マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパン富士山を制して総合1位に

ツアー・オブ・ジャパンの最難関である富士山ステージが5月26日に静岡県小山町で開催され、キナンサイクリングのマルコス・ガルシアがフィニッシュまでの約7kmを独走。後続を一切寄せ付けない圧倒的な強さで悲願の富士山ステージ優勝を飾った。これにより、チーム内でリーダージャージが引き継がれ、前日に首位に立ったチームメートのトマ・ルバからガルシアの手に渡った。この第6ステージは新調されたコースセッティングのもと、ふじあざみラインの5合目を目指すヒルクライムレースとして行われた。

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパン富士山ステージで圧倒的な勝利 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会中盤戦から勢いが増したキナン勢の戦いぶり。チーム力を示す結果として前日の第5ステージ、南信州でルバが逃げ切りでステージ優勝。さらにはリーダージャージを獲得。個人総合で2位以下に1分以上の差をつけ、チーム内ステージ上位3選手のタイム合算で競うチーム総合でも首位に浮上。個人・チームともに最高のポジションで残るステージを戦うことになった。

そして迎えたこの日の富士山ステージ。キナン勢はリーダージャージとチーム総合のキープを念頭に置きつつ、山岳スペシャリストのガルシアでの上位進出もねらう構え。中島康晴、山本大喜、新城雄大の日本人ライダーがレース序盤を構築し、本格的な上りに入ってからはルバ、ガルシア、サルバドール・グアルディオラに勝負を託すことになる。

これまで数多くの伝説が生まれ、総合争いでも決定的瞬間が訪れた「ふじあざみライン」の上り。2018年からコース変更がなされ、2020年東京五輪個人ロードのフィニッシュ地点である富士スピードウェイの西ゲートからスタート。しばらく進んだのち、登坂距離11.4km、平均勾配10%、最大勾配22%のふじあざみラインへと入っていく。そしてフィニッシュは、富士山須走口5合目。レース距離はこの大会のロードレースステージにおいては最短の32.9kmとなる。

ツアー・オブ・ジャパン富士山ステージに挑むキナンチーム ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

正式スタートが切られると2選手が逃げを試みる。これを容認し、メイン集団のペーシングを図ったのはキナン。中島、山本、新城の3選手が先頭交代を繰り返しながら、安定したペースで進行。途中1人を逃がしたが、大勢に影響しないと判断し、そのまま3選手の逃げグループとして先行させる。一時は約1分となった逃げグループとのタイム差だったが、キナン勢の絶妙なペースコントロールもあり、徐々にその差が縮まっていく。ふじあざみラインに入ると同時に逃げていた3人をキャッチし、本格的な上りへと入っていった。

スタート直後から集団を牽引したキナン勢3選手が役目を終えると、レースはいよいよサバイバルに。集団から1人、また1人と後退し、力のある選手だけが生き残る状態となる。フィニッシュまで残り9kmを切ったところで、クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)がアタック。2kmほど先行させたところで、メイン集団に決定的な動きが訪れる。動いたのはガルシアだ。

勢いよく集団から飛び出すと、グイグイと厳しい上りを突き進んでいく。すぐにハーパーをパスし、独走へと持ち込む。一定ペースを保って上るメイン集団にはルバとグアルディオラが待機。先を行くガルシアとは1分前後のタイム差で推移したが、終盤にかけてその差は広がることに。その間、メイン集団から追走をねらう選手の飛び出しがあったものの、ガルシアに追いつくまでには至らなかった。

登坂力の違いを見せつける格好となったガルシアの独走劇。最後までスピードは衰えることがないまま、富士山須走口五合目のフィニッシュエリアへと姿を現した。最後はバイクから降りて、自身に力を与えたヨネックスロードバイク「カーボネックス」を天高く掲げてみせた。過去2度、このステージでの優勝をねらいながら跳ね返されてきた悔しさを晴らす、雪辱の勝利。ツアー・オブ・ジャパン通算では2017年の第7ステージ(伊豆)に続く2勝目、プロ通算では4勝目とした。そして、チームとしても前日のルバに続く2連勝となった。

ガルシアのフィニッシュ後、追走を図った2選手に続いてメイン集団でレースを進めた選手たちが続々とやってきた。リーダージャージのルバをケアし続けたグアルディオラは自慢の登坂力を発揮し、ガルシアから2分4秒差の7位、さらに9秒差の10位にルバも続き、キナン勢がトップ10に3人を送り込んでチーム力を証明。レース序盤のコントロールを担った中島、山本、新城も走り切り、次のステージへ駒を進めている。

これらの結果から、グリーンのリーダージャージはルバからガルシアへ移動。チームリーダー2人がここまで予定通りに戦いを進めている。ガルシアは2位に総合タイム差39秒としている。また、個人総合3位につけるルバは同2位の選手との差17秒。同6位にグアルディオラが続くが、前後の順位が僅差となっていることから、さらなる総合ジャンプアップの期待が高まっている。

同時にトップを走るチーム総合でもリードを広げ、後続に5分以上の差をつけている。山岳賞でもガルシアが首位と1ポイント差の2位に浮上していて、キナン勢の複数タイトル獲得の可能性も出てきている。

熱い戦いが続く大会は終盤戦へ。26日に実施される第7ステージは、日本サイクルスポーツセンター内のサーキットコースがメインとなる通称「伊豆ステージ」。2018年から修善寺駅前を出発してのパレード走行が行われ、その後しばしのワンウェイルートを経て、1周12.2kmのサーキットへと入る。周回数は9回。テクニカルなコーナーやアップダウンが連続する難コースは、山岳ステージに匹敵するレベル。有力チームが捨て身の攻撃に出ることが例年の流れで、2018年もサバイバルレースが予想される。

2018年はこのステージでガルシアが感動のプロ初勝利を挙げたが、2018年はプロトンのリーダーとしてレースを迎えることになる。キナン勢はいかに戦うか。リーダージャージの堅守が最大のミッションとなるが、その他さまざまなチャンスにかけて、トライを続けていく。

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパンの総合1位に ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ツアー・オブ・ジャパン第6ステージ結果(32.9km)
1 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 1時間19分19秒
2 ヘルマン・ペルシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +28秒
3 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分48秒
4 ホセマヌエル・ディアス(スペイン、イスラエルサイクリングアカデミー) +2分0秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分4秒
6 ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)
7 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +2分13秒
70 中島康晴(KINAN Cycling Team) +20分3秒
71 山本大喜(KINAN Cycling Team)
75 新城雄大(KINAN Cycling Team) +23分10秒

個人総合時間
1 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 14時間2分52秒
2 ヘルマン・ペルシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +39秒
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +56秒
4 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +2分5秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分11秒
6 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分17秒
56 中島康晴(KINAN Cycling Team) +31分27秒
59 山本大喜(KINAN Cycling Team) +34分2秒
70 新城雄大(KINAN Cycling Team) +44分34秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 72pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 41pts
14 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 14pts
17 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 13pts
36 新城雄大(KINAN Cycling Team) 6pts

山岳賞
1 小石祐馬(チームUKYO) 16pts
2 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 15pts
9 新城雄大(KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 KINAN Cycling Team 42時間12分4秒

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
チーム全体でレースをコントロールできた1日だった。アシストには序盤を中心に集団をコントロールしてもらい、本格的な上りが始まってからは力勝負に持ち込んだ。その結果、私が勝利することができた。上りで力を発揮できたのは、チームメートが序盤からリズムを作ってくれたからこそ。独走になってからは自分のペースを保って走ったが、すべてがプラン通りに運んだ。後続との総合タイム差39秒は決して安全なタイム差とは言えない。特に伊豆のコースは難しく、どんなレース展開でも起こり得る。それでもチームメートを信じて走れば、きっとリーダージャージはキープできると思う。

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キナンサイクリングのトマ・ルバ(フランス)が5月24日に長野県飯田市で行われたツアー・オブ・ジャパン第5ステージ(南信州ステージ)で優勝し、総合成績で首位に立った。ルバは残り2周回に入った直後にメイン集団を飛び出し、ともに逃げた選手とのマッチスプリントを制した。この会心の逃げ切りによって、ルバは個人総合でも首位に浮上。グリーンのリーダージャージに袖を通した。また、サルバドール・グアルディオラ、マルコス・ガルシアもメイン集団でフィニッシュ。これが奏功し、チーム総合でも1位に。個人、そしてチームの力を証明し、残るステージでさらなるトライを続けていくことになる。

トマ・ルバがツアー・オブ・ジャパン南信州ステージを制した ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

折り返し地点を過ぎた大会は、いよいよ本格的な山岳での戦いが始まった。その皮切りとなるのがこの南信州ステージ。飯田駅前から7.3kmのパレード走行を経て、1周12.2kmのサーキットコースへと入り10周回。勾配10%を超える急坂の先には、標高561mの山岳ポイントが控えるほか、テクニカルなダウンヒル、そして名物の鋭いヘアピン「TOJコーナー」が登場する。

フィナーレは周回から離脱し、1.6km先のフィニッシュライン。特に最後の1kmは直線で、例年この区間で劇的な幕切れが待つ。キナンは第4ステージを終えて、マルコス・ガルシア、ルバ、サルバドール・グアルディオラが総合上位に位置。南信州でさらなるジャンプアップを視野に入れつつ戦う。アシストとして期待されるのが、前日の逃げで存在感を示した新城雄大、中島康晴、山本大喜の3人だ。

レースはスタート直後から出入りが激しいものとなる。パレードを終え、周回に入るとすぐに厳しい登坂が待ち受け、集団から次々と選手たちが脱落していく。キナン勢はしっかりとメイン集団に位置して1周回目を終える。逃げが決まったのは2周目。9人が抜け出した中に、キナンからはグアルディオラを送り込むことに成功。有力チームの多くがこの逃げにメンバーを送り出すが、その中でも個人総合最上位のグアルディオラは、持ち前の登坂力でもライバルチームにプレッシャーを与える。しばらくはメイン集団との差は約1分で推移したが、3周目に入ってからは約2分30秒差にまで開いた。

しかし、この形勢を嫌った他チームがメイン集団のペースアップを試み、グアルディオラらの逃げに迫っていく。一時は20名程度が追走グループを作りかけるが、後続も追随し、結果的にハイスピードのまま逃げをとらえることとなる。5周目に逃げから3人が再度飛び出すが、グアルディオラらはいったんメイン集団へ戻って、次の展開に備えた。

先行を続けた3人も6周目にはメイン集団がキャッチ。代わってダミアン・モニエ(フランス、愛三工業)が7周目に入って独走を開始。メイン集団はモニエの動きを容認し、最大で2分45秒にまで広がった。

南信州ステージの上りでルバとガルシアが先頭に上がってきた ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

この日最大の局面は9周目に入った直後にやってきた。上りを利用してアタックを仕掛けたのはルバ。これにホルヘ・カミロ・カスティブランコ(コロンビア、イルミネイト)が続く。勢いに乗った2人は協調しながらモニエを追走。2分以上あった差はあっという間に縮まり、10秒差として最終周回へ。この頃には、ルバたちとメイン集団とは約2分差となっていた。

ルバたちは労せずモニエに合流すると、そのままパスして先頭に立つ。カスティブランコとの協調体制は崩れることなく、後続との差を保ちながら先行を続ける。ダウンヒル区間でメイン集団から1人飛び出すが、十分なリードを得たルバたちは後続の追随を許さず、フィニッシュへ向かう最後の1.6kmを迎えた。

勝負は最後の直線へ。最終局面でルバはカスティブランコの後ろにつけ、仕掛けどころを探る。そして残り150mでその時はやってきた。満を持してルバが加速し、カスティブランコをかわす。そのまま前を譲ることなく、誰よりも早くフィニッシュラインへ。最後はきっちりチームスポンサーの「キナン」をアピールして勝ち名乗りを挙げた。

ルバの歓喜のフィニッシュから1分19秒後、メイン集団がフィニッシュ。ライバルチームの追い上げ阻止に努めたグアルディオラとガルシアが、それぞれ7位と11位。レース前半から中盤にかけてアシストに努めた中島、新城、山本もきっちりと走り終えている。ルバの勝利によって、レース後のチームピットは歓喜に沸いた。

ルバにとって今季初勝利は、個人総合首位に立ってリーダージャージも獲得するという価値あるものに。チームにとっても、この大会での勝利は2017年第7ステージでのガルシアに続く通算2勝目。リーダージャージ着用はチーム創設史上初となる。そしてルバは後続に総合タイム差1分以上のリードを得て、次のステージを迎えることになった。さらには、チーム内ステージ上位3選手のタイム合算で争われるチーム総合でも首位浮上を果たしている。

日本各地をめぐり熱戦が繰り広げられている今大会。25日はいよいよツアー・オブ・ジャパン名物「富士山ステージ」がやってくる。これまで数多くの伝説が生まれ、総合争いでも決定的瞬間が訪れた「ふじあざみライン」の上り。2018年からコース変更がなされ、2020年東京五輪のフィニッシュ地点として予定されている富士スピードウェイの西ゲートからスタート。しばらく進んだのち、登坂距離11.4km、平均勾配10%、最大勾配22%のふじあざみラインへと入っていく。そしてフィニッシュは、富士山須走口5合目。レース距離は32.9kmとなる。

キナンは個人・チームともにトップに立ち、集団のリーダーチームとして富士山を上る。ルバのリーダージャージとチーム総合での地位キープにかけて、6選手がさらなる戦いに挑む。

ツアー・オブ・ジャパン南信州ステージで総合1位に躍り出たトマ・ルバ(中央) ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ツアー・オブ・ジャパン第5ステージ結果(123.6km)
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 3時間13分35秒
2 ホルヘ・カミロ・カスティブランコ(コロンビア、チームイルミネイト) +0秒
3 ディラン・サンダーランド(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +20秒
4 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分19秒
5 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
6 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
7 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
11 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
44 中島康晴(KINAN Cycling Team) +9分57秒
58 新城雄大(KINAN Cycling Team)
62 山本大喜(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 12時間42分16秒
2 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分1秒
3 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1分4秒
4 ホルヘ・カミロ・カスティブランコ(コロンビア、チームイルミネイト) +1分6秒
5 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) +1分9秒
6 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分18秒
11 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +1分27秒
13 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +1分30秒
47 中島康晴(KINAN Cycling Team) +12分41秒
51 山本大喜(KINAN Cycling Team) +15分16秒
64 新城雄大(KINAN Cycling Team) +22分41秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 72pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 41pts
15 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +14pts
18 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 13pts
36 新城雄大(KINAN Cycling Team) 6pts

山岳賞
1 小石祐馬(チームUKYO) 16pts
9 新城雄大(KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 KINAN Cycling Team 38時間9分50秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
今日はパーフェクトデーだったね! サルバ(サルバドール)が逃げに入ってくれたことで楽な展開になったし、マルコスとも都度コミュニケーションをとりながらレースを進めた。私のアタックもうまくいった。カスティブランコ選手が私に追いついてからは、協調しながら集団とのタイム差を開くことができ、最終的にステージ優勝までの状況を作り出すことができた。
マルコスやサルバとのコミュニケーションは、ツール・ド・ランカウイやツアー・オブ・タイランドで一緒に走ってきたことで互いをよく知り、よい関係を築いてきた。何でも言い合えるし、それが今日の結果にもつながった。
ツアー・オブ・ジャパン7回目の挑戦でついにリーダージャージを着ることができる。個人総合首位はいつだって気分がよいし、明日の富士山でもビッグパフォーマンスがきっと見せられるはず。マルコスは山岳スペシャリストで、サルバも好調だ。他のメンバーも力があるから、よいレースができると思う。

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新城雄大がチームの士気を上げるロングエスケープ…ツアー・オブ・ジャパン美濃

キナンサイクリングが出場中のツアー・オブ・ジャパンは第4ステージ。岐阜県美濃市を舞台に139.4kmのレースが5月23日に行われ、序盤で形成された逃げグループに新城雄大がジョイン。残り約10kmを切るまで先頭を走り続ける好走を見せ、勝負どころが控える今後のステージにつないでみせた。総合成績では大きな変動はなく、個人ではマルコス・ガルシアがチーム最上位となる10位としている。

ツアー・オブ・ジャパン美濃ステージで新城雄大(右)と阿曽圭佑(愛三工業)が積極的な走りを見せた ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ホームステージとして臨んだ前日の第3ステージは優勝こそならなかったものの、ガルシアのほかトマ・ルバ、サルバドール・グアルディオラが上位でフィニッシュ。総合順位のジャンプアップに成功した。また、観戦に訪れたファンの熱烈な応援にこたえるべく、改めて今大会での上位進出を約束することとなった。

続く第4ステージから大会は中盤戦へ。美濃市の名所「うだつの上がる町並み」からパレードスタートしたのち、1周21.3kmのサーキットを6周。計139.4kmは今大会の最長ステージ。ロングストレートや直角コーナーなど多彩なレイアウトが特徴で、レース全体を通しておおむね平坦。これまではスプリントで勝負が決することが多かったが、2018年は朝からの雨もあり、あらゆるレース展開が想定された。キナンとしては、逃げやスプリントなどからチャンスをうかがいながら、先々に待つ戦いにも視野を広げることを意識づけた。

そのねらい通り、新城が魅せた。正式スタートからしばらくは出入りが激しく、キナン勢では新城や山本大喜が積極的に反応するが、そう簡単には逃げは決まらない。サーキットに入って1周目に山岳賞を争う選手たちが飛び出すと、これに新城ら数人が続く。この動きによって6人の逃げが決まる。やがて5人と人数を減らすが、その後は快調にレースを先行した。

集団が新城らの逃げを容認してからは、タイム差があっという間に拡大。最大で約5分となる。その間、2周目にこの日1回目の山岳賞がやってくるが、ポイント争いはジャージをねらう選手たちに任せ、新城は淡々とレースを進める。一方、他の5選手はメイン集団に待機。それぞれ安全なポジションを押さえながら距離を進めていった。

残り3周回になるとメイン集団がペースアップ。タイミングを同じくして、逃げグループでも上り区間で新城ら2選手が抜け出し、そのまま先を急ぐ。この周回に設けられた2回目の山岳ポイントでは新城が2位通過。3ポイントを獲得している。

新城らは協調を続け、態勢を維持したまま最終周回まで粘り続ける。すぐ後ろに集団が迫る状況となっても逃げの姿勢は崩さない。やがて集団から飛び出した1人が新城らに合流したが、フィニッシュまで残り10kmを切ったところで3人そろって吸収。新城のロングエスケープを終わりを迎えた。

そこからはスプリント勝負に向けた動きへと移る。キナン勢は上りを好位置で通過し、その後のテクニカルなダウンヒルも問題なくクリア。一時はガルシアが先行した場面もあったが、逃げるところまでは至らず。最終局面に向けては中島康晴がポジションを上げて、10番手付近に位置しながら残り1km地点を過ぎた。

そして迎えたスプリントは、有力スプリンターがひしめき合う大混戦。上位進出をうかがった中島だったが、あと一歩前方へ届かないままフィニッシュラインを通過した。

ステージ上位とはならなかったものの、チームは5選手が危なげなくメイン集団でのフィニッシュ。見せ場を作った新城もきっちりとステージを終えている。スタート前から雨が降り始め、レース時は路面がウェットな状態となったが、誰一人トラブルなく走り切り、次のステージへと駒を進めた。総合成績でも大きな変動はなく、ガルシアが個人総合10位、ルバが11位、グアルディオラが13位をキープ。チーム総合でも3位につけている。

24日の第5ステージは長野県飯田市で行われる。南信州ステージとしても知られるレースは、飯田駅前から7.3kmのパレード走行を経て、1周12.2kmのサーキットコースへと入り10周回。勾配10%を超える急坂の先には、標高561mの山岳ポイントが控えるほか、テクニカルなダウンヒル、そして名物の鋭いヘアピン「TOJコーナー」が登場。フィナーレは周回から離脱し、1.6km先のフィニッシュラインを目指す。特に最後の1kmは直線で、例年この区間で劇的な幕切れとなる。

例年、総合争いが動き出すステージでもあり、キナンにとっても取りこぼしは避けたい1日。レース展開に合わせながら、総合ジャンプアップにつながるチャンスを見極めていくことになる。逃げによって強い意志を見せた第4ステージからチームは勢いを増していく。

ツアー・オブ・ジャパン第4ステージ結果(139.4km)
1 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) 3時間23分59秒
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +0秒
3 マルティン・ラース(エストニアス、チームイルミネート)
4 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)
5 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
6 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
17 中島康晴(KINAN Cycling Team)
22 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
24 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
32 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
49 山本大喜(KINAN Cycling Team)
83 新城雄大(KINAN Cycling Team) +4分1秒

個人総合時間
1 グレガ・ボレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 9時間28分23秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +5秒
3 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) +8秒
4 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) +9秒
5 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +17秒
6 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
10 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +26秒
11 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +28秒
13 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +29秒
42 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3分2秒
49 山本大喜(KINAN Cycling Team) +5分37秒
70 新城雄大(KINAN Cycling Team) +13分2秒

ポイント賞
1 グレガ・ボレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 58pts
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 16pts
19 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +10pts
27 新城雄大(KINAN Cycling Team) 6pts
31 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 4pts

山岳賞
1 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 15pts
6 新城雄大(KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 チームUKYO 28時間26分22秒
3 KINAN Cycling Team +5秒

新城雄大

新城雄大のコメント
スタート前から自分か(山本)大喜のどちらかが確実に逃げに入る意識でレースに臨んだ。今大会、ここまでよいところを見せられずにいたので、逃げからアピールできればと思って序盤から攻めた。逃げが決まったのは、山岳賞を争っている3選手が飛び出したタイミング。それに反応して、後からも数人が続いてそのまま逃げグループとなった。自分と阿曽圭佑選手(愛三工業レーシング)は最後まで逃げ切るつもりで走っていて、意思を統一させながら走り続けたが結果的に集団に捕まってしまった。
前日の落車で体が固まっている感覚があったので、それをほぐす意味でもハードに攻める必要があると思っていた。その甲斐あって体がほぐれて、逃げに乗ったことにもつながった。
今日逃げることができたことも含めて、走りの感触は悪くない。明日からの山岳ステージは、総合をねらう選手たちのために上りでのポジション取りなどに力を注ぎたい。また、中島さんや大喜とも連携してチームの上位進出に貢献したい。

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キナンがホームタウンのツアー・オブ・ジャパンいなべステージでチーム力をアピール

キナンサイクリングが世界に誇るホーム、いなべステージ。ツアー・オブ・ジャパン3日目となる5月22日は、チームにとって前半戦のヤマ場となった。美しい自然とはるか遠くを一望できる景色、そしてファンの熱狂と、日本国内最大級のレースにふさわしい盛り上がりを見せた1日は、トマ・ルバのステージ5位を筆頭に、マルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラが上位フィニッシュ。期待されたステージ優勝には届かなかったが、チーム力を証明し、残るステージへの希望がふくらんだ。

キナンチームのホームとなるツアー・オブ・ジャパンいなべステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

三重県最北端に位置するいなべ市を舞台に行われた第3ステージ。三岐鉄道北勢線の終着駅である阿下喜駅前をスタートし、阿下喜温泉前をパレード、その後1周14.8kmのサーキットコースへと入るルート。サーキットは8周回とその前のパレードを含め、この日の総距離は127km。注目は周回前半に設けられる最大勾配17%の激坂区間と、その後のテクニカルなダウンヒル。そして、周回残り1kmを切ってから始まる急坂“イナベルグ”が選手たちの真の実力を試す。

20日の開幕以降、順調に戦いを進めるキナンは、この大会が定めるホームチームとして上位進出をねらうとともに、今後のステージにつながる走りに集中。また、年間を通して同地でサイクリングイベントや小学校での交通安全教室など、地域の人たちとの交流を深めてきた。その集大成となる1日であり、「自転車の街いなべ」をチームの活躍からアピールする役割を担った。

レーススタートに先立って行われたセレモニーでは、いなべ市の日沖靖市長、三重県の鈴木英敬知事のあいさつに続き、中島康晴がチームを代表してコメントし活躍を誓った。そして迎えたパレードスタート。鈴木知事、日沖市長の先導に続き、出走ライダーもコースへ。キナンメンバーがプロトン(メイン集団)の先頭に立って正式スタートを目指した。

3.1kmのパレードを経て始まったレースだったが、約1km進んだところでメイン集団に大規模な落車が発生した。集団前方から次々と選手たちが地面にたたきつけられた中に、山本大喜と新城雄大も巻き込まれてしまう。山本は早々に集団復帰したものの、新城は一時5分以上の遅れとなるが、少しずつタイム差を縮めて集団へと戻った。この間、レースはサーキットコースへ。2人の逃げが容認され、メイン集団はバーレーン・メリダがコントロールを開始。その後ろにキナン勢が続き、次なる動きに備える。

序盤・中盤と形成に大きな変化はなく、逃げとメイン集団とのタイム差は1分前後で推移。6人全員が前方を固めて、たびたびやってくる急坂区間や難所をクリアしていく。やがて集団のペースが上がると、逃げる2人との差はみるみるうちに縮まっていく。その結果、6周回目に逃げグループを吸収。それからもバーレーン・メリダのレースコントロールは変わらず、残り2周回へと入っていった。キナン勢は前方をキープするルバ、ガルシア、グアルディオラのほか、中島も3人のケアに従事。さらに山本と新城も落車のダメージを抱えながら粘り、最終周回へと突入した。

集団ではチャンスにかけてアタックが頻発したが、いずれも決定打には至らず。キナン勢もルバ、ガルシア、グアルディオラが好位置を押さえる。そしてスプリント。フィニッシュラインに向けて上り基調のレイアウトで、4選手が抜け出して優勝争い。その後ろからルバ、ガルシアが続き、5位と6位を確保。さらにはグアルディオラも同集団で12位と続いた。

最終局面で至るところに中切れが発生したが、総合成績を視野に入れるキナン勢3選手はしっかり走り切った。これにより、個人総合順位が上昇し、チーム最上位の10位にガルシア、11位にルバ、13位にグアルディオラとした。さらに、チーム総合でもトップから5秒差の3位に浮上。ねらっていたステージ優勝こそならなかったが、チーム力をホームタウンのファンに示すことができた。

レース後には選手・スタッフが表彰台に登壇し、熱烈な応援への感謝と、残るステージでの上位進出を約束。また、主会場となったいなべ市梅林公園には、チームのサプライヤーである「ヨネックス」「アイ・アール・シー井上ゴム工業」「和光ケミカル」「ディッセターレ」「ウィンクレル」の各社が出展し、レースに訪れた人たちに向けて製品の紹介やブランドアピールを行った。キナンもブースを設置し、今後のレースに向けて調整を進める山本元喜と雨乞竜己のほか、鈴木新史アドバイザー、「SPORTS PRODUCE熊野」からもスタッフが参加し、会場の盛り上げに一役。チームグッズの販売なども行われ、一部商品が完売となるほどの盛況ぶりだった。

23日に行われる第4ステージから大会は中盤戦へ。岐阜県美濃市を舞台に、同市の名所「うだつの上がる町並み」からパレードスタートしたのち、1周21.3kmのサーキットを6周。計139.4kmは、今大会の最長ステージ。ロングストレートや直角コーナーなど、多彩なレイアウトが特徴で、レース全体を通しておおむね平坦。これまではスプリントで勝負が決することが多いが、2018年は果たしてどのようなレース展開となるか。キナンは逃げやスプリントなどあらゆるレース展開を想定しながらチャンスをうかがっていくことになる。

ツアー・オブ・ジャパン第3ステージ結果(127km)
1 グレガ・ボレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 3時間11分57秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +0秒
3 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール)
4 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
5 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム)
6 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +3秒
7 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
12 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
47 中島康晴(KINAN Cycling Team) +2分41秒
56 山本大喜(KINAN Cycling Team) +4分20秒
75 新城雄大(KINAN Cycling Team) +7分48秒

個人総合時間
1 グレガ・ボレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 6時間4分24秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +5秒
3 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) +9秒
4 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +17秒
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
6 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) +18秒
10 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +26秒
11 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
13 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
42 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3分2秒
54 山本大喜(KINAN Cycling Team) +5分37秒
65 新城雄大(KINAN Cycling Team) +9分5秒

ポイント賞
1 グレガ・ボレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 49pts
7 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 16pts

山岳賞
1 小石祐馬(チームUKYO) 10pts

チーム総合
1 チームUKYO 18時間14分25秒
3 KINAN Cycling Team +5秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
スプリント勝負としては惜しいものとなったが、長く続くレース全体を見通せば上々の内容だったと思う。総合成績と明日のステージが楽しみに感じられるものとなった。いなべステージは昨年以上の盛り上がりで、チームにとっても素晴らしい1日だった。その甲斐あって全力を尽くすことができた。美濃ステージはスプリントで決することが多い。個人的にはその先に控える山岳ステージを意識しながら、コンディションのキープに努めたい。チームとしては中島のスプリントで勝負しながら、トラブルやクラッシュに細心の注意を払いながら走りたい。

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キナンのルバがツアー・オブ・ジャパン京都ステージ10位…総合でも好位置

ツアー・オブ・ジャパンは大会2日目となる5月21日に京都で第2ステージを行い、キナンサイクリングはトマ・ルバが10位でフィニッシュ。サルバドール・グアルディオラ、マルコス・ガルシア、中島康晴がメイン集団でレースを終え、それぞれ個人総合でもトップが視野に入る位置をキープしている。

ツアー・オブ・ジャパン京都ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大阪府堺市で行われた前日の第1ステージでは、各選手が無難に2.6kmの個人タイムトライアルを走りきり、この先に控えるレースへの弾みとした。また、本戦に先立って行われたエキシビジョンレース「堺国際クリテリウム」では、中島が逃げに乗ってそのまま優勝争いへ。3位となり、チームとしても上々の今大会の幕開けとなった。

第2ステージは、京田辺市の普賢寺ふれあいの駅からセレモニアルライドがスタートしたのち、パレード区間を経て1周16.8kmのサーキットコースを6周回。合計105km(パレード区間含む)で争われる。サーキットコースは、前半に約3km続く上りが2カ所あるほか、テクニカルなダウンヒルも持ち受ける難コース。総合成績を視野に入れるチームとしては、決して取りこぼしの許されない1日となる。また途中、3周回目と5周回目に山岳ポイントが設けられていて、山岳賞を含めた各賞ジャージをかけた争いも激しくなると予想された。

レースはまず4人がリードを開始。1周目の始まりとほぼタイミングを同じくして容認された逃げグループは、すぐにタイム差を拡大。最大で4分近い差を得ることとなる。キナン勢はいずれもメイン集団に待機。6人全員が前方を確保しながら、次なる展開へと備える。ときおり集団からアタックを試みる選手が現れるが、有力選手の動きに対してはグアルディオラを中心に反応し、先行を許さない姿勢を見せる。

4周目に入って、メイン集団から2人が逃げグループめがけてアタック。この動きに合わせる形で集団も少しずつペースを上げ、前を行く選手たちとのタイム差を縮めていく。5周目に入ると、集団が本格的にペースアップ。消耗の見られる逃げグループとの差はあっという間に縮小した。

メイン集団は逃げとのタイム差を1分24秒として最終周回を示す鐘を聞いた。キナン勢も前方の位置を保ったまま、勝負どころへと向かう。そして、この周回の途中で逃げていた選手たちを吸収。ダウンヒル区間で落車が発生した関係から集団が割れ、前方付近を走っていた約30人にステージ優勝争いが絞られることとなった。

迎えた最終局面。フィニッシュまで残り1kmを前に9人が集団から飛び出すと、牽制状態となったタイミングで宇都宮ブリッツェンの雨澤毅明がアタックし独走に持ち込んだ。残る8人は最後の直線で集団がキャッチ。同時に雨澤を追いながらのスプリントとなるが、トップの形勢は変わらず。雨澤がステージ優勝を決めた。

キナン勢は最終周回で起きた落車によって、山本大喜と新城雄大が後方に取り残されたものの、残る4選手はポジションをキープ。スプリントをねらった中島が進路をふさがれ上位進出はならなかったが、代わってルバが10位でフィニッシュ。グアルディオラ、ガルシアも危なげなくレースを終えた。これによりキナン勢は、メイン集団フィニッシュを果たした4人が総合成績を上昇させた。チーム最上位は中島の18位のほか、ルバ、ガルシア、グアルディオラもトップから16秒以内とし、今後本格化する総合争いに向けて上位を射程圏内にとらえている。

22日は、三重県いなべ市を舞台に第3ステージが行われる。キナンにとっては大切なホームステージ。年間を通して同市でのイベントや自転車普及に取り組んでいて、その集大成となるのがこの大会での活躍を地域の人々に見せることにある。レース前後での各種セレモニーのほか、この日はステージアンバサダーであるゼネラルマネージャー・加藤康則がレース中継での解説を務める。メイン会場となるいなべ市梅林公園には、キナンブースが設けられ、今後のレースに向けて調整を進めている山本元喜と雨乞竜己のほか、鈴木新史アドバイザー、NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」からもスタッフが参加することとなっている。

ツアー・オブ・ジャパン第2ステージ結果(105km)
1 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) 2時間49分29秒
2 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +0秒
3 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ
4 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)
5 オリバー・ウッド(イギリス、JLT・コンドール)
6 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー)
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
17 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
20 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
31 中島康晴(KINAN Cycling Team)
53 山本大喜(KINAN Cycling Team) +50秒
59 新城雄大(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 2時間52分37秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1秒
3 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) +4秒
4 オリバー・ウッド(イギリス、JLT・コンドール) +5秒
5 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) +5秒
6 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +5秒
18 中島康晴(KINAN Cycling Team) +11秒
28 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +13秒
29 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +13秒
31 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +16秒
53 新城雄大(KINAN Cycling Team) +1分7秒
56 山本大喜(KINAN Cycling Team) +1分7秒

ポイント賞
1 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) 25pts
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 6pts

山岳賞
1 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 8pts

チーム総合
1 JLTコンドール 8時間38分7秒
6 KINAN Cycling Team +23秒

サルバドール・グアルディオラ

サルバドール・グアルディオラのコメント
特徴的なコースで、注意が必要な区間もあった。そんな中、われわれはとてもよいレースができ、トマ、マルコス、中島、私とメイン集団でレースを終えられた。京都のコースは美しく、とても楽しめた。いなべステージはチームにとっても大切なレース。あらゆる展開が考えられるが、必ずよい結果を残したい。個人的にも調子がよいし、みんな好調だから今後のステージが楽しみ。山岳になればマルコスやトマを助けるつもりだし、ツアー・オブ・ジャパンを成功に導きたい。

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ツアー・オブ・ジャパンのオープニング「堺国際クリテリウム」で中島康晴が3位

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ツアー・オブ・ジャパンのオープニング「堺国際クリテリウム」で中島康晴が3位

日本国内最大級のステージレース、ツアー・オブ・ジャパンが5月20日に開幕。日本列島を西から東へとめぐる8日間の戦いがスタートした。初日は大阪府堺市で2.6kmの個人タイムトライアルが行われ、キナンサイクリングは中島康晴がチーム最上位の31位で終えた。また、本戦に先立ちエキシビジョンレースとして堺国際クリテリウムが行われ、序盤から攻めた中島が3位に入賞。チームとして今大会を上々の形でスタートさせた。

堺国際クリテリウムで中島康晴が3位 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

全8ステージ・総走行距離764kmで争われる大会。堺市を出発し、27日に東京でフィナーレを迎える。2018年は9カ国から16チームが参戦。UCI(国際自転車競技連合)のチーム登録において最上位カテゴリーのUCIワールドチームから1チーム、第2カテゴリーのUCIプロコンチネンタルチームから2チームが参戦。ワールドクラスのレースが日本で展開される。

この大会に4年連続出場となるキナンは、マルコス・ガルシア、山本大喜、サルバドール・グアルディオラ、トマ・ルバ、中島、新城雄大の6選手をメンバーに選出。2年前に個人総合2位となったガルシア、過去2度の個人総合4位を経験するルバ、山岳を得意とするグアルディオラ、5月上旬のスリランカTカップ個人総合優勝の中島、2018年のアジア選手権ロード2冠の山本、そして春以降絶好調の新城と、まさに現状でのベストメンバーで挑む。そして、個人総合優勝をチーム最大目標として戦う。

大会初日は堺市・大仙公園を囲む周回コースが舞台。選手たちは2.7kmを10周回するエキシビジョンレース「堺国際クリテリウム」に出走。ツアー・オブ・ジャパン出場選手全員が顔見せの意味合いでコースに繰り出し、スピード感あふれるレースを展開。キナン勢は中島が序盤に形成された8人の逃げグループに合流。有力チームの選手たちが加わったこともあり、これを見送ったメイン集団はペースダウン。やがて集団をコントロールするチームが現れるものの、中島らの逃げグループとのタイム差は広がる一方となった。

中島ら8人は安定したペースで先頭交代のローテーションを繰り返す。そのまま優勝争いへと転じ、タイトルを懸けたスプリント勝負となった。フィニッシュへ向けて好位置から加速した中島。スピードに勝る選手に優勝こそ譲ったものの、3位となり表彰台の一角を確保。好調をアピールする快走を披露。また、他の選手たちもトラブルなくレースを終えた。

チームプレゼンテーションを経て、いよいよ戦いは本番へ。例年同様、第1ステージは個人タイムトライアルが設定されたが、2018年からコースレイアウトが変更。2017年まで公園北側を発着としていたが、今回から南側からスタートし、西側の直線でフィニッシュする2.6kmとなった。おおむね平坦ながら、コーナーはいずれもテクニカル。落車やバイクトラブルに注意を払いながら、いかにスピードに乗せて走り切るかがポイントとなる。

キナン勢はルバ、グアルディオラ、中島、新城、山本、ガルシアの順で出走。まずは大きな遅れを喫することなく、体調や脚の具合を確かめながらのレースに。順位のうえでは中島の31位がチーム最上位だったが、各選手ともに仕上がりのよさを実感。いずれの選手もトップから13秒以内の差にとどめ、まずは快調なスタートを切った。

21日は京都での第2ステージ。京田辺市の普賢寺ふれあいの駅からセレモニアルライドがスタートしたのち、パレード区間を経て1周16.8kmのサーキットコースを6周回。合計105km(パレード区間含む)で争われる。サーキットコースは、前半に約3km続く上りが2カ所あるほか、テクニカルなダウンヒルも持ち受ける難コース。途中、3周回目と5周回目に山岳ポイントが設けられており、山岳賞を含めた各賞ジャージをかけた争いも激しさを増すことになる。

ツアー・オブ・ジャパン第1ステージ結果(2.6km個人タイムトライアル)
1 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) 3分12秒00
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1秒05
3 オリバー・ウッド(イギリス、JLT・コンドール) +1秒24
4 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) +1秒73
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1秒80
6 キャメロン・パイパー(アメリカ、チームイルミネイト) +2秒14
31 中島康晴(KINAN Cycling Team) +7秒60
46 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +9秒78
52 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +11秒40
64 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +12秒99
65 新城雄大(KINAN Cycling Team) +13秒67
67 山本大喜(KINAN Cycling Team) +13秒77

個人総合時間
1 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) 3分12秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1秒
3 オリバー・ウッド(イギリス、JLT・コンドール) +1秒
4 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) +1秒
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1秒
6 キャメロン・パイパー(アメリカ、チームイルミネイト) +2秒
31 中島康晴(KINAN Cycling Team) +7秒
46 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +9秒
52 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +11秒
64 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +12秒
65 新城雄大(KINAN Cycling Team) +13秒
67 山本大喜(KINAN Cycling Team) +13秒

ポイント賞
1 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) 10pts

チーム総合
1 JLTコンドール 9分40秒
11 KINAN Cycling Team +23秒

堺国際クリテリウム結果(27km)
1 原田裕成(チームブリヂストンサイクリング)
2 ロイ・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエルサイクリングアカデミー)
3 中島康晴(KINAN Cycling Team)

中島康晴

中島康晴のコメント
たくさんの応援の中で走ることができ、幸せな1日になった。個人タイムトライアルについては、第2ステージ以降の戦いを視野に入れながら全力で走った。向かい風で失速してしまったが、個人的な目標であった3分10秒台ではフィニッシュできたので、調子のよさを実感できるものとなった。
オープニングのクリテリウムで3位に入ることができたが、この先のステージで2位、そして1位と、チームを上昇させていくきっかけになるのではないか。メンバー全員で優勝を目指して走りたい。平坦ステージでしっかり仕事をして、先々に控える山岳ステージにつなげていきたい。山に強いメンバーへよい形でバトンをつなぐという意味で、素晴らしい大会初日とすることができた。

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