マリアローザは2023年にデジタル進化…高速化繊維を採用

ジロ・デ・イタリアの首位選手が着用するバラ色のジャージ、マリアローザの2023年版デザインが12月5日にイタリアのミラノで発表された。制作はサイクリングアパレルのカステリ社で、リサイクル&サスティナブル繊維を駆使し、デジタル進化した。

2023マリアローザ ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

新作ジャージはクリスマスエディションとして12月5日から公式ショップでオンライン発売。2023年2月からはその他のチャンネルでも購入できるようになる。

ギザロ博物館に展示された歴代マリアローザ ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse
©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse
2023マリアローザ

●ジロ・デ・イタリアのオンラインショップ

2023ジロ・デ・イタリア…首都ローマ凱旋は大会史上5回目

2023年5月6日から28日まで開催される第106回ジロ・デ・イタリアのコースが、10月17日午後5時30分(日本時間深夜0時30分)にイタリアのミラノにあるオペラ座で発表された。全21ステージ、総距離3448.6km。ステージ平均距離164.2km。

2023ジロ・デ・イタリアのコース

2023ジロ・デ・イタリアの特徴を箇条書きすると

●ジロ・デ・イタリアがアブルッツォ地方で開幕するのは史上2度目。2001年以来。
●イタリアの首都ローマが最終ステージとなるのは5回目。ローマがステージのゴールとなるのは49回目。
●最高標高のチマコッピは第13ステージ、アルプスのグランサンベルナール峠(スイス)。イタリア領内にないのは4回目。1971年もグロスグロックナー(オーストリア)。1982年のイゾアール峠(フランス)。1985年のシンプロン峠(スイス)。
●タイムトライアルの総距離は70.6km。70kmを最後に超えたのは2013年の75.4km。
●ナポリにゴールするのは44回目。前回は2022年5月、トーマス・デヘントが優勝。

現役引退したビンチェンツォ・ニバリ(左)と2022ジロ・デ・イタリア総合優勝のジャイ・ヒンドレー ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

●第7ステージのゴールはグランサッソ・ディタリア(カンポ・インペラトーレ)。5回目のフィニッシュを迎える。1971年はビセンテ・ロペスキャリル。1989年はジョン・カールセン、1999年はマルコ・パンターニ、2018年はサイモン・イェーツが優勝。
●ベルガモは第15ステージのゴール。最後にゴールした2017年、ボブ・ユンゲルスが優勝。

2023ジロ・デ・イタリアの全21ステージ

●第16ステージのゴール、モンテボンドーネは6回目。2023年にはアルデノ側の新ルートから登る。これまではすべてトレント側から上りで、降雪の1956年にシャルリー・ゴール、1957年ミゲル・ポブレット、1978年ウラジミロ・パニッツァ、1992年にジョルジョ・フルラン、2006年にイバン・バッソが優勝。
●第19ステージはトレチメディラバレドでフィニッシュ。1967年フェリーチェ・ジモンディ、1968年エディ・メルクス、1974年ホセマヌエル・フエンテ、1981年ビート・ブロイ、1989年ルッチョ・エレラ、2007年リッカルド・リッコ、雪に見舞われた2013年はビンチェンツォ・ニバリが制した。

2023ジロ・デ・イタリアのプロフィールマップ

2023ジロ・デ・イタリア日程

5月6日(土) 第1ステージ コスタデイトラボッキ 18.4km(個人タイムトライアル)★
5月7日(日) 第2ステージ テラーモ〜サンサルボ 204km
5月8日(月) 第3ステージ バスト〜メルフィ 210km★★
5月9日(火) 第4ステージ ベノーサ〜ラーゴラチェーノ 184km★★
5月10日(水) 第5ステージ アトリパルダ〜サレルノ 172km★
5月11日(木) 第6ステージ ナポリ〜ナポリ 156km★
5月12日(金) 第7ステージ カプーア〜グランサッソ・ディタリア 218km★★★
5月13日(土) 第8ステージ テルニ〜フォッソンブローネ 207km★★
5月14日(日) 第9ステージ サビニャーノ・シュルルビコーネ〜チェゼナ 33.6km(個人タイムトライアル)★★★
5月15日(月) 休養日
5月16日(火) 第10ステージ スカンディアーノ〜ビアレッジョ 190km★
5月17日(水) 第11ステージ カマイオーレ〜トルトーナ 218km★
5月18日(木) 第12ステージ ブラ〜リボーリ 179km★★
5月19日(金) 第13ステージ ボルゴフランコ・ディブレア〜クランモンタナ 208km★★★
5月20日(土) 第14ステージ シエッレ〜カッサーノマニャーゴ 194km★
5月21日(日) 第15ステージ セレーニョ〜ベルガモ 191km★★★
5月22日(月) 休養日
5月23日(火) 第16ステージ サッビオキエーゼ〜モンテボンドーネ 198km★★★
5月24日(水) 第17ステージ ペルジーネバルスガーナ〜カオルレ 192km
5月25日(木) 第18ステージ オデルツォ〜バルディゾルド 160km★★★
5月26日(金) 第19ステージ ロンガローネ〜トレチメディラバレド 182km★★★
5月27日(土) 第20ステージ タルビジオ〜モンテルッサーリ 18.6km(個人タイムトライアル)★★★
5月28日(日) 第21ステージ ローマ〜ローマ 115km
★は難易度

ミラノのオペラ座でコースが発表された ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

2023ジロ・デ・イタリアのコースは17日・日本時間深夜0時30分発表

2023年5月6日から28日まで開催される第106回ジロ・デ・イタリアのコースがきょう17日午後5時30分、日本時間深夜0時30分に発表される。大会のFacebook、Twitter、YouTube、DailyMotion、TikTok、Instagramでチェックできる。

2022ジロ・デ・イタリア第10ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

2022ジロ・デ・イタリアはボーラ・ハンスグローエのジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)が初めての総合優勝を達成した。

●ジロ・デ・イタリアのtwitter
●ジロ・デ・イタリアのFacebook
●ジロ・デ・イタリアのInstagram

ヒンドレーが2022ジロ・デ・イタリア総合優勝…2年前の雪辱を果たす

第105回ジロ・デ・イタリアは最終日となる5月29日、ベローナで第21ステージとして17.4km個人タイムトライアルが行われ、ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が前日までの貯金を利して初めての総合優勝を達成した。

2022ジロ・デ・イタリアを制したジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) ©Marco Alpozzi/LaPresse

1分18秒遅れの総合2位はリチャル・カラパス(エクアドル、イネオスグレナディアーズ)。

ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) ©LaPresse
ベローナ円形闘技場にヒンドレーがゴール ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2022
ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) ©Fabio Ferrari/LaPresse
総合2位のカラパスがヒンドレーを祝福 ©Marco Alpozzi/LaPresse
ポイント賞を獲得したアルノー・デマール ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
クーン・ボウマンが山岳賞 ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
フアン・ロペスが新人王に ©LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞)クーン・ボウマン(オランダ、ユンボビスマ)
□マリアビアンカ(新人賞) フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)

最後のジロ・デ・イタリアとなったニーバリ ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
アレハンドロ・バルベルデ ©Marco Alpozzi/LaPresse

第20ステージにもどる≪≪

最後の山岳でヒンドレーが2年ぶりにマリアローザ【ジロ・デ・イタリア第20S】

第105回ジロ・デ・イタリアは5月28日、ベッルーノ〜パッソフェダイア間の168kmで第20ステージが行われ、3秒遅れの総合2位につけていたジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が首位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオスグレナディアーズ)に1分28秒差でゴール。総合1位に躍り出て、2年ぶりにマリアローザを獲得した。

ジャイ・ヒンドレーがパッソフェダイアで逆転をかけて走る ©Fabio Ferrari/LaPresse

ステージ優勝は独走でゴールしたUAEエミレーツのアレッサンドロ・コービ(イタリア)。大会初優勝。

3秒遅れの総合2位ジャイ・ヒンドレー。2022ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©LaPresse

2年前は最終日に逆転負け、運命のタイムトライアルへ

ヒンドレーはサンウェブ時代の2020ジロ・デ・イタリアで、最終日前日に総合1位へ。しかし同タイムでタオ・ゲイガンハート(英国、イネオス・グレナディアーズ)が並ぶという激戦となり、最終日にミラノで行われた個人タイムトライアルで逆転負けした。

山岳賞のクーン・ボウマン。2022ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©LaPresse

「とても残忍なフィニッシュなので重要なステージになることは分かっていた。もしボクの足に余力があれば、また違った戦いができたと思う。チームはこの日にかけていて、完璧に走れた。先頭グループにレニー・カムナがいた。ボクたちが彼らに追いついてから、彼は大きな助けになった」とヒンドレー。

「壮大なステージだった。3週間のレースが終わって挑むタイムトライアルがどうなるかは分からないが、ボクはマリアローザのために死ぬつもりだ」

2019年は最終日前日にマリアローザを着用したが、翌日に逆転されたジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) ©LaPresse
2022ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2022ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
最後の山岳パッソフェダイアでマリアローザのカラパスがヒンドレーから遅れた ©Fabio Ferrari/LaPresse
アレッサンドロ・コービが2022ジロ・デ・イタリア最難関のステージを制した ©Massimo Paolone/LaPresse
マリアローザを獲得したヒンドレー ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞)クーン・ボウマン(オランダ、ユンボビスマ)
□マリアビアンカ(新人賞) フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)

2022ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©LaPresse

第19ステージにもどる≪≪   ≫≫第21ステージにすすむ

電動レースを本気で導入したジロ・デ・イタリアの思惑

E(エレクトロニック)を導入したスポーツが開催される時代になった。自転車ロードレース、ジロ・デ・イタリアでもeバイクを使った「ジロE」が併催されている。イタリアの大手電力会社エネルの子会社で、バッテリーや再生エネルギー発電などを手がけるエネルエックスが冠協賛。一方、人気のeバイク市場が思わぬ問題点を誘発。

出場選手はジロ・デ・イタリアと同じ舞台を体験できる ©LaPresse

eレースはエース以外は日替わり参戦もできるのが魅力

5月6日にハンガリーで開幕したジロ・デ・イタリアは、ロードレース界の一流プロが参加するレース。同国で3区間を行い、イタリアに移動してさらに18区間を走る。これに対して、eバイクを使ったジロEは、往年の名選手や一般愛好家が参加できるイベントで、主催者は同じ。ハンガリーの3区間を日程から外し、イタリア入りした第4ステージからジロEの競技を開始した。

電動パワーでジロ・デ・イタリアのコースに挑むジロEの参加者。下側チューブが太めだが、それ以外は電動アシスト自転車とは見抜くことができない ©LaPresse/Alessandro Garofalo

全18区間で、最終日はジロ・デ・イタリアと同じ29日だ。プロレースは1日200km前後を走るが、ジロEは各区間の最大距離が105kmと制限されている。それでもコースはジロ・デ・イタリアとほぼ同じ。プロ選手に先行して走り、表彰式で与えられるリーダージャージーのデザインも同じだ。

出場はチーム単位で、6人編成で各区間を走る。総合成績を争うキャプテン1人が決められ、残りの5選手は日替わりで交代してもいい。第2カテゴリーまでのプロチームに所属している選手は出場できないが、かつての世界チャンピオンやジロ・デ・イタリア歴代優勝者などが名を連ねる。それ以外は自転車愛好家で、電動パワーを借りながら憧れのイタリア一周レースに参加できるというのが魅力だ。

ジロEに使用されるのは、スポーツ仕様の電動アシスト自転車で、近年はeバイクと呼ばれる。ドロップハンドルをつけたロードタイプで、太めの下部チューブにモーターとバッテリーが内蔵されているので、見た目はあまり変わらない。ただし日本では道路交通法に定められた規格から逸脱するので輸入されてない。具体的には、日本規格では走行速度が24kmに達すると電動アシスト力がゼロになるが、欧州規格は時速25kmを超えてようやく次第にアシスト比率が落ちていく仕組み。

5月10日に開幕したジロE。右は元世界ランキング1位のダミアノ・クネゴ、右は乳がんを克服したトライアスロン選手のアレッサンドラ・フィオール ©LaPresse

eバイクのいいところは自分の体力以上に走れること。憧れのジロ・デ・イタリアに出場するのはこれまで世界のトッププロしかできなかったが、電動パワーによって夢が実現できる時代になった。日替わりでチーム編成を変えていいというルールも、全日程は休めない庶民が参加しやすくなるという配慮だ。

1区間の走行距離は半分ほどだが、勝負どころの上り坂はしっかりと設定されている。だから電動アシストはあるけれど、それなりの運動能力がなければゴールにたどり着けないだろう。

ステージレースでのチームプレーも演じることができる ©LaPresse

欧州のeバイク人気で世界的に供給滞り

欧州ではガソリンが1リットルあたり300円超。日常生活での移動や買い物の際、自動車をやめてeバイクに乗り換えている市民が多い。そのためeバイクが爆発的に売れ、世界随一の自転車生産地域である台湾は日本市場などに供給していた一般車の製造ラインを欧州向けeバイクに変更している。eバイクのほうが利益率が高いからだ。

ピナレロのeバイクで走るモスコンとeカーで追走するフィジケラ

需要はあるが、経営者は増産のための設備投資には消極的。中国政府からの将来的な圧力を懸念してのことだ。アルミ原産国2位ロシアの情勢もあって、原材料も不足。軽合金を多用する自転車パーツが製造できない苦境に陥っている。高騰する輸送コストも製品価格にはね返り、パーツメーカーのシマノや海外完成車ブランドの自転車も相次いで値上げ。日本では東日本震災以来、「ちょっと高くてもいい自転車に乗りたい」という自転車ブームが続くが、店舗にほしい商品が並ばない。欧州eバイク人気が日本の自転車市場に思わぬ影響を与えている。