ツール・ド・フランスの沿道で悪魔にふんして応援し続ける名物人間、「悪魔おじさん」ことドイツのディディ・センフトさん(67)がツール・ド・フランスさいたまの開催に合わせて4年連続で来日。サービス精神旺盛で、地球環境の変化も気に留める。今回はその人となりを知るために独占インタビューした。
いろいろなところに悪魔がいるのは知っている
10月27日に開催されたツール・ド・フランスさいたまの会場で、ドイツから持ち込んだヤリをふりかざす。「両脇に悪魔娘を従えて、とてもいい気分だよ」と上機嫌。
悪魔おじさんは毎年ツール・ド・フランス沿道に出没する。バンタイプのクルマで乗りつけ、手作りの自転車をディスプレーして選手や関係者を待ち構えるのである。自転車ロードレースではゴールの1km手前に赤い逆三角形の旗を設置するのがルールだが、「ドイツで赤は悪魔の意味なんだ。だから自らをそれになぞらえて赤い衣装を着用しているのだ」と言う。
日本のロックバンドにも悪魔がいることを教えると、「ぜひ会ってみたいね。いろいろなところに悪魔がいるのは知っている。それぞれにオリジナリティがあっていいと思うよ」と肯定的だ。
好きなスポーツは、やはり自転車競技。自分で実践するスポーツは「フィッシング」。ドイツはサッカーの人気が高いが、悪魔おじさんは一回もやったことがないという。
自転車選手の中で一番好きな選手はという問いには、「みんな好きだよ!」という優等生的な回答でサラリとかわした。
「ツール・ド・フランスさいたまでは、パラサイクリングの選手たちにビックリした。彼らはみんなすごいね!」と言葉を続ける。
ツール・ド・フランス期間中はクルマに寝泊まりをしながら移動する。
「キャンピングカーではなくて、普通のバンだよ。クルマで移動しないとシャワーができないから、自転車で旅をしたことはないね」と意外とあっさりと解答された。
それでも自転車のよさを語ってくれた。
「まず、交通手段としてとてもいいよね。どこへでも行けるし。あとは、やっぱり健康にいいところかな。いい運動になると思うよ」
日本の自転車ファンとトイレに感動した!
さらに日本の自転車ファンのすばらしさについて力説する。選手との距離感がいいという分析だ。
「これまで500以上レースを観に行ったけど、沿道で選手とファンがあんなにハイタッチをしているところは見たことがないよ」
日本の伝統的な文化のなかで感銘を受けたものを聞くとなぜかトイレの話になった。
「便座が温かいのがいいし、お尻もきれいになる。あんなトイレ、ドイツにはないよ」
一方で、日本食はあまり好きではない。生ものが苦手で、とりわけ「寿司は最悪」と切り捨てる。焼き魚はそれでも口にすることがあるが、ハシが使いづらいので故郷の食事が恋しいという。
ツール・ド・フランスさいたまには大会協賛企業である建物総合管理会社「クリーン工房」の招待。起用の理由は「環境省のクールチョイス」をピーアールすることである。自転車は二酸化炭素を排出しない移動手段であり、地球温暖化対策としてみんなで自転車に乗ろうと訴える。
「日本もヨーロッパも地球環境が変化していることを痛感している。このままではいけないと思う。環境面に限らず、問題を解決するためにはまず平和が大事だよ。戦争は問題を生み出すだけだ」
2020年は東京五輪。興味はあるけど、経済的な余裕がないので来日する計画はないという。ツール・ド・フランス最終日から5日後に開幕するというスケジュールの困難さもあり、予定が組めないことを嘆く。
近年のツール・ド・フランスは全日程を追いかけることなくスポット参戦。来日中は休憩時間やイスへの着席を勧めたが、「最後まで応援をしたいから大丈夫!」とタフネスぶりを見せつけた。頑張る自転車選手を応援し続け、そして自転車レースが大好きな人たちにハッピーを届ける。まさにそれが天職だ。
●クリーン工房のホームページ
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