半は余裕ができて全力で走った。

「すべてのトラブルを回避するような走りをしたかった。午前中にコースをチェックしたときはいつも使っているロードバイクで走ろうと考えた。でもチームスタッフはタイムトライアルバイクを使うことをすすめてくれた。軽量なので上りでもロスはないという理由だったが、その選択が今日の結果につながったね」とフルーム。

第20ステージは最後の山岳区間だった。雨中戦となりアクシデントも想定されたが、強力なアシスト陣に援護されたフルームはライバルの反撃をまったく許すことなくゴールした。

第18ステージは距離17kmの個人タイムトライアル

最後の山岳ステージの最後の1kmまで慎重に走った

フルームが4人のチームメートとともにモルジンヌのフィニッシュラインを通過したとき、全身はずぶ濡れだったがようやく安堵の笑顔を浮かべた。2位に4分以上の大差をつけながら最後まで油断せず、ゴールまでの下り坂も細心の注意を払って走った。ずっと後ろを走っていたライバルたちが最後はスパートして追い抜いていったが、そんな数秒のタイムロスはもうどうでもよかった。

「この24時間、ボクはとてもナーバスになってしまった。そんなときにチームメートが声をかけてくれたり、レースで力を貸してくれた。マイヨジョーヌを守れたのはそのおかげだ。圧勝のように見えるけれど、ボクはギリギリの状態だった」

この大会のフルームの勝因は、上り坂に強いライバル選手にそこで勝負をさせなかったことだ。ピレネー山脈の第8ステージでフルームはまさかの下り坂で単独アタック。僅差ながらライバルに差をつけてここで総合1位に立った。そのあとも平たん区間で積極的に動いて毎日のようにわずかなタイム差を稼いでいく。2つの個人タイムトライアルを巧みに使い、十分なタイム差を稼ぎ出すと、圧倒的なチーム力で最後のアルプスをしのぎ、逃げ切った。

この日は前日の落車で体中が痛かったという。脚の疲労も感じていたが、この日は幸いなことに脚力が回復した。しかし冷たい雨にたたられて、苦い経験がよみがえったという。2年前、雨の第5ステージで二度にわたって落車し、手首を骨折して連覇を断たれたことである。

「危険を回避するために常に先頭にいた。最後の1kmになってようやく栄冠をつかめたという感慨と、これまでのさまざまな記憶がよみがえってきた。いまはマイヨジョーヌとともに生きている幸せを感じている」

「凱旋門をバックにピースサイン撮れました?」とフィニッシュ後に新城幸也が声をかけてくれた

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【ツール・ド・フランスリバイバル】2014年はニーバリ初優勝

全体的に天候が荒れ気味の2014年ツール・ド・フランスは、アクシデントに巻き込まれた選手が相次いでレースを去っていった。同じ条件でありながらも、堅実に走り続けた実力者が栄冠のゴールにたどり着いた。総合優勝のビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)もヨーロッパカーの新城幸也も、まさに地に足をつけた自然体のスタイルだった。

第14ステージ、イゾアール峠を下るマイヨジョーヌのニーバリ

第5ステージの石畳区間でニーバリは早くも勝負に出た

ビンチェンツォ・ニーバリ。全21区間のうちマイヨジョーヌを着用したのはなんと19日だ。勝負どころの山岳では1日だけティンコフ・サクソのアルベルト・コンタドール(スペイン)に3秒負けたが、あとはライバルとのタイム差を広げるばかり。気がつけば前年の覇者クリストファー・フルーム(英国、スカイ)、3度目の優勝をねらったコンタドールらのライバルが不意の落車で大きく傷つき、レースを断念してチームカーに乗り込んでしまった。

2014ツール・ド・フランス

地元イタリアのリクイガス・キャノンデールに所属していた2年前、ニーバリはジロ・デ・イタリアをパスしてツール・ド・フランスに乗り込んだ。しかしブラッドリー・ウィギンスとそのアシスト役だったフルームに山岳ステージで封じ込まれた。イタリア自転車界の育成システムに乗り頭角を現したニーバリにとっても、かなわぬ敵が君臨することを初めて知る。

その翌年に心機一転。カザフスタンのアスタナに電撃移籍した。現役選手を引退して同チームの監督に就任することになったアレクサンドル・ヴィノクロフが次期エースとしてニーバリ獲得に動いたのだ。カザフスタン選手だけではツール・ド・フランスに勝てないと考えたからだ。

英国開幕のこの年、第1ステージのゴールスプリントで地元マーク・カベンディッシュがまさかの鎖骨骨折
第1ステージで優勝してマイヨジョーヌを獲得したマルセル・キッテル。第2ステージで脱落しても笑顔で声援に応える

ニーバリの天性に、怨念も含むヴィノクロフの冷静な判断力が加わって飛躍的にレベルアップを遂げたのは周知の事実だ。2013年にジロ・デ・イタリア総合優勝。そしてこのシーズンは連覇のかかるジロ・デ・イタリアをパスしていよいよツール・ド・フランスに照準を合わせて乗り込んできた。

優勝争いのキーとなったのは「北の地獄」と呼ばれる石畳区間を走った第5ステージだった。石畳はレース後半に設定されていたが、前日に右手首を痛めていたフルームが前半の舗装路で2度も落車。手首を骨折してリタイアした。そして石畳区間に入るとニーバリがアシストとともにアタックし、コンタドールに大差をつけた。結果的にはこれがコンタドールにプレッシャーを与えることになり、第10ステージの右足骨折でコンタドールも消えていった。

第9ステージでトニー・ガロパンがマイヨジョーヌ。敢闘賞のアテンドガール、恋人のマリオン・ルスと

結果的に総合2位とは7分以上の大差。これは1987年にヤン・ウルリッヒが初優勝したときのタイム差を超える圧勝だったが、全区間でニーバリにブレーキがなかったこと、そしてアスタナチームの総合力が抜群に高かったことが要因だ。

第14ステージでラファウ・マイカが優勝。さらに第17ステージでも優勝し、山岳王に

アスタナはすべてのアタックに対して大逃げを容認することがなく、メイン集団の先頭に立ってコントロールした。山岳の上りでもジロ・デ・イタリア優勝経験のあるスカルポーニらがけん引役を務めた。ニーバリは最後の山岳で温存したパワーを発揮するだけでよかった。ニーバリがアタックしても、総合2位ねらいのティボー・ピノ(エフデジュポワンエフエル)やジャンクリストフ・ペロー(AG2Rラモンディアール)のフランス勢は追走しなかった。

29歳にしてグランツールを全制覇したニーバリ。次なる目標は世界選手権。イタリアチームのエースとして6年ぶりのアルカンシエル獲得に挑むという。

左から新人賞のティボー・ピノ、総合優勝のニーバリ、ポイント賞のペテル・サガン、山岳賞のマイカ

世界最高峰のこのレースを代表する選手になった新城

新城幸也は総合65位で、自身が2012年に記録した84位を上回る日本選手の最上位記録を更新。5度の出場ですべて完走。ジロ・デ・イタリアの2回を加えるとグランツール7回出場で全完走という安定感を見せた。

第5ステージ、雨の石畳を走るトマ・ボクレールと新城幸也

2014年の新城は安心感があったし、実際に休息日に訪ねてみてもこれまで以上にリラックスしていた。初出場となる2009年は集団スタートの初日に区間5位になったことが結果的に重圧となり、精神的に追い詰められた状態での戦いを余儀なくされた。しかし、出場回数を増すごとに新城自身が「一番楽しみにしているレース」というこの大会でどう走ったらいいのかを知ることになる。

この年は、記録の上では派手な数字はないが、23日間を通して存在感を見せつけた。アルプスやピレネーの山岳ステージで一度もグルッペットでゴールしなかったのは、ツール・ド・フランスの走り方を知り尽くしている証拠だ。

ピレネーの第18ステージでも新城幸也はエースのボクレールを援護した

安定感のある走りは視野の広さを提供する。そのステージのどこに知り合いのカメラマンがいたか。日の丸を掲げている人がどこで応援してくれたか。すべてがよく見えている。世界最高峰のレースだからとムキにならず、自然体でなにごともなかったかのようにパリ・シャンゼリゼにゴールする。区間勝利はなかったが、その実力は世界レベルに上り詰めた。

フランス南西部は一面のヒマワリ畑が広がる

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