WADA(世界アンチドーピング機関)は5月23日、新型コロナウイルス感染拡大を抑えようとする衛生対策が喫緊の課題となったことで、スポーツ界のアンチドーピング検査数が減少しているという問題に直面していると認めた。
スポーツ界のドーピング件数は2019年に比べ、2020年上半期のほうが増加した。2019年上半期のドーピング陽性数は190件で、2020年は同期間で227件に上る。さらに一部に審議中のため機密にされているものもあり、総数はさらに増えると予測されている。
もちろん、サンプルが取得された日付とドーピングが公表された日付には時間差があり、2020年前半にリリースされたいくつかのケースは、2019年に行われたテストの結果となるので、ドーピングが増えていると性急に結論を出すことはできないという。
スポーツ連盟の中には、ドーピングが発覚しても選手に活動停止を通告するまでドーピング陽性を明らかにしない団体もあるという。UCI(国際自転車競技連合)やIAAF(国際陸上競技連盟)は疑惑のケースが起こった際はまず発表し、関係する選手を暫定的な活動停止にするという手段を講じる。
自転車競技で報告されたドーピング陽性数は、2019年に比べて減少傾向が続く。2020年上半期のドーピング陽性数は7で、2019年の1/2だ。
新型コロナウイルス感染が抑え込まれれば、欧州をメインとする自転車競技スケジュールは8月上旬から再開する。WADAはそれをふまえ、各チームにアンチドーピング検査の再開と徹底を通告。ドーピングに対するあくなき姿勢を明らかにしている。
クリーンな自転車競技を目指す団体「MPCC=信頼ある自転車競技のための運動」公式リリースより。