秋はサイクリングのベストシーズンだ。山々はみごとな紅葉で彩られ、そんな季節感を肌で感じることができるのが自転車を駆使した行楽の強み。絶景の観光スポットに行くだけが目的ではなく、そこに向かう道中すべてが楽しめる。そこで今回は関東エリアの紅葉満喫ルートを紹介。
紅葉前線は一気に南下中
群馬県の南西部、上野村は神流川が静かに流れる山村だ。清流と平行して伸びる旧道は自転車で走るのにちょうどいい幅。ペダルをゆっくり回していても、民家の軒先や実をつけた柿の木が間近にあってスピード感が味わえる。マイカー利用の観光客はトンネルで山々を貫通したバイパスを利用するので、旧道を走ればめったなことではクルマと遭遇しない。この村にある乙父(おっち)という集落からちょっと離れた渓流沿いに見事なモミジが群生していて、11月上旬には紅葉のピークを迎える。四季折々を紹介する村の観光ポスターも「秋」のシーンを撮影したものは毎年ほぼここだ。
日本の紅葉は美しい。それだけに観光客がマイカーや大型バスで押し寄せ、目的地までは大渋滞となる。ただし自転車があればそれを多少は回避できる方法がある。ちょっと離れたところにクルマを駐め、旧道などを使って走る。観光ポイントだけを目指すわけでもなく、そこにいたるルートの景色もしっかりと目撃できるのもいい。
茨城県北部の竜神峡なら、大吊り橋までは大渋滞で駐車場の空きを待つだけでも時間がかかる。ところが、自転車で細い道を使って吊り橋の直下まで行けば、渋滞に巻き込まれずにあたり一面の紅葉が満喫できる。
群馬県最北部の谷川岳では、ロープウェイ駅から先はマイカー規制が行われるので、乗り合い電気バス、徒歩あるいはサイクリングでなければ一ノ倉沢まで散策することができない。渋滞対策としてロープウェイ駅の駐車場も閉鎖される。一方、ロードバイクがあれば、谷川岳の玄関口となる水上温泉街からスタートしてちょうどいい距離のサイクリングとなる。
そして紅葉サイクリングのフィナーレは12月の古都鎌倉だ。これより南は朝晩の冷え込みが弱く、木々が色づかないからだ。ロードバイクよりも地面に足が着きやすい街乗り自転車のほうが快適なので、現地でレンタルするのがオススメ。
紅葉期は日が短いのでライトを装備し、明るめのウエアを着用したい。標高の高いところは気温低下が予想されるので、防寒具が必要。サングラスは夏用の偏光タイプだと色づいた木々の美しさが歪曲してしまうので、ナチュラルな美しさを目撃できるクリアタイプ推奨。週末は大渋滞のクルマの脇を自転車でひたすら走ることになりがちなので、可能なら平日で。
磐梯吾妻スカイラインは10月がサイクリングの旬
アプリ起動で完走を証明する「サイクルボール」は10月31日まで全国11カ所の一周コースで開催されているが、このうち「ふくいち」が現在紅葉真っ盛りの磐梯吾妻スカイラインを縦走する。好きなときに挑戦していいというコロナ禍の分散型サイクリングイベントで、参加無料ながら、アプリで完走認定を受けるとご当地土産などが当たる。
●サイクルボールのホームページ
これから紅葉を迎えるおすすめエリア |
磐梯吾妻スカイライン=10月上旬 |
谷川岳・一ノ倉沢=10月中旬 |
草津温泉=10月下旬 |
西上州・上野村=11月上旬 |
茨城・竜神峡=11月中旬 |
鎌倉・円覚寺=12月上旬 |
上野村
群馬県上野村〜ぶどう峠
距離:60km(往復)
【山岳】
難易度:☆☆☆
北茨城・竜神峡
茨城県常陸太田市
距離:50km(周遊)
【平たん】
難易度:☆
磐梯吾妻スカイライン
福島県福島市・二本松市
距離:70km(周回)
【山岳】
難易度:☆☆☆
草津温泉
群馬県草津町・中之条町
距離:42km(往復)
【山岳】
難易度:☆☆
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