グルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)がカテゴリー超級の最後の上りで抜け出して、4年ぶり3度目の区間優勝を果たした。首位のマイヨジョーヌを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)は6秒遅れの区間2位。前年の覇者、イネオスのゲラント・トーマス(英国)は最後に遅れ、総合成績でのアラフィリップとの差が1分26秒から2分02秒に広がった。
ピノがツールマレー峠を制す…アラフィリップが総合でリードを広げる
106回の大会にしてツールマレー峠は83回目の登場だ。初めてコースに採用されたのは1910年。変速機も発明されていない当時、標高2000m超の峠を自転車で越えることなど考えられなかったようで、さらに主催者は選手が熊に襲われるのを警戒していたともいう。それでもこの冒険精神が人々の興味を引きつけ、国際的スポーツイベントの代表となるきっかけとなった。
ツールマレー峠はピレネーの要衝で、ここを通過しなければ先に進めない。そのため毎年のようにツール・ド・フランスが通過するのだが、今回は峠にゴールするという特異な設定。前日にアラフィリップが好走し、総合優勝の可能性を高めたため地元フランスのファンが沿道に大挙して押し寄せていた。
残り10kmでそれまで逃げていた選手をすべて吸収した有力選手らはツールマレー峠の上りでバトル開始。その有力選手からたまらず脱落したのが優勝候補のトーマスだった。そして残り250mでピノがアタックし、徐々に2位以下との差を広げてゴール。アラフィリップは必死の形相で食らいつき、わずかな差で続いた。
ピノは横風が吹いた第10ステージで他チームの分断作戦の罠にはまり、その日だけで1分40秒遅れ。総合3位から11位に陥落ていした。この日の勝利で6位に浮上したものの依然として優勝をねらえる位置ではない。
「ただひたすらステージ優勝を目指してツールマレーを上った。この勝利で再びモチベーションを高めることができたので、パリでは3位までの表彰台を目指したい」とピノ。
そして総合優勝に向けてまた一歩前進したアラフィリップ。
「優勝候補が遅れたのを見たときは興奮した。一生懸命働いたから報われたのさ。もう1日マイヨジョーヌを着ることができるが、戦いはまだ続くのでまずは今日の疲れをいやすことが重要だ」
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
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