サッカーで貧困者を支援するニューヨークのサウス・ブロンクス・ユナイテッド

サッカーを通じて米国ニューヨークで貧困地域出身の社会的格差に苦しむ若者の生活向上を支援するプログラム「サウス・ブロンクス・ユナイテッド(South Bronx United)」がローレウス・スポーツフォーグッド部門賞を受賞した。

サウス・ブロンクス・ユナイテッド

世界40カ国以上でスポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいるローレウスが選んだ。2020年2月17日にドイツのベルリンで開催するローレウス・ワールドスポーツアワード2020に先立っての発表。会見には、ローレウス・ワールドスポーツアカデミーメンバーのショーン・フィッツパトリック、マイケル・ジョンソン、ミッシー・フランクリン、ローレウスアンバサダーのイェンス・レーマンが登壇した。

ローレウス・スポーツフォーグッド部門は、ローレウスアカデミーのメンバーの意見を基に、スポーツの力を通じて暴力、紛争、差別によって生じる影響を軽減し、社会的および情緒的発達を促してポジティブな変化を生み出し、教育と就業能力の向上に取り組む組織または個人を表彰する。

受賞となったサウス・ブロンクス・ユナイテッドは、若者たちをストリートから社会へと 繋げるプログラム、サッカーに情熱を持つ若者の成長を図る魅力的なプログラムが必要だというアイデアを基に2009年に設立。ニューヨークの貧困地域出身の若者が、社会を変革するためのツールとしてサッカーを用いて、若者の人格形成を助け、チームワーク、リーダーシップを向上させ、学校やキャリア、地域社会で活躍することができるよう支援することを目的としている。

過去10年にわたり、地域社会のニーズに応え、若者が直面している課題に対応し、サッカー、教育、メンタリング、 移住、支援サービスの相乗効果により発展を続けてきた。その功績がローレウスアカデミーに認められた。

2月17日のアワードでは、サウス・ブロンクス・ユナイテッドの共同設立者・理事長アンドリュー・ソー氏と、同組織から直接支援を受けた2名の参加者モハメド・コナートさん(18)とマリア・マルティネスさん(18)の3名に代表して賞が授与される。

モハメド・コナートさんは、ギニアから逃れた両親のもと、コートジボワールで生まれた。その後、家族の元を離れ米国へ。 8歳の時にサウス・ブロンクス・ユナイテッドに参加し、そのチームだけでなく、地域でもリーダーとなった。

マリア・マルティネスさんは母親とともに、よりよい生活と機会を求め、メキシコから米国に移住してきた。マリアさんはサッカーや学業に留まらず、サウス・ブロンクス・ユナイテッドの審判も務め、コーチの訓練も受けている。

両名2人とも現在高校生だが、サウス・ブロンクス・ユナイテッドの支援を受け、すでに複数のカレッジから入学許可を受けていて、2020年に入学する予定。

スポーツで世界はひとつに

ローレウス・スポーツフォーグッドは、スポーツの力で世界中の若者のために暴力、差別、社会的格差をなくすべく支援活動を行っている。2000年設立以降、パートナーとともに、ローレウス・スポーツフォーグッドはおよそ600万人もの子供たちや若者の生活を変革するための支援を続け、Sport for Development(スポーツを通じた青少年育成)の分野において1億5000万ユーロ(約180億円)を超える資金調達を行った。

2000年に行われた第1回ローレウス・ワールドスポーツアワードで、ローレウス設立時の支援者の一人であるネルソン・マンデラ氏が語った言葉 「スポーツには世界を変える力がある。それは他に類を見ない、人々を一つにする力だ」は、20年経った現在もローレウスの原動力となっている。スポーツ界のスター、レジェンドから、スポーツファンやローレウス・スポーツフォーグッドプログラムに参加する世界中の青少年まで“スポーツは私たちをひとつに(Sport Unites Us)”している。

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