GPSと光学式心拍計で測定したトレーニングデータを無償提供アプリで解析し、個人目標を達成するために必要なトレーニングメニューを提示してくれる「Garmin(ガーミン)コーチ」が使える! アプリの新メニューとして搭載された「ペースプロ」もスゴ技。本番レースで序盤から突っ込むか抑えるか、上りで積極的に走るか休むかなどがプログラムでき、目標達成を強力にサポートしてくれるのだ。
アプリのアップデートでかなり使えるものになった
健康維持のために目標設定する。マラソンに挑戦する。在宅ワークで増えてしまった体重を落とす。次のレースで自己ベストを出す。個人的な目標やフィットネスレベルにかかわらず、成功を支援するトレーニングプランが無料アプリで使える時代になった。
Garmin社が取得した膨大なワークアウトデータを検証し、世界でトップをいくコーチたちから専門的なアドバイスを自動的に提供する。そんなサービスを見過ごすことはない。自分にぴったりのプランを見つけ、スマホにダウンロードしたGarmin Connectアプリに追加すれば第一段階クリア。週ごとのワークアウトが手首に装備したGarminデバイスに送信されるので、それを地道に実行するだけだ。
ボクの場合は東日本大震災以来連続出場してきた4月中旬のハーフマラソンをターゲットにして、21週に及ぶトレーニングメニューを開始していた。新型コロナウイルス感染拡大により大会は開催中止となったが、Garminアプリのバーチャルコーチトレーニングは継続していて、調整期間となる最終週まできっちりと練習できた。
目標タイムをクリアできる「確実性」を示した円グラフが振り切れるほどいい感じで仕上がった。走れば必ず自己ベストが出せる自信はある。Garminコーチは1年前、「ホントに使えないアプリ」だったが、どんどんアップデートされて、それと同時にこのプログラムのクセも把握したので有効活用できたのが自信の裏付けだ。
ちょうど1年前、Garminコーチを使って2019東京マラソンのためのトレーニングを試みたのだが、当時は大失敗した。目標とする距離設定が「Garminコーチ5K」しか選択できなかったからだ。
「これは使えない」と、しばらく無視していたが、「10Kプラン」と「ハーフマラソンプラン」が追加になっていた。初級者から中級者までのトレーニング指針となることは確かだと感じられる。
「Garminコーチ」ってどんなものなの?
「Garminコーチ」は、Garminデバイスで計測した各種データを無償提供アプリで自動解析し、スマホの中の仮想コーチがトレーニングメニューを提示してくれ、それをこなしていくうちにランの記録が向上していくという、夢のようなシステムなのだ。設定などは前回コラムを確認のほど。
●Garminコーチがさらに進化…パーソナルに目標達成を後押し
レース当日が近づいてからの極めて繊細なコンディショニングも支援してくれる。長期的トレーニングは準備期、走り込み期、改善期、調整期などがあるはずだが、それがプログラムされているのでパーソナルトレーナーの指導を受けているかのように、ベストに近い状態でレースに臨めることをたやすくしたのである。
走り込み期には週に一度ほどのタイムトライアルなどがあって、その実走データが解析されて、翌週のメニューや強度が変更されるような仕組み。調整期には次第に負荷を落としていき、疲れを残さずレース当日を迎えられるはずだ。
アプリには「トレーニングステータス」が表示される項目があるので、「ピーク」の表示でレースを迎えられれば最高の記録が誕生する可能性が高い。こういった可視化を実現しているのが、このアプリの最大の功績だ。
スゴいのは「ペースプロ」という最新プログラム
Garminコーチはこのように、レースの準備期間として有効だが、アプリには実戦で使える最新プログラムも追加された。それが「ペースプロ」だ。
レースコースの高度変化や疲労などの要因により、レース全体を通してペースは常に変化する。ペースプロは、これらの要素を考慮して推奨されるペースを示してくれるというもの。ペースプロでレース戦略を計画することができるのが特徴だ。コースと目標の詳細をいくつか指定すれば、ペースプロがカスタマイズしたペース戦略を作成するのだ。
1年前の目標レースに挑戦したときにGPSでデータ取得していればそのコースの起伏などが記録されているので、それを目標レースとして選択する。まだ走ったことのないレースなら「マラソン」や「10km」といった距離から選択する。ただし後者の場合はアップダウン情報が取得できていないので、上り坂をどんなペースでいくかはカスタマイズできなくなる。あくまでも距離をにらんでのペースだ。
そして重要なのはペース配分という戦略だ。じつはこれ、Garmin Connectアプリで編集することができる。
まずは目標タイムを入力しよう。次に入力するのがペース戦略で、ポジティブスプリットとネガティブスプリットがある。ポジティブスプリットは、レースの前半をより速く走ることを意味。ネガティブスプリットはその逆で、レースの後半をより速く走ることで後半に追い上げる走りをすることs。
アプリには左右に動くスライダが用意されているので、それを動かしてペース戦略を自分に最適なものに調整していく。多くのランニングの専門家は、わずかにネガティブスプリット寄りのペース戦略を推奨しているという。
上り坂をどう走るかも設定できる
レースコースのアップダウンは、レースのペースを計画するうえで大きな要因となる。上り坂に時間をかけて楽に走りたいという人もいれば、積極的に攻めることを好む人もいる。前者ならイージー、後者ならハードにスライダを動かして、上り坂の運動量を調整し、最適なものに合わせることができる。
多くのランニングの専門家は、レースの後半に備えて持久力を温存するために、上り坂で少しペースを落とすことを推奨しているという。
作成した戦略をGarminデバイスと同期すれば手元で確認しながら走ることができる。レースのさまざまな区間のペースを色分けし、その情報を確認しながら走るといい。
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