エガン・ベルナルがジロ・デ・イタリア初出場で初優勝

イネオス・グレナディアスのエガン・ベルナル(コロンビア)が第104回ジロ・デ・イタリアで初めての総合優勝を達成した。23日間のステージレースは最終日となる5月30日にミラノで個人タイムトライアルが行われ、ベルナルは総合2位のダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーンビクトリアス)に30秒詰め寄られたが、最終的に1分29秒差で逃げ切った。

2021ジロ・デ・イタリア総合優勝のベルナル ©Fabio Ferrari/LaPresse

個人タイムトライアルでトップタイムを出したのはイネオス・グレナディアスのフィリッポ・ガンナ(イタリア)。初日の個人タイムトライアルに続く優勝で、大会通算6勝目を挙げた。

初日に続いて最終日の個人タイムトライアルを制したガンナ ©Fabio Ferrari/LaPresse

ツール・ド・フランスに勝ってからは困難な時代だった…ベルナル

「ジロ・デ・イタリアに勝つなんてスゴい。冷静にしているけど、心の中は幸せで爆発しそうなくらいに感じる。こんなレースに勝てるくらい素晴らしいレベルを維持しているけど、これからも地に足をつけて行こうと思う。他にも非常に強い選手がいる。彼らがいるからこれから先も新たなモチベーションを見つけられる」とベルナル。

「この大会で最も困難な瞬間は、カルーゾが逃げた昨日だった。ボクの周りには5人のチームメイトがいたが、あっという間にわずか3人になってしまった。幸いなことにジョナタン・カストロビエホが適切なタイミングで正しい決断を下した。最も美しい瞬間は、モンタルチーノへの砂利道でアタックしたとき。今日、タイムトライアル中にコーチのミケル・アルテツェの声を聞いたときもうれしくて、今後数年間は忘れないと思う」

「チームマネージャーのデイブ・ブレイルズフォードもこの勝利に大きな役割を果たしていた。ツール・ド・フランスで優勝した後、ボクは困難な時期を過ごした。このジロ・デ・イタリアでボクは再び目指していたものを見つけた」

ベルナルとの差をさらに詰めて総合2位を決めたダミアーノ・カルーゾ ©Fabio Ferrari/LaPresse
マリアローザのエガン・ベルナル ©Fabio Ferrari/LaPresse

ポイント賞はボーラ・ハンスグローエのペテル・サガン(スロバキア)、山岳賞はAG2Rシトロエンのジョフリー・ブシャール(フランス)でともに初受賞。新人賞はベルナル。

ポイント賞のサガン ©Massimo Paolone/LaPresse
ジョフリー・ブシャールが山岳賞 ©/LaPresse

日本選手として唯一出場したバーレーンビクトリアスの新城幸也は、カルーゾの総合2位に貢献する走りを見せながら、総合77位でゴール。ジロ・デ・イタリアは4度目の出場で4度目の乾燥。グランツールは14度目の出場で14度目の完走を果たした。

イネオス・グレナディアスが2020年のゲイガンハートに続いてマリアローザをゲット©LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マリアアッズーラ(山岳賞)ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)
□マリアビアンカ(新人賞) エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

ミラノ大聖堂前でトロフィーを授与されたエガン・ベルナル ©Fabio Ferrari/LaPresse

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総合2位カルーゾ初V。ベルナル首位堅持…ジロ・デ・イタリア第20S

第104回ジロ・デ・イタリアは5月29日、ベルバニア〜アルペモッタ間の164kmで第20ステージが行われ、総合2位につけているバーレーンビクトリアスのダミアーノ・カルーゾ(イタリア)が初優勝。

総合2位のダミアーノ・カルーゾが最後の山岳ステージで独走勝利 ©Fabio Ferrari/LaPresse

マリアローザを着るイネオス・グレナディアスのエガン・ベルナル(コロンビア)は24秒遅れでゴールして首位を守った。翌日は最終日となる個人タイムトライアルで、ベルナルがカルーゾとの1分59秒差を守り切れば初優勝を達成する。

©Fabio Ferrari/LaPresse

勝つために走るのが職業だからね…カルーゾ

「アタックはまったく計画したものじゃなかった。時には最高のことが偶然に起こる。運も少し必要で、きょうの場合は頭のよさもちょっとあった。DSM選手のアタックに反応したのはステージ優勝するためだった。ロードレースは勝たなきゃいけない職業だからね」とカルーゾ。

「妻と子供たちにこの勝利を捧げたい。明日はコースチェックからレースまで全力を尽くしたい。秒数をカウントすることなく、勝利のフィナーレを迎えたい」

マリアローザのベルナルとアシスト陣 ©Fabio Ferrari/LaPresse

1秒差でもいい。トロフィーに名を刻みたい…ベルナル

「ダミアーノ・カルーゾが動いたとき、サンベルナール峠で今回のジロ・デ・イタリアの最も気持ちが高ぶった。彼がステージ優勝して幸せだ。彼はアシスト役としてここに来て、いまは表彰台のリーダーとしてレースをしている。彼は今のところ完璧なジロ・デ・イタリアをやっている」とベルナル。

「明日はカルーゾと一緒に表彰台に上がりたいと思うが、ボクが1位で彼が2位。30kmのタイムトライアルはもちろんボクの専門領域ではないが、2分差でも1秒差でも構わない。一番大事なのはトロフィーに自分の名前を刻むということ」

2021ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マリアアッズーラ(山岳賞)ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)
□マリアビアンカ(新人賞) エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

ジョナタン・カストロビエホにけん引されるベルナル。その背後にサイモン・イェーツ ©Fabio Ferrari/LaPresse

第21ステージ・個人タイムトライアル出走リスト

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イェーツ優勝もベルナルがマリアローザ死守…ジロ・デ・イタリア第19S

第104回ジロ・デ・イタリアは5月28日、アッビアーテグラッソ〜アルペディメーラ間の166kmで第19ステージが行われ、総合3位のサイモン・イェーツ(英国、バイクエクスチェンジ)が優勝。イェーツは区間3勝して一時マリアローザを着用した2018年以来となる大会通算4勝目。

イェーツを追うベルナルとそれをマークするアルメイダ。カルーゾはここで遅れた ©Fabio Ferrari/LaPresse

マリアローザのエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)は28秒遅れの区間3位になり、首位を守った。

総合3位のサイモン・イェーツがアタック ©LaPresse
サイモン・イェーツが第19ステージ優勝 ©LaPresse
総合優勝に前進したベルナル ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マリアアッズーラ(山岳賞)ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)
□マリアビアンカ(新人賞) エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

ケーブルカーが落下して多数の死傷者を出したモッタローネを訪れて献花 ©Marco Alpozzi/LaPresse

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ベッティオルV、ベルナル首位堅持…ジロ・デ・イタリア第18S

第104回ジロ・デ・イタリアは5月27日、ロベレート〜ストラデッラ間の231kmで第18ステージが行われ、EFエデュケーションNIPPOのアルベルト・ベッティオル(イタリア)が独走して優勝。

2021ジロ・デ・イタリア第18ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

マリアローザを着るイネオス・グレナディアスのエガン・ベルナル(コロンビア)は首位を守った。

マリアチクラミーノのサガンとマリアローザのベルナル ©LaPresse
総合優勝争いに食い込んでいるバーレーンビクトリアス。右端が新城幸也 ©LaPresse
第18ステージを制したアルベルト・ベッティオル ©Fabio Ferrari/LaPresse
マリアローザのベルナルをピッタリとマークしてゴールするバーレーンビクトリアス勢 ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マリアアッズーラ(山岳賞)ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)
□マリアビアンカ(新人賞) エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

マリアローザを守ったベルナル ©Massimo Paolone/LaPresse

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マーティンV、ベルナル苦戦も首位を死守…ジロ・デ・イタリア第17S

第104回ジロ・デ・イタリアは5月26日、カナツェイ〜セーガディアーラ間の193kmで第17ステージが行われ、イスラエルスタートアップネーションのダニエル・マーティン(アイルランド)が独走で初優勝した。

アシストのダニエル・マルティネスに叱咤されながらゴールを目指すマリアローザのベルナル ©POOL Bettini/LaPresse

マリアローザを着るイネオス・グレナディアスのエガン・ベルナル(コロンビア)は最後の山岳でわずかに遅れを取ったが、これまでの貯金を利して首位を守った。

2021ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©LaPresse

ジロ・デ・イタリア初優勝のマーティンは、これでツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャを加えたグランツール(三大ステージレース)ですべて区間勝利した102人目の選手となった。アイルランド選手のジロ・デ・イタリア勝利は8回目。

ダニエル・マーティンが第17ステージ優勝 ©LaPresse

「ゴールラインを通過するときに頭を振ったのは、自分が勝つことが信じられなかったからだ。きょうはアタックをして第1集団に加わる計画を立てたが、強い逆風で先頭グループの勢いを殺しました。最後の山岳の上りはじめで区間勝利は難しいと感じたが、この1週間ほどとても調子がいいので、積極的に走って一番急な部分で彼らをふるい落とすことができた」とマーティン。

「事前にコースを走っていたので、どの部分が一番苦しいかを把握していた。総合成績の上位選手もここでタイムを詰めてくると思ったが、かなりのタイム差があったのでペースを守り続けた。ステージ優勝するためにこの大会に乗り込んできたが、勝てたことが信じられない」

ダニエル・マーティン ©Massimo Paolone/LaPresse

バッドデーだがタイムはそれほど失わなかったとベルナル

一方、第16ステージで独走勝利して総合優勝に大きく前進していたベルナルは、休日をはさんで行われたこの日は不調だった。

「おそらく最後の2kmはそれほど上りが難しくなかったので、うまく走ればよかったと思う。でも事前にすべてのステージをチェックすることは不可能だし、思ったよりもタイムを失っていない。ベストではなかった日にしては非常にうまくいったと言わざるを得ない」とベルナル。

「(総合5位の)イェーツに追従しようとしたが、それができないことに気づいたとき、(総合2位の)カルーゾの後輪から離されないようにして、彼から遅れないようにした。確かにボクは無敵ではない。他の人は今日、ボクよりも強かった。ダニエル・マルティネスが一緒にいてくれてありがたかった。ジロ・デ・イタリアが終わるまで集中し続けたい」

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マリアアッズーラ(山岳賞)ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)
□マリアビアンカ(新人賞) エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

サイモン・イェーツ(先頭)とホアン・アルメイダ(2番目)がベルナルとのタイム差をわずかに詰めた ©POOL GETTY IMAGES/LaPresse

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ジロ・デ・イタリアがゴンドラ事故で第19ステージ変更

ジロ・デ・イタリアは5月25日(日本時間26日未明)、イタリア北部ピエモンテ州のモッタローネ・ケーブルウェイが23日に落下事故を起こしたことで同地域を走る予定だった第19ステージのルートを変更した。

2021ジロ・デ・イタリア第19ステージの新プロフィールマップ

イタリア運輸省、ピエモンテ地域などの関連機関と話し合ってコース変更が決まった。
新しいルートは距離166km。当初は176kmだった。スタートのアッビアーテグラッソ、ゴールのアルペディメーラは変わらず。

事故はイタリアで大きく取り上げられた。落下したゴンドラに乗っていた14人が死亡。ジロ・デ・イタリアもスタート前に出場全選手が黙とうするなど悲劇に心を痛めていた。

2021ジロ・デ・イタリア第19ステージの修正ルート
2021ジロ・デ・イタリア第19ステージ

2回目のPCR検査も全592人が陰性

第104回ジロ・デ・イタリアは5月25日に2回目の休息日を迎え、出場選手とチームスタッフ合計592人の新型コロナウイルス検査を行った結果、陽性者はいなかった。即日のうちに主催するRCSスポルトと国際統括団体のUCI(国際自転車競技連合)が共同で声明を出した。

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