ルツェンコがティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ優勝…首位は依然イェーツ

イタリア半島を横断する7日間のステージレース、ティレーノ〜アドリアティコは3月16日に第4ステージが行われ、アスタナのアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)が優勝した。同大会でカザフスタン選手が優勝したのは初めて。

アレクセイ・ルツェンコがティレーノ〜アドリアティコ第4ステージでアタック ©LaPresse/Fabio Ferrari

残り50kmで単独アタックしたカザフスタンチャンピオンのルツェンコは途中で2回の落車をしたものの、追いついてきた3選手との最後のゴール勝負を制した。

「最初の落車は未舗装路でタイヤがスリップしたことが原因。残り1.5kmで2度目の落車をしたが、そのときはどうなったのかが分からない。」とルツェンコ。
「残り50kmでアタックしたとき、だれもボクが勝つだろうとは思っていたかった。とても美しい勝利だ。明日は最も厳しいステージになるはずで、ボクは今日の疲れと落車による痛みで思うような走りができないと思う。でもチームのヤコブ・フルサングは調子がいいので、同じようにやってくれるはずだ」

ティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari

4日間を終えての首位はミッチェルトン・スコットのアダム・イェーツ(英国)。第2ステージからその座を守っているが、この日区間2位に入ったユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)との差は7秒。

プリモシュ・ログリッチェがティレーノ〜アドリアティコ第4ステージで積極果敢な走りを見せる ©POOL/BETTINI/LaPresse
ルツェンコがログリッチェ(左)とイェーツ(右)を抑えて優勝。ティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari
アダム・イェーツがティレーノ〜アドリアティコ第4ステージで首位を守る ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

ヴィヴィアーニがティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ優勝…A・イェーツ首位堅持

イタリア半島を横断する7日間のステージレース、ティレーノ〜アドリアティコは3月15日に第3ステージが行われ、ドゥークニンク・クイックステップのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)がゴール勝負を制して優勝。チームとして前日のジュリアン・アラフィリップ(フランス)に続く連覇。

ヴィヴィアーニがティレーノ〜アドリアティコ第3ステージで優勝 ©LaPresse/Fabio Ferrari

「ティレーノ〜アドリアティコで初めてステージ優勝できてうれしい」とヴィヴィアーニ。
「ゴール前はかなり混沌としていた。おそらく総合成績の上位選手がタイムを失いたくないからかなりのハイペースでラストを迎えたからだ。その影響でリードアウトしてくれるアシストを2人失ってしまったが、スペアとして待機していたゼネク・スティバルがいい働きをしてくれた。ペテル・サガンの後ろに位置できるように動いてくれた」

ティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari
ティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari

総合優勝では前日に首位に立ったミッチェルトン・スコットのアダム・イェーツ(英国)がその座を守った。

「とても長い1日だったが、スプリンターを擁するチームが主導権を取ろうと走っていたので、ボクたちのチームはその後ろに位置して、エネルギーを消耗しないような走りを心がけていた」とイェーツ。
「明日の第4ステージは、その次の第5ステージほどハードではないが、それでも決定的な動きが生まれると思う」

アダム・イェーツがティレーノ〜アドリアティコ第3ステージで首位を守った ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse
ティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari

アラフィリップがティレーノ〜アドリアティコ第2ステージ優勝…首位はA・イェーツ

イタリア半島を横断する7日間のステージレース、ティレーノ〜アドリアティコは3月14日に第2ステージが行われ、ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)がゴール勝負を制して同大会初優勝を決めた。

アラフィリップがティレーノ〜アドリアティコ第2ステージを制した ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

フランス勢の優勝は10年ぶり9回目。同じ主催者のストラーデビアンケと、今大会の最初の集団スタートのステージを連覇したのはアラフィリップが初めて。

「前日のチームタイムトライアルがよくなくて、あまりいいスタートではなかった。この日はボクだけでなく他のチームも優勝する意欲にあふれていた。そんななかで勝てたのだからうれしい」とアラフィリップ。
「チームがこれだけ動けたら、最後には総合成績でいいところまで行けると思う。そうでなくても、この日の勝利のフィーリングがいいので落胆はしないと思う」

ティレーノ〜アドリアティコ第2ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari

総合成績では、前日のチームタイムトライアルを制して上位を独占していたミッチェルトン・スコットの中から、エースのアダム・イェーツ(英国)が首位に。チームメートのマイケル・ヘップバーン(オーストラリア)からリーダージャージのマリアアッズーラを譲り受けた。

「総合成績で首位に立つことができてよかったけど、この日のゴールはボクには不向きだった。ボクよりも強い選手がたくさんいた。明日のステージが終わると、キーとなる山岳ステージが2つあるので、そこでボーナスポイントを稼ぎたい」とイェーツ。
「今年は頂上フィニッシュのステージがなく、そして最後は個人タイムトライアル。今回のティレーノ〜アドリアティコにボクが勝つのはとても厳しいと思うが、でもステージ優勝と総合成績を勝ち取るためにこの場所に来ている。チームはどんどんよくなっているので、もっと勝てるように頑張りたい」

ティレーノ〜アドリアティコ第2ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrar
アダム・イェーツが第2ステージで首位に立った ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

ミッチェルトン・スコットがティレーノ〜アドリアティコ第1ステージ優勝

イタリア半島を横断する7日間のステージレース、ティレーノ〜アドリアティコが3月13日に開幕。第1ステージの21.5kmチームタイムトライアルはミッチェルトン・スコットが22分25秒のトップタイムで優勝。平均時速は57.546km。先頭でゴールしたマイケル・ヘップバーン(オーストラリア)が首位に立った。

ティレーノ〜アドリアティコ第1ステージのチームタイムトライアルを走るミッチェルトン・スコット ©LaPresse/Fabio Ferrari

優勝候補のユンボ・ヴィスマは7秒遅れの2位。UAEツアーでは新加入の元タイムトライアル世界チャンピオン、トニー・マルティン(ドイツ)の牽引力などでトップタイムで優勝。エースのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)が最終日まで首位を譲らず総合優勝した。今大会は7秒遅れの出だしとなった。

トム・デュムラン(オランダ)を擁するサンウェブは22秒遅れの3位。ジュリアン・アラフィリップ(フランス)のドゥークニンク・クイックステップは37秒遅れの4位。ゲラント・トーマス(英国)のスカイは47秒遅れの5位。

平均時速57.546kmでティレーノ〜アドリアティコ第1ステージを制したミッチェルトン・スコット ©LaPresse/Fabio Ferrari

「今朝目が覚めたとき、私は首位になるなんて期待していなかった。第1ステージに勝てるだけのチーム力は持っていた。でもチームはステージ優勝だけを狙っているのではなく、総合成績でアダム・イェーツをサポートする戦略だ」とヘップバーン。
「今日の結果はチームにとってラッキーで、私たちはこの結果に満足している。ティレーノ〜アドリアーティコはシーズンの中でお気に入りのレースの一つ。でも、他の誰よりもリーダージャージには値しない。チーム全体の結果として優勝を喜んでいる」

マイケル・ヘップバーンが第1ステージを終えて首位に ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

ティレーノ〜アドリアティコにトーマス、ログリッチェら参戦

7日間のステージレース、ティレーノ〜アドリアティコが3月13日から19日まで開始され、スカイのゲラント・トーマス(英国)、バーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)らが参戦する。前回覇者のミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)は欠場し、スカイのエースはトーマスとなる。

ティレーノ〜アドリアティコに参戦する有力選手。左からログリッチェ、トーマス、ニーバリ、アラフィリップ、デュムラン ©LaPresse/Fabio Ferrari

イタリア半島の西側に位置するティレニア海から東側のアドリア海へとイタリアを横断するシーズン序盤の重要なステージレース。第1ステージはチームタイムトライアル、第3、6ステージは起伏がち、第2、4、5ステージが山岳、第7ステージは個人タイムトライアルなどバリエーションに富んだコース設定。グランツールで活躍する世界トップクラスのオールラウンダーやヒルクライマーの活躍が期待されている。

大会は54回目。主催者はジロ・デ・イタリアと同じRCS。参加23チーム。1チームは7人編成で161選手がスタートする。

左から山岳賞のマリアヴェルデ、ポイント賞のマリアアランシオーネ、総合成績のマリアアッズーラ、新人賞のマリアビアンカ © LaPresse/Fabio Ferrari
開幕地のリードディカマイオーレで ©Gian Mattia D’Alberto / lapresse
スカイのゲラント・トーマス(英国) ©Gian Mattia D’Alberto / lapresse

チームTTの戦力アップに期待

ゲラント・トーマスのコメント
「昨年のこの大会も調整して臨んだが、さらにコンディションを高めてスタート台に立つことができた。チームタイムトライアルで強さを見せることができると思うが、今年は5、6チームに勝つチャンスがあると思う。トラック世界選手権の個人パーシュートで勝った実績のあるフィリッポ・ガンナが最後にメンバー入りしてくれたので心強い」

サンウェブのトム・デュムラン(オランダ) ©Gian Mattia D’Alberto / lapresse

UAEツアーの負傷から回復

トム・デュムランのコメント
「UAEツアーでの落車から回復するためにちょっと時間を要したが、気分をリラックスさせて、現在はこのティレーノ〜アドリアティコのために戦う準備ができている。今年のコースでは長い上りはないが、マルケ州は自転車で走るにはかなりキツい。そこでレースをするのをボクは大好きだ。UAEツアーではユンボ・ヴィスマが非常に強かった。彼らは同じメンバーでここにいるが、ボクたちもチームタイムトライアルに強いメンバーをそろえているので、優勝する自信はある」

バーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)

チームTTの結果で総合優勝がねらえるか分かる

ビンチェンツォ・ニーバリのコメント
「チームタイムトライアルでいい結果が残せるようにそのアプローチをはかっている。2つのタイムトライアルがあって、それがどちらも総合優勝に重要となっている。初日のタイムトライアルの結果により、チームの目的である総合成績がねらえるかが分かると思う」

ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)

UAEツアーの疲れは取れて準備万端

プリモシュ・ログリッチェのコメント
「UAEツアーで素晴らしいスタートを切ることができた。チームは本当に強かった。リーダージャージを守るのはとても難しかったので、その後しっかりと休む必要があった。現在はチーム全体としてティレーノ〜アドリアティコのための準備が整った。とても楽しみにしている」

ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)

ストラーデビアンケ以来の好調を維持

ジュリアン・アラフィリップのコメント
「ティレーノ〜アドリアティコに参加するのは初めてで、本当に楽しみだ。ストラーデビアンケで勝利することができ、コンディションがいいことを把握している。チームタイムトライアルは非常に重要。チームはエリア・ヴィヴィアーニとボクでいくつかのステージをねらっていく。第1ステージが終わったあとに総合成績で上位がねらえるかを確認してみる」

©Gian Mattia D’Alberto / lapresse

バジョーリが山岳賞、初山翔も完走…ティレーノ〜アドリアティコ

UCIワールドツアーのティレーノ〜アドリアティコが3月13日に閉幕し、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニのニコラ・バジョーリ(イタリア)が山岳賞を獲得。初山翔も貴重な経験を積みながら最高峰のレースを完走した。

ティレーノ〜アドリアティコで山岳賞を獲得したニコラ・バジョーリ © Luca Bettini/BettiniPhoto

3月7日から7日間にわたりイタリア中部で開催されていたティレーノ〜アドリアティコが13日、10.05kmの個人タイムトライアルである第7ステージで終了した。

第2ステージで逃げに乗り山岳賞リーダーとなった23歳、プロ2年目のバジョーリは、その後も第3、第4ステージで逃げに乗り、果敢な走りですべての山岳賞ポイントを首位通過し、山岳賞ランキングで2位に大きな差をつけた。終盤は山岳賞争いでライバルとなる選手の先行はなく、第4ステージまでに稼いだポイントで山岳賞リーダーを守り切った。

山岳賞のリーダージャージであるマリアベルデを着用してタイムトライアルを走行するバジョーリ

バジョーリはイタリアのトップアマチュアチームであるザルフを経て、2017年にNIPPO・ヴィーニファンティーニでプロデビュー。今季は2月のトロフェオライグエリアで4位入賞するなど、大きな飛躍を見せている。ティレーノ〜アドリアティコの山岳賞は2013年にダミアノ・クネゴ、2014年にマルコ・カノラと、現在チームに在籍する二人のキャプテンが過去に獲得していて、今後のさらなる活躍が期待される。

ティレーノ〜アドリアティコ最終日の個人タイムトライアルを走る初山翔 © Dario Belingheri/BettiniPhoto

大会唯一の日本人選手となった初山は、初めて出場するUCIワールドツアーのステージレース。第3ステージに逃げに乗り、バジョーリの山岳ポイント獲得に大きく貢献するなど活躍。終盤のステージでは疲労がたまり苦しむ場面もあったが、世界最高峰の舞台で貴重な経験を積み、最終日のタイムトライアルまで走り抜いた。

さらにゴールスプリントでは、第2ステージでエドアルド・グロスが9位、第6ステージでカノラが7位、グロス9位と世界の強豪スプリンターを相手に複数回トップ10入りを果たし、ワイルドカードで出場したNIPPO・ヴィーニファンティーニながら非常に収穫の多い大会となった。

イタリアでは17日に世界五大クラシックレースの一つ、291kmで開催されるUCIワールドツアーのワンデーレース、ミラノ〜サンレモに出場。今大会での勢いをそのままにイタリア最高峰の大会に再び挑む。

初山翔

初山翔のコメント
今日のコースは短かったが、この消耗度での平坦タイムトライアルで平均時速46.5kmというのは今の自分では妥当なスピードだったと思う。ここから長期的に少しずつスピードを上げていきたい。1週間を振り返ってみると、第3ステージでの走りは自分でも評価したい。残り10km地点で先頭集団を走っていた自分に興奮したことを今でも覚えている。
その一方で第5ステージと第6ステージではかなり苦しんだ。逃げた翌日のクイーンステージでの感触は決して悪くなかったのに、その翌日からの最後の2日間は急激に脚の感触が悪くなった。7時間クラスのレースを2日間続けて走った経験がなかったので、あたり前の反応であったのかもしれないが、チームに穴を開けないためにも、そこは改善しなければならないと思う。できればもうひとステージ、目立つ走りがしたかった。
とにかくこのレースを走ることができてよかった。今までの限界を常識としていては走れないレースだった。殻を破れたような感じがする。そして逃げたことで多くの人に見てもらえた。レース会場でも逃げた翌日から急に多くの人に声をかけられるようになり、このレベルのレースの反響の大きさを強く感じた。ぜひまた強くなって戻ってきたい。

ニコラ・バジョーリ

ニコラ・バジョーリのコメント
このとても重要なジャージを獲得できたことに大きな喜びを感じている。大会が始まる前はこのような成績を出せるとはまったく考えていなかった。しかし第2ステージでジャージを獲得してからは、チームはこのジャージのために戦うことを決め、長いエスケープで疲労を感じる日もあったが、ベストを尽くして戦い抜いた。これからのシーズンの目標は、厳しいトレーニングを続け、さらに強くなって世界のトッププロを相手に勝利することをめざしたい。

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