eMTBの機動力で小田原のオンオフを実力以上に満喫してみた

ペダルを軽く回すだけで、これまで押して上っていた激坂を電動パワーで進んでいけるeMTB。本格コースや山の中で乗るものというイメージが強いが、フルサスペンション仕様で街を走るのは乗り心地がよくて、都会でSUV車を操っているような感覚。そんな知られざる魅力を体験するため、スペシャライズドの最新モデル、リーボ(Levo)SLに乗って神奈川県小田原市でサイクリングしてみた。

今回使用した自転車はリーボSLコンプカーボン。85万8000円

海も近いが山も近いのが西湘・小田原の魅力

都内から在来線で1時間半ほどの小田原駅を発着として、おいしいものや山中ライドを楽しみ、温泉で疲れをいやそうという1日。中心部にある小田原城から漁港まで、海から山まですべてがフィールドとして楽しめるのが魅力だ。これまでに米国スペシャライズド社が開発したeMTBの戦闘力を紹介したが、今回は神奈川県厚木市に本社を置くスペシャライズド・ジャパンの社員らが勝手知ったる小田原近郊を案内してくれた。

小田原かまぼこ通りの鱗吉(うろこき)で自然薯棒を食べる小田島さん

女性社員の小田島梨絵さんは北京・ロンドン五輪のMTBクロスカントリー日本代表。元モーニング娘。の吉澤ひとみの自転車コーチとして活躍してくれた実績もある。

「今日はアシストお願いしますね」と記者が声をかけると、「大丈夫です。アシストは自転車に付いてますから」と笑顔満面で返してくれる。

早川港。ここからeMTBで20分走れば山間部を訪れることができる

駅近くに1日料金で入退場できる温泉施設「万葉の湯」があるので、ここでウエアに着替えて荷物をロッカーに入れておけばドロだらけになっても万全だ。まずは「小田原かまぼこ通り」で食べ歩き用の揚げかまぼこをほおばる。そして海岸線から1つ内陸側を走る路地を使って早川港に行くと、海産物を味わえる食事どころが軒を並べている。ここからは舗装路を2km上るヒルクライムだ。勾配は10%もあるので、超軽量ロードバイクでも足を着くような激坂だが、eMTBのアシストパワーを3段階の「強」にすれば、ペダルを踏み込む力の2倍のアシスト力でグイグイ進んでいける。

舗装路で山の上を目指すときも電動パワーで息も切れずに進んでいける

周囲をながめる余裕もあり、振り返ればミカンの木の向こうに太平洋が見える。海から一気に標高を稼げるのが小田原ならではの魅力だ。上りきったところが小田原一夜城。ここには鎧塚俊彦パティシエが経営するヨロイヅカファームがあり、スイーツを食べながら海を望むことができる。

帰路は石垣で囲まれた田舎道をダウンヒル。狭い道でかなりの下り勾配だが、eMTBそのものの安定感とディクスブレーキのコントロール性能があって、慣れない人でも怖さを感じることはない。

制動力のあるディスクブレーキなので初級者も舗装路の高速下りを楽しめる

また、別ルートで山の中腹にある常設MTBコースにも寄ってみたが、アシスト力のおかげでそこにたどり着くまでに体力を使うこともなく、本格的な山間部走行に集中できる。最新機材の恩恵で、慣れないMTBライドでも転倒することなく、ウエアもそれほど汚れなかったが、小田原城の外観を見ながら楽しいばかりのサイクリングを終了し、温泉でさっぱりして帰路へ。アシストパワーで体力的にもの足りないなんてことはなく、自分の実力以上に活発な走りが楽しめたことに大満足だ。

大自然のトレイルをインストラクターに続いて軽快に走る
夕暮れ前に小田原城へ。機動力がグッと増し、サイクリングがまる1日楽しめた
前後サスペンションが路面の衝撃を吸収し、テクニック不足を補ってくれる

フォレストバイクは都心部から一番近いMTB常設コース

eMTBを借りてその走りを体験してみたいのなら「フォレストバイク」がいい。小田原駅から4kmほどの舗装路を上っていくとレベルに応じたMTBトレイルコースを持つ施設が小田原の大自然の中にある。リーボSLのレンタルと初級者講習で7500円、所要3時間。インストラクターが乗り方だけでなく、楽しみ方まで教えてくれる。
●フォレストバイクのホームページ

フォレストバイクのインストラクターが乗り方の初級者講習をしてくれた
フォレストバイクでeMTBの乗り方や楽しみ方を教えてもらう