【ツール・ド・フランス現場雑感】夏祭りと残念な銃撃事件

第109回ツール・ド・フランスは2022年7月3日、デンマークのバイレ〜セナボー間182kmで第3ステージが行われ、バイクエクスチェンジ・ジェイコのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)が大集団のゴールスプリント勝負を制し、3年ぶり5回目の優勝を挙げた。

デンマークでのラインレースはゴールまでみんなで行こうよという選手の意思共有を感じた ©A.S.O. Pauline Ballet

フルーネウェーヘンが大怪我を乗り越えて勝利

フルーネウェーヘンはスプリンターとして活躍したが、落車による重い障害を背負ってしまい精神的不調が続き、今季から同チームに。

「チャンスを与えてくれたチームに恩返ししたかった。最後の勝負は緊張したが、これでようやく迷いが吹っ切れる」とフルーネウェーヘン。

2022ツール・ド・フランス第3ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

マイヨジョーヌのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)は3ステージ連続で区間2位。ボーナスタイム6秒を獲得。総合2位のランパールト(クイックステップアルファビニル)との差を1秒から7秒に広げた。総合1位ととともに、ポイント賞でも1位をキープしている。

バイキングに扮したリゴベルト・ウラン ©A.S.O. Charly Lopez

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2022ツール・ド・フランス第3ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

2日前にツール・ド・フランスの舞台となった町で銃撃テロ

デンマークでの3日間は、ツール・ド・フランスの歴史上でも眼を見張るような盛り上がりを見せました。沿道には想像以上大観衆が詰めかけ、タデイ・ポガチャルも「もうとにかくファンの声援はスゴい!」とコメントしているほどです。

マグナス・コルト(デンマーク)が独走してさらに山岳ポイントを積み上げた ©A.S.O. Charly Lopez

現地運営を委託されたデンマーク側はコースから離れたところに圧倒的多数の駐車場を用意。ファンはそこから徒歩などでコース上に向かうことになりました。簡易トイレなどのホスピタリティも用意周到で、デンマークの人たちは「3日間のフェスティバル」という楽しさを口にして盛り上がったのは言うまでもありません。

まさに夢のような3日間だったに違いありません。ところが…。

デンマークの3日間は大盛りあがり ©A.S.O. Pauline Ballet

この第3ステージが行われていた3日に、コペンハーゲンの商業施設で銃撃事件があり、犠牲者も発生しました。ツール・ド・フランス関係者はそこから300km近く離れた本土にいたので影響はありませんでした。ボクはその翌日にコペンハーゲンに着き、東京中日スポーツから事件を知らせる連絡があったのでちょっとお気楽すぎた取材者日記を書き直す必要がありました。

集合住宅みんなでツール・ド・フランスを歓迎
自転車が市民の生活には欠かせない。童話作家アンデルセンの生まれたオデンセで
オデンセの駐輪場にはコンプレッサーが常備。上部は鉄道駅の向こう側まで伸びる自転車専用橋
オデンセ郊外のレストラン付きモーテルで初めての本格料理

大会4日目はフランスまでの移動。そして3年ぶりのフランスへ

そして、通常より1日増の24日間で開催されているツール・ド・フランスは大会4日目にデンマークからフランス北部に大移動することになります。

アラス郊外のモーテルへ。クルマ移動のボクたちは荷物を部屋に運ぶのが楽で、このタイプが大好き

コペンハーゲンからパリに戻ったボクは、いよいよ3年ぶりにフランスの大地を踏みしめることに。目頭が熱くなるほど感慨深い思いでした。

この日はパリとカレーの中間にあるアラスへ。

清潔で快適な部屋からは麦畑と草むらのウサギも見える

これまで、
「ボクのツール・ド・フランスはマルセイユから始まった」
とか
「ボクのツール・ド・フランスはルーアンから始まった」
とか大ウソをついてきましたが、このアラスこそが人生を変えた街なんです。

そしてデンマーク帰りはフランスのレストランが激安に感じるという罠に

中学の頃から英国かぶれで、ラグビーなんかやったりして。高校の選択教科で英語を習得しようと参加した授業の題材が「フランス革命の指導者たち」。それを機会にフランスに傾倒し、恐怖政治を断行したロベスピエールがボクの英雄になりました。

フランス全土を駆けずり回っているボクにとって、フランスらしい景色といえばこんな感じだ

そのロベスピエールの出身地がアラス。フランスにはこれからはもうそんなにくる機会も少ないので、訪れておきたかったんです。部屋の窓を開けると草原のにおい、鳥の声、ウサギの姿。ツール・ド・フランスはこれから3週間をかけてフランスを一周することになります。

日差しは強いが朝夕は暖房をつけるほど冷え込んだ

第2ステージにもどる⏪ ⏩第4ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

【ツール・ド・フランス現場雑感】1年遅れのお祭りがデンマークにやってきた

第109回ツール・ド・フランスは2022年7月2日、デンマークのロスキレ〜ニュボー間202.5kmで第2ステージが行われ、クイックステップアルファビニルのファビオ・ヤコブセン(オランダ)がゴール勝負を制して初優勝した。

2022ツール・ド・フランス第2ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

マイヨジョーヌはワウト・ファンアールトに移る

前日に5秒遅れの総合2位につけたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)が区間2位になり、ボーナスタイム6秒を獲得。初日に首位となったクイックステップアルファビニルのイブ・ランパールト(ベルギー)をわずか1秒上回って、初めてのマイヨジョーヌを獲得した。

港に面した原っぱがツール・ド・フランス第2ステージのスタート地となった

3連覇を狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)は残り3kmを切ったところで発生した落車で遅れたが、救済措置により区間1位と同じゴールタイムとなり、ことなきを得た。

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ツール・ド・フランス第2ステージはデンマークの大観衆が沿道に詰めかけた ©A.S.O. Pauline Ballet
この日は平坦コース。気温20度半ばの過ごしやすい天気に恵まれた ©A.S.O. Pauline Ballet

物価高のコペンハーゲンでまさかの駐禁1万円

コペンハーゲンは首都とは思えないほど空気がきれいで、運河ではスイムやカヌーをする人もいるほどです。運河には天空のボードウォークがテーマパークのコースターのように作られていて、市民はその上を歩いたりジョギングしたりしてリラックスタイムを過ごしていました。

マイヨジョーヌのランパールトも好位置をキープ ©A.S.O. Pauline Ballet

2日目の朝もも気持ちよくラン練習したくてたまらないですが、ガーミン先生がレストを指示するのでやめておきました。2連泊のホテルには朝食をつけていなかったので、この日は駅近くのカフェで済まそうと、ホテルを出たらちょっと心に引っかかるものを見てしまいました。

ホテル前に駐車したクルマのワイパーに細長い紙がはさまれていたんですよ。これは経験上どう見ても駐車違反の通知です。でもデンマーク語がわかりません。周囲のクルマを見回してみると、デンマーク登録車両はみなこんな紙ははさまれていないのですが、オランダ登録車に同じような紙が。

かつてのバイキングの面影を感じさせる船もツール・ド・フランスを歓迎

もうこの時点で駐車違反をしたのだと断定。カフェに行くような余裕は全くなくなり、部屋に戻ってポケトークアプリで写真を撮って翻訳してみたら、違反金を払えと。どうやらホテル前の駐車スペースは公共パーキングで、地元の人たちはきちんと支払っているんでしょうね。

ほったらかしにしてしまうとめんどくさくなるし、レンタカー会社経由で増額された違反金がクレジットカードから引き落とされるはずなので、ネットですぐに支払いました。1万円の出費でした。

逃げた2人のデンマーク選手、マグナス・コルト(左)が山岳賞、スベンエリック・ビーストルムが敢闘賞 ©A.S.O. Charly Lopez
カベンディッシュを外したチームはファビオ・ヤコブセンをスプリントのエースとして起用。その結果にいきなり報いた ©A.S.O. Pauline Ballet

ツール・ド・フランス誘致の夢を実現したデンマーク

そんなコペンハーゲンでしたが、首都としてはとても落ち着いていて、いい街だという印象は変わりません。自転車利用者は歩道で必ず押し歩きすることに感激しました。それはもちろんルールなんですが、こっちの歩道はそうするために作ってあるのか部分的に石畳で自転車走行には向きません。ランニングしていると足を捻挫しそうなのでよくわかりました。

ワウト・ファンアールトが1秒差でマイヨジョーヌ ©A.S.O. Pauline Ballet
沿道は大観衆が大はしゃぎだが、その雰囲気をちょっと離れたところで味わう年配女性の姿も

この日は第2ステージのゴールの隣町オデンセへ。同国第3の町で、童話作家アンデルセンの生まれたところ。初めての外食に繰り出しましたが、コースを頼むとどのお店も9000円はするので、うちひしがれました。若者が多いメキシカンのテラスでビール(500mlしかありません)とトルティーヤ。3000円です。

今年のテーマは、質素に。

興味深い自転車がいたるところにある

第1ステージにもどる⏪ ⏩第3ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

【ツール・ド・フランス現場雑感】世界のサイクルシティ、コペンハーゲンで開幕

第109回ツール・ド・フランスは2022年7月1日、デンマークの首都コペンハーゲンで開幕。初日の第1ステージは距離13.2kmの個人タイムトライアルで、クイックステップアルファビニルのイブ・ランパールト(ベルギー)が15分17秒のトップタイムで初優勝。総合成績でも首位に立った。

ランパールトがまさかのマイヨジョーヌ獲得で2022ツール・ド・フランスが動き出した ©A.S.O. Pauline Ballet

「ボクはベルギーの農民だから、こんなことができるなんて夢にも思わなかった」と勝利が決まって涙ぐんだランパールト。

「その勝利が初日だったからボクは少なくとも1日はマイヨジョーヌに袖を通すことができる。実感がわくのは大会が終わってからだと思う」

6月29日にはコペンハーゲン市内でチームプレゼンテーションが行われた ©A.S.O.

ユンボ・ビスマはエース3人がトップ8入りの好スタート

3連覇を狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)は7秒遅れの3位。エース3人を起用したユンボ・ビスマ勢はワウト・ファンアールトが5秒遅れの2位、ジョナス・ビンゲゴーが7位、プリモシュ・ログリッチが8位。雨中戦となったが有力選手はまずまずのスタートを切った。

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)イブ・ランパールト(ベルギー、クイックステップアルファビニル)
マイヨベール(ポイント賞)イブ・ランパールト(ベルギー、クイックステップアルファビニル)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)第1ステージは設定なし
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ミケル・モルコフに声援を送るコペンハーゲンのファン ©A.S.O. Pauline Ballet

3年ぶりのツール・ド・フランス現地取材は不安いっぱいで…

1997年から全日程を単独で追い続けてきたツール・ド・フランスですが、コロナ禍で2年間の現場入り断念。3年ぶりとなる渡欧は不安いっぱいです。ロシア上空を回避するために飛行時間が伸び、いきなりコペンハーゲンへの乗り継ぎ便が間に合わなくなったり、復路はエールフランスから4回に渡ってフライトキャンセルの通知などもあり…。

一番安いレンタカーを予約していたが、シュコダの高級車を出してくれた。レンタル料は当初のままであることをもちろん確認
コペンハーゲンはこの日、タイムトライアルの時間帯だけ雨が降った ©A.S.O. Pauline Ballet

そしてコロナ禍により現地の人たちの生活環境や文化はどんな影響が生じているのか。ツール・ド・フランスという伝統の変貌ぶりも心配なところでした。

出国の朝、5時に家を出てから、パリ経由でコペンハーゲンに飛び、空港から歩いていけるホテルで力尽きたのは日本時間の翌朝7時でした。デンマークは初めての上陸となりますが円安&物価高が予想され、リッチな旅は期待できません。

コペンハーゲンにツール・ド・フランスがやってきた ©A.S.O. Aurélien Vialatte

ところで、エールフランスから円滑に旅するためにワクチン証明などフォーマットにダウンロードせよとか何度も案内されて、ボクはきちんと対応しましたが、そんなことしていなそうな人もすんなり入国していました。機内でのマスク着用は努力義務で、しなくてもいいけど、する場合は鼻まで上げろと。街中はマスク着用者ほぼいません。

首都なのに新鮮な空気と泳げるほどの運河にビックリ

翌朝は大会前日。猛暑の日本から来ただけに、コペンハーゲンは快適そのもの。朝までぐっすり眠れたので時差ボケはありません。取材パスをどこにもらいに行けばいいのか、今回はまったく案内がないので、検索したらその記述のある民間サイトで分かった次第。それでいいのか、ツール・ド・フランスという感じです。

開幕地に集結した広告キャラバン隊がダンスで士気を盛り上げる ©A.S.O. Aurélien Vialatte

デンマークの足となるのはレンタカー会社のシュコダ。乗り込むときにさっそく iPhoneを落として画面を割って意気消沈です。今回は不安な気持ちが強く、なにかをなくしたりとか壊したりしないかを用心していましたが、やっておきました。開幕前日にいちばん大事なものを壊したので、これ以上の悲劇はないはずです。(1週間後に割れたのは保護用ガラスだったことが判明)

コペンハーゲンの街歩きもGoogle Mapを起動させて目的地を探せる

プレスセンターは空港からすぐのところにあって、まずは地元の人に観光的見どころをリサーチ。世界三大ガッカリと言われるリトルマーメイド像があるところを教えてもらったり、世界のサイクルシティが誇る自転車ブリッジがあることを聞きました。

地元の人に観光名所を聞いた。ペン先がリトル・マーメイド像のあるところ

さっそくその日の夕方にジョギングをしてリトルマーメイド像へ。そのすぐ横がタイムトライアルのコースのようで、沿道のバリケードの用意がありました。

そしてさすが世界のサイクルシティ。10分歩けばその理由がわかりました。

バウケ・モレマ ©A.S.O. Pauline Ballet

開幕日は、個人タイムトライアルの第1スタートが午後4時と遅いので、スウェーデンのルンドへ。次女が1年間、留学していた街を一度見ておきたかったんです。

国境を超えてスウェーデンへ。自動ローミングで(数分は要するが)なにもすることなく接続できる

レース後の夜は、ピザとサラダバーが2000円で食べ放題、カウンターで都度ドリンクというカジュアルで楽しそうなお店を見つけたんですが、ピザ1切れをもらうのに長蛇の列なのを見てやめました。アラブ系の食料品店で買い出し。まだレストラン行ってません。そして今後も行けそうにありません。

ツール・ド・フランス第1ステージでコロンビアのTTチャンピオン、ダニエル・マルティネスが走る ©A.S.O. Pauline Ballet

第2ステージにすすむ

🇫🇷ツール・ド・フランス2022特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ピナレロがツール・ド・フランス第1ステージに新兵器ボリデFを投入

ピナレロが7月1日に開催されたツール・ド・フランス第1ステージで新しいタイムトライアルマシン「BOLIDE F (ボリデF)」を公開した。

ツール・ド・フランス第1ステージでコロンビアのTTチャンピオン、ダニエル・マルティネスが走る ©A.S.O. Pauline Ballet
世界チャンピオンのガンナが使用するボリデFのスペシャルバージョン
6月22日のイタリア選手権タイムトライアルでガンナがボリデFを実戦投入 ©Tommaso Pelagalli/SprintCyclingAgency©2022
自動車メーカーが開発中のモデルに施すようなカモフラージュ柄にして、ツール・ド・スイスなどでイネオスグレナディアーズが投入 ©Tim de Waele/Getty Images

●ピナレロジャパンのホームページ

トレック・マドンの第7世代登場…速さを求める選手に

トレック・ジャパンは第7世代としてフルモデルチェンジを果たした究極のレースバイク“Madone SLR”を発売する。

シートチューブ部に設けられた新たなIsoFlowテクノロジー。特徴的な空洞は前作と比較し空気抵抗となる気流の渦を軽減し、空気の流れが乱れることなく空力性を高める

以前より強度が30%高まったOCLV800カーボン、そしてスピードコンセプトをアワーレコード樹立へと導いた風洞実験。 

これら二つの要素が、今まで最速だったMadoneをさらに速く、そして軽くした。 

新型のハンドルバーはシームレスな仕上がりで、高いエアロダイナミクスを発揮し、重量も削減。ブラケット幅が3cm狭くなっているためライダーポジションが抵抗を受けにくくになり、エアロ性能がさらに高まる

前作と比べ、1時間あたり約1分速くなる空力性、そして300gの軽量化といった脅威の進化を遂げ、新たな究極のレースバイクとして、その名を轟かせる。

●トレックの詳細ページ

eSIMのtrifaなら安価で確実に旅先でネット通信できる

2022年のツール・ド・フランス取材では、eSIMのtrifa(トリファ)を使って転戦中だ。trifaは日本の接続サービス会社だが、スマホアプリで利用でき、しかもさまざまな地域・期間プランが安価で用意されている。アプリで完結するので最初のホテルにSIMカードやポケットWiFiを送ってもらうこともない。空港で専用カウンターを探したり、そこで語学力が求められるプランの選択を迫られることもない。

【2023年4月掲載内容を更新】料金が大幅に値下がりしたため。

デンマークでeSIMが大活躍。クルマの中や公園のベンチなどどこでもパソコン通信できる

2022ツール・ド・フランスはデンマークで3日間を過ごし、大会4日目にフランスに向かうので、購入したプランは「ヨーロッパ周遊」、期間は「31日間」で、原稿や画像を毎日パソコンから送稿するので容量の大きい「30GB」を選択した。料金は1万2900円(注)だ。

(注)2023年の料金は8750円

ちなみに2022年に大会主催者が用意したワイヤレス通信を契約すると24日間の全日程で720ユーロ(10万8000円)。まさに今回はコストダウンの成功例だ。

【記事】ここ2、3年は通信環境の進化が加速中

24日間のツール・ド・フランス取材はtrifaで原稿送信した

ちなみにその他のプラン
米国・15日間(3GB)3650円
グアム・15日間(3GB)8700円
フランス・7日間(1GB)720円
アジア周遊・8日間(6GB)2340円
ヨーロッパ周遊・31日間(10GB)4580円

2023年の料金プラン
米国・15日間(3GB)2900円
グアム・15日間(3GB)6900円
フランス・7日間(1GB)570円
アジア周遊・7日間(5GB)8620円
ヨーロッパ周遊・31日間(10GB)3300円

こういった手続き、eSIMのインストール、使用中の残量確認は無償提供されるアプリで行う。購入手続きはいたって簡単なので、公式サイトを参照のこと。

eSIMを購入してインストールする手順

アプリのトップでまずは訪問する国、あるいは複数の場合はエリアを選択

今回はフランスの他にデンマークやスウェーデンに行くので「ヨーロッパ周遊」を選択。2023年は「グローバル」は消滅

1カ月なので「31日間」、連日パソコン通信をするので「30GB」を選択。このプランは2022年夏から追加された。2023年は掲載画像の料金よりも割安に

テザリングが可能なので、Wi-Fiルーターとしてパソコンでインターネット接続することもできる。2023年は掲載画像の料金よりも割安に

注文そのものはクレジットカード情報などを入力してすぐに完了。2023年は掲載画像の料金よりも割安に

やり方がわからないときはLINEでチャット相談

ちょっとだけ手間取ったのは、次のステップであるeSIMのインストールだった。たまのバグで「インストール完了」の知らせが画面表示されないこともあり、その症状が出現した。こんなときはLINEのチャット機能で日本のスタッフとやりとりして解決策を教えてもらえる。これが実にありがたかった。

アプリ不具合からeSIMインストールの完了画面が出ず、完了していないと思いこんで何度もトライ。LINEで相談して解決した

結果としてeSIMは無事にインストールされていて、バグ改善によってこうしたトラブルもなくなってくると思うが、ここで学習したことは海外渡航前にeSIMをインストールしておくことが大切だということ。

そこで、実際に日本にいるときにやっておくべきインストール作業と、海外での最終的なセッティングを紹介。

【出国前】eSIMをインストールしておく

スマホの「設定」を開く
「モバイル通信」を選択
「モバイル通信プランを追加」を選択
QRコードまたは手動のコードを使ってeSIMをダウンロード
「モバイル通信プランを追加」を選択
「モバイル通信」画面に戻ると新しくeSIMが追加されているので、そちらを選択

🔎 どれが今回インストールしたeSIMなのかわからない場合は?

トリファを経由してインストールしたeSIMには「副回線」「eSIM」「旅行」「仕事」「モバイルデータ通信」といった名前が振り分けられているはず。また、特定の名前をつけることもできる。

一方、普段使っているSIMの名前は「キャリアの名前」、又は「主回線」といった名前が振り分けられている。
「この回線をオンにする」がONになっていなければONに切り替える
ONにした後、一度前の画面に戻り、再度該当のeSIMを選択する
画面を下にスクロールし「データローミング」をONに切り替える

現地での利用状況確認画面

【現地到着後】eSIMを切り替える

「設定」を開く
「モバイル通信」を選択
「モバイルデータ通信」を選択
今回新たに追加したeSIMにチェックを入れる
2〜3分待つと通信が開通する
もし通信が開通しない場合は端末の再起動を試す

コペンハーゲンの街歩きもGoogle Mapを起動させて目的地を探せる
国境を越えてスウェーデンへ。自動ローミングで(数分は要するが)なにもすることなく接続できる

●eSIMのtrifa(トリファ)のホームページ