エガン・ベルナルがツール・ド・フランスさいたま参戦

10月27日に開催されるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの出場選手が9月27日に発表され、2019ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス)が初参戦することが明らかになった。また大会アンバサダーとしてドイツのマルセル・キッテルが来日することが発表された。

2019ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

山岳賞を獲得したロマン・バルデ(AG2Rラモンディアル)、リオデジャネイロ五輪のロードレースで銀メダルを獲得したヤコブ・フルサング(アスタナ)、2018年のさいたまクリテリウムで優勝を果たした、2018年世界チャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、2018年のヨーロッパチャンピオンであり、2019年もツール・ド・フランスでステージ優勝したマッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)、ツール・ド・フランスでステージ優勝の経験もあるリリアン・カルメジャーヌ(トタル・ディレクトエネルジー)など豪華メンバーがさいたまに集結する。

また、国内参加選手として、全日本選手権ロードレースで優勝した入部正太朗(シマノレーシング)をはじめ国内トップクラスの選手が出場。さらに女子、男子ジュニア、パラサイクリング、そして予選会を勝ち上がったアマチュア選手など幅広いカテゴリーの選手が一堂に集い、大会を盛り上げる。

海外招聘選手は6チーム25名、国内参加選手は7チーム27名、女子選手・男子ジュニア選手は7名、パラサイクリング選手は7組8名、アマチュア選手4名、総勢71名の出場となる。

2013年にツール・ド・フランス総合優勝のフルームらが相撲に挑戦したとき、右端の顧問のとなりでほほえましく見つめるのが現貴景勝 © Yuzuru SUNADA

●イネオス(英国)
エガン・ベルナル(コロンビア)
クリストファー・フルーム(英国)
ヨナタン・カストロビエホ(スペイン)
イバン・ソーサ(コロンビア)

2019ツール・ド・フランスで山岳賞を獲得したロマン・バルデ ©A.S.O. Pauline BALLET

●モビスター(スペイン)
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
マルク・ソレル(スペイン)
イマノル・エルビティ(スペイン)
アントニオ・ペドレロ(スペイン)

2018ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを制したアレハンドロ・バルベルデを中央に、左が2位ゲラント・トーマス、右が3位新城幸也 © letour.fr

●AG2Rラモンディアル(フランス)
ロマン・バルデ(フランス)
オリベル・ナーゼン(ベルギー)
ミカエル・シュレル(フランス)
ブノワ・コズネフロワ(フランス)

2017クリテリウム・デュ・ドーフィネで総合優勝したヤコブ・フルサング(アスタナ)

●アスタナ(カザフスタン)
ヤコブ・フルサング(デンマーク)
ヤン・ヒルト(チェコ)
オマール・フライレ(スペイン)
マヌエレ・ボアーロ(イタリア)

マッテオ・トレンティンが第17ステージを制した ©ASO Alex BROADWAY

●ミッチェルトン・スコット(オースラトリア)
マッテオ・トレンティン(イタリア)
ダリル・インピー(南アフリカ)
ルカ・メズゲッツ(スロベニア)
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)

リリアン・カルメジャーヌ ©A.S.O. Pauline BALLET

●トタル・ディレクトエネルジー(フランス)
リリアン・カルメジャーヌ(フランス)
レイン・タラマエ(エストニア)
アントニー・テュルジス(フランス)
ジェローム・クザン(フランス)

新城幸也が鷹匠に挑戦 © Yuzuru SUNADA

●バーレーン・メリダ
新城幸也(日本)

●スペシャルチームジャパン for さいたま
前田公平
ほか3選手は調整中

●チーム右京
畑中勇介
小石祐馬
横塚浩平
武山晃輔

●宇都宮ブリッツェン
鈴木譲
阿部嵩之
堀孝明
小野寺玲

●シマノレーシング
入部正太朗
木村圭佑
黒枝咲哉
中井唯晶

●ブリヂストンサイクリング
窪木一茂
近谷涼
橋本英也
沢田桂太郎

●愛三工業レーシングチーム
住吉宏太
岡本隼
大前翔
早川朋宏

●マトリックスパワータグ
アイラン・フェルナンデス(スペイン)
佐野淳哉
安原大貴

女子選手・男子ジュニア選手7名

女子選手は、全日本選手権の女子U17+ジュニアロードレース個人タイムトライアルで優勝をした岩元杏奈が初出場。男子ジュニア選手は、全日本選手権の男子ジュニアロードレースで優勝をした津田悠義が2年連続で出場。ほか5選手は調整中。

岩元杏奈(日本体育大)
津田悠義(愛知・三好高 / EQADS準所属)

パラサイクリング選手7組8名

全日本女子パラサイクリングで2種目制覇した杉浦佳子(右)。左が藤井美穂 ©2019 JCF

パラサイクリング選手は、2019 パラサイクリング世界選手権の女子ロード個人タイムトライアルロードレースで準優勝した杉浦佳子、リオデジャネイロパラ五輪で銀メダルを獲得した藤田征樹、2020東京でパラ五輪の初出場を目指す藤井美穂らが出場。

杉浦佳子
藤井美穂
藤田征樹
川本翔大
福井万葉=トライシクル
松本亘=ハンドサイクル
木村和平=タンデム。パイロットは倉林巧和

アマチュア選手4名

ツール・ド・フランスさいたま出場権を獲得した(右から)松崎琢仁、福原大、佐藤伊織、廣瀬博子

予選会を勝ち上がった4選手が出場権を獲得。さいたま市を拠点に活動しているサイタマサイクルプロジェクトに所属する松﨑琢仁、新たなカテゴリー「男子オーバー40」で出場権を獲得し、サイタマサイクルプロジェクトで監督を務める福原大、全日本選手権個人タイムトライアル男子ジュニアで22位となった高校生の佐藤伊織、年代別のレースで数々の優勝実績を持つ廣瀬博子が出場。

松﨑琢仁(サイタマサイクルプロジェクト)
福原大(サイタマサイクルプロジェクト)
佐藤伊織(プロジェクトアスリーチャー)
廣瀬博子(ペダリスト)

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

ベルナル初制覇を記念したDOGMA F12特別バージョンをピナレロが発売

マイヨジョーヌ100周年記念となった第106回ツール・ド・フランスでその黄色いジャージを獲得したエガン・ベルナル(イネオス)。2019ツール・ド・フランス総合優勝を記念して、エガン・ベルナルが最終ステージで使用したTDFイエローカラーのDOGMA F12を発売する。

また、エガン・ベルナルは総合優勝に加えて新人賞も合わせて獲得していて、それを記念したスペシャルカラーのDOGMA F12も発売する。

チームイネオス発足後初のツール・ド・フランスで総合優勝、そして2018年の覇者ゲラント・トーマスも総合2位に入るなど素晴らしい結果となった。ピナレロにとってもDOGMA F12発表の年であり、ツール・ド・フランス15回目の勝利を祝うスペシャルモデルとなった。

総合優勝を確実にしたベルナルを前年の覇者トーマスが祝福 ©Nico Vereecken/PNBettiniPhoto©2019
2019ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

DOGMA F12は最強マシン

DOGMA F12は、世界最高との呼び声が高いDOGMA F10をしのぎ、再びグランツールを制覇するバイクとなるべく開発、これまで蓄積された空気力学および構造力学的な知識や経験を生かし、「F」の称号を与えるにふさわしいバイクとなるようデザインされた。

開発にあたって特に留意された点は、エアロダイナミクス特性の向上、フレーム構造の軽量化と剛性アップ、最新コンポーネントとの互換性、ピナレロフィーリングの維持、これらを開発コンセプトとしてDOGMA F12は開発を進められた。

外部に露出している各種ケーブルの内装化を進め、ケーブルハウジングが受ける空気抵抗の85%を軽減。新しくDOGMA F12のために開発されたMOST Talon Ultraインテグレーテッドハンドルバーは、従来のTalon Aeroと比較して空気抵抗を5%軽減している。

新しいF12フロントフォークは、「ONDA」の形状を維持したまま空気抵抗を軽減するため側面が拡大されている。F10とF12のフロントフォークをCFD解析で比較した結果、F12フロントフォークは15.7%の空気抵抗軽減に成功した。

ダウンチューブ、ヘッドチューブ、ボトムブラケットなど、あらゆる箇所で空気抵抗を削減する試みを取り入れバイク単体で7.3%の空気抵抗を削減することに成功し、DOGMA F12とDOGMA F10で40km/hの同条件での走行を比較すると、DOGMA F12の方がパワーを8ワットセーブして走行できることが証明された。

ボトムブラケット~チェーンステイのエリアにおいて、パワー伝達効率の改善は、F10と比較して剛性が10%向上しているという。

DOGMA F12 ツール・ド・フランス マイヨジョーヌ スペシャルエディショ

DOGMA F12  Yellow TDF 2019
フレームセット 78万円(以下すべて税別)
DOGMA F12 DISK Yellow TDF 2019
フレームセット 81万円
MOST TALON ULTRA TDF Yellow Decal インテグレーテッドハンドル 11万6000円
※写真は選手の実車で、発売されるフレームセットのデザインとはデカールなど含め細部が異なり、手書きのサインは入らない

DOGMA F12 ツール・ド・フランス マイヨブランスペシャルエディション ©Makoto.AYANO/cyclowired.jp

DOGMA F12  White TDF 2019
フレームセット 86万円
DOGMA F12 DISK White TDF 2019
フレームセット89万円
MOST TALON ULTRA TDF White インテグレーテッドハンドル 13万2000円
※写真は選手の実車で、発売されるフレームセットのデザインとはデカールなど含め細部が異なり、手書きのサインは入らない

●カワシマサイクルサプライのホームページ

ツール・ド・フランスはまさかの降雪でベルナルが逆転王手

第106回ツール・ド・フランスは7月26日、第19ステージがアルプスの山岳ステージとして開催されたが、突如の降雪で危険な状態となり、レース打ち切り。直前の峠を通過したタイムが総合成績に反映されることになり、前日まで1分30秒遅れの総合2位の位置にいたイネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)が首位に立った。

2019ツール・ド・フランス第19ステージでマイヨジョーヌを獲得したエガン・ベルナル ©ASO Pauline BALLET

【ティーニュ(フランス)山口和幸】アルプス2日目はイズラン峠からの下り坂が突如の降雪で危険な状態となり、レース打ち切り。89km地点のイズラン峠頂上を通過したタイムが総合成績に反映されることになった。前日まで1分30秒遅れの総合2位の位置にいたイネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)が、頂上で首位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)に2分以上の差をつけていて、初めて首位に立った。

選手がやってくる直前にまさかの雪崩が道路をふさぐ

大波乱の1日。そしてフランス中が失意のどん底に。前日までベルナルから15秒しか遅れていなかった総合5位のグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)が左太もものケガでレース途中にリタイア。涙を流しながら自転車から降り、チームカーに乗り込んだ。

さらにレースは思いもよらぬ事態に襲われる。標高2770mのイズラン峠で波乱があった。前年の覇者でベルナルとダブルエースを組むゲラント・トーマス(英国)が急加速。たまらずアラフィリップが脱落すると、ベルナルがアタック。トーマスや先行していた選手らを追い抜き、イズラン峠をトップ通過したのはベルナルだ。トーマスらの有力選手は50秒遅れ、アラフィリップは2分07秒遅れてこの頂上を通過した。

ベルナルらが下り坂を全力で走っているときに、その先のコースが冠雪。みぞれが雪崩のように路面になだれ込んだことで、レースディレクターが安全上の理由でレース中止を決定。ステージ優勝者はなしとし、総合成績はイズラン峠を通過したタイム差を反映することを全チームと関係車両に無線で通告した。

この結果、ベルナルがアラフィリップを逆転して首位に。チームメートのトーマスは1分03秒遅れの3位となった。

冠雪がなければ、レースは下り切ってもうひとつの山岳を上っていた。アラフィリップが下りを利用して差を詰めたか、最後の坂でさらに差をつけられるという2つの可能性があった。またトーマスが最後の上りでどんな走りをしたかマイヨジョーヌの着用者が変わっていた可能性もあった。

優勝候補として最も注目されたベルナルがこんな異例の事態でマイヨジョーヌを獲得したのだ。
「なにが起こっているのかまったく分からなかった。無線でレースが終わったと言われ、立ち止まったら監督からマイヨジョーヌだと言われた」と感激で涙ぐむベルナル。

「明日は短いステージなので最後まで全力で行く。もしコロンビアで初めての総合優勝者となったらそれは快挙だよ」

●エガン・ベルナルのTwitter

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トーマスとベルナルがツール・ド・フランス参戦…イネオスがメンバー発表

英国のイネオス(旧スカイ)が7月6日に開幕する第106回ツール・ド・フランスの出場8選手を6月28日に発表した。連覇をねらう英国のゲラント・トーマスとコロンビアのエガン・ベルナルらが選出された。

●イネオスのツール・ド・フランス出場8選手
エガン・ベルナル(コロンビア)
ヨナタン・カストロビエホ(スペイン)
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)
ジャンニ・モスコン(イタリア)
ワウト・プールス(オランダ)
ルーク・ロウ(英国)
ゲラント・トーマス(英国)
ディラン・ファンバーレ(オランダ)

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●ツール・ド・フランスのホームページ

エガン・ベルナルが鎖骨骨折でジロ・デ・イタリア欠場へ

5月1日からチーム名称がイネオスとなり、その名を世界中にアピールする機会となる最初のメジャーレース、ジロ・デ・イタリアにエースとして参加するはずだったエガン・ベルナル(コロンビア)が直前の練習中に鎖骨骨折。レースを断念せざるを得なくなった。

イネオスのエガン・ベルナル ©Team INEOS

第102回ジロ・デ・イタリアは11日、ボローニャで開幕するが、ベルナルが負傷したのは4日。チームメートで前年の覇者であるクリストファー・フルーム(英国)は7月のツール・ド・フランスに照準を合わせるために欠場する予定で、22歳のベルナルがエースとしてジロ・デ・イタリアに初参戦するはずだった。

2010年のチーム発足以来、ツール・ド・フランスで6度の総合優勝を手中にしてきた英国のスカイは、スポンサーとなるテレビ局が撤退したことにより、月1日から英国の大手化学企業イネオスの名称に変更。前年の覇者フルームが大会を欠場することで、再出発となった強豪チームはエースナンバーをベルナルに託す計画だった。

ベルナルは今季パリ〜ニースで総合優勝。ジロ・デ・イタリア初制覇の可能性も高かった。ケガの回復を見て7月のツール・ド・フランスに復帰することが想定される。

ベルナルが新生イネオスのエース…ジロ・デ・イタリア5月11日開幕

5月11日から6月2日まで行われる第102回ジロ・デ・イタリア。総合優勝をねらう有力選手を、主催する RCS/ラ・ガゼッタデッロスポルトがピックアップ。バーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、サンウェブのトム・デュムラン(オランダ)、ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)、ミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツ(英国)、アスタナのミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)、そしてイネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)の6選手だ。

ビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

バーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ ©LaPresse

2013、2016ジロ・デ・イタリア総合優勝。2017年に総合3位となって以来、2年ぶりに参戦。2010ブエルタ・ア・エスパーニャ、2014ツール・ド・フランスと合わせて今大会唯一の三大大会覇者。34歳にして総合優勝の有力候補。ツアー・オブ・アルプスで総合3位になり、カナリア諸島でのトレーニングをこなして万全の態勢で乗り込んでくる。

「ジロ・デ・イタリアに向けた調整はいつもの通り。標高の高いところでトレーニングを積み、ツアー・オブ・アルプスで実戦に突入。そしてリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに出場。コンディションはいい感じで高まっている。短いタイムトライアルで始まる今年の大会は、総合優勝を争う有力選手にとってそれがキーとなってくる。

序盤戦は標高の高い山岳がないとはいえ、コースがとても難しいので過小評価するべきではない。だれもが第1週目から強さを見せつけたいという野望を持っているから、有力チームのキャプテンは驚くような動きをするかも知れない」(ニーバリ)

トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

トム・デュムラン © LaPresse -Gian Mattia D’Alberto

2017年の第100回ジロ・デ・イタリアで総合優勝した28歳。2016年大会が故郷とも言えるアペルドールン(オランダ)で開幕したのがきっかけで、ジロ・デ・イタリアとマリアローザの魅力に心を奪われたという。2018年はクリストファー・フルームと激闘して総合2位。今回は4年連続出場となる。

ニーバリとともに大会の優勝経験者として臨むが、これまでのマリアローザ着用日数は17日間で、ニーバリの記録にわずか3日少ないだけ。UAEツアーで6位、ティレーノ〜アドリアティコで4位。高地トレーニングキャンプをこなし、トップフォームで乗り込んでくる。

「常にジロ・デ・イタリアを念頭に置いてシーズンを戦っている。今回も偉大なレースであり、スゴいコースだ。激しい戦いになることが予想されるけど、そのための準備はできている。開幕地ボローニャにいい感じで乗り込むことができそうだ」(デュムラン)

プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

ティレーノ〜アドリアティコで総合優勝したプリモシュ・ログリッチェ ©LaPresse/Fabio Ferrari

スロベニア出身の29歳。その名前が初めて知れ渡ったのは3年前のジロ・デ・イタリア大会初日。オランダのアペルドールンで行われた個人タイムトライアルでトップタイムのトム・デュムランに100分の1秒のタイム差で2位になったときだ。ドイツ登録のサンウェブも事実上のオランダチームで、ログリッチェが所属するユンボ・ヴィスマとはライバル心がある。今回も両者が得意とするタイムトライアルの成績で3週間にわたるグランツールの戦い方が変わりそうだ。

今回の初日はボローニャのサンルーカ聖堂にゴールするヒルクライムタイムトライアル。ツール・ド・ロマンディーの前に参加した2レース、UAEツアーとティレーノ〜アドリアティコでログリッチェはだれにも負けていない。ジロ・デ・イタリア総合優勝は2019シーズン最大の目標と表明している。

「このジロ・デ・イタリアには素晴らしい選手が出そろった。マリアローザを獲得することがチーム最大の目標だ。タフなレースになるだろう。ボクに向いたコースだと報じられるけど、調子がよければだれにでもチャンスがあるコースだと思う。絶好調ならどんな山岳も行けるからね。個人タイムトライアルが3回あるのは、勝てるチャンスがある要因だ。山岳の要素も極めて多いのもボクは好きだ」(ログリッチェ)

サイモン・イェーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)

サイモン・イェーツがジロ・デ・イタリア第6ステージでマリアローザ © Massimo Paolone – LaPresse

2018年に13日間マリアローザを守り続けた26歳は、それをきっかけに選手として新たな可能性を見出した。トム・デュムランやクリストファー・フルームには個人タイムトライアルでかなわないが、最大限の犠牲をもって1秒でも攻撃の手を緩めなかったことで、歴史に残るバトルに加わった。

しかしアルプスで陥落し、最終的に総合21位に。グランツール制覇に失敗したことを経験値とし、半月後にはブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝。今回のジロ・デ・イタリアで1年前のリベンジを期す。

「特別なことはせず、他のレースと同様にジロ・デ・イタリアに乗り込む。どんなレースでも勝つために挑戦するのが大好きだし、プロとして普通のビジネスだ。昨年のジロ・デ・イタリアとやり方はほぼ同じ。事前に走ったレース数もほぼ変わらない。アグレッシブに走りたいが、最終週はとても厳しいものになることが想定できるので、それを見越してシェイプしていきたい」(イェーツ)

ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

ミゲルアンヘル・ロペスが地元コロンビアで総合優勝 ©Maximiliano Blanco/Getty Images

2018年はジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャで総合3位の表彰台に乗った25歳のコロンビア選手。シーズン序盤のステージレース2大会で総合優勝したのはログリッチェと同じ。ツアーコロンビアとボルタカタローニャだ。4月にはコロンビアに帰って高地トレーニングを積んだだけでなく、第一子の誕生を迎えた。2019シーズンは絶好調のアスタナチームにあって、押しも押されぬエースにまで成長した。山岳での走りが注目されている。

「ジロ・デ・イタリアの開幕を心待ちにしていた。昨年の成績は高いモチベーションとなったので、今年も同じくらいかそれ以上に活躍したい。少なくともチームは記憶に残るような成績を修めることが目標だ」(ロペス)

エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス)

イネオスのエガン・ベルナル ©Team INEOS

前年の覇者フルームが欠場し、22歳のルーキーがエースとしてジロ・デ・イタリア初参戦。2018シーズンはアシスト役としてフルームのジロ・デ・イタリア、ゲラント・トーマスのツール・ド・フランス総合優勝に大きく貢献していて、エースとして走るジロ・デ・イタリアでは最も注目されている。

イタリアとの縁は深い。ジュニア選手時代にイタリアのアンドローニジョカットーリ・シデルメックに所属してMTBレースを走っているからだ。2019シーズンはパリ〜ニースで総合優勝し、チーム名称を変更したディフェンディングチャンピオンチームのエースとしてボローニャ入りする。

【5月5日に追加されたニュース】エガン・ベルナルが鎖国骨折でジロ・デ・イタリア欠場へ

他の有力候補はボブ・ユンゲルス(ドゥークニンク・クイックステップ)、ミケル・ランダ(モビスター)、ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)ら。

🇮🇹第102回ジロ・デ・イタリアの特集サイト