【ツール・ド・フランス現場雑感】ビンゲゴーが総合優勝に大きく前進

2022ツール・ド・フランスはいよいよピレネー3連戦の最後決戦。第18ステージは7月21日、ルルド〜オタカム間の距離143.5kmで争われ、首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)が、2分18秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)を振り切って優勝。総合成績に大きく前進した。

マイヨジョーヌのビンゲゴーがポガチャルを徹底マーク ©A.S.O. Pauline Ballet

転倒のポガチャルをビンゲゴーが後ろを振り向き復帰を待った

「ボガチャルが下りで落車をしたのを見て彼を待った。区間2勝目はうれしいが、総合優勝できるかは2日後の個人タイムトライアルが終わってから話したい」とビンゲゴー。

大会は残り3区間で、24日にパリにゴールする。

雌雄を決する第18ステージのスタート前。ポガチャルとビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2022ツール・ド・フランス第18ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
ピレネー山脈をキャラバン隊が走る ©A.S.O. Aurélien Vialatte
2022ツール・ド・フランス第18ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
ユンボ・ビスマ勢がビンゲゴーを牽引し、ポガチャルがそれをマークする ©A.S.O. Pauline Ballet

聖地ルルドをツール・ド・フランスの大舞台が占拠

第17ステージの迂回路にあるバニェールドリュションで1泊したボクは、バッグの中にあるパンなどで朝食を済ませ、140kmほど離れたこの日のスタート地ルルドへ。

ルルドの大聖堂前にツール・ド・フランスが乗り込んできた

スタートやゴールに関係者がアクセスするときはPPOと呼ばれる通過義務地点に向かい、そこから指示に従って定められた駐車位置に進むのですが、聖地でもある観光地は交通量が多く、指定されたルートがシャットアウト。

オービスク峠 ©A.S.O. Charly Lopez

一時はあきらめかけましたが、この町はよく知っているので、別ルートから接近して駐車できるところを探そうと走っているうちに、交通整理をしている運営スタッフの姿を発見。ラッキーなことに偶然に進むべき道に合流でき、この日はアバン(スタートを待たずゴールに向かって出発する車両)と呼ばれる駐車場に落ち着くことができました。

コショヌーはソシッソンと呼ばれるサラミのメーカーだ

大聖堂はごった返していました。そして、なんとバチ当たりな。瀕死の家族のために奇跡の泉を世界中から求めてやってくる大聖堂の前にツール・ド・フランスが占拠。ろうそくをともしながらアベマリアを歌う列ができる前庭にチームバスが乗りつけています。

ルルドのホテルと土産物屋が立ち並ぶ一角がコース

でもこれがツール・ド・フランスの実力です。聖職者がホスト役で一番うれしそうでした。

ルルド大聖堂

ゴール後はこの日のうちに320kmパリに近づく必要が

ルルドから10km足らずで、この日のプレスセンターがあるアルジュレガゾストへ。木陰で涼しい風を受けながらビュッフェをおいしくいただくのもこれが最後です。フランスの人の人生の楽しみ方を共有できてホントに幸せです。

翌日はパリまで900kmの移動があるため、ゴール後に300kmほど北上する必要がありました。全選手がゴール後に向かう計画でしたが、プレスセンターの位置が悪く、この街からなかなか離脱できず。

アルジュレガゾストで2022ツール・ド・フランス最後のビュッフェ

320km北上したモントバンに確保したプルミエクラスホテルに到着したのは、フロント係が帰宅する午後9時過ぎ。駐車場に入るゲートが開いていたのはラッキーで、そのままフロントの前にある自動チェックイン機へ。このマシンは数年前にも使ったことがありましたが、さらに進化していて、予約者の姓あるいは予約番号を入力すると磁気キーとコード番号などが出てくる仕組みに。

おかげさまでクルマの中で寝る最悪のケースは回避できました。もう夜遅かったのでそのまま就寝しました。翌日は大変な日になるはずなので。

第17ステージにもどる⏪ ⏩第19ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

【ツール・ド・フランス現場雑感】ピレネー決戦2日目も完全なる決着はつかず

2022ツール・ド・フランスは7月20日、サンゴーダン〜ペラギュード間の距離130kmで第17ステージが行われ、2分22秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)が首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)をわずかに抑えて優勝。今大会3勝目、大会通算9勝目。

マイヨジョーヌのビンゲゴーとマイヨブランのポガチャル ©A.S.O. Charly Lopez

ボーナスタイムは区間1位のポガチャルが10秒、区間2位のビンゲゴーが6秒獲得し、2人の総合差は2分22秒から2分18秒に詰まった。

2022ツール・ド・フランス第17ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

「アシスト陣が4人もリタイアして合計4人になったが、みな素晴らしい働きをしてくれたので、今日は勝利しかなかった」とポガチャル。

「ボクはまだ逆転優勝できると楽観視しているので、明日の最後の山岳ステージにかけてみたい」

第17ステージを走るビンゲゴー、セップ・クス、ブランドン・マクナルティ ©A.S.O. Charly Lopez

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ブランドン・マクナルティがポガチャルを最後の山岳でアシスト ©A.S.O. Charly Lopez
「ボクはまだ楽観的で優勝できると思う」とポガチャル ©A.S.O. Charly Lopez

朝は寒いくらいで拍子抜けのピレネー山脈で

スペイン国境にあるピレネー直下のパミエで目覚めました。北欧デンマークから徐々に南下し、次第に日が短くなってきたのを実感しています。今朝は7時になっても暗いのにビックリ。そして日中は42度の熱波だったのに、部屋の外に出たら着込まないと寒いくらいに冷えています。

チェーン系ホテルのプルミエクラス。朝食は寒くてもフランスを感じるためにテラスで

この日のラン練習はガーミン先生から「レスト」の指示でしたが、寝ぼけた頭を起こすために2kmだけ走って、シャワーを浴びて朝食へ。このプルミエクラスに1人で泊るときは身障者用の広いシングルルームになることが多く、そしてシャワー・トイレ兼用スペースもきれいなのでありがたいです。

あっという間に予約席を含めていっぱいになったレストラン。向かいにあるのがこの日のホテル

朝食はフランスを感じるためにいつもテラス席へ。ちょっと寒いので部屋着として愛用している作務衣を取りに戻っていたりしていると、ツイッターに辻啓カメラマンの「素敵なホテルですね(一緒です)」の書き込みが。

ほどなくシャワー直後の裸の姿がドアから出てきて、Tシャツ姿になって一緒のテーブルへ。若手ライターの小俣雄風太くんもテーブルについてくれました。

2022ツール・ド・フランス第17ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

バニェールドという単語がついたら、そこは湯治場

そしてこの日のホテルはバニェールドリュション。「バニェールド」というのは「湯治場」という意味です。ツール・ド・フランスの黎明期からよくゴールする湯治場ですが、この日のステージでは迂回コース途上にあったため、選手たちの姿はありません。

この街には映画「テルマエ・ロマエ」に登場しそうな大浴場があるのですが、現在閉鎖中でそのとなりに新館が建設されています。しばらくバニェールドリュションに行っても浴場には入れないです。

記念メダルの刻印。温泉街にあるものは日本もフランスも同じ

ホテルはあまり程度のいいものではなく、おそらくこんななところに安価で予約できたんで、当日までそのままにしていたんだなと思います。なんとフランステレビジョンがつかないという初体験。

次にバニェールドリュションに来ることがあったら、ホテルは別のところにすると思いますが、向かいにあるレストランは当たりでした。開店するとお客さんが次々と来店し、予約席も含めてすぐに満員に。ボクも早めにレストランに入ったので1人席をあてがってもらえてラッキーでした。

サイクリストのポスターも

さあ、もうすぐツール・ド・フランスも終りが見えてきました。明日は最後の山岳ステージです。

第16ステージにもどる⏪ ⏩第18ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

【ツール・ド・フランス現場雑感】暑いフランスの夏、熱いマイヨジョーヌの攻防

2022ツール・ド・フランスは7月19日、カルカッソンヌ〜フォワ間の距離178.5kmで第16ステージが行われ、イスラエル・プレミアテックのユーゴ・ウル(カナダ)が40kmを独走してプロ初優勝。カナダ勢としては1988年のスティーブ・バウアーに続く2人目の勝者となった。

ウルが第16ステージでプロ初勝利 ©A.S.O. Pauline Ballet

天国の弟に捧げるプロ初勝利がなんとツール・ド・フランス

ウルはチームメートのウッズのアシストだったが、最後の峠で20秒抜け出して下り坂で独走。ウッズが追走者の抑え役に転じてウルを助けた。

「ボクはこれまでレースで勝ったことがなかった。10年前に他界した弟の夢だった」とゴールラインでは天に人差し指を突き上げて勝利を報告。

カルカッソンヌの城塞 ©A.S.O. Aurélien Vialatte

首位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)と2分22秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)のタイム差は変わらず。ビンゲゴーがマイヨジョーヌを守った。

ツール・ド・フランス第16ステージで逃げる第1集団 ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

マイヨジョーヌのビンゲゴーとポガチャル。ツール・ド・フランス第16ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
2022ツール・ド・フランス第16ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

熱波の欧州で総合優勝争いも白熱の競り合いを継続

日の出直後のカルカッソンヌは気温も低く、日課のラン練習も快適にできました。午前中は雲が多く、風もあったので油断していましたが、さすがに熱波到来の欧州。ゴールのフォワはかなり過酷な状況に。しかもボクの座っている一角だけ電源が落ちて、USB給電の卓上扇風機が停止。どこまで厳しいんだ。

フォワのカヌー・スラローム競技場の岸辺でいつものようにビュフェ

こっちの人はどれだけ暑さに強いんでしょう。寒さにも強いし。ボクもたまらずラン用ショーツに。でもさすがに彼らも室内の不快さはたまらなかったようで、屋外の日陰にイスとテーブル、放送中のTVモニターまで持ち出して、そこで原稿を書いていました。

2022ツール・ド・フランス第16ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
渓流沿いでランチ

それでもフォワの渓流沿いのバーベキューのランチは変わっていませんでした。赤ワインとポーク焼きなどを食べながら、川のせせらぎを聞いていると心がとてもしっくりしてきます。

フォワの室内テニスコートがプレスセンターだが、暑い!

ショッピングモールのカフェテリアで経済的にディナーを済ませる

あまりの過酷な環境下でレース途中で退散して、N20高速を北上。いつも宿泊するパミエの町のプルミエクラスがこの日の宿。歩いてすぐのところにショッピングモールがあって、カフェテリアを発見。もう2022ツール・ド・フランスもわずかです。少しの感慨にひたりながら、樽の栓を開けて注いだピッチャーの赤いワインを飲み干すのでした。

この日は気温42度 ©A.S.O. Aurélien Vialatte

第15ステージにもどる⏪ ⏩第17ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

【ツール・ド・フランス現場雑感】蝉しぐれのオクシタニー地方は猛暑

ツール・ド・フランス第15ステージは7月17日、猛暑となったロデズ〜カルカッソンヌ間の距離202.5kmを走り、アルペシン・ドゥクーニンクのヤスパー・フィリプセン(ベルギー)がゴールスプリント勝負を制して初優勝した。

猛暑をしのぐために頭から水をかぶるマイヨジョーヌのビンゲゴー ©A.S.O. Charly Lopez

首位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)と2分22秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)のタイム差は変わらず。ビンゲゴーがマイヨジョーヌを守った。

スタート地点のロデズ ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

マイヨジョーヌのビンゲゴーを援護するユンボ・ビスマ勢 ©A.S.O. Charly Lopez
ヤスパー・フィリプセンが初優勝 ©A.S.O. Charly Lopez

南西フランスのオクシタニー地方も熱波が近づいてくる

この日もラン練習をしてからシャワーを浴びて朝食へ。ゆでたまごは電熱線の強さがまちまちなので、たいてい1回目は失敗します。学習機能が働く2回目はうまくいきますね。写真はきれいなところだけをお見せしていますが、実際の現場は過酷なんです。フルーツポンチにミツバチが群がってるとか…。

折りからの猛暑に加えてツール・ド・フランスを熱く歓迎するカルカッソンヌ

中央山塊のシャトーホテルを出発して、岩山と草原で構成されたうねりのある地域をクルマでひた走ります。道幅は1.5台分くらいで、中央に白い点が分離帯として描かれていますが、相互通行ですれ違えるとは思えません。たまにブラインドコーナーから対向車が突っ込んできて、威勢よくブレーキをかけて衝突を避けるほど。

フランスの人って、対向車が来るって視認するまでスピードを緩めないんです。

オクシタニー地方の名物はなんといってもひまわり畑 ©A.S.O. Pauline Ballet

恐ろしい山道も南下するに従って次第に広い道路になり、有料区分の高速道路へ。ちょうどバカンスシーズンが始まった日曜日とあって、ところどころに渋滞が発生する中をカルカッソンヌまで。

写真はきれいなところだけを見せているが、実際の現場は過酷。フルーツポンチにミツバチが群がってるとか…

クルマの外気温は38度ほどになりました。到着したカルカッソンヌは乾いた暑さが充満し、外にいるカメラマンはかわいそうなほどです。ほどなく原稿が修了してから、今度はこちらのほうに修羅場がやってきました。

城塞都市カルカッソンヌで迷路から抜け出せない!

7月下旬のカルカッソンヌの暑さは想定済みだったので、ホテルは滞在型のアパートを2連泊で借りていて、プレスセンターからGPSで3kmほどの表示が確認できました。楽勝ですね。ところがカルカッソンヌの旧市街の脇にゴールしたものだから、ホテルまでダイレクトに向かえません。

フランスではキャスターバッグは使い物にならないかも

こういったときはいったん郊外の環状線に出て、半円を描くように反対方向からアプローチするんですが、どこも警察がブロックしていて、まったくホテルにたどり着けず。

滞在型アパートは8時になると管理人が帰ってしまうので、かなり焦ってしまい、まずはクルマを旧市街のできるだけ近いところに放置して1.9kmを歩いて向かいました。

もうクタクタで到着。ニヒルな殺し屋のようなお兄さんが、「漫画好きだから日本に行くのが夢なんだ」なんて会話しながら、なんとかチェックイン。エアコンの効いた部屋でミネラルウォーターを飲みながらすこし休んで、それから1.9kmを戻ってクルマをピックアップしました。

カルカッソンヌの運河。じつは橋がほとんどなく、ホテル行きを阻まれた条件の1つ

フランスを含む欧州はこの夏記録的な熱波に見舞われています。ただし乾いた風があるので、熊谷や伊勢崎と比べたらまだしのぎやすいです。日も落ちると気温も低下し、翌日朝のラン練習はタイツを履こうかなと思ったくらいで、暑くなる前にカルカッソンヌの城砦まで行ってきました。

でも水を携行していかなかったので、太陽光が強くなった復路はかなり発汗。ホテルまでたどり着けるかなと不安になりましたが、なんとか生還。この日も暑くなりそうです。

2022年のプレスセンターを示す看板は黄色っぽく、もう少しいつもの緑にしてほしかった

第14ステージにもどる⏪ ⏩第16ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

【ツール・ド・フランス現場雑感】中央山塊のシャトーホテルに到着

2022ツール・ド・フランス第14ステージは7月16日、サンテティエンヌ〜マンド間の距離192.5kmで行われ、バイクエクスチェンジ・ジェイコのマイケル・マシューズ(オーストラリア)が5年ぶり4回目の区間優勝を挙げた。

ステージ優勝のマイケル・マシューズは敢闘賞も獲得 ©A.S.O. Pauline Ballet

首位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)は2分22秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)を逃さずに同タイムでゴール。第11ステージで獲得したマイヨジョーヌを守った。

2022ツール・ド・フランス第14ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2022ツール・ド・フランス第14ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
2022ツール・ド・フランス第14ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
第14ステージもビンゲゴーはポガチャルを逃さなかった ©A.S.O. Pauline Ballet
2022ツール・ド・フランス第14ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
2022ツール・ド・フランス第14ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
マンドの坂に広告キャラバン隊がやってきた ©A.S.O. Aurélien Vialatte

中央山塊は日本ではあまり知られていない夏場のリゾート

この日は4kmの激坂が出現するマンド。中心街からこの高原の上にある飛行場までは1本道。上り始めにものすごく狭いところがあって、チームバスやキャラバン隊が軒先に接触しないように慎重に運転していきます。

午後9時からオープンエアでディナーなんて。とても心地よかった
マンドの下山ルートに殺到する関係者や取材陣

だから下りは大変です。下山はこの1本道しかないからです。全選手がゴールしてから関係者の下山が始まります。

選手を載せたチームバスとチームカーが最優先で、3時間ほど奥の原っぱで待機していたキャラバン隊の順で下山。ボクら関係者は混沌とした状況です。途中で表彰式に登壇した選手のために待っていたチームカーが憲兵隊の先導で追い抜いていきます。まあこれがいつものツール・ド・フランスなんです。

中央山塊の山の中にあるシャトーホテル

フランスって砂利道か、さもなくば石畳

マンドの下りはこうして関係者優先で下れましたが、小さな町に観衆が集まっているので、そこからが本格的な渋滞。それに耐え、中央山塊の断崖をえぐるような道を50km走ってたどり着いたのが、こんなところにシャトーがあるんだという落ち着いたホテルでした。

このシャトーホテルは1泊147ユーロと高かったんですが、2人で泊まれば半額のコストです。1ユーロ未満の滞在税が人数分になるだけなので。やはり夏場の中央山塊は、こういった宿泊施設で過ごす人が多く、ホテルが取りづらいので、獲得競争に出遅れると割高なところしか残っていません。

アペリティフのプレッション(生ビール)を飲みながらフランス語のメニューを解読する

古くからあるシャトーを宿泊施設にしたものなので、エレベーターはなく、一番上のお部屋をあてがわれてもらったので荷物をお部屋まで運ぶのが筋トレでした。しかも駐車場からホテル玄関までが砂利道。フランスって砂利道か、さもなくば石畳。

大生を頼んだら、わざわざ戻ってきて「ここにはないんです」とドゥミ(中生)を2杯いっぺんに出してくれた

そして今日も事故なく、ホッとしましたのでのんびりと夕食を取りたいと思い、午後9時到着だったんですが、まだ料理は注文できますかと恐る恐る聞いたら、大歓迎されました。真夏の夕べにお外の席で夕ごはんを食べられるのって、日本では考えられないです。

2022ツール・ド・フランス第14ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

第13ステージにもどる⏪ ⏩第15ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

【ツール・ド・フランス現場雑感】ゆる〜いバカンスと言われても仕方ない

2022ツール・ド・フランス第13ステージは7月15日、ブールドワザン〜サンテティエンヌ間の距離193kmで行われ、トレック・セガフレードのマッズ・ピーダスン(デンマーク)が3選手のゴール勝負を制して初優勝した。

2022ツール・ド・フランス第13ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績では、首位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)とタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)が同タイムでゴール。ビンゲゴーがマイヨジョーヌを守った。

前日に積極的な走りを見せたクリストファー・フルーム ©A.S.O. Charly Lopez
2022ツール・ド・フランス第13ステージ ©A.S.O. Aurélien Vialatte

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

元世界チャンピオンのピーダスンが第13ステージ優勝 ©A.S.O. Charly Lopez

サンテティエンヌのサッカー場で欧州ファンが口にするビール

サンテティエンヌのプレスセンターはスタッドジョフロワギシャール。サッカー好きなら聞いたことがあると思いますが、きれいな芝生のスタジアムです。過去にもここで原稿を打った記憶が蘇りました。2023ラグビーワールドカップもグループリーグがここで行われます。日本戦はここではないんですが。

これがこの日のお宿。シャワーとトイレはレセプション棟にあるのでそこを開けるキーを渡してくれる

この日は近くに住んでいるフミ、こと別府史之さんもプレスセンターにやってきました。親友のサッカー日本代表GK川島永嗣選手(ストラスブール)を応援にスタジアムに来たことがあると言っていました。

スタッドジョフロワギシャール

サンテティエンヌのスタジアムビールが取材陣と大会関係者にふるまわれました。サッカーファンはこれを飲んで大暴れするんですね。ラグビーファンも暴れてください♪

スタッドジョフロワギシャールで。「これはお土産用。プレッション(生ビール)があるからそっちを飲んでいって」
プレスセンターの席で。ビールは後日おいしくいただきました

この日のお宿ははやりのキーワードで言えばグランピング

この日の宿は1週間ほど前まで決めていいませんでした。サンテティエンヌは大都市なので、なんとかなると思っていたので。直前にホテル予約サイトで47ユーロで見つけたのがキャンプ場のシャレ(山小屋)。

管理人から事前にチェックイン指示がしきりにメールで届いていました。本来なら訪れる前にメールをチェックして、利用方法を把握していくべきですが、毎日ホテルを転々としていると、その日の宿のことはその日の仕事が終わって、これからどこに行くんだっけ?というときまで頭の中に入ってきません。

駐車場から荷物はこれで砂利道を引っ張っていくことに

行ってみると、さすがにこれはホテルとは違うスタイルなので、事前の案内があるわけですよね。コード番号を知らないと入れない駐車場の前にクルマを止めて、荷物を持たずに徒歩でレセプションに。アンディ・シュレックに似た若い男性がボクにあてがわれたシャレに連れていってくれましたが、最後はまさかの茂みをかき分けて。

ひと目見て、ちょっと動揺しましたが、中はとても清潔で一夜としては過ごせそうだったので笑顔で「かわいい」と。

シャレの前の最後の茂み

「これはグランピングのたぐいですか」とも思いましたが、モノはいいようで単なるキャンプ場です。

こんな宿に泊まったりするから「ゆる〜いバカンス」だとか言われもないことレスされるんです。でも好きで予約するんじゃなくて、予算を考えるとここしかなかったんです。

シャレは一番小さな2人用。チェックアウト時は掃除をして原状回復をする必要がある

ちかくに小さな町があって、チェックイン後にすぐにスーパーマーケットに。閉店間際の6時59分に滑り込んだのに「ムッシュ閉店だから」と言われ、目的を達成できず。こうなると湖畔を歩いていった先のピザ屋さんしか選択肢がありません。飲酒運転はできないので、ディナーは歩いていきたいんです。

湖畔を歩いていくとピザ屋が。GoogleMapで見つけた

で、ピザ屋さんへ。他の利用者はもちろんクルマで来店します。バッグの中にある食材をシャレの中で寂しく口にする覚悟だったので、湖畔で発見したお店のピザが涙が出るほどおいしく感じました。

2022ツール・ド・フランス第13ステージに悪魔おじさん出現 ©A.S.O. Aurélien Vialatte

さて、パリへのPCR検査のことを真剣に考えるときになりました。ピレネーからパリまではトゥールーズ経由とボルドー経由がありますが、ボルドーの南部で1週間前から山火事が起こっていて、キャンプ場利用者や住民が避難を余儀なくされています。回避したほうがよさそう。今年最後の頑張りどころです。

第12ステージにもどる⏪ ⏩第14ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト