ポガチャルV、ログリッチ首位…ツール・ド・フランス第9S

第107回ツール・ド・フランスは9月6日、ポー〜ラランス間の153kmで第9ステージが行われ、スロベニア旋風が吹き荒れた。90kmを逃げ続けたサンウェブのマルク・ヒルシ(スイス)を残り2kmで4選手が捕らえ、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)がゴール勝負を制して初優勝。ユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がタイム差なしの区間2位に入り、総合成績で首位に立った。

ログリッチがツール・ド・フランス第9ステージでマイヨジョーヌを獲得 ©A.S.O. Alex Broadway

首位のアダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)は途中の山岳で遅れ、1分02秒遅れの総合8位に後退した。

ユンボ・ビスマのトム・デュムラン ©A.S.O. Alex Broadway
90kmを逃げ続けたマルク・ヒルシ ©A.S.O. Alex Broadway
ワウト・バンアールトがメイン集団を引っ張る ©A.S.O. Alex Broadway
マイヨジョーヌのアダム・イェーツがピレネー2日目に脱落 ©A.S.O. Alex Broadway
2020ツール・ド・フランス第9ステージ ©A.S.O. Alex Broadway
イネオス・グレナディアスのエガン・ベルナル ©A.S.O. Alex Broadway
逝去したイネオスのニコラ・ポルタル監督の家族がポーのスタートに招かれた ©A.S.O. Alex Broadway
UAEエミレーツのデラクルス、ポガチャル、クリストフ ©A.S.O. Alex Broadway
敢闘賞を獲得したマルク・ヒルシ ©A.S.O. Alex Broadway

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

2020ツール・ド・フランス第9ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

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自転車を愛するなら社会的義務を果たして…プロ協会が訴え

プロサイクリスト協会(CPA)がツール・ド・フランスの山岳ステージに集まった観衆の多さに、新型コロナウイルス感染への懸念を示し、「あなたがサイクリングを愛するのなら、社会的な義務を果たして!」と強く訴えた。

©Luca Bettini/BettiniPhoto

ツール・ド・フランスの沿道から、選手への声援とリスペクトを込めた歓声が再びわき起こった。新型コロナウイルス感染拡大により一時はすべての大会が中止あるいは延期となったが、関係者の努力によってリスタートすることができた。

第1週の山場、ピレネー山脈はフランスとスペインの国境線に位置するが、両国ともまさに第二波まっただ中。1日の新規感染者はどちらも1万人を突破する勢いだ。大会は感染予防のために、選手のみならずチーム関係者など全体が定期的なテストを受けている。またすべての関係者の健康を守るために、レースコースへのアクセスを一部制限している。

ツール・ド・フランスが停止することを避けるために、ファンも自分の役割を果たす必要がある、とCPA。ファンは、ツール・ド・フランスと世界中のすべてのサイクリストが活躍するべく再開されたレースに駆けつけ、選手を鼓舞するために沿道に陣取ることを歓迎されている。しかしファンは正しく行動する必要があり、マスクを正しく着用し、ソーシャルディスタンスを尊重してほしいと訴えている。

©Luca Bettini/BettiniPhoto

CPAのフランスの代理人、パスカル・シャントゥーは、「山岳ステージではスピードが遅くなり、また観客が選手に接近するエリアとなる。このエリアを規制強化するようにASOに依頼した」という。

CPAは、レースに行くファンに注意事項とリスペクトを呼びかける。

「安全な距離を取って選手らを奨励することで、この世界のチャンピオンにあなたの愛情を示してください。私たちは、選手が一生懸命仕事をしているにもかかわらず感染することを許しません。私たちの男の子と女の子が自分の仕事をして感染することを許すことはできません。選手とその家族に大きな打撃を与えるばかりでなく、検査で陽性となればレースからの即時追放となるので、選手キャリアを危険にさらすことになる」

上記はCPAのジャンニ・ブーニョ会長のコメント。

「握手をして抱き合い、スポーツスターからサインをもらい、お土産の写真のために彼らと一緒にポーズを取る日はいつか来る。それまでの間、私たちは選手の仕事と選手の努力に敬意を払うことによって、アスリートに対する尊敬を示すべきだ」

●プロサイクリスト協会のホームページ

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ピレネー初日でアラフィリップとピノが脱落…ツール・ド・フランス第8S

第107回ツール・ド・フランスは9月5日、カゼール・シュル・ガロンヌ〜ルダンビエル間の141kmで第8ステージが行われ、13選手の第1集団の中からAG2Rラモンディアールのナンズ・ピーターズ(フランス)が単独で抜け出して初優勝を挙げた。

元政府閣僚で、オクシタニー地域圏のキャロル・デルガ議長(左)とカゼール・シュル・ガロンヌのミシェル・オリバ市長 ©A.S.O. Pauline Ballet

「これはボクのプロとしてのキャリアの中で最高の勝利だ。2019年のジロ・デ・イタリアを含めてもまだ2つしか勝ってないし」とピーターズ。

「山岳ステージで、勝利をつかむために第1集団に加わった。ちょっとクレイジーだった。後続とのタイム差が12分に開いた時、ステージ優勝するために走ろうと態勢を整えた。自分自身にステージで勝つことだけに集中しろと言い聞かせた。

ナンズ・ピーターズ(フランス)が独走 ©A.S.O. Pauline Ballet

ポルトデバレス峠からのダウンヒル中に 実力のあるイルヌル・ザカリン(ロシア、CCC)を引き離した時、もう負ける者か遠い気持ちだけだった。ジロ・デ・イタリアで勝った時は勝利の雰囲気をまったく味わえなかったから、最後の500メートルでそれを楽しんだ」

AG2Rラモンディアールはピーターズが区間優勝しただけではなく、ブノワ・コズネフロワ(フランス)が山岳賞ジャージをキープ、エースのロマン・バルデ(フランス)が強さを見せて11秒遅れの総合4位に位置。

「チームにとってなんという日になったんだろう」(ピーターズ)

ナンズ・ピーターズが第8ステージで初優勝ツール・ド・フランス ©A.S.O. Pauline Ballet

「チームにとって素晴らしい一日だった。今大会で最初のアタックとステージ初勝利。ナンズがやってくれた。彼は自在に走ることができるし、欠点がない選手だからね」とバルデ。

「ただしボクにとってはいいことばかりじゃなかった。落車に巻き込まれてヒザを強打してしまった。今はかなり痛い」

山岳賞ジャージを着るコズネフロワ(右)とカルロス・ベローナ ©A.S.O. Pauline Ballet

「ツール・ド・フランスでステージ1勝するとようやく呼吸ができるようになる」とバンサン・ラブニュ監督。

「ナンスは昨年のジロ・デ・イタリアと同じレベルの偉業を果たした。ナンズは決してあきらめない粘り強い選手だ。彼はブノワやロマンと一緒にチームのトレーニングセンターで練習してきた。チームのトレーニングプログラムの有効性を実証してくれた」

「ロマンは総合4位、ブノワは山岳賞ジャージを保持している。そしてナンズがステージに勝った。それは素晴らしいことですが、我々は常に謙虚であり続け、仕事と戦いを続ける必要がある」

アラフィリップとピノは総合優勝争いから脱落

ジュリアン・アラフィリップは第8ステージで18分07秒遅れ。総合優勝争いから脱落した ©A.S.O. Pauline Ballet

首位のアダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)をはじめとした有力選手は6分40秒遅れでゴール。 イエーツがマイヨジョーヌを守った。

地元フランスのファンが総合優勝を期待していたフランス勢は、ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップが18分07秒遅れ、グルパマFDJのティボー・ピノが25分23秒遅れ。マイヨジョーヌ争いから脱落した。

グルパマFDJのティボー・ピノは25分23秒遅れとなる ©A.S.O. Pauline Ballet
2020ツール・ド・フランス第8ステージはピレネーへ ©A.S.O. Alex Broadway
13人の第1集団はメイン集団に吸収されることなく、ゴールへ ©A.S.O. Pauline Ballet
新人賞ジャージを着るのはエガン・ベルナル ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

コズネフロワ、イェーツ、サガン、ベルナル ©A.S.O. Pauline Ballet

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ファンアールト2勝目、ポガチャル脱落…ツール・ド・フランス第7S

第107回ツール・ド・フランスは9月4日、ミヨー〜ラボール間の168kmで第7ステージが行われ、41人のゴール勝負をユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)が制した。第5ステージに続く区間優勝で、大会通算3勝目を挙げた。

世界で一番高いミヨー橋 ©A.S.O. Alex Broadway

この日は強い追い風により集団が分断。首位のアダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)は第1集団に残りマイヨジョーヌを守ったが、ポイント賞のサム・ベネット(アイルランド、ドゥークニンク・クイックステップ)、新人賞のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)が脱落。それぞれリーダージャージーを失った。

マイヨジョーヌのアダム・イェーツ ©A.S.O. Alex Broadway
エガン・ベルナル ©A.S.O. Alex Broadway
2020ツール・ド・フランス第7ステージはミヨーをスタート ©A.S.O. Pauline Ballet
中間スプリントポイントはマッテオ・トレンティン(右)が1着、サガンが2着で通過 ©A.S.O. Pauline Ballet
2020ツール・ド・フランス第7ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
ボーラ・ハンスグローエが追い風の中で超ハイペースの戦いを仕掛ける ©A.S.O. Alex Broadway
ポイント賞のマイヨベールを奪ったペテル・サガン ©A.S.O. Alex Broadway

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)

2020ツール・ド・フランス第7ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

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ルツェンコ初優勝…ツール・ド・フランスは山岳区間へ

第107回ツール・ド・フランスは9月3日、ルテイユ〜モンエグアル間の山岳を走る191kmで第6ステージが行われ、カザフスタンチャンピオンのアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ)が第1集団から終盤に単独で抜け出し、初優勝を挙げた。

カザフスタンチャンピオンのアレクセイ・ルツェンコが先頭集団から単独で抜け出す ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績ではミッチェルトン・スコットのアダム・イエーツ(英国)が首位を守った。

スタートの町の郊外に出たところに設置されたKM0、正式スタート地を通過 ©A.S.O. Pauline Ballet

ツール・ド・フランスでステージ勝利のために戦う目標を持っていたというルツェンコ。

「ツール・ド・フランスは今シーズン最大のゴールの一つだった。私は長い間この勝利を夢見ていたし、今私の夢が実現した」

ツール・ド・フランス第6ステージで先頭集団を形成した8選手 ©A.S.O. Pauline Ballet

第6ステージは過去にルツェンコがステージ優勝とともに総合優勝したレースと似ていた。ただしルツェンコにはエースであるミゲルアンヘル・ロペスのアシストとしての使命もあって、すでにその仕事を果たしたゆえに総合成績からは大きく遅れていた。

「今日はステージの前に、この日の戦術について、スポーツディレクターとゼネラルマネージャーのアレクサンドル・ビノクロフと検討した。フィニッシュまで単独で行くチャンスがあるので、第1集団に加わったらうまく休憩を取ろうと決めた」という。

ミッチェルトン・スコット、イネオス・グレナディアス、ユンボ・ビスマ ©A.S.O. Pauline Ballet

一日中かなりいい感じで、足はかなりうまくいった

この日の第1集団がメイングループから脱却するのに時間がかかったが、最終的に成功した。まんまとルツェンコはここに加わることができたのだ。

「長くて暑い日だったが、後ろの車に乗っていたアレクサンドル・ビノクロフにステージを通して本当に素敵に導かれた。最後の登りで、私は落ち着いて、自分のリズムを保つようにした。そして最も難しい部分で、自分自身のなかで攻撃をした」

「この勝利にとても満足している。それは私にとってもチームにとっても大きな成果だ。また、カザフスタンのナショナルチャンピオンジャージで勝つことは素晴らしい気持ちだ。この素晴らしい機会を与え、長年にわたって私たちをサポートしてくれたすべてのスポンサーとメインパートナーのSamruk-Kazynaに感謝したい」

同じ三大大会でありながら、ツール・ド・フランスはジロ・デ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャと比べると、区間初優勝者が誕生することが極端に少ない。今大会も第5ステージまでは過去に勝利経験があるエース選手のみ。世界中が注目される大会では、実力者で勝利をねらっていくのが常套作戦なのだ。

ツール・ド・フランス第6ステージを制したルツェンコ ©A.S.O. Pauline Ballet

カザフスタン登録のアスタナのエースはミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)だ。ただしこの日はルツェンコが最も得意とする、難易度が低いながら登り切ってゴールする舞台設定。そしてルツェンコは、前日まで5分50秒も遅れていた。

総合成績が下位ならスタート直後のアタックも容認される可能性が高い。そしてルツェンコが第1集団に加われば、エースのロペスが大集団の中で楽に走れる。チームのビノクロフ監督が描いた作戦だ。これがまんまとハマった。

コフィディスのヘスス・エラダは55秒遅れの2位でゴール後に落胆 ©A.S.O. Pauline Ballet

終盤の上りで得意の走りを見せつけて独走となったルツェンコは、追走するチームカーの監督を振り返って勝利の合図を送る余裕すらあった。カザフスタンチームの、自国の王者が勝利を挙げた。

マイヨジョーヌを守ったアダム・イェーツ ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)
マイヨベール(ポイント賞)サム・ベネット(アイルランド、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス)(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2020ツール・ド・フランス第6ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

【もの知りコラム】最初からシャンゼリゼにゴールしたわけではない

今でこそツール・ド・フランスのフィナーレは、パリのシャンゼリゼだが、世界で最も美しいといわれるこの大通りに選手たちが凱旋するようになったのは1975年からだ。第1回はパリ近郊のビルダブレにゴールした。その翌年から1966年まではパリのパルクデプランスに。現在はサッカーのパリ・サンジェルマンの本拠地として知られるサッカースタジアムだが、当時は自転車競技場だった。

1967年から1974年まではブローニュの森とはパリ市街地をはさんで反対にあるバンセンヌの森にゴールしていた。

現在はノーカーデーなどの催しでシャンゼリゼが全面通行止めになることが多くなったが、かつては年に4回しかなかった。革命記念日。クリスマス、戦勝記念日、そしてツール・ド・フランスのフィナーレの日だ。

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アラフィリップがペナルティで首位陥落…ツール・ド・フランス第5S

第107回ツール・ド・フランスは9月2日、ガップ〜プリバ間の183kmで第5ステージが行われ、ユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)がゴール勝負を制し、2019年に続く区間2勝目を挙げた。

2020ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)は残り20kmを切ってから規則違反のボトル補給を受けたため20秒のペナルティ。前日まで4秒遅れの総合2位につけていたミッチェルトン・スコットのアダム・イエーツ(英国)が首位に浮上。初めてマイヨジョーヌを着用した。

パレード区間を終えて「km0地点」を通過したところで正式スタートの合図が振られた ©A.S.O. Alex Broadway
マイヨジョーヌのアラフィリップは「長くて退屈なステージだった」と余裕のコメントだったが… ©A.S.O. Alex Broadway

この日は序盤から走行速度が遅く、飛び出そうとする選手もいなかった。連日の激しいレースで疲れを見せる選手たちの気持ちが「今日はみんなでゆっくり行こう」という意思で統一されたのだ。その間隙を縫ってアシスト役のファンアールトが勝利をものにした。

山岳賞ジャージを着るブノワ・コズネフロワ ©A.S.O. Alex Broadway

2019年は第10ステージで勝ったが、第13ステージで落車して負傷リタイア。2020年8月に復帰したばかりだった。

「ここまで回復できるとは思わなかった。チームエースのログリッチとデュムランは調子がいいので、ボクはこのあとはしっかりと仕事をしたい」とファンアールト。

2020ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

アラフィリップは集団の中でゴールし、首位を守ったかに見えたが、残り17kmで沿道にいたチームスタッフから規則違反のボトル補給。20秒のペナルティを加算され、総合16位に陥落。イェーツが首位に浮上した。

ワウト・ファンアールト(ベルギー)がツール・ド・フランス第5ステージ優勝 ©A.S.O. Alex Broadway

「ゴール後にチームバスでシャワーを浴びてホテルに向かう準備をしていたが、表彰式に出るようにと迎えがきた。こんな感じで初めてマイヨジョーヌを着るのはイヤだったが、獲得したものは守りたい」とイェーツ。

アダム・イェーツがツール・ド・フランス第5ステージでマイヨジョーヌ ©A.S.O. Alex Broadway

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)
マイヨベール(ポイント賞)サム・ベネット(アイルランド、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス)(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2020ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Pauline-Ballet

【もの知りコラム】国別対抗戦だった時代もあった

ツール・ド・フランスの参加形態は、いくつかの変遷を繰り返して今日に至る。基本的には現在と同じチーム単位での参加だが、個人参加も認めた時代もある。1930年にようやくルールが明確化。じつはその年からナショナルチームとしての参加に変更された。1938年には完全に個人参加がなくなった。翌年には活性化の意味で、フランス地域選抜も加わる。

さらに1962年、チーム単位の参加に変更。1967~1968年にナショナルチーム形式に戻したのはサッカーW杯のようにナショナリズムをあおるのが目的だった。ようやく現在のプロチーム単位の参加となったのが1969年。世界190カ国に報道されるレースだけに、スポンサーで成り立っているプロチームは、ツール・ド・フランスに出場することが最優先となる。

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